Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

木製浴槽と十和田石

伊豆OK別荘

現在工事進行中の伊東の別荘リフォームの現場をスタッフの笠原君が報告してくれました。ここは温泉のある別荘で、伊東市街を見下ろす景色抜群の浴室があり、そこにはお施主様の強い希望で、木製の浴槽を入れることになりました。別荘なので、それほど頻繁には使いませんが、塩分の強い温泉であることを考慮した上で、何社のも木製浴槽メーカーの営業の方に話を聞いた結果、今回はハウス&ハウス社の浴槽を使うことに決定いたしました。決定の要因としては、

  • 価格
  • 施工&メンテナンス体制
  • 木の触感

などが決め手となりました。木製浴槽の定番である、檜(ひのき)ではなく、より緻密な米ひばを使い、さらにセラミックス処理をすることでメンテナンスが楽で、伸縮の少ない、高耐久な木製浴槽となっているそうです。

 木製浴槽

木製の浴槽にマッチして、雰囲気があり、使い勝手も良い材料として、床には、十和田石を選びました。水に濡れると、ほんのり青みがかかり、すべりにくく、吸湿性があり、かつ温かい(ひんやりしない)という素晴らしい素材です。本当は、伊豆で取れる伊豆青石を使いたかったのですが、地元でもほとんど流通していないとの事で、産地違いますが、十和田石を採用しました。

木製浴槽と十和田石の納まり

張られた途端に養生されてしまったので、あまりよく見えませんが、木の浴槽と十和田石、そしてモザイクタイルのマッチングは、
必ず美しくなることでしょう。

造作家具-2 玄関の複合家具

白金台S邸

マンションリノベーションの白金台の現場に、玄関の複合造作家具がつきました。玄関空間に必要とされる主な機能は以下の通りです。

  • 靴の脱ぎ履きとその収納
  • 傘の収納
  • コート・ジャンパーの着脱とその収納
  • 姿見
  • 買い物やお出かけ用荷物の一時置き場
  • 判子や”車の鍵”の置き場所

そして以上の機能を充足するために、靴収納、コート掛けや傘置き場、靴の着脱用のベンチや小物収納といった要素が必要になってきます。

今回のリノベーションでは、これらの機能と各要素を組み合わせた、複合用途の玄関家具を考えました。現在据えつけているのが、そのうちのベンチと靴置き場を兼ねた”造作収納”です。(この家具の正面に、傘置きとコート掛けと姿見を兼ねた複合家具がつく予定です)

向かって左側に玄関扉がありますが、入って直ぐのタタキ部分にベンチがあります。高齢の方が立ち座りが楽なように、手摺り棒をつけています。手摺りの横が靴収納になります。高さのあるブーツなどは、ベンチ下に収納します。

一番右側はプライベートゾーンへの入り口です。この部分に扉が突く予定ですが、全体を一つの大きなフレームで纏め、素材もオニグルミの突き板で仕上げることで、一つの大きな家具となるようにデザインしています。

二枚目の写真は、建具や靴収納の扉が付いた完成形です。

別荘の新しい玄関の考え方

伊豆OK別荘

以前の別荘の玄関は、ピロティー下部にあり、そこから角度40度(!)の急勾配で二階のリビングへ入ってゆく構成となっていました。お歳を取ったお施主さま夫妻には、あまりに危険だとの事で、今回の別荘リフォームでは新しい玄関部分を増築することになりました。緩やかな外階段を上れば、小さいけれど明るい玄関ホールがあり、直接リビングへとアプローチできることになります。

因みに、建築基準法の「防火及び準防火地域外における、床面積の合計が10平方メートル以内の増築は、確認申請が不要である」
という法規を利用して、この玄関部分は申請なしで増築しています。

ちょうどこの玄関部分は、木製サッシの引き込み部分と重なっており、さらに、既存の屋根が一番落ちてきている箇所であり、色々なカラミがあります。既存のモルタル壁、増築部分の板金、そして木製サッシの枠が複雑に交差するので、その入念な打合せを行いました。半分まで野地板を張って、手が届く範囲まで板金を施工し、その後残りの野地板と板金を工事するという、二段階のプロセスで、何とか難しい箇所をクリアできそうです。

空間の骨格がようやく固まってきたことで、光や空気の気持ちよい流れが見えてきた気が致します。