Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンション解体 壁先施工か床先施工か?

白金台S邸

港区白金台のマンションリノベーションの解体工事が始まって、ちょうど一週間、途中経過報告です。

解体前の事前調査で、今回の既存内装が、壁先施工で行われていることが判っていました。最近の高級マンションの床下地は、上下階の騒音問題などの理由により、置き床工法が採用されているケースがほとんどです。その置き床工法でも、壁を先に施工するか、”床を先に施工”するかで、大きく二通りの施工方法があります。

コンクリートで空間が出来た段階から内装工事が始まりますが、まず先に壁を立てるのか、それとも”床の下地を作る”のか、の違いです。壁先施工の場合、壁が出来上がった後、それぞれの部屋の空間の仕様に応じて、床下地を組み立てて、天井下地を組んでゆきます。

それぞれの部屋の床の仕上げ材が違っていながら、(畳敷きの和室や、”石敷き”の洗面や”床暖房”のあるなしなど)全てを同じサーフェス(面)に仕上げたい場合、この壁先施工の方が楽になります。

床仕上げ材が全室同じで、天井の高さもそれほど変わりがない場合は、床先施工が行われる可能性があります。マンション一戸分全体に、床下地を組んで、その上に壁を建ててゆく事になります。

内装施工時には、それぞれのケースに合わせて、どちらかの工法が選択されますが、解体する際は、どちらの工法で作られているか、きちんと把握しておく必要があります。壁先施工だったことを知らずに、下手に壁を壊した場合、天井が落ちてきてしまうことがあります。※因みに、最近は施工スピードを考えて、壁先施工事例が多いようです。

今回の事前に、コンセントプレートを外して、棒を突っ込んでみるという簡易調査で、壁先施工であることがわかっていました。解体業者にも十分注意しながら解体してもらいました。

写真は、寝室部分の解体情況写真です。二つ分の寝室と、”ウォーク・イン・クローゼット”(通称:WIC)を纏めた分のスペースなので、広々として、とても広く感じます。床下地と天井下地に、かつて壁があった箇所にスリットが入っているのが、”壁先施工であった証”です。

空間の中心に一本だけ仮柱が立っていますが、実はこの柱を抜いてしまうと、その付近の天井が落ちてしまうので、その補強となっています。

AllAbout「高級マンション」の記事 麻布MT邸

麻布MT邸

都内の高級マンションについての記事では定評がある、All About「高級マンション」に南麻布の高級マンションリフォームについての記事が掲載されました。「新しいマンションを探す際にも、立派なモデルルームばかりを見学するのではなく、オーナーの個性がきちんと反映されたリフォーム事例を見ておくことは勉強になる」といった趣旨の記事です。つまり、新築マンションのモデルルームは、幾ら立派で素敵でも、あくまでイメージであり、その通りに住んでいる人は居ない。

また、再販を目的としてリフォームされた、いわゆるリノベマンションも、デザイナーの個性が全面に出すぎているので、住み手にはあまり参考にならない。そこで、参考になるのがオーナーの個性が、生活感となってにじみ出ている家こそが良いお手本になる。という流れで、麻布MT邸を紹介してくれています。

写真もガイドの坂根さんが撮ったものばかりですが、これが生活感を上手く写しながら、リフォーム設計の趣旨も表現してくれている、とても素敵なアングルの写真ばかりです。特に隠し扉と子どものプレイコーナーを一緒に撮ったアングルや、バルコニーの木製フェンスと植栽を写したカット、窓際の小物を切り取った写真など、見ていて楽しくなるものばかりです。「高級マンション」のサイト、坂根康裕さんの記事は、これまでも本当に参考にしてきたので、取り上げてもらえたことは、とても刺激になりました。

マンションリノベーション 解体工事の開始

白金台S邸

マンションリノベーションの解体工事が始まりました。先日テープで印をつけた指示に従って、どんどん解体されてゆきます。

まず始めに、残すものを保管する場所と、廃材を分別して”仮置きしておく場所”を決めて、どの人にどの箇所から解体してもらうかが指示されると5人の職人さんたちが勢いよく解体を始めました。因みに、前日の段階で水道屋と設備屋、ガス屋さんにそれぞれの設備を止めてもらっています。

マンション 内装解体

一応、玄関ドアを閉めて、エレベーターホールに出て、どのくらい音が響いているのかも、確認して貰いました。さすがに大手ゼネコンが施工した、音に配慮した高級マンションですので、共用部分にはそれほど音が響きませんでした。

写真は工事を始めて、約半日経った時点の様子です。既に、壁はなくなり、建具も必要なものは取り置かれ、床のカーペットと床暖房も剥がされていました。

廃棄されるものは、リビングの一角に、きちんと整理されて置かれています。産業廃棄物の分別が細かくなるまでは、とにかく何でも袋に詰め込んで捨てていたようですが、未分別ゴミの廃棄費用が高くなってしまったので、一般家庭以上に分別に気を使うようになったそうです。

今回のマンションには、搬出用のエレベーターがないので、住人用のエレベーターと共用のホール、玄関を通って搬出するので、廃棄物はなるべくコンパクトに纏まるように、特に工夫して貰っています。

奥の部屋の一角には、再使用予定のスイッチ類や、金物類、建具等もきちんと整理されて置いてあります。