Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

石材の最終決定@お客さまの仮住まい

渋谷区Q邸

大型マンションリノベーションの渋谷区Q邸のお客さまは、工事中は同じマンション内の他の部屋に仮住まいをしていらっしゃいます。先日の岐阜の大理石視察ツアーの成果とサンプルを持って、そのご承認と最終決定の打ち合わせをして参りました。

茶色い大理石のエンペラドールダークはキッチンカウンターに使う材料なので、キッチン部分の設計&施工をお願いしているリネアタラーラの水谷さんにも打ち合わせに同席して貰いました。

これらが先日のツアーで持って帰ってきた石材のサンプルです。真ん中左側のものが石材会社の日本辰華が作った今回の基準となるサンプルで、それに似た石材候補を3つ持ち得ってきております。副所長の竹田さんが指さしてくれているのは最も良いと思っている候補の石材で、ブログにも大判スラブの端っこで割れた部分を持ち帰るという記載をしていた、そのものとなります。先日のツアーはコロナのこともあって、お客さまはご一緒できなかったので、僕らが良いと判断した基準を聞いたうえで、僕らのお勧めに従って決定することができました。

洗面カウンターのビアンコブロイエについても、他に決まっている素材と合わせて見て頂いた上で、こちらがお勧めした石で決定に至りました。

石材とは関係しませんが、追加でご提案することになった、リビングの一角に設ける書斎コーナーに使う素材の色味もご確認頂きました。

仮住まいの床に広げたこちらのシートは、在宅勤務中の竹田さんが自宅で張り合合わせで作ってくれた、玄関の姿見の鏡の実物大サンプルシートです。ただ、これでは中々サイズ感が分からないので…、

隣に僕、各務が寝転んでみました(笑)!


それでも、やはりスケール(寸法)感覚が分からないとのことで、天井の高さは違いますが、仮住まいの玄関廊下に姿見シートを張ってみました。

途中から、施工会社・の現場監督の岡田さんも同席してくれて、手伝ってくれています。

姿見の前に吊るすペンダント照明は、先回の現場照明モックアップ打ち合わせで一旦ジノ・サルファッティの物で決まっておりましたが、もう少し他の候補も見比べたいとのリクエストがあり、他の物も幾つかモックアップ(と言ってもただの白黒コピーを切り抜いただけ物ですが…)を吊るして見比べて頂きました。

ダイニングテーブル上の照明も先回の現場打ち合わせにて決まっておりましたが、スケルトン状態の現場だとスケール感が分かりにくかったとのことで、こちらの仮住まいでも天井から吊るさせて頂き…、

やはりこちらで最終決定という流れになりました。納期が掛かる照明器具なので、翌日には正式発注させて頂きました。
お客さまとの打ち合わせはここまでで、竹田さんと僕は監督の岡田さんと同じマンション内の現場に行って、工事の状況を確認致しました。

マンション全体で組まれている冷暖房の冷媒管を断熱材で被覆してくれている様子です。

冷暖房の冷媒管は廊下や水回りの天井裏を通って専有部内にくまなく回ってゆきます。

一旦取り外して内部清掃をしたファンコイルユニットを新しい位置に吊り直している様子です。

吊り直された冷暖房のファンコイルユニットの下には、すでに別のダクトも通っています。ここから一気に天井裏の設備機器とダクトが組まれてゆきます。

ファンコイルユニットやエアハンドリングユニットからダクトでつながった吹き出し口と吸気口も墨出しされた位置に的確につられてゆきます。

一通りのメンテナンスが終わったエアハンドリングユニットに新設された冷媒管が接続されました。
現場はパッと見た目にはそれほど違いが見えませんが、細かい部分や見えにくい設備の工事が着々と進んでいます。

現地での仕上げ材確認と工事契約締結

千代田区M邸

千代田区M邸の解体されたスケルトン現場にて、仕上げ材の確認をお客さまとご一緒にさせて頂きました。

奥で、Mさまご夫妻と僕らで仕上げ材を広げてワイワイ楽しんでいる手前では、工事監督として予定されている、の石坂さんが難しい顔(笑)で躯体状況を見つめていますね。

現場にはまだ大きな打合せテーブルが無いので、床に仕上げ素材を置いて見比べて貰いました。

フローリングの床材は、以前から見て頂いているノルド(ADワールド)で、2種類の大理石は先日のアントリーニギャラリー@関ヶ原石材で購入して頂いたオイスターホワイトとアイリッシュグリーン、キッチンに使うステンレスバイブレーション仕上げに金属調タイルまでは決定済みで、本日決めたいのは玄関正面のコンクリート打ち放し風の左官仕上げの色と、床のタイルです。

それぞれの素材をどこに使うか予定かを、前田君が作ってくれたCGパースを見て頂きながらお伝えしています。

まだ仕上げ材で造作家具の仕上げ材等、幾つかの未定部分は残っておりますが、工事の見積り上はほぼ決まってきたので、明日に予定されている工事契約の為に、事前説明を青の樋口さんがしてくれました。

契約直前ではありましたが、関係者全員が集まったので、お客さまを中心に皆で記念写真を撮らせて頂きました。

因みにこちらの写真は、Mさまの専有部内を通っている明らかに関係のない冷媒管です。築年数の古いマンションでは、時々隣家や上下階の配管が室内の隠れた部分を通っていることがあるのですが、後々面倒なので、Mさまに管理事務所に問い合わせて頂きました。

PS内で断熱をされていない状態なので、結露する可能性が高いこととや、今後これにヒモ付いたエアコンを交換することになった場合、Mさまの専有部分をいじらないと交換ができないの可能性が高いので、指摘させて頂きました。結果、管理事務所からは共用部であるエレベーターホールのエアコンの冷媒管であることが分かり、対応してくれることになりました。

そして、これが翌日の弊社打ち合わせ室での工事契約時の様子です。

スチールサッシの鉄枠の塗装色とツヤの確認や、

細かい取り合いのことを青の片岡さんと一緒にご説明させて頂きました。この後、無事リノベーション工事の工事契約を締結させて頂きました。Mさまご夫妻、そして施工会社の青の皆さん、どうぞ今後とも宜しくお願い致します!

大理石探しツアー@岐阜県

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸のキッチンカウンター材と洗面カウンター材の大理石を探しに、日帰りで岐阜県に行って参りました。施工会社・の現場監督の岡田さんと片岡社長、そして弊社副所長で担当設計の竹田さんと4人のツアーです。

キッチンカウンターで使う石材は、エンペラドールダークです。スペイン産の濃い茶色をベースとして、薄い茶色や白い線が細かなひび割れのように走っている重厚なイメージの大理石です。

このエンペラドールダークに決まるまで、色々な経緯がありましたが、片岡社長が持っている濃い四角いサンプルの裏面のピール加工されたものがQさまご夫妻に気に入って頂けたので、これと似たものを探すことが今回のツアーの第一目的となっています。

ピール加工のサンプルを作ってくれたのが、日暮里にある石材屋の日本辰華(ニホンシンカ)さんだったので、担当の渕川さんと池上会長に現地アテンドして貰いました。最初に訪問したのは岐阜県安八郡にあるミナミ石材さんです。

まずは何枚かのスラブ材(ブロック材から薄切りにされた石材で、2m×3m程度のサイズで、厚みが20~30ミリの薄板)をクレーンで出して貰い、色味やヒビの入り具合を確認させて貰いました。

最も良さそうなものを選んで、片岡社長と岡田さんと渕川さんに、青い養生テープで石取りをして貰います。欲しい石材のサイズは決まっているので、カウンター部分や縁部分をスラブの色が浅い個所やひび割れを避けながらどのように取ってゆくかが重要なポイントになります。写真は、A3サイズの紙を使って、直角を出してくれている様子です。

まずは一通り養生テープで仮の石取りができたものをチェックしています。スラブの下に斜めに走るヒビがありましたが、そのヒビを避けて斜めに石取りをして、ちょうど良さそうな長さのカウンター材が取れそうです。

スタッフの竹田さんに並んでもらうと、スラブ材の巨大さが分かりますね。特に大理石の色味の濃い部分をカウンターに狙っているのが判るでしょうか。

最初の一枚だけでは、キッチンカウンター一枚分も足りないので、もう一枚似た模様のスラブを選んで、ダイニング横のワインセラーを入れる収納の甲板分とキッチンカウンターの足りない部分を石取りしてみました。

これだけでも必要な材料が足りないので、最初の一枚からさらに細い部材を取ってゆくことになりそうです。

まずは最初のミナミ石材で、ベストと思われるスラブを2枚見付け、石取りができました。

お客さまのQさまに見せるサンプルを持ち帰る必要があるので、このスラブの端っこの欠けた部分を持ち帰ります。

次に伺ったのが、同じ岐阜県ながら養老市にあるフジ大理石さんです。こちらでも、僕らからの希望の濃い色のエンペラドールダークを表に出しておいて貰っているので、まずはベンチマークとなっているサンプルと色味を比べさせて貰いました。色味の濃さという点では良いのですが、エンペラドール独特の華やかさはあまり感じられないスラブ材でした…。

スラブ材が少し小さななことも気になりましたが、まずは石取りをして見比べることにさせて貰いました。

2枚のスラブを使えば何とか必要量を賄うことができることが分かりました。2種類のスラブ材を一緒に見つけて下さったところで、日本辰華さんのお仕事は終わり、ここからは洗面化粧台のビアンコブロイエを一緒に探して貰う、鈴木大理石さんにバトンタッチして貰いました。

鈴木大理石の成澤社長とは、これまで幾度かお仕事をご一緒したことがあるので、こちらの要望に近い大理石を見つけて置いてくれただけでなく…、

石取りまできれいにしておいてくれました!ここまで事前作業をしておいてくれると、とても楽なのですが、特にメインで使うカウンター材については、傷やシミが無い部分かをきちんとチェックしておく必要があります。
因みに、ビアンコブロイエはイタリア産の大理石で、有名なビアンコカラーラと同じカラーラ地域で取れる石で、ビアンコカラーラと比べると、灰色の斑が細かく入っていることが特徴です。

最初のミナミ石材さんでも、こちらのフジ大理石さんでもビアンコブロイエは注意深く探していましたが、これより良さそうなものはなかったので、こちらはこのスラブで本決まりとして、成澤社長と一緒に写真を撮らせて貰いました。
因みに、一つの現場に2社の石屋さんが入るのは変則的ですが、キッチンカウンターのサンプルを粘り強く作ってくれたのが日本辰華さんで、カウンター材だけでなく、壁材として使うイタリアからの輸入加工石材のサルバトーリの施工に慣れた鈴木大理石さんにも手伝ってもらう必要があったので、2社合番(アイバン)となってしまいました。

実は、日本辰華さんがエンペラドールダークのピール加工(別名アンティーク加工)をして貰ったのが、こちらのフジ大理石さんとのことで、どのような加工なのか工場を見せて貰いました。

このような人造ダイヤモンドの粉をまぶした特殊なブラシで研磨してゆくことで、石の柔らかい部分が削れて、硬い部分が残ることで、本磨きのような艶はありませんが、不思議な滑らかさを表現できる仕上げとなっています。因みに左のブラシが最初の状態で、右のようにブラシの毛の部分が摩耗されてしまうと、用済みになるとのことでした。

こちらの工場では、御影石のジェットバーナー仕上げ加工機も動いているとのことで、見せて貰いました。写真の通り、(割れ防止の)水を掛けながら高熱のジェットバーナーを表面に当てることで、石英以外の他の鉱物部分が解けたり、ハゼたりすることで、ざらざらにするという仕上げ方法です。
これで当日の用事は一応終わりとなりましたが、近くまで来たので、まだ関ヶ原石材のアントリーニ・ギャラリーを見たことが無かった、青のお二人と竹田さんも一緒に、関ヶ原まで出かけて、ギャラリーを拝見させて頂きました。今回は具体的な石探しではないので、写真は割愛致します。
丸一日の石材ツアーにお付き合いくださった片岡さん、岡田さん、そして日本辰華と鈴木大理石、フジ大理石とミナミ石材の皆さま、どうもありがとうございました。