Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンションリフォームにドイツ製輸入キッチンを使う難しさ

外苑前C邸

ドイツ製高級輸入キッチンのジーマティック社のフルオーダーキッチン取付けが外苑前C邸で始まりました。

ジーマティックキッチン据え付け@高級マンションリノベーション

戸建て住宅を設計していた10年以上前、そして別荘インテリアのお手伝いなどで、ジーマティックさんのお世話になったことがありましたが、マンションリフォーム&リノベーションに特化してから、久しく輸入キッチン会社さんを採用することがありませんでした。

ジーマティックやブルトハウプなどのドイツ製輸入キッチンについては、箱(この写真に写っているキッチンのベースとなる箱部分)の頑丈さ、そして金物類(引き出しの金物や開閉扉の蝶番など)の精度の高さは良く知っておりましたが、解体して墨出ししてからでないと最終的な寸法が出せないことが多いマンションリフォームでは、納期的に難しいケースが多く、これまでお客さまにご提案はしても採用できないことが続いておりました。

今回も当初は上記の事情から国産の高級輸入キッチンで計画を進めておりましたが、お客さまのドイツ製キッチンへの強いこだわり(お友達幾人かから強い推薦があったそうです)に加え、元のキッチンと位置がほぼ同じで、壁位置も大きく変わらないこと、扉材にメラミン(と言っても仕上げは鏡面塗装のように見える本当に精度が高い仕上げです)を使うことでの納期短縮、そして最後は担当者の神蔵さんの粘り強い頑張りがあって、工期が4か月と限られている中でマンションリフォームでドイツ製輸入キッチンを採用することができたのです!

ただ、その中で一点難しいと思っていたのが、ダイニング側と繋がるカウンター部分の取り合いでした。職人さんがちょうど立っている個所なのですが、壁裏に引き込める小扉2枚を開け閉めすることで、ダイニングとキッチンが繋がるシステムを考えていました。

カウンター甲板とダイニング側の収納壁まではジーマティック社が、ダイニング側の収納の扉はリフォーム工事会社のリフォームキューが作るという分担で、何とか問題を解決することができました。

キッチン側から見て、ダイニング側に繋がる小扉の横には吊戸棚が枠内にピタッと収まっていますが、これは事前にリフォームキューが詳細な図面を作ってくれたことで、きれいに納まりました。

その指示図がこちらです。リフォームキューが現地調査した原寸(ゲンスン)から書き起してくれた図面にこちらが注意書きを書き加えたものです。

組み立て始めて2日目ですが、まだ組み立て前の部材がリビングに積み上がっています。

寝室にも、大量の引き出しが積まれていました。

設備配管については、事前にジーマティック社が書いてくれた設備図を元に、配管位置をリフォーム工事会社が施工して入れていたので、ぴったり寸法で配管が箱内部に飛び込んでいました。
あとは、天板が無事に載ってくれば、キッチンはほぼ完成です。

家具の素材・色選びから始まるインテリア素材選び

品川N邸

品川N邸プロジェクトは、タイミング的にそろそろイタリア製家具を先行発注しないと、リフォーム完成時に間に合わないタイミングになってきたので、3度目のポリフォルム・ショールーム訪問をさせて頂きました(実際にはお客さまご夫妻だけでも2度は行ってくださっているので、5度目となります…)。

楕円形ダイニングテーブル_ポリフォルム

Kさまご夫妻が、一番迷っていらっしゃるのが、ダイニングテーブル・ハワードの天板の素材でした。このテーブルはコンコードという違うテーブルですが、この天板の素材のスペサートオーク(無酸素状態のオーブンで楢材(オーク)を燻蒸してこの風合いを出すそうです)にすべきか、 セネレオーク(グレー調にオーク材を染めたもの)にすべきか悩んでいらっしゃったのですが…。
偶然他の水回り設備のショールームに行った際に、このスペサートオーク材仕上げのテーブルを明るい場所で見たところ、ご夫妻ともこれだと思える風合いだったとのことで、この写真と同じ仕上げに決定となりました。

ダイニングチェアのレザー色選び

次に悩んでいるのが、ダイニングテーブルと同じ空間に並んでくるダイニングチェアの張地です。すでに、ヴェンチューラという椅子の座り心地と高さ、そして背面から見たデザイン性を気に入って下さっているので、種類は決定しているのですが、レザーの色が決まっておりませんでした。

レザー色とテクスチャー選び

イメージがほぼ固まってきている(とはいえ、まだ本決定ではありませんが…)床フローリング材や壁に使う大理石素材などと比べながら、何種類かのレザー生地を椅子に乗せて、見比べてみました。

インテリア素材と色選び

新宿アクタス2階のポーゲンポール・ショールームの場所を借りて、今の時点で決定している素材と色と並べて、椅子の張地も、この2種類のどちらかでというところまでは当たりをつけることができましたが、最終的な決断はご主人にも確認なさりたいとのことで、レザーサンプルを借りて持ち帰っての宿題となりました。

キッチン素材選び@モービリティーポ

この日は、家具の色決めの勢いに乗って、キッチンの素材と色決めもしたいと当初から考えていたので、新宿から南青山まで移動して、オーダーキッチンのモービリティーポのショールームを訪問致しました。

キッチン素材の色選び

当初考えていた、イタリアフィアンドレ社のタイルは価格的に難しそうだったので、クオーツストーンを使う方針に変更することになりました。ただ、こちらのショールームはほの暗くて、素材の色味が良く見えないので、急遽、社長の徳永さんにも同行して貰って、白金台のコンフォート社にあるシーザーストーンの大判サンプルを確認する流れとなりました。

シーザーストーンのキッチンカウンター選び

シーザーストーンの輸入元であるので、ショールームに大判のクオーツストーンが並んでいます。小さなサンプルで、これでも良さそうと思っていたのものが、思いのほか柄があったり、白い部分の透明度が違って感じられたりと、奥さまもとても良くわかると喜んでくださいました。

シーザーストーンのキッチンカウンター選び

品川N邸は高層マンションの最上階住戸(ペントハウス)で3方窓に囲まれ自然光でとても明るい空間なので、大判サンプルで気になるものを窓際に運んでもらい、候補に挙がっている扉材を比較しながら、こちらも最後の3つの色味まで絞って頂くことができました。
11時に新宿待ち合わせから、16時半の白金台解散まで、約5時間半の長丁場になりましたが、家具から初めてキッチンの素材と色味の候補を大分絞ることができました!どうもお疲れさまでした…。

なぜ、建設途中の現場でコンセント&スイッチ位置を確認するのか

代官山N邸

現場のチェックまでお手伝いしているプロジェクトではほぼ全て、解体が終わって、壁下地が立ち上がって空間のボリューム感が判るようになった段階で、お客さまに現場に来て頂き、コンセントと照明スイッチの位置の確認をお願いしております。

設計時には、このような図面をお見せして、各記号の意味や照明器具の種類と見え方などをご説明して、ご承認をお願いします。ただ、僕ら専門家にとっては見慣れた図面ですが、見慣れていない一般のお客さまには、いくら説明しても中々分かって貰えないものであることは理解しております。そこで、壁があらまし立ち上がった時点で、電気配線は始めていますが、まだ変更が容易にできる、このようなタイミングで、現場を歩きまわりながら照明スイッチなどを体感してもらうのです。

今回の僕らのお手伝いはデザインアドバイスですので、現場チェックはこのブログや完成写真をホームページに掲載させて頂くことを条件に、監理責任の無いボランティアベースでのチェックとなります。設計施工をお願いしているリフォームキューの森井さん主導でのスイッチコンセント位置確認となります。

図面と実際の空間を見比べながら、
・「夜暗くなってから自宅に戻ってくる」、
・「料理をしているうちに、子どもがいるエリアが暗くなってきた」、
・「夜、子どもが自分の寝室からトイレに行く」
といった生活シーンを想像して頂きながら、どこのスイッチでどの位置の照明器具を点灯消灯できるのかを見て頂きます

こちらは、まずはご主人の書斎として使い、将来は子ども部屋として転用する予定の部屋です。書斎使いでのコンセント位置と、ベッドと収納、勉強机を置いての子ども部屋でのコンセント位置はおのずと変わってくるので、家具レイアウトを確認しながら、どちらでも使えるようなコンセント位置を、現場で一緒に考えて頂きました。

こちらは主寝室です。今はお子さまたちと一緒に寝ているそうですが、将来はご夫婦だけの部屋となるので、ベッドを置く位置も変わってきそうです。特にコンパクトなお部屋では、家具レイアウトとコンセント位置は連動してくるので、今後の家具位置変更なども想像してもらうようにお願いしています。

洗面脱衣室のコンセントや照明・換気扇のスイッチ位置まで確認して頂きました。

ただ、お客さまの言う通りにコンセントを配置してゆくこと、どの壁もコンセントだらけになってしまいがちです(笑)。電気容量は一定のままでのコンセントレイアウトですので、数を増やしても壁裏でタコ足配線しているのと大差ありませんので、本当に必要かを結構真剣に考えて頂いております。

コンセント位置と連動して、半据え付け型の家電の冷蔵庫や洗濯機も、同じタイミングで検討して頂くための資料をお渡ししています。どれも、設計当初に必要な寸法は確認していますが、白物家電はモデルチェンジが頻繁になるので、引っ越し時期が見えてきた段階で、具体的なもの探しをして貰うよう依頼しております。
特に今回のようなオープンキッチンで、冷蔵庫がリビングダイニングから見えているは位置では、冷蔵庫の扉の色や表情(鏡面仕上げなど)も重要なので、担当スタッフの前田君が判りやすい資料を作ってくれています。