Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

渋谷区Q邸 天井裏設備の刷新工事

渋谷区Q邸

建築の解体工事が無事終わった渋谷区Q邸の現場は、マンション指定の設備会社が入っての天井裏の空調、吸排気等の設備工事の刷新工事に取り掛かっています。

こちらのマンションは全てのお部屋が大型住戸となっており、空調システムもエアハンドリングユニット(AHU)とファンコイルユニット(FCU)の二つの方式がミックスされており、さらに加湿機能がAHUからFCUへと渡っており、複雑なシステムとなっています。

こちらは建物竣工時の図面を撮影したものから色分けして作った既存の天井裏設備図です。

こちらは、リノベーション後の平面計画図に書き込んだ、設備図です。当初は、全ての設備を交換する見積りもお願いしたのですが、設備関係だけで5000万円を超える見積りが提示され、お客さまも僕らもビックリで(マンション指定業者での交換となるので、こちらでは価格のコントロールが難しいのです…)、なるべく既存設備を再利用する計画で見直しました。リビングダイニングと玄関廊下は、既存のエアハンドリングユニットを再利用しますが、吹き出し口のブリーズラインの位置は、インテリアデザインや照明計画と合わせて位置変更をしています。

こちらは室内にある機械室内のエアハンドリングユニット本体です。毎年指定設備会社がメンテナンスをしていますが、今回交換できる部品は交換して、取り外しできる部分はすべて取り外してクリーニングして貰いました。こちらの機械は最悪壊れた場合でも、この機械室内の工事だけで新しいものに交換できることを確認しております。

AHUからのダクトと吹き出し口も、変更するカ所については一度落として、付け替えます。

吹き出し口のブリーズラインは、すべて取り外して、再利用するものは工場で焼き付け再塗装して戻すことになります。

上記以外の各居室の天井裏にあったファンコイルユニットは、すべて一度取り外してメンテナンス致します。

既存FCUはキッチン以外はすべて再利用なので、機械が傷まないように慎重に作業してもらっています。因みに、FCUも将来的に機械が壊れた場合や部品対応ができなくなった場合の交換方法も検討しており、新しく設ける天井点検口を使って機器を分解解体して撤去&取り換え工事ができるように考えて貰っています。

ダクト内部をチェックして、汚れや傷み具合を確認しました。

全てのダクトを一度に確認することはできないので、夕方暗くなってから外した機器のダクトは、照明器具を内部に差し込んで確認してゆきました。

FCUではもう一点気になることがありました。黒く見える鉄板部分なのですが、冷房使用時の発生するドレイン排水を纏めるパンがホコリで大分汚れているので、この部分の清掃もしっかり行うようにお願いしておきました。

機器取り外しと同時進行で、配管類も取り外してゆきます。

天井吊りのファンコイルユニットとその周りの設備配管を粗方撤去した様子です。

実は今回の設備工事で一番費用が掛かっているのが、冷媒管の交換作業なのです。こちらは取り外された古い冷媒管です。マンション共有部の設備から暖房用の温水と冷房用の冷水が冷媒管を通じて、各住戸に提供されているのですが、調べたところこれらの冷媒管に使われいてる鋼管は耐用年数が20年とのことでした。年数的にはもういつ漏ってもおかしくない状況とのことで、今回天井を解体するタイミングで全てを交換するのが良いだろうとの判断になりました。

こちらが、玄関天井裏にあった、冷水と温水の各冷媒管の専有部分への飛び込み口です。奥の2本が温水で、手前の2本が冷水で、それぞれ行き来があるので、計4本となっています。

玄関部分は、先日のお客さまとの打合せで、折り上げ天井を作って、天井高さを上げたいとのご要望があったので、それぞれの冷媒管を玄関入ってすぐの所で織り上げて接続して貰っています。

部屋の片隅には、冷媒管接続の為の部品類がきれいに並べて置かれていました。ピンク色のドーナッツ状のものは、冷水管を天井から保持する際の断熱材付きバンドです。これが無いと冷えた冷媒管の結露で、天井裏の金物が錆びてしまうのです。

こちらは各接続部に設けるバルブ類です。

設備機器の移設に伴って、天井の点検口や自火報の移設、電気関係の盤の移設なども絡んでくるので、それらを弊社担当スタッフの竹田さんと施工会社の青の面々が打ち合わせを進めてくれています。

こちらは玄関ホールの幅と天井高さがどこまで広がるかを計算している様子です。

全ての状況と数字を整理しながら、設備関係のレイアウト位置を現場定例打合せで統合してゆきます。

素材探しは続く…@渋谷M邸

渋谷M邸

新築高層マンションリフォームの渋谷M邸ですが、まだ素材探しの旅が続いています。

最初に伺ったのは、南青山のインテリアーズの加工大理石、サルバトーリのショールームです。

これまでも幾度かサルバトーリの素材を使ってきましたが、比較的新しいパターンのトラッティのイメージがお好きなのでは思って、こちらを推薦させて頂きました。

白い大理石を使う場合、トラッティでは磨きではなく、研磨した後が残るテクスチャーとなってしまうことが、お客さまの好みではなく、残念ながらこちらの採用は難しそうです…。

その次に伺ったのは、原宿のアドヴァンショールームです。大判大理石タイルは、フィアンドレの物を一度見て貰っておりますが、他の大判タイルとしてメガスラブをご紹介しました。

この柄と色味は良さそうだとのことで、これまで決まっている他の素材と並べて相性を確認致しました。

サルバトーリでは磨きの白系大理石が難しかったので、アドヴァンのマジェッタホワイトを見て頂いたところ、気に入って頂けたので、これを細く割いたものと真鍮目地材と鏡を使って、壁のデザインを検討してみることになりました。

壁に張る大理石調タイルの候補として、他の物も見て頂きましたが、中々気に入って頂ける柄がありませんでした…。

本日最後に伺ったのはミノッティの青山トライアングル店で、ソファーの確認でした。

このソファの形と素材感がインテリアのベースとなっているので、もう一度皆で確認したうえで、他の素材も見直していきたいとのご希望でした。

本日集めた建材をソファの素材と合わせて見ながら、日中のショールーム訪問を復習して、素材の仮決めを行っていきました。

シンダーコンクリート埋設の排水管の探し方

渋谷区Q邸

既存水回りの床下のシンダーコンクリートを撤去してきた渋谷区Q邸の現場ですが、かつての主寝室の水回りについては、シンダーコンクリートが二重になっており、防水層の下の二段目のシンダーコンの下のどこを横引き排水管が通っているか分からない部分がありました。

排水竪管は、各務が立っている背面壁の後ろにあり、ほぼどこが室内への排水管の飛込み位置かは分かっているのですが、そこからどのようなルートで排水管が通っているかが分かりませんでした。コア抜きの機械でやたらめったら掘ってしまうと、既存排水管が使えなくなってしまい、新しく作る水回りからの排水管が接続できなくなってしまうので、作戦を立てて排水管を探し出す必要がありました。

結果的には、この写真の通り、排水管を無事探し出すことができました。作戦としては、排水管が通っていると想像される線を横断する形でコアを抜いて行きました。そこでは排水管を切断しても構わないので、場所をまずは特定し、そこで見つかった管の位置から、周りを丁寧に手斫り(テハツリ)で、恐竜の骨を傷つけないようなイメージで(笑)探って貰いました。

クローズアップの写真で見ると、このような状態で掘り出すことができました。管の種類はVP管(塩化ビニル管)と呼ばれているもので、耐用年数も大よそ50年以上と言われているので、この切断された個所に新しい排水管を繋ぎこんで再利用することができそうです。

折角深くまでコア抜きした他のカ所のシンダーコンですが、これ以上シンダーコンを斫ると、それが産業廃棄物となって搬出及び廃棄の価格もバカにならないので、掘り出したコア材を詰め込んで、フラットに近くなるようにして、改めて左官材で補修して、フラットな下地を作ることになりました。

パズルのように埋め戻されたコア材の様子です。

新たに設ける浴室やシャワー、トイレや洗面、手洗いの位置に排水管を横引きしてゆく計画を施工会社のが図面化してくれています。

床下のことが大体整理ができてきたので、遅ればせながら天井裏のダクト等の計画も相談しています。ダクトが交差してしまうことで、天井高さが制限されていたので、ダイニングについては、ダクトのルートを変更することで、折り上げ天井で天井高さを高くする方向で調整しています。

布状のもので巻かれているのがキッチンの排気ダクトで、ピンク色の吹き出し口があるボックスへと繋がっているのが空調のダクト、細くて一直線に伸びているのは給気ダクトとなっています。それぞれ2カ所ずつ交差しているので、吹き出し口の位置を変更し、キッチンの排気ダクトルートを変える旨お願いしておきました。

こちらの写真は、既存の窓枠の上に隙間があり、そこから寒気が流れ込んでくる可能性があることが分かったので、まずはスタイルフォーム(写真の青いバー)で隙間をザッと埋めて、その後で一液性の発泡ウレタンを吹き付けるようお願いしています。

現場での調整事項を図面に書き込みながら打ち合わせをしている様子です。

造作家具と建具をお願いしている現代製作所からは、以前お客さまにダメ出しされた既存建具の再塗装の2度目のサンプルが届きました。今回は基材に染色はせずに、ラッカーにカラーを混ぜる方法でトライしてくれたそうです。

こちらが思っていたイメージに近づいてきたので、改めてこれらのサンプルをお客さまのご自宅に持ってゆき、見て頂くことになりました。

併せて、お客さまがお好きなイメージだと言ってくださったリアルパネルのレガシーオーク色(ニッシンイクス)からもう少し黒を強くした突板の塗装サンプルも上がってきたので、チェックさせて貰いました。