今年の3月に代官山の高層マンションの100平米超のお部屋をご購入なさったNさまご夫妻からリフォームのご相談を頂いておりました。中古物件を仲介してくれた不動産会社の系列のリフォーム会社と相談していたそうですが、デザインや使い勝手をどう考えれば良いのか分からないので、アドバイスが欲しいとのお話しでした。
事前にメールで送って頂いた従来の3LDKの間取り図をザっと拝見して、廊下の面積が多く、100平米超えの面積を実感しにくいプラン構成だと感じていたので、お子さまが二人いらっしゃるという情報だけをベースに、既存間取り図の上から大きな正方形のLDKを作る案を考えて、初回お打合せ時にお話をさせて頂きました。
不動産会社系列のリフォーム会社とは、実は間取り変更なしで、キッチンと浴室、壁紙とエアコンなどの交換だけを相談していらっしゃったNさまご夫妻は、リフォームでこれだけ間取りを変えることができることをご存知なかったようで、とても驚くと同時に、想定リフォーム予算を上げても良いので、ぜひこのようなリフォームを実現したいとのお話があり、こちらでリフォームデザインを検討してゆくことが決まりました!
そして、マンションのお引渡し直後に行った、現地の調査です。今回はリフォーム工事に必要なスケジュールから逆算して、一番早く工事を完了させることができるデザインアドバイスのスタイルでのお手伝いとなり、設計施工の工事会社にはリフォームキュー、営業設計担当者には森井さんをお願いすることになり、リフォームキュー主導での現地調査を行いました。
変形のリビングダイニングで、右開口の奥が元のクローズド型のキッチンです。ピアノは、このお部屋の前のオーナーがプレゼントしてくれたものだそうです。
2段に折り上がった天井の様子です。部屋の形が変形な上に、折り上げ天井の形状もそれに沿って変形なので、捉え処のない空間に感じられました。
こちらは、キッチンの入り口横から、左に個室、右奥に先ほどのリビングダイニングを望んだ写真です。リビングダイニングからは富士山が、左の個室の窓からは東京タワーが望めるのですが、僕らがご提案したリフォーム案だと、統合して大きくなったLDKから、富士山と東京タワーが見えることになるのです。このことは、お子さまたちが大きくなった将来には転売することも考えていらっしゃるNさまご夫妻は、大きなアピールポイントになりそうだと、とても喜んでくださっていました。
キッチンも前のオーナーの使い方がきれいで、まだ使えそうなものでしたが、小さなお子さまの世話をしながらの料理を考えると、僕らがご提案したオープンキッチンへとリフォームすることで、絶対に使い勝手も良くなりそうだと奥さまは喜んで下さっています。
玄関から廊下は可も不可もない空間ですが、右手前に見えている納戸の扉が立派なことに加え、タタキからも廊下のレベルからも床面が随分上がってしまっているので、これは何とかしたほうが良いのではと考えています。
その玄関からの廊下を折れ曲がった先の廊下を見返した写真です。まだこの廊下からはリビングダイニングが見えず、行先の見えない暗い空間となってしまっています。この廊下からLDKへの扉はガラスを使って光を導入すると共に、玄関廊下とは仕上げや照明を変えるお話をしています。
洗面脱衣とその奥の浴室です。手前左に洗濯機置き場がありますが、このスペースだと、欧州製のビルトインのドラム式しか置けないことになります。お子さまたちの洗濯物の量を考えると、日本の斜めドラム式が良いだろうと考えましたが、このレイアウトだと扉の軌跡と洗濯機が重なってしまうので、洗面と洗濯機置き場を逆転させることになりそうです。
この日は、既存の室内状況を確認するだけでなく、リフォームキューの設備屋さんと大工さんに入って貰って、天井裏や床下、壁裏もチェックしたいと考えておりました。
用意して貰った脚立に上ってみた天井裏です。先ほどのLDの二段折りの天井の高い部分の裏にもまだスペースがあることが判りました。既存キッチンの天井高さが低く設定されていましたが、それは天井裏を通るダクトが交差している部分があることで低くなっていることが判りました。交差をなくすように工夫することで、天井高さを確保できることも判りました。
こちらは防火区画を貫通しているダクトのファイヤーダンパー(防火ダンパー)です。防火ダンパーは火災時に室温が急上昇すると、機械内のヒューズが解けて、 ダンパーが閉じることでダクトを通じて炎や煙が流れなくなるシステムのことです。さすがに有名な高層マンション、このような部分まできちんと施工されていることが判りました。
事前に入手した図面で、床スラブから仕上げ床まで床上げされていることが判っていましたが、キッチンやLD部分の床下がどうなっているかが図面だけでは分からなかったので、食洗器の床下を担当の前田君にチェックして貰いました。
こちらが食洗器下の床状況です。残念ながら置床ではなく、シンダーコンクリートが打設されていました。置床システムで床下に寸法があれば、床の遮音システム、ひいては床フローリングの選択肢も広がるハズだったのですが…。
こちらはキッチンの排水管が流れ込むPS内の排水竪管です。点検口が無かったので、大工さんに壁の石膏ボードを開けて貰い、中を確認致しました。
左奥から流れてくる紫色の管が専有部分の横引き排水管です。写真では勾配が判りにくいようですが、奥から手前へと流れる勾配となっています。右手前に見えているのが共用部分の竪管です。横引き管から竪管へとつながるフランジ(または継手(ツギテ))の位置(高さ)が重要なのですが、キッチン下に見えたシンダーコンクリートと同じレベルで、シンダーを頑張って斫っても、キッチンのシンクの位置を大きく変えることは不可なことが判りました。
ただ、悪い(?)ニュースとは引き換えに、覗き込んだ壁は下部に配管が通っているだけで、その上部がガラ隙きなことが判ったので、収納不足を補うために、こちらにも壁面収納をご提案することができそうです。
図面には、LDの柱型にもPS(パイプスペース)の記載があったので、こちらも床近くを開口するとともに、天井のダウンライトを外した孔から天井裏を覗き込んで配管位置を確認致しました。
こちらにも共用の竪管が通っていることが判りましたが、やはり無駄なスペースが隠れていたので、そちらにも収納をご提案することになりそうです。
まだ、初回のお打合せと現地調査が始まったばかりですが、メールでのご連絡を細かく取りながら、リフォームキューと共同しながら見積りを作ってゆく段取りも決まりました。