Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

スチールサッシと同じデザインモチーフの姿見

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸では、フレンチな要素とシノワズリーな要素を混ぜ合わせたスチール扉をデザインしています。

このスチール扉のデザインをQさまご夫妻がとても気に入って下さっているので、玄関の姿見やトイレ・洗面の鏡にもこのデザインモチーフを取り入れています。


玄関の姿見です。天井を折り上げて高くしているので、全く同じデザインだと間が抜けてしまうので、横桟を1本追加しています。まっさらでなんの装飾もない姿見とは違って、個性のあるデザインの姿見はアートを掛けたのと同じような効果があると感じました!

扉は焼き付けのスチール角パイプを組み合わせて、さらにガラスを留めるための押縁(おしぶち)などが入っていますが、こちらはスチールではなく、木製で似たような形状で作っています。

一枚の大きな鏡を取り付けて、その周囲と指定した箇所に、このように塗装した木製枠を張り付けて仕上げているのです。ただ、スチールと似たような重量感を演出するために、角の曲がり具合や塗装の塗り具合もスチールに合わせて作って貰っています。

プロがよくよく見えると木製だと判ってしまうのですが、普通の方には扉と同じ造りに見えるレベルに仕上がってきています。

来客用トイレの鏡もプロポーションは変えていますが、同じデザインモチーフを使っています。

このタイミングでQさまご夫妻が現場に立ち寄って下さいました。

テレビとバイオエタノール暖炉はまだ設置されていませんが、リビングダイニングのフォーカルポイントのこの壁の仕上がりにはとても満足して下さっています。

玄関ホールは先ほどの姿見を見て、奥さまが歓声を上げてくだいました!ご主人さまは反対側のこちらの属策家具が隙間なくピタリと納まっていることに感心してくださいました。

寝室奥の水回りもここまで出来上がってから来るのは初めてとのことで、嬉しそうに見て回ってくださいました。

シャワーブースでは、シャワーフックの取付け高さを現場で試しながら決めてくださいました。

現場監督補佐の池田さんがセルフ塗装してくれたブラケットライトの具合も確認して頂きました。

その後にブラケット照明が取り付けられたのがこちらです。ドレッサー機能がある鏡なので、四周だけをスチールサッシと同じサイズの木枠で囲んだだけとしていますが、背面のシャワーブースの黒い枠も写り込み、姿見と似たような印象に仕上がってきているのではないでしょうか。

お二人で浴室のテレビフックの位置も決めてくださいました。

キッチンの奥では、大工の矢野さんがスイッチパネルの周囲の枠取りを造作してくれていました。

廊下突き当りのエアコン本体の扉の化粧もとてもきれいに仕上がっていました。鍵穴があること、ヒンジがちょこっと見えていることだけは隠せませんでしたが、ほぼ存在感を消すことができました。

神出鬼没の大工の矢野さんは、次に見たタイミングではベランダのウッドデッキ張り工事に入っていました。現場監督補佐の補佐の川野君が作った図面を元に、矢野さんが優しくかつ厳しく指導しながら人工木のウッドデッキを張ってくれています。

避難上必要な避難はしぼ部分のみはウッドでっきを張っておりません。

ウッドデッキにはアップライト(ダウンライトの反対で、下から上を照らす照明器具)を入れました。

屋外用で防水のアップライトは既製品でもあるのですが、大掛かりで取付け深さが大きく、口径も大きいものばかりでしたが、リクシル社で見付けたこちらの製品・グランドライトは、サイズも小型で費用もリーズナブルで、かつ明るさセンサーや消灯時間タイマー付きのトランスユニットを取り付けることができるので、こちらを採用させて頂きました。小型サイズのアップライトが、ちょうど人工木のウッドデッキ1枚の中に入るので、きれいに納めて貰うことができました。

玄関ホールでは、床石の大理石張りが行われ、

床の養生も完全に剥がされ、全体が竣工検査に向けて、一気に終盤に入ってきました。

オーダーキッチンの完成@千代田区M邸

千代田区M邸

千代田区M邸のリネアタラーラにお願いしていたオーダーキッチンがいよいよ完成し、養生が外れ、施工のの現場監督の樋口さんと石坂さん、片岡社長、そして弊社設計の担当の前田君と岸本さんの6人で設計検査を行いました。

建築と一体化したステンレスフレームや、建具枠やスイッチ類と一体化した収納棚、アントリーニの高級大理石を使ったアイランドカウンター等、組立てに大変な労力の掛かるキッチンでした。

こちらは数日前に大判タイルを張ってくれている様子です。

イタリア・マラッツィ社の大判タイルをカットしたものを現場に持って来て張るのですが、カウンターの立上りとフラットになる仕上がりや、コンセントとの取り合い、L字型に曲げたスチールの棚板ベースとの取り合いが厳しいデザインとなっています…。

更には、吊戸棚収納の間接照明のための電線の通しや、上下ほとんど逃げの無い寸法で、慣れた職人さんたちも緊張しながらの作業でした。

通常タイルはタイル屋さんで、石は石屋さんが張るのですが、このところ良く使うようになった大判タイルはタイル屋さんの技術では難しいようで、今回も大理石でお世話になっているキダ・マーブルの職人さんたちに頑張って貰いました。

ここまで張り上がって、ようやく職人さんたちの笑顔が見えました!

そしてこれがほぼ完成したキッチンです。先ほどの折り曲げたスチール棚のベースに木の板を差し込んで、大判タイルに穴が開いていたカ所には吊戸棚が付き、ガスコンロ上にはレンジフードが設置されて、スキのないビシッとしたキッチンになりました。

アントリーニ社の大理石オイスターホワイトも特注色の灰色の染色された突板仕上げの造作家具ととても良くマッチしています。

キッチンに向かって左側の収納も、建具枠やスイッチ類と一体になった作りですが、出来上がってみるととても普通に見えるのです。

ただ、細かく見るとさすがリネアターラという繊細なディテールです。取っ手は無垢のオーク材で、扉はアルミフレームに突板を張ったものとなっているのです…。

このタイミングに合わせて、他の家具類もしあがってきました。こちらはまだ養生された状態ですが、大沼さんにお願いしている洗面カウンターです。

養生が取れた洗面カウンターの背面では、フリッパー扉付き洗濯機収納を含んだ背面収納もほぼ組み上がりました。

アイランドカウンターと同じ(というか、一枚のスラブからの残り)大理石を使った来客用トイレの手洗いカウンターもきれいに取り付けられています。

デザインや素材としてはそれほど凝った作りではありませんが、ダイニングの壁面カウンター収納も組み上がって全容が見えてきました。

建築工事も急ピッチで仕上がってきています。玄関の姿見の鏡も既存の扉枠と合わせて作ったステンレス枠の中にピタリとはまり込んでいます。

ウォークインや来客用トイレの建具も吊り込まれ、玄関から廊下部分はほぼ完成状態です。

青の三人衆(笑)はフロアヒンジの調整をしてくれています。

廊下側から玄関ホール側を向かって見返した様子です。先日出来上がった左官仕上げのコンクリート打ち放し風の壁とスチールサッシの組み合わせはきれいで、お客さまが喜んで下さるのが想像できます!

こちらは来客用トイレの建具に初めて使ってみたコンシールド・ドア・クローザーです。八掛枠は細い仕上げなので、ドアチェックやラプコン等が上手くつけられない中で、扉がバタンと閉まらないようにソフトにクローズしてくれるコンシールドヒンジを青の樋口さんが見つけてくれたものです。中央のボタンをひねることで強弱のコントロールもできるとのことでした。

コンシールド・ドア・クローザー

このようなこれまで見たことがない新製品でしたので、うまく使えなかった場合は普通のコンシールドヒンジに交換できることを確認の上、実験的に施工と設計側の費用負担で取り付けてみました。普通に使ってみる分には良かったのですが、Mさまの奥さまから扉を開こうとするときに重たく感じるとのご意見を頂いたので、結局取り外して、普通のコンシールドヒンジに交換することになりました…。

ポロ(Porro)のウォークインクローゼット組立て

渋谷区Q邸

イタリアのハイブランド家具メーカーのPorro(ポロ)のウォークインクローゼットシステムの組立てが渋谷区Q邸の現場で始まりました。

今回のウォークイン・クローゼットシステムは、B&Bイタリアやモルテーニ、ポリフォーム等の他のイタリア・ハイブランド家具屋のシステムと比較して、インテリアーズ社が扱っているポロ社の製品のコストパーフォーマンスが最も良いだろうとのことで決まりました。

Qさまご夫妻のお手持ちの洋服をいかに効率的に、使いやすく、そして見やすい状態に収納(展示?)するかを、お二人が真剣に考えて下ったので、お客さま→弊社→インテリアーズ→弊社→お客さまのやり取りの回数が10回ほどになりました。

インテリアーズは、さらにそこからイタリアのポロ社に図面を送って、このようなシステム図を作って貰っているので、さらに大変なやり取りとなりましたが、ちょうどコロナ禍で工事契約が伸びた期間を上手く使って、このやりとりを進めることができました。

図面や見積りのやり取りは相当に大変でしたが、組立てはあれよあれよの間にあっという間に出来上がってしまいました。それがこのポロのシステムの優秀な所なのです!基本的には逆L字型のフレームを壁に立てて、そこに棚板、ハンガーレール、引き出し収納などを吊ってゆくシステムで、3時間ほどの組立てでほぼすべてを完成することができました。

組み上がったシステムをチェックさせて貰いました。箱が無く、フレームだけで組むことがコストパフォーマンスの良さとスピードの秘訣なのですが、その分どうしても揺れに弱いのが弱点ではあるのですが、どうしても揺れが気になる場合は、棚板等を背面壁に固定する金物もあるそうです。ただ、その金物を使うと、フレキシブルに棚板の高さを動かせるメリットを失ってしまうことになってしまうとのことでした。

洋服が入っていない状態で見ると、随分さっぱりしているように見えますが、ウォークインクローゼットの本質は、洋服が掛かって、使い始めてから見えてくるハズですので、ここからどのように変化してゆくかがとても楽しみです。今回はコストパフォーマンスのことが選定理由の一つでしたが、イタリアでのポロのWICシステム評価は、ピエロ・リッソーニ氏のデザインのハイエンドのシステムとのことなので、もっと使ってゆきたいと考えています。

ここまで沢山のやり取りを粘り強く頑張ってくれたインテリアーズの担当の佐々木さんとの記念写真です。実は佐々木さんは、以前僕、各務が教えていた建築の専門学校の教え子さんでした。このような形で一緒に仕事ができたこと、とても楽しかったです!佐々木さん、ここまでのご尽力、どうもありがとうございました。また、別のプロジェクトでも一緒に取り組みましょう。