Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ペンダント照明のモックアップ確認@渋谷区Q邸

渋谷区Q邸

工事が進んでいる渋谷区Q邸の現場に、ペンダント照明のモックアップを作って持ってゆき、お客さまと一緒にサイズ感を確認させて頂きました。

照明器具モックアップ@渋谷区Q邸

今回検討しているのは、ダイニングのテーブル上のペンダント照明と玄関ホールの照明となります。ちょうど、現場打ち合わせ用のテーブルが置かれていたので、テーブル上80センチに照明の下端が来るように支え持って見て頂きました。

照明器具モックアップ@渋谷区Q邸

ダイニング用ペンダント照明として検討してきたのは、1枚目写真のジノ・サルファッティデザインの2097/20(フロス)の黒いバージョンと、この2枚目のARN5501HAB-BLK(/VisualComfort)の二つです。ヴィジュアルコンフォート社の製品は、米国からの輸入することと、さらに日本の電化製品のPSE認証(電気用品安全法)に適合するように改造する必要があるので、納期が掛かるので、この時点で決定してオーダーする必要があるのです。

照明器具モックアップ@渋谷区Q邸

実はジノ・サルファッティの照明は、ダイニングで不採用になった場合でも、どこかで使いたいとのお話しでしたので、灯数の少ないものを玄関ホールに吊るす案も見て頂きました。

照明器具モックアップ@渋谷区Q邸

このモックアップ確認での打合せの結果、ダイニングはヴィジュアルコンフォート社の物で、その代わりに玄関ジノ・サルファッティを採用することに決まりました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

折角Qさまご夫妻に現場に来て頂いたので、その後の工事の進捗状況を一緒に確認して頂きました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

水回り部分のシンダーコンクリートの撤去が終わった状況を確認しつつ…、

現場打合せ@渋谷区Q邸

新たに設ける浴室の床を他の部屋の床とフラットに仕上げるためには、排水トラップの位置が限られてしまうので、そのご説明をさせて頂きました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

天井の高さをなるべく上げたいとのご要望も伺っていたので、どの部屋の天井をどのくらい上げることができるかを、設備機器や配管の絡みを見て頂きながらご説明させて頂きました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

当初は、現場塗装で既存再利用する予定だった建具枠ですが、現場塗装よりも工場に持ち帰って塗装したほうが工程的にも有利だとのことで、取り外せない1本は残して、その他の枠は取り外して工場に持ち帰ることになっていました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

無垢材をふんだんに使った、ディテールと重量感のある既存枠が、どのように仕上がって戻ってくるのか、楽しみです。

ベランダウッドデッキ打合せ@渋谷区Q邸

ダイニングに面したベランダにはウッドデッキを張る予定なので、その材料の候補を確認して頂きました。

現場打合せ@渋谷区Q邸

Qさまご夫妻が現場を出られた後は、施工をお願いしてるの現場監督の岡田さん、サポートの池田さん、そして社長の片岡さんと弊社の担当で副所長の竹田さんとで現場定例打合せを続けました。

提案型左官の原田左官ショールーム訪問

千代田区M邸

千代田区M邸の壁仕上げの相談で、文京区千駄木にある左官業界の雄、原田左官工業所のショールームを訪問させて頂きました。

原田左官工業所のショールーム見学

以前より、左官なら原田左官とは聞いておりましたが、中々お仕事をご一緒する機会がありませんでしたが、僕らより先にお客さまのMさまご夫妻がこちらを訪問して、自宅の漆喰等の左官は原田左官にお願いしたいとのお話しがあったので、急いで予約をしてお話を聞きに行って参りました。

原田左官のショールーム見学

当日は、ここまで幾度かやり取りをさせて頂いた担当の江口さんだけでなく、社長の原田さんまで同席して、色々とご案内してくださいました。

原田左官のショールーム見学_コンクリート打ち放し風壁仕上げ

最初に拝見させて頂いたのは、コンクリート打ち放し風の左官仕上げでした。

原田左官のショールーム見学_コンクリート打ち放し風壁仕上げ

店舗などでの実績が多いそうですが、石膏ボードの上からコンクリート色の左官材を仕上げ、Pコンの孔や、型枠の目違いやジャンカ風なテクスチャーまでをわずか3ミリの塗り厚で再現できるとのことでした。

原田左官のショールーム見学_コンクリート打ち放し風壁仕上げ

こちらの杉板型枠風となると、もう少し塗り厚が必要で、6ミリほどとのことでしたが、間近で見てもフェイクとは分からない精巧な仕上げでした。ただ当然ながら触ったり、トントンと叩いてみると重量感がなく、中空の音がするので、偽物であることが分かりましたが。

原田左官のショールーム見学_コンクリート打ち放し風壁仕上げ

当然、このような竪型の杉板型枠打ちっ放し風もできるそうです。

原田左官のショールーム見学_磨きコンクリートブロック

コンクリート調の壁を作りたいといのがお客さまMさまのご希望なので、他にどのようなことができるかを聞いてみた所紹介されたのが、このコンクリートブロックの削り出し仕上げです。

ショールームの外部に大きな面で試し施工したものを積んでいるとのことで、そこで磨いたコンクリートブロック(中央)と、磨かない通常のコンクリートブロック(右側)とやはり磨いていない重量ブロック(左側)を比べさせて頂きました。手前においてあるのは、暫定的に決まっているフローリング材とアントリーニショールームで購入することが決まった玄関タタキ用の緑色の大理石です。

具体的に探していた素材は上記のものまででしたが、今後の他のプロジェクトの為に色々な素材を教えて頂きました。こちらは、版築風の仕上げです。

こちらのカラフルな石材は、最近また復活してきた人研ぎ(ジントギ(人造石研ぎ出し))の為の骨材だそうです。

左官仕上げながら水回りにも使えて、割れにくい素材として急速に有名になった素材としてモールテックスがあります。原田左官でも勿論モールテックスを施工できるのですが、似たような性質をもつ素材で、イタリア製でもっとカラフルな仕上げが可能なオルトレマテリアという素材も教えて貰いました。

こちらは屋外にも使える金属調の光沢感を持つ左官材、ミダスメタルです。

実際に金属の粉を90%ほど調合しているそうで、光沢感だけでなく錆びなども表現することができるユニークな素材です。ただ、残念ながら原田左官ではもう扱っていないそうです。

その他、漆喰のことや、このブログでは紹介しきれない様々な魅力的な左官材を教えて貰いました。こちらはショールームすぐ横にある工房で、こちらに若い職人さんたちが何人もいて、左官の腕を磨くと共に、新しい左官材の地平を広げるために、日夜実験を重ねているとのことでした!本日はご案内、どうもありがとうございました。

大理石の殿堂アントリーニ@関ヶ原石材のルール

千代田区M邸

アントリーニとは、イタリアの希少かつラグジュアリーな石材を扱う唯一無二なブランドです。以前ニューヨークの石材街を探索した際にも、アントリーニブランドのことは聞いており、港区R邸プロジェクトの際にもイタリアから有償でサンプルを取り寄せたことがありました。そのアントリーニ社が、日本を代表する岐阜県の石材会社の関ヶ原石材と提携して、大規模なショールーム、関ヶ原アントリーニ・ストーンギャラリー作ったことは営業に来てくださった関ヶ原石材の黒田さんから話を聞いておりました。

天然石に強いご興味を持っていらっしゃる千代田区M邸のお客さまにアントリーニのカタログやウェブサイトをご案内したところ、ぜひ一緒に見学に行きたいとのことで、関ヶ原石材と施工をお願いする予定のキダマーブルの齋藤副社長にお願いをしてツアーを組んで貰いました。

関ヶ原石材に来るのは、もうかれこれ6度目くらいでしたが、今回は門外不出のアントリーニ・ストーンギャラリーを拝見させて貰うとのことで、緊張感が高まります。因みに関ヶ原石材は、イタリアのアントリーニ社とほぼ同じ規模の会社で、敷地面積も売上高も同等で、アントリーニ社から一緒に組みたいとの声掛けを貰っての取り組みだそうです。
この写真は、関ヶ原石材の敷地内を新幹線が通っているのが珍しく、ちょうど新幹線が通ったタイミングのもので、深い意味はありません…。

アントリーニ・ストーンギャラリーには、普通の石材屋さんとは違ったルールがあり、まずは事前にその説明を受けました。
・内部での写真撮影は基本的に禁止であること(ただし、購入が決まったものについては撮影が許可されるようでした)
・気に入った石材があっても、取り置きはできないので、購入することでしかその石材を確保することはできないこと
・置いてある石材を現品で売るシステム(通常はイメージだけを伝えて、柄や色目の良さそうなものを在庫や国外から探して貰うことが可能)となっていること。ただし、現物在庫が必要枚数に対して不足している場合はイタリアから新規調達は可能とのこと
・石材はスラブ(板状になった石材で、通常は長さが~3m×幅が~2m弱で厚みが2~3センチ程度)売りで、部分的に購入することはできないこと
以前中国の福建省に石材探しに出かけた時と似ような売り方でした(中国では写真撮影は自由でしたが…)。


当日は、お客さまのMさまご夫妻とカガミ建築計画からはプロジェクト担当の前田君と岸本さんと各務、そしてキダマーブルの齋藤さんと施工をお願いする予定のアジアングラニットの池田さんの計7人が、関ヶ原の担当の中西さんに案内して頂きました。まずはギャラリーに入って一つひとつの石材を説明を受けながらゆっくり見ている間に、Mさまの奥さまだけは一人、気に入らないものは全く目にも入らないようで、一気にサーッと歩いて行ってしまいました!説明も聞きたいし、奥さまのことも気に掛かるので、岸本さんに奥さまについて行くようにお願いした後、ゆっくり進んでいったところ、しばらくして岸本さんが戻ってきて、2つ奥さまが気に入った石材が見つかったとの報告をしてくれました。
一つがこちらの石材、オイスターホワイトです。キッチンのアイランド部分の天板の候補として良さそうだとのお話しでした。因みに、撮影禁止の石材をブログ用に撮影しているということは、この時点でもう関ヶ原石材とキダマーブルで下打ち合わせをして貰い、大よその末端価格(笑)を計算して貰い、Mさまご夫妻にご購入の判断をして頂いているので、撮影許可がおりたという次第です(因みに支払いは中国のように現金払いではなく、キダマーブルから関ヶ原に購入依頼を出す形でOKで、もし万が一購入しないことになった場合はMさまがそれに相当する額をキダマーブルに支払う形でご了承頂いております)。

もう一つがこちら、アイリッシュグリーンでした。こちらは、とにかく好みの石材なので、具体的にどことは決まっていないが、どこかに是非使いたいとのご意向でした。

まずはオイスターホワイトの柄の良さそうな部分をキッチンの天板に使った場合、どのような石取りができるのかをオレンジ色の養生テープを使って検討してみました。

Mさまの奥さまと図面を見比べながら考察中です。スラブ買いなので、残った部分をどこかに使えないかも同時に考えた所、うまく石取りすれば来客用トイレの手洗いカウンターとキッチンの家電調理器置き場のカウンターにも使える部材を取れそうなことが分かりました。

とても不思議な色味の石材ですが、奥さまが大好きな白とグレート淡いグリーンがすべて入っており、仮決めとなっているフローリングとの色味のマッチングもとても良さそうです。

アイリッシュグリーについては、玄関のタタキ部分に使ってはどうかというご提案をさせて頂いたところ、「それは良い、是非に!」とのお話しとなったので、タタキの面積分を四分割で取り、さらにタタキ部分の巾木立上りや玄関ニッチにも取れそうな石取りを考えてみました。ここまで決まっていた玄関のタタキに使うには、すこし面積が足りないので、石取りの発想を変えて何かできないかと考えていたところ、前田君からそれなら反対の発想法で、玄関タタキの面積を石に合わせて減らせてはとのアイデアが出て、皆納得の上でそのように変更することになりました。

折角なので、まずはアイリッシュグリーンの前で記念撮影をし、

再度オイスターホワイトの前でも記念撮影を致しました。実は、これは単なる記念撮影だけではなく、訪問した人物と購入が決まった石材を一緒に撮影することで、後日現場に届いた石材が間違えたものでないことを確認するための資料でもあります。

そして2時間ほどストーンギャラリーを堪能して、外部に出た所で手伝ってくださった関ヶ原石材の女性陣と一緒に晴れ晴れしい顔での記念撮影です。こちらは本当に意味のない(笑)、ただの記念写真です。アントリーニのギャラリーだけで、1400平米もあるので、人によっては丸一日ギャラリーに籠ってしまうお客さまもいらっしゃるとのことでした!

折角の機会ですので、Mさまご夫妻には関ヶ原の通常に販売している石材スラブも見て頂きました。

超高級石材のポルトロです。アントリーニにも良いものがありましたが、こちらの物もそれに負けず劣らずの良品でした。

やはり超高級石材で、イタリアのハイブランドが挙ってテーブル天板などに使っているサハラ・ノアールの素晴らしいスラブもありました。ただ、アントリーニのギャラリーでは、高価なものは高価っぽく見せるプレゼンーションでしたが、関ヶ原の石材置き場ではあまりにさりげなく、他の石材との違いも分からないような形で置かれており、ブランディングされた石材との差を感じてしまいました(ただし、関ヶ原石材でも在庫している希少な石材スラブについては、将来的にアントリーニとは別の新たなブランディング展開の検討をしているそうです)

日帰りツアーの最後は、大垣市にあるアジアングラニットの事務所によって、当日決まった内容を整理させて頂きました。Mさまご夫妻もとても良い石材を見つけることができて、とても嬉しでそうでした!
丸一日を掛けての長い視察&お打合せに同席して下さり、どうもありがとうございました。

そして最後のこちらのスケッチ図面は、購入が決まった石材のより正確な石取りを前田君が纏めてくれたものです。これまで、キッチンカウンターの素材が決まらなかったことで、素材の決定ができていない個所が残っていましたが、これでスムーズに決定してゆくことができそうです。