Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

解体後に現れた前回工事の職人メモ書きが…@松濤N邸

松濤D邸

リノベーションマンションのリフォームプロジェクト松濤D邸ですが、解体された現場の壁に、前回工事(と言っても10か月ほど前?)の時の現場での職人さんのメモ書きが現れました。

壁下地作り@松濤N邸

玄関入って正面、タイル張りだった壁を剥がしたところ、右上の緑のテープのところには…、

前の工事のメモ

「ダクトルート間違い?」、「この上あたりに中間ファン設置するんじゃない?」とのメモ書きが。確かにこちらのダクトは、先をどこにも接続されていないダミーダクトとなっていました。

前の工事のメモ

先ほどの壁の左側には、「中間ファン、この付近に設置すると、シャワールームの排気、距離が遠いと言ってたが、あと中間ファンにつなぐドレンは?」とのメモが。
先ほどのダクトも新設した主寝室奥のシャワールームからのダクトでしたが、結局、違う場所を経由して、こちらにダクトが来ていました。また、来客用トイレの排気と合流させるので、この天井付近に中間ダクトファンがついているのです。

しかし、最も重要なのが最後の「 あと中間ファンにつなぐドレンは? 」のメモでした。まさか、シャワー室からの水蒸気を含んだ空気を排気する中間ファンにドレイン管が接続されていないことは無いだろうと思っていましたが、リフォームキューにチェックして貰ったところ、ドレイン管は見事にどこにも接続されていませんでした!

前の工事のメモ

現場でそのメモを見ながら、メモにも書かれているドレイン管のことを相談している、リフォームキューの森井さんと弊社担当の前田君の様子です。
結局、前のリノベーション工事がなされたのが一年以内で、施工会社も分かっていたので、お客さまから不動産仲介会社にこの壁に掛かれたメモと接続されていないドレン管の写真と、新たにドレイン管を接続する見積りを送ったところ、以前の工事をした会社が、その分の費用をリフォームキューに直接支払ってくれることになりました。

ホッと一安心ですが、もし今回のリフォーム工事をしていなかった場合、何年か後に廊下の天井から水がポタポタと垂れてきていたかもしれないと思うと、ゾッと致します…。

玄関ホール下地作り@松濤N邸

さて、気を取り直して。
玄関横のシューズインクローゼットの壁は解体され、更にその右側の靴収納も撤去されています。

玄関収納撤去後下地確認@松濤N邸

靴収納を撤去した床には、コンクリートスラブの段差が現れました。これは当初から想定していたものなので、床のタイルをどのように張り伸ばすかを現場監督の高橋さんと相談して、すぐにそのスケッチを前田君が描いてお客さまに送って承認して頂く手はずを整えました。

壁下地作り@松濤N邸

リビングダイニングは、キッチン側の壁と建具は全て撤去され、天井も照明ダクトを取り付ける部分のボードが剥がされています。

壁下地作り@松濤N邸

以前はダイニングからキッチンへの引き込み扉をコンクリート壁のダイニング側に引き込んでいたので、壁下地のLGSスタッドがダブルで組まれていました。今回のプランでは、RC壁の奥側(つまりキッチン側)に引き込むので、この壁部分を薄くすることで、LDを12~3センチほど広げることができそうです。

壁下地作り@松濤N邸

こちらはリビング側のTV壁周囲を解体した様子です。

壁下地作り@松濤N邸

壁部分のLGS下地の裏柄にはスタイロフォームの断熱材が充填されていますが、梁型部分の吹き付け断熱材は何らかの理由で剥がされてしまっていたので、お客さまに現状を報告の上、追加の費用(約10万円)は掛かってしまいますが、断熱が剥げている部分が熱橋(ネツキョウ:柱・梁などがの一部が断熱されていないことで、建物内外の熱を伝えてしまうこと。熱損失が大きくなったり、結露の恐れがあり、断熱の欠点となります)となるので、補修工事をお勧めいたしました(こちらについては、誰がこのような断熱材を削る工事をしたのか分からないので、どこにも請求は出来なさそうです)。

キッチン部分解体後

キッチンは、本体部分はそのまま利用して、背面収納を作り直すことになっていますので、その部分がきれいに撤去されています。正面右側の壁もタイルが剥がされていますが、こちらの玄関からのインターフォンや、照明スイッチ類、床暖房のコントローラー等を纏めたニッチを作る予定となっています。

床ハツリ工事@松濤N邸

キッチン床では、タイルが不要な箇所に張られていたので、そのハツリ作業も行われていました。

洗面所解体後

その他、作り直すことが決まっていた水回り部分も解体がすっかり終わっていました。こちらは、家族用の洗面脱衣スペースです。

家族用トイレ解体後

以前は床仕上げが、廊下から一段上がっていた家族用トイレは、部分解体調査で見た通りの配管となっており、背面排水型のトイレを使うことで、床をフラットに仕上げることができそうです。

シャワー室手前脱衣スペース解体後

やはり先行して部分解体調査をさせて頂いた主寝室奥のシャワー室手前の脱衣スペースですが、床下と逆梁の隙間に排水管を通すことで、こちらの空間にも手洗いを設けることができそうです。

もっと古いマンションのリフォームでは、30~40年前の現場の職人さんが書いたメモが出てくることが良くあります。リフォームは、当初の設計者や施工者が空間をどう考えて、どう作ってきたかを推察しながら、その空間をどう再構築してゆくかを考える、ある種の推察ゲームのような側面があります。全てをゼロから作り始める新築との違いがこの点ですので、こういった現場のメモが現れるとワクワクしますが、今回はこのメモに大いに救われました!


新規プロジェクト:麹町K邸リフォーム

麹町K邸

千代田区の麹町で新しいプロジェクトが始まりました。マンション敷地を持っていらしたオーナーのNさまが等価交換で建てたマンションの隣り合った2室を同時にリフォームするというプロジェクトです。

2戸連結のマンションリフォーム麹町N邸

図面上部の部屋は、しばらく賃貸で貸し出していたお部屋でしたが、賃借人の方が出たタイミングで、元々書斎兼事務所的に使っていた図面下の部屋と連結させて、一体で使えるようにリフォームなさりたいとのご希望でした。
ただ、建築基準法的や消防法的やマンションの区分所有法的に、最初から連結できるような作りになっていないと、一体化させるのはかなり難しいので、最初は連結しないでも使える方法を考えてリフォーム案を考えてみました。

麹町N邸現調

その後、実際のお宅を見て欲しいとのご依頼を頂いたので、2つの住戸の内覧に伺って参りました。
120平米の住居部屋はとにかく広々としたリビングが印象的なお部屋でした。

麹町N邸現調

セミオープンのキッチンと造り付けの収納があり、床はチーク材で張られていました。

麹町N邸現調

建設当初から思い入れがあったチークの床材は、前のオーナーの使い方で、この写真のように汚れていたので、賃借人と仲介に入っていた不動産屋さんに交渉して、プロの清掃を入れて貰うようアドバイスを致しました。

麹町N邸現調

キッチンはきれいな状態で、まだまだ使えそうなものでした。ただ、Kさまの奥さまの背が高いことと、国産ではなくミーレ等のドイツ製の食洗器を入れたいとのご希望で、このキッチンを再利用できるか検討してゆくことになりそうです。

麹町N邸現調

リビングダイニングは広く、キッチンも使い勝手が良さそうなのですが、エントランスからLDKまでの廊下が長く、各個室の前を通らないとLDへと辿り着けない動線が大きな問題です。ただ、2つの住戸を連結しても、相当な大改造しないとこの問題はクリアできなさそうです…。
(→その後、マンションを設計したゼネコンに確認して貰ったところ、消防法上の問題があって、2戸の連結は難しいとの結論が出てしまいました)

麹町N邸現調

こちら洗面は、お子さまも大きいので、ここまで大きな洗濯機はいらないだろうとのことで、作り直すことになります。奥の左にあるお風呂はまだきれいで、水栓金物の交換と、内装に薄型タイルの内張りをご提案しています。

麹町N邸現調

トイレの床は御影石張りですが、前の居住者の方がワンちゃんを飼っていたそうで、そのトイレの跡か、石の目地が汚れていることが気になりました。まずは再清掃し目地を打ち直して、どこまできれいになるかトライすることになりそうです。

麹町N邸現調

マンションを建てるときに特別にデザインして貰ったこちらの建具は、開き勝手が良くない(開いた時の扉裏の収納扉が開けにくい)という問題がありました。実測したところ、レバーハンドルの位置がちょうど中間にあったので、上下を反転して開き勝手は反対にすることを検討しています。

麹町N邸現調

こちらは隣の書斎兼事務所部屋です。以前からのお手持ちの家具をとりあえず入れているそうですが、ご主人の本格的な書庫兼書斎と事務所を兼ねたスペースへのリフォームをとのご希望です。

麹町N邸現調

壁に飾っている浮世絵等は、住戸側の廊下に飾りたいとのお話しでした。

麹町N邸現調

インテリアがお好きで、家づくりを幾度もご経験なさったKさまご夫妻とのお打合せは、そのたびに、新しいアイデアが生まれて、どんどん楽しい空間に昇華してゆきそうです。

石膏ボード張り-枠や詳細ディテール

代官山N邸

代官山の高層マンションリフォームのN邸現場は、建具枠が入ってボード張りが進み、空間の骨格が見えてきました。

まだキッチンも入っていない段階ですが、元の変形LDが、ここまでスッキリと広々とした空間に生まれ変わると、プロである僕らでも少々の驚きを感じています。

3LDKから変形3LDK(主寝室は変わらない広さですが、洋室2室はそれぞれ半分ほどの面積になっています)へのリフォームですが、LDK空間の広がりはお客さまも必ず喜んで下さるハズです!
奥の壁回りには、ミラーとキッチンパネルでフレームを作って、フレーム上部には間接照明を回すデザインとなっています。

フレームのディテールですが、上部フレームには照明用のダクトレール(照明器具を自由な位置に動かせるレール)とピクチャーフレームと埋め込んだシステムとしています。

フレームの反対側は、パイプスペース(PS)のパイプが通っている位置を避けた個所に、ボーナスでの本棚を設ける予定です。

左右のフレームの天井付近の様子です。まだザックリとした作りですが、キッチンパネルとカラーガラス、タイルを張ってゆくことで、カチッと納まってくる予定です。

玄関からL字に折れて、リビングダイニングへと続く廊下もすっきりとしてきました。

このウォールナット突板巻きの枠が廊下左右について、ガラス入りの建具を吊り込むことになります。

廊下と個室の間仕切りには、遮音を考慮して、断熱材を充填して貰っています。

LDと個室の建具は、クロス張りのインテリアでは愛用している神谷コーポレーションのフル・ステルス(F/S)という扉を使っています。枠にも扉にもビニールクロスを巻き込むことで、枠と扉を壁と一体に見せる優れモノです。下地段階では良く分からないと思いますが、クロスを張ると見事に枠が消えてくれるのです。

二つの個室間には、奥の部屋への明り取りのランマがきれいに空いています。
リビングの床はすでに養生されて見えなくなっていましたが…、

こちらの床を見て頂くと判るのですが、薄塗りの左官材でガタガタだったシンダーコンクリートの床下地をきれいに均して貰っています。

玄関横の納戸入り口にも先ほどと同じステルス枠を使っています。以前はタタキから納戸床レベルが上がっていたのが、今は室内床と同じ高さにまで下げられているのが判ります。
この枠の左上を見て頂くと…、

このように何やら細かい細工がされております。これはビニールクロスを張る際に、ただノッペリと張るのではなく、目地を通して、クロス張りのパネルを張り込んだように見せるための小さな工夫なのです。

奥の主寝室では、既存クロス剥がしの作業が進みつつ…、

LDでは新規のクロス張りの打ち合わせが進んでいます。

リフォームキューの現場監督の滝川さんと、営業&設計の森井さんが作業を分担しながら、細かく今後の仕事の流れをチェックしてくれている様子です。