Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

石膏ボード張り-枠や詳細ディテール

代官山N邸

代官山の高層マンションリフォームのN邸現場は、建具枠が入ってボード張りが進み、空間の骨格が見えてきました。

まだキッチンも入っていない段階ですが、元の変形LDが、ここまでスッキリと広々とした空間に生まれ変わると、プロである僕らでも少々の驚きを感じています。

3LDKから変形3LDK(主寝室は変わらない広さですが、洋室2室はそれぞれ半分ほどの面積になっています)へのリフォームですが、LDK空間の広がりはお客さまも必ず喜んで下さるハズです!
奥の壁回りには、ミラーとキッチンパネルでフレームを作って、フレーム上部には間接照明を回すデザインとなっています。

フレームのディテールですが、上部フレームには照明用のダクトレール(照明器具を自由な位置に動かせるレール)とピクチャーフレームと埋め込んだシステムとしています。

フレームの反対側は、パイプスペース(PS)のパイプが通っている位置を避けた個所に、ボーナスでの本棚を設ける予定です。

左右のフレームの天井付近の様子です。まだザックリとした作りですが、キッチンパネルとカラーガラス、タイルを張ってゆくことで、カチッと納まってくる予定です。

玄関からL字に折れて、リビングダイニングへと続く廊下もすっきりとしてきました。

このウォールナット突板巻きの枠が廊下左右について、ガラス入りの建具を吊り込むことになります。

廊下と個室の間仕切りには、遮音を考慮して、断熱材を充填して貰っています。

LDと個室の建具は、クロス張りのインテリアでは愛用している神谷コーポレーションのフル・ステルス(F/S)という扉を使っています。枠にも扉にもビニールクロスを巻き込むことで、枠と扉を壁と一体に見せる優れモノです。下地段階では良く分からないと思いますが、クロスを張ると見事に枠が消えてくれるのです。

二つの個室間には、奥の部屋への明り取りのランマがきれいに空いています。
リビングの床はすでに養生されて見えなくなっていましたが…、

こちらの床を見て頂くと判るのですが、薄塗りの左官材でガタガタだったシンダーコンクリートの床下地をきれいに均して貰っています。

玄関横の納戸入り口にも先ほどと同じステルス枠を使っています。以前はタタキから納戸床レベルが上がっていたのが、今は室内床と同じ高さにまで下げられているのが判ります。
この枠の左上を見て頂くと…、

このように何やら細かい細工がされております。これはビニールクロスを張る際に、ただノッペリと張るのではなく、目地を通して、クロス張りのパネルを張り込んだように見せるための小さな工夫なのです。

奥の主寝室では、既存クロス剥がしの作業が進みつつ…、

LDでは新規のクロス張りの打ち合わせが進んでいます。

リフォームキューの現場監督の滝川さんと、営業&設計の森井さんが作業を分担しながら、細かく今後の仕事の流れをチェックしてくれている様子です。

マンションリフォームにドイツ製輸入キッチンを使う難しさ

外苑前C邸

ドイツ製高級輸入キッチンのジーマティック社のフルオーダーキッチン取付けが外苑前C邸で始まりました。

ジーマティックキッチン据え付け@高級マンションリノベーション

戸建て住宅を設計していた10年以上前、そして別荘インテリアのお手伝いなどで、ジーマティックさんのお世話になったことがありましたが、マンションリフォーム&リノベーションに特化してから、久しく輸入キッチン会社さんを採用することがありませんでした。

ジーマティックやブルトハウプなどのドイツ製輸入キッチンについては、箱(この写真に写っているキッチンのベースとなる箱部分)の頑丈さ、そして金物類(引き出しの金物や開閉扉の蝶番など)の精度の高さは良く知っておりましたが、解体して墨出ししてからでないと最終的な寸法が出せないことが多いマンションリフォームでは、納期的に難しいケースが多く、これまでお客さまにご提案はしても採用できないことが続いておりました。

今回も当初は上記の事情から国産の高級輸入キッチンで計画を進めておりましたが、お客さまのドイツ製キッチンへの強いこだわり(お友達幾人かから強い推薦があったそうです)に加え、元のキッチンと位置がほぼ同じで、壁位置も大きく変わらないこと、扉材にメラミン(と言っても仕上げは鏡面塗装のように見える本当に精度が高い仕上げです)を使うことでの納期短縮、そして最後は担当者の神蔵さんの粘り強い頑張りがあって、工期が4か月と限られている中でマンションリフォームでドイツ製輸入キッチンを採用することができたのです!

ただ、その中で一点難しいと思っていたのが、ダイニング側と繋がるカウンター部分の取り合いでした。職人さんがちょうど立っている個所なのですが、壁裏に引き込める小扉2枚を開け閉めすることで、ダイニングとキッチンが繋がるシステムを考えていました。

カウンター甲板とダイニング側の収納壁まではジーマティック社が、ダイニング側の収納の扉はリフォーム工事会社のリフォームキューが作るという分担で、何とか問題を解決することができました。

キッチン側から見て、ダイニング側に繋がる小扉の横には吊戸棚が枠内にピタッと収まっていますが、これは事前にリフォームキューが詳細な図面を作ってくれたことで、きれいに納まりました。

その指示図がこちらです。リフォームキューが現地調査した原寸(ゲンスン)から書き起してくれた図面にこちらが注意書きを書き加えたものです。

組み立て始めて2日目ですが、まだ組み立て前の部材がリビングに積み上がっています。

寝室にも、大量の引き出しが積まれていました。

設備配管については、事前にジーマティック社が書いてくれた設備図を元に、配管位置をリフォーム工事会社が施工して入れていたので、ぴったり寸法で配管が箱内部に飛び込んでいました。
あとは、天板が無事に載ってくれば、キッチンはほぼ完成です。

家具の素材・色選びから始まるインテリア素材選び

品川N邸

品川N邸プロジェクトは、タイミング的にそろそろイタリア製家具を先行発注しないと、リフォーム完成時に間に合わないタイミングになってきたので、3度目のポリフォルム・ショールーム訪問をさせて頂きました(実際にはお客さまご夫妻だけでも2度は行ってくださっているので、5度目となります…)。

楕円形ダイニングテーブル_ポリフォルム

Kさまご夫妻が、一番迷っていらっしゃるのが、ダイニングテーブル・ハワードの天板の素材でした。このテーブルはコンコードという違うテーブルですが、この天板の素材のスペサートオーク(無酸素状態のオーブンで楢材(オーク)を燻蒸してこの風合いを出すそうです)にすべきか、 セネレオーク(グレー調にオーク材を染めたもの)にすべきか悩んでいらっしゃったのですが…。
偶然他の水回り設備のショールームに行った際に、このスペサートオーク材仕上げのテーブルを明るい場所で見たところ、ご夫妻ともこれだと思える風合いだったとのことで、この写真と同じ仕上げに決定となりました。

ダイニングチェアのレザー色選び

次に悩んでいるのが、ダイニングテーブルと同じ空間に並んでくるダイニングチェアの張地です。すでに、ヴェンチューラという椅子の座り心地と高さ、そして背面から見たデザイン性を気に入って下さっているので、種類は決定しているのですが、レザーの色が決まっておりませんでした。

レザー色とテクスチャー選び

イメージがほぼ固まってきている(とはいえ、まだ本決定ではありませんが…)床フローリング材や壁に使う大理石素材などと比べながら、何種類かのレザー生地を椅子に乗せて、見比べてみました。

インテリア素材と色選び

新宿アクタス2階のポーゲンポール・ショールームの場所を借りて、今の時点で決定している素材と色と並べて、椅子の張地も、この2種類のどちらかでというところまでは当たりをつけることができましたが、最終的な決断はご主人にも確認なさりたいとのことで、レザーサンプルを借りて持ち帰っての宿題となりました。

キッチン素材選び@モービリティーポ

この日は、家具の色決めの勢いに乗って、キッチンの素材と色決めもしたいと当初から考えていたので、新宿から南青山まで移動して、オーダーキッチンのモービリティーポのショールームを訪問致しました。

キッチン素材の色選び

当初考えていた、イタリアフィアンドレ社のタイルは価格的に難しそうだったので、クオーツストーンを使う方針に変更することになりました。ただ、こちらのショールームはほの暗くて、素材の色味が良く見えないので、急遽、社長の徳永さんにも同行して貰って、白金台のコンフォート社にあるシーザーストーンの大判サンプルを確認する流れとなりました。

シーザーストーンのキッチンカウンター選び

シーザーストーンの輸入元であるので、ショールームに大判のクオーツストーンが並んでいます。小さなサンプルで、これでも良さそうと思っていたのものが、思いのほか柄があったり、白い部分の透明度が違って感じられたりと、奥さまもとても良くわかると喜んでくださいました。

シーザーストーンのキッチンカウンター選び

品川N邸は高層マンションの最上階住戸(ペントハウス)で3方窓に囲まれ自然光でとても明るい空間なので、大判サンプルで気になるものを窓際に運んでもらい、候補に挙がっている扉材を比較しながら、こちらも最後の3つの色味まで絞って頂くことができました。
11時に新宿待ち合わせから、16時半の白金台解散まで、約5時間半の長丁場になりましたが、家具から初めてキッチンの素材と色味の候補を大分絞ることができました!どうもお疲れさまでした…。