Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

壁のチーク羽目板パネル張り

青山N邸

青山N邸のキッチン横の壁に、チークで作ったパネルの羽目板張り作業が始まっています。羽目板(ハメイタ)とは建築の専門用語ですが、要するに壁面に板を連続して張ったもののことで、下見板(シタミイタ)とも言います。

ダイニングのデザインパネル壁の施工

まずは、パネルの同志の目透かし目地の部分にチーク同材のテープを張ることから始まりました。隙間の奥にパネルと同じ素材が見えてくるようにするためです。

ダイニングのデザインパネル壁の施工

順繰りにチーク羽目板パネルを割り付けに沿って貼ってゆきます。羽目板の取付方法は板同志に相シャクリを設けて差し込みながら隠れた箇所にビスを打つ方法や、接着剤と隠し釘を使う方法などがありますが、今回はパネルのサイズがそれほど大きくないことと、目透かしスタイルで張りたいので、接着剤と両面テープの併用で取り付けて貰っております。

チーク突板パネル張り壁のディテール

目透かしの目地寸法は5ミリでお願いしていますが、それがズレないように家具屋の谷合さんは目地に差し込むガイドを使いながら慎重に張ってくれています。

ダイニングのデザインパネル壁の施工

キッチン横の壁ではチーク羽目板張り作業の傍らでは、キッチンカウンター下ではカラーガラス張りが始まっていました。

ダイニングのデザインパネル壁

こちらが張り上がった後の様子です。チークの羽目板パネルも木目の方向を変え、途中に鏡や塗装パネルを入れて、重たくならないようなデザインを工夫しています。ダイニングからは鏡に映った外の景色が見えるハズです(コンセントプレートは色指定していたのですが、間違ったものがついてしまっていたので取り換えて貰う予定です)。

ダイニングのデザインパネル壁

窓側からみるとこのような具合になっています。キッチンカウンター下のカラーガラスも張られ、間接照明もうまく取り付けられていました。

リフォーム前のキッチン入り口

リフォーム前はこのような味も素っ気もないコーナーで、斜め壁も謎の存在でしたが、うまくデザイン的に処理することができたのではと思っています…。

造作TV家具設置

前のブログでも紹介した窓際の柱型のTVキャビネットですが、以前はまだ仮置き状態でしたのが、今回正式に取り付けられました。少しだけ以前と違っているのが判るでしょう…。

TV収納家具のディテール

実はこの脚元部分に2.5センチほどの黒い台輪を入れて貰いました。あまりに小さな違いで気が付かないかと思いますが、前の仮置きの時に試しに床の養生シートを剥がしてみたところ、床のチークフローリングとこのTV収納造作家具の色味がほぼ一緒で、一体化してしまっているのを見て、もっと独立したオブジェとして見せたいので、このようなお願いを施工側にしていました。

来客用トイレの鏡

来客用トイレの手洗いカウンター前の鏡も入りました。

トイレの鏡ディテール

人造大理石(クォーツストーン)と繊維状のクロスとチーク枠と鏡がほぼフラットに納まっています。
これで青山N邸の工事はほぼ終わりで、次回はお客さまとの施主検査となります。

 

 

 

高級ホテルインテリアを参考にした内装打ち合わせ

駒沢X邸

先日始まった駒沢X邸リノベーションプロジェクトですが、お客さまの好みのインテリアが六本木の高級ホテル、ザ・リッツ・カールトン東京の内装だとのことで、まずは担当スタッフと一緒にホテルを視察して参りました。

リッツカールトンを参考にしたインテリア提案

ベージュ色の石に軽く着色したシカモアの突板パネルがベースとなって、そこに階層や用途に応じてアクセントとなる壁色や照明器具をアレンジしてゆくスタイルのインテリアでした。

メインの空間からサブ空間へと移ってゆくと、石が消え、木製パネルの面積も減ってクロスが入ってきます。シンメトリー(左右対称性)はきちんと確保されたデザインとなっています。

扉などで分節化されていない空間では、床材はシームレス(継ぎ目なく)同じ柄のカーペットが続いてゆきます。開口部の太い枠で仕上げ材を見切っており、廊下のユーティリティー空間では織物クロスに背の高い木巾木が使われていました。
注意しないで歩いていると、曖昧な空間のイメージしか頭に入ってきませんが、今回のように具体的なデザイン素材として研究しながら見て回ると、色々なことに気が付きました。

ただ勝手にホテルに入って、こそこそ写真を撮っているのも失礼なので、見学の後にはロビー階のカフェでお茶を頂いて一服させて頂きました。

一度このような形で予習をしたうえで、次はお客さまと一緒にリッツカールトンを訪問して、具体的な素材候補を見比べながら打ち合わせをさせて頂きました。

幾つかの素材サンプルをもってホテルの床に置いてみて、ベージュトーンの大理石の色味を比較したり…、

突板パネルとほぼ同じと思われるサテンシカモアの突板を横に並べて、木目を見て頂きました。今回も視察だけでは失礼なので、同じサロンでお茶を頂きながらの打ち合わせをして参りました。

お客さまからトイレや水回りのインテリアも好みだとのことを伺ったので、男性用トイレの手洗いまで見学して参りました。他の空間では、ほとんど使っていなかった黒が入ることで、引き締まった空間となっていました。

高級ホテルのインテリア視察

お客さまも、まるっきりザ・リッツ・カールトン東京と同じインテリアにしたい訳ではありませんので、この2回の視察で感じた空間のエッセンスを駒沢X邸の内装計画に活かしてゆきたいと思っています。

 

 

 

 

 

リビングから廊下&玄関へと続く壁タイル

青山N邸

青山N邸の現場に、空間の質を大きく左右すると僕らが考えてきた、壁タイル張りが進んだとの連絡があり訪問して参りました。

玄関ホールから廊下越しにリビングダイニングを見た様子です。今回選んだタイルは、アドヴァンのホワイトエクスペリエンスです。大理石のホワイトカラーラをモチーフに、200ミリ×1200ミリのボーダー状のタイルです。同じ色調の中で、磨きからマット、更にはスクラッチ等の加工を加えた表情が5種類あり、それらをランダムに並べることで、光を受けて微妙な表情を見せてくれることに期待しています。

リビング壁タイル張り@青山N邸

廊下からリビングダイニングの入り口にはガラス扉とガラス製の袖壁があります。ちょうどリビングへの入り口からリビングへと120度程度の角度で曲がってゆくコーナーの様子です。自然光が壁をなめるように入ってくると、タイルの表情の違いが良く分かってきます。

リビング壁タイル張りのコーナーディテール

廊下とリビングのコーナーをダイニング側から見た写真です。右奥では、ガラス扉の吊り込みも始まっていました。

リビング壁タイル張りのコーナーディテール

タイル壁のコーナー部分は以前のブログでもご紹介した、ちょっと変則的な張り方をして貰っています。

コーナーから互い違いにタイル端部を少しはみ出させて張る考えです。因みに上記の右の写真は、事務所にあった手持ちのタイルを組んで作った簡易モックアップ模型です。きれいに仕上がるか少し心配しておりましたが、職人さんが丁寧に張り上げてくれて、とてもきれいに仕上がっていました!

 

タイルが張り上がって、ガラスが差し込まれたところから、ガラス屋さんがコーキングを打ってくれています。

廊下から玄関側を見返した写真です。壁に幾つかのスイッチやコンセントが入ってくるのですが、その部分については、事前に検討したタイル割から一部タイルを抜いて、凹んだ壁の中にスイッチ類を入れるデザインとしています。左手前にタイル壁が一部空いている箇所がプライベートエリアへの入り口となりますが、色味を合わせタイル面とフラットに納まる建具を吊って、閉めているときには扉そのものの存在感がなくなるように考えています。

浴室重ね張りタイルの目地打ち

同じタイル屋さんが仕上げてくれたお化粧直しした浴室もコーキングを打ってくれています。