Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特殊な床下地上のオーダーユニットバス組み立て

駒沢X邸

ヴィンテージマンションの駒沢X邸の浴室とシャワールームは、オーダー式のユニットバスを採用しています。

以前のブログ記事にて、在来工法浴室の無音解体にトライして貰った様子が載っていますが、その解体されたかつての浴室部分に新しいオーダーユニットバスを組んでゆきます。
まずは床の半分のエリアに敷かれたのは、洗い場部分の防水パンです

もう半分の防水パンも浴室の手前の部屋で出番を待っています。こちらは浴槽が載る防水パンなので、裏から見ても一段浴槽部分が凹んでいるのが判るでしょうか?

因みに、こちらはさらにその手前の部屋で待機している浴槽です。ドイツ製鋼製ホーロー浴槽のカルデバイを使っています。

先ほど敷かれた、最初の洗い場部分の防水パンを斜め上から見た写真です。手前の床には、丸い形が見えています…。

真横から床の部分を見た様子がこちらです。ちょうどパンの脚の部分が丸い土台の上に載っています。
実は、解体した後のかつての浴室の床下地がガタガタだったので、当初は全面にセルフレベリング材を打って、床面をフラットに仕上げて貰おうと考えておりました。ただ。既存下地に空いている孔を塞いだり、セルフレベラーが完全に乾くまでの養生期間が約1週間と時間が掛かるなどハードルが高かったので、青の片岡さんがその代わりに工夫してくれたのがこちらの工法なのです。つまり、防水パンの脚が来る位置だけを東京バススタイルに教えて貰い、その部分だけ、丸い紙管を使ってフラットに仕上げ、工事の短縮化とコストセーブを狙ったのです。

作戦は無事うまく進み、2枚目の防水パンの設置も無事お合ったので、壁と天井パネルを張り始める準備が始まりました。

防水パンのフチの部分のパッキンの箇所に、先ほどの壁パネルを差し込んでゆきます。壁パネルの表面には、工場で指定した大理石調のタイルが張られています。
既存のタイル壁から少し空気層があって、その内側に壁パネルが来ているのが良く分かりますね。昔マンションの浴室で採用されていた在来工法の浴室は、コンクリート壁に直接防水層を設け、そこに直にタイルや石を張って仕上げていたので、大きな地震などで躯体が歪んだ際に防水層が切れる恐れや、断熱が十分にされていない躯体に仕上げ材が直接接しているので、冬の寒さが厳しいことなどが問題でした。
その点、ユニットバスでは、防水パンが躯体から独立していることでの安全性の高さや、躯体から浴室の仕上げ材が空気層を挟んで離れているので、音や熱の伝わりが緩和されるというメリットがあります。オーダーユニットバスだと、更に仕上げ材や浴槽&水栓&シャワー金物の選択肢の自由度が高く、ホテルや最新の高級マンションのように、脱衣室からの扉をステンレス鏡面枠と強化ガラスで一体感をもたらすことができるというメリットがあるのです。

壁パネルが一気に組みあがってきます。ちなみに工期が短いこともユニットバスのメリットで、在来工法だと最低でも2週間ほどかかる工程が、一般のユニットバスだと2~3日、オーダーユニットバスでも4~5日ほどで組みあがります。

壁パネルが仕上がると、壁裏からの給水給湯管などの引き込みが始まります。あと2日ほどできれいな浴室が完成することになります。


ジーマティックのキッチンSR再訪&再々訪

外苑前C邸

外苑前C邸のお客さまから、キッチンも最終候補が絞れてきたので、ジーマティック青山SRに一緒に来て欲しいとのご依頼があり、再度伺って参りました。

ジーマティックの青山ショールーム打ち合わせ

キッチンプランと機器類のレイアウトについては、概ね決まっているので、カウンターや扉の仕上げ材とグレードの確認、そしてアクセサリーのことなどを確認したいとのご要望でした。

ジーマティックショールームでのキッチン打合せ

ショールームでお客さまと一緒に実物を見て気に入って頂いた大理石柄のフィアンドレのタイルの大きなサンプルを取り寄せてくれていたようで、ここまで候補に挙がってきていた素材を全て一緒に見ることができました。

ジーマティックの青山ショールーム

メインのキッチンカウンターはフィアンドレでスッキリ決まりましたが、背面側(ダイニング側)のカウンター材は、シーザーストーンの中から、どの色味を選ぶかで迷われていらっしゃいました。こちらのカウンターは扉を開けると、ダイニング側からも繋がってくるので、その視点からのアドバイスをさせて頂き無事決めることができました。

ジーマティックの引き出し詳細

アクセサリーの引き出しの内部仕切りについては、ジーマティックの僕らの担当の神蔵さんが丁寧に説明してくださいました。

ジーマティックの引き出し詳細

引き出しのサイズによってバリエーションが変わってくるので、どの引き出しに何を収納するかをある程度決めてからでないと、決断してゆくことが難しいのと…、

ジーマティックの青山ショールーム

実際のサンプルを見ないと、何を仕舞うことができるのかが判りにくいので、ショールームのあちこちのキッチンを移動しながらご一緒に見て回らせて頂きました。

ジーマティックの引き出しディテール

こちらは調味料入れの下部引き出しですが、ボトル類に入った調味料をカゴごと持ちあげることができるシステムになっていました。

各扉の背面にはこのようにアクセサリーを吊るための穴が空いているのですが、そこに吊るアクセサリーも一通り選ばせて頂きました。

ジーマティックの青山ショールーム

こちらの写真はジーマティック特有の甲板と扉材の間に挟まってくる凹んだ部分(リセスレールというそうです)の仕上げの確認風景です。

ジーマティックの青山ショールーム

ザっと一通りの内容を決めることができましたが、内容が専門的なものでしたので、担当スタッフの神崎さんにSRに残って貰って、神蔵さんと確認をして貰いました。

纏めた内容をCさまにお送りしたところ、最後にもう一度、リビングダイニングで使う素材も一緒に見比べながら、最終確認をしたいとのご連絡を頂いたので、ジーマティックのショールームを使わせてもらっての打ち合わせを致しました。

写真で下に並んでいるのがキッチン素材で、上に並んでいるものがリビングダイニングで使う予定の素材類です。

似たような色を選んでしまうと、立体的に繋がってくる際に色味の違いが思っていたほど出ないことがあるので、組み立てたサンプルで説明している様子です。最近の僕らのインテリア提案では、素材や色味を結構豊富に使う傾向があるので、その考え方も実例写真などをお見せしながら、理解して頂きました。

キッチンアクセサリー類では、僕らも混乱してしまった部分があったので、こちらも再度、ジーマ担当の神蔵さんにご説明頂きました。

リビング、ダイニング、そしてキッチンの色味が決まった勢い(笑)で、これまで色の候補は出ていましたが、決定にまで至っていなかったソファやダイニングなどの家具ショールームもご一緒に回って、一気に色味を決めてゆきました。
こちらは、ラウンジチェアの Husk(ハスク) 決まっており、ソファを新作のAtoll(アトール)にするかフレックスフォルムの物にするか悩んでいた選んでいたB&Bイタリアです。ハスクにアクセントとなる朱色を選ぶことが決まり、仮にレザーでシックに纏めたアトールにも同系統のアクセントクッションを入れることになりそうです。

こちらモルテーニでは、ダイニングチェアのOutline(アウトライン)がすでに決まっていましたが、ソファー前に置くセンターテーブルを再度確認しに来ました。

最後にダイニングテーブルのFly(フライ)は決まっており、ソファの候補としてSoft_Dream(ソフトドリーム)が挙がっていたフレックスフォルムです。こちらでもレザーとクッションの候補を選んで行きましたが、最終的には座り心地やデザインなどからB&Bのアトールに決定となりました。
これで、何とか最初に組み立てたスケジュール内での家具発注へと進めそうです。

完成後の外苑前C邸の様子もどうぞご覧ください。

遮音仕様の壁下地の作り方

駒沢X邸

遮音仕様の床、そして天井が出来上がってきたヴィンテージマンションの駒沢X邸は、次の段階として遮音仕様の壁を作り始めています。

遮音仕様の壁下地

通常のマンションリフォームでは、壁を最初に建てて、その後床、天井と続きますが、上下階への遮音を考えると、今回のような順番になってきます。

遮音仕様の壁下地

写真左側の壁は、窓があり断熱材の吹かれている外壁側の壁で、右側のコンクリート下地の壁の奥は、このお宅の水回りになります。

遮音仕様の壁下地

普通に考えると、自分の部屋内での遮音は必要なさそうに感じますが、実際にはコンクリート躯体である壁から上下階の住居との戸境になる床スラブは一体の造りとなっているので、音や振動が伝わってしまう可能性が高いのです。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

そこで、この写真のような木レンガを壁に接着剤で張って、そこに壁の木製下地をビス固定してゆきます。

遮音仕様の壁下地

そのうえで、壁裏に隙間があると太鼓現象で音が伝達されてしまうので、隙間を埋めるための断熱材を充填してゆきます。その上から石膏ボードを張って、更にその上に遮音パネルを張って塗装仕上げをしてゆきます。

単純な作業のようですが、コンセントや照明のスイッチボックスなどが壁に入ってくるか所は、そこから音漏れがしないように隙間に断熱材を充填したり、

最初の石膏ボード張りの際には、すべての隙間に遮音コーキング材を打ってゆく等、色々な細かい配慮が必要になります。

コンクリート躯体の壁に絡まない単純な間仕切壁は、すでに床と天井で遮音措置をしているので、建て方も簡単になります。

キッチン部分の間仕切壁が立ってきた様子です。 キッチンのカウンターや吊戸棚を床や天井にビスで固定してしまうと、遮音のバリアを作った幕が破れてしまうので、全て壁固定にして貰うため、間仕切壁には通常よりも余分に木下地材やベニヤ板を入れて貰っています。

キッチン間仕切壁をダイニング側から見た様子です。工事をお願いしている工務店・青の片岡社長の左後ろに見えている灰色と銀色の2本の竪管は上下階を貫通している排水と通気のパイプです。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

この2本の竪管は共用部なので、撤去することも移動することもできません。位置的には玄関入ってすぐ横で壁内に隠すことができない位置なので、楕円形の筒で隠すことを計画しています。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

先日の打ち合わせで実測した数値に基づいて作って貰った左の図面に沿って、モックアップの型を現代製作所に作って、現場にはめて微調整してゆきます。竪管2本共に遮音用の鉛シートを巻き付けても、サイズ的に問題なさそうだったので、このモックアップサイズでカバーを作り始めて貰うことになりました。

PSの遮音

壁裏のPS内部に入ってくる竪管は、寸法が十分あるので、こちらには鉛シートを巻かず、断熱材を詰め込むことで遮音対策をすることとなりました。

因みに、これらの遮音対策は、リフォームの設備やデザイン、仕上げなどとは別で、部屋の基本性能をどこまで上げるかという項目でしたので、別の見積りを作って貰っていました。床以外の、天井と壁、天井裏のダクトの遮音をすることの費用は約600万円ほど掛かっています…。