Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

LDKリフォームのビフォーアフター写真

二番町I邸

今年5月に竣工お引渡しを済ませていた千代田区の二番町I邸リフォームプロジェクトですが、写真の整理が少し進んだので、リフォーム前後を同じアングルで撮影したビフォー&アフターの写真で改めてご紹介いたします。

上がリフォーム前で下がリフォーム後です。以前は廊下からLDに入ってすぐ右側にキッチンがありましたが、今回のリフォームでそのキッチンを窓際に平行移動させました。

リビングダイニングキッチンリフォームのビフォーアフター

この平面図のビフォーアフターで比較するとよく判るのですが、以前のキッチン位置だと、下側の窓際に明るいダイニングスペースが取れていたのですが、室内側に大きく出っ張っている柱型の影響で、大きなダイニングテーブルを置くことができませんでした。
リフォームでキッチンを移動し、以前は廊下だった部分をLDに取り込むことができたことで、大きなエクステンションテーブルを置くことができるようになりました。

リビングとダイニングの関係も、以前の間取りではリビングを通り抜けないとダイニングに辿り着けない動線(キッチンを抜ける動線もありましたが…)だったのが、リフォームで突き当りのリビングとなったので、より落ち着いた生活ができるようになりました。
ビフォーの写真では、壁のガタガタや天井の高さが色々と変わっていましたが、それらがアフターの写真では随分整理できていることも判るでしょうか?

このビフォー&アフター写真では、廊下からリビングダイニングへの扉が、奥に凹んで廊下のスペースをダイニングに取り込めていることが判ります。

キッチンがほぼ同じサイズのまま、窓際へと移動しました。調理カウンターと背面収納の位置はちょうど逆転しています。因みにリフォーム後のオーダーキッチンは、エクレアさんにお願いしました。

その他、間取りはほとんど変わっていませんが、玄関は入って正面の壁をタイル張りに変更し、(ほとんど見えまませんが、)右手の壁に壁裏のウォークインクローゼットのレイアウト変更をすることで、掃除機などをしまうことができる小型の収納を作ることができました。

こちらはサイズ、レイアウト共に、ほぼリフォーム前と同じ浴室のビフォー&アフターです。当初は既存の浴室の内側にタイルを張って、浴槽を塗装し、水栓金物類を交換するお化粧案をご提案していましたが、人がずっと使ってきた浴室は生理的に受け付けにくいことや、浴槽へのこだわりがあったので、東京バススタイルのオーダーユニットバスに交換しています。

駒沢X邸プロジェクトが始まります

駒沢X邸

世田谷区駒沢にある築30年、165平米(50坪)のヴィンテージマンションのスケルトンリノベーションプロジェクトが始まることになりました。

お客さまのXさまは、以前こちらのマンションにずっとお住まいだったのですが、しばらく事情があって別の所に暮らすことになり、その間賃貸に出していたそうです。この度、賃借人が出ることになったタイミングと、ご家族の状況変化があって、こちらに戻ってくることになったそうです。

ヴィンテージ感のあるこのキッチンも大好きだったそうで、本当はこのまま残したい気持ちもあるそうですが、使い勝手や動線、収納量のことなどを考えると、やはり作り直すべきだとのご判断に至ったそうです。

古いマンションらしく、玄関入った所からは、リビングなどの空間が全く見えないように、わざと廊下を曲げて作っている構成ですが、照明を点灯しないと暗い玄関や廊下は、もっと明るくしたいとのご希望でした。

建具や枠は、無垢の木材をふんだんに使った贅沢な作りで、特にこの廊下からリビングダイニングに入る扉の枠は立派な作りで、是非残して活用したいとのお話でした。

水回りの洗面台も天然大理石が使われた、きちんとした作りですが、収納量が足りないことは何とかしたいとのことでした。

何よりも冬寒かったお風呂は、絶対に交換したいという優先順位の高い部位でした。

空調設備は旧式なもので、ちょうど少し前にリビングのエアコンが効かなくなってしまったとのことでした。

初回の現地でのお打ち合わせでは、このお部屋の何が好きだったのかと、どこを交換したいのかをじっくりお話させて頂きました。結果的に、ヴィンテージな雰囲気は残したいとのことでしたが、全体的にこれからの暮らしには機能的にも設備的にも適していないので、使える部材(例えば建具等)はなるべく残すが、後はスケルトン(体でいうと皮膚や肉を全てそぎ落とした骨組)まで解体してのリノベーションをなさりたいとのことになりました。

プロジェクトの難易度(特に設備の取り合い関係)や、お客さまとの相性などから考えて、株式会社青の片岡さんにお願いするのが良いのではと考えて、次回は僕らと青で現調させて頂くことになりました。

その1週間後に青の片岡さんと現場担当の石坂さん、設備屋さんに電気屋さんにも声を掛けて貰い、現地調査をさせて頂きました。Xさまがお手持ちだった、竣工図面集から特に必要な給排水衛生設備図、空調換気ダクト図、そして床伏図を眺めながら、各設備屋さんと現地を確認してゆきました。

キッチンのレイアウトを変えるためには、排水経路を調べる必要があり、納戸の中の床を剥がして、ルート確認と共に、排水管の横取り出し口の位置を調べて貰いました。

収納などの背部にある点検口は、全て空けて、中を確認してゆきました。

主寝室横の浴室とトイレから排水が流れ込む排水管を確認することができました。

水回りの位置を移設するには、床下のスペースがどれだけあるかも重要ですが、この写真のようにマンション共用の竪管の横繋ぎ込み口(チーズ)のレベル(高さ)がどこにあるかもとても重要な条件となります。レーザーを使って、排水芯の高さを測って貰い、暫定的に考えていた位置までキッチンのシンクを移設することができるかを一緒に計算させて貰いました。

天井裏の点検口から覗いた、キッチンの天井裏です。5本ほどのダクトが縦横無尽に走っており、図面なしでは何がどこに繋がって、何の役目をしているのかが判らない状態でした。

平面詳細図では躯体壁(コンクリート壁)として表現されていた壁が、他の図面ではコンクリートブロック造のように描かれていたので、壊せるのか壊せない壁なのかを確認するために壁のボードを剥がしてもらいました。ダウンライトの穴をあけるカッターで開けて貰いましたが、裏にはコンクリートの躯体壁が隠されていました。
また、各図面で整合性が取れていない個所も多かったので、現地を実測もして、図面化してゆくことになっています。因みに、部分解体することについては、全てお客さまの了承を得ており、5万円程度の部分解体調査費の実費も負担して頂いたうえで調査をしております。

 

 

 

 

手すり棒取り付け工事@白金台K邸

白金台K邸

今から16年前、2002年にマンションリフォームをお手伝いした白金台K邸のお客さまから連絡があり、ご夫妻とも高齢になってきたとのことで、玄関や廊下に手すりを考えて欲しいとのご依頼がありました。

手すり取り付け指示図

浴室やトイレ等の水回りについては、すでに区の補助で手すりを付けているとのことで、まだ手すりがついていないプライベート部分の廊下と玄関の相談をさせて頂きました。
この図面に書いたようにプライベート部分については、費用と機能性を考慮していわゆるバリアフリー製品として売り出されている既製品の手すりをつけることになりました。ただ、お客さまも使う玄関については、デザイン的に邪魔にならないような手すり棒をとお願いされました。

玄関手すり棒図面

現場に工事をお願いすることになったリフォーム会社に来てもらい、(お客さまが普段手を付くことで)壁が汚れている箇所を調べて、手すり棒の高さを決め、更に取り付け方とデザインを考えて、上記のような手すりを考えました。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

お見積りを取って、お客さまのご了承を得たうえで取り付け工事に入りました。玄関扉横の壁は塗装仕上げですが、石膏ボード下地で、ボードには手すり棒を固定するビスを取り付けることができないので、まず初日の工事は壁一部の解体から始まりました。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

ボードの裏は予想通り、コンクリートの躯体にGL工法で石膏ボードを張った状態でした。そこで大工さんに用意しておいて貰ったベニヤ板の下地を差し込んで、その上からプラスターボードを張って貰いました。これだけ年数が経っていると、同じ色で張り直した部分だけを塗装することは出来ないので、補修部分周りはパテ処理をしたうえで、玄関扉のある壁全体を塗り直してもらいました。
塗装している間に、プライベート部分の廊下手すり棒は取り付けて貰いました。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

事前にスケッチを元に手すり棒の準備をしておいてくれた造作家具屋のライフウッドの大迫さんと谷山さんが、翌日現場に来てくれました。壁に当てているのは、ベニヤ板で作った型板だそうです。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

手すり本体は、このように棒と台形の固定部分に分かれています。台形の固定部分には、黒い金物が見えていますが、これは緊結金物のクリップ5063(スガツネ)の製品で、棒についている銀色のビスとメスオスの関係になっており、台形金物を壁に固定した後、棒を差し込んでグッと引っ張ると固定される仕組みを作ってくれました。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

まずは下の台形部材を接着剤とビスで固定して、

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

改めてガイドの板を当てて、上の固定部材の位置を正確に出します。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

金物の位置関係はピッタリ出来ていないと棒をきちんと固定することができないので、この位置出しが最もシビアな作業だそうです。

玄関手すり棒取り付け工事@白金台K邸

こちらが最終的に仕上がった様子です。体重ウン十キロの各務がぶら下がってもグラつかないほどしっかりとした手すり棒の取付が完了しました。手すり棒の奥に照明のスイッチがあるのですが、ちょうど棒と壁間に手が差し込めて、オンオフをすることもできました。最後にお客さまに使い勝手と頑丈さをご説明して、ご納得して頂きました。