Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特注ユニットバスにおける床レベルと浴槽跨ぎ高さについて

二番町I邸

デザインプロセスが進んできた二番町I邸プロジェクトのお客さまと、特注ユニットバスの東京バススタイルショールームに伺ってまいりました。

Iさまの奥さまと息子さんと一緒のショールーム訪問で、お二人で浴槽に何度も入ったり出たりで、サイズを実感して頂きました。ちょうどショールームにあるJAXSON(ジャクソン)のネオヴェンティというスタイルの浴槽で考えていたので、お子さまと一緒にお風呂に入るシーンも体験して頂くことができて良かったです。

このタイプの浴槽には、ヘッドレストをつけることができるのですが、頭を持たれかけたうえで、壁までどのくらいの距離があると頭が壁につかないかもご説明させて頂きました。

浴槽の跨ぎ高さも小さなお子さまには大変なので、体験してもらいました。

僕らと一緒にショールームに来る前に、すでに二度程お客さまだけでもこちらに来てくださっていたので、そこまでに仮決定していた仕上げ材やシャワー水栓などをご一緒に確認をさせて頂きました。内容を確定したところで、特注ユニットバスを発注したいのですが…。

実はオーダーユニットバスでは毎回同じ問題が発生するのですが、現場が解体された状態ではないと、正確なサイズを確定することができないのです。どうしても急ぎの場合は、解体前に安全側を見込んで小さめに作り始めるという方法もあるのですが、今回は浴槽の背面壁をなるべく下げて、大きい浴室をとのご要望がありました。そこで、全体工事をお願いしているリフォームキューに無理を言って、早めにリフォーム工事申請を出して、既存浴室部分だけを解体してもらいました。

手前の洗面脱衣室は残したままで、きれいに既存ユニットバスが解体された現場の様子です。右奥に切断されて立てかけられているのが、既存のユニット防水パンです。

解体した天井を見上げた写真です。既存の浴室暖房乾燥機は取り外されておりますが、天井高さも梁型もなく、平面&高さ方向の寸法を確定することができました。

一つだけ問題があったのが、横引き排水管の高さでした。写真正面壁の中央に向かって水色と赤い管(それぞれ給水管と給湯管)が走っていますが、壁に打ち付けられた板の少し下に壁の裏から白いものが貫通してきています。実はこれは排水管の接続部なのですが、子の高さが当初の想定より高かった(床コンクリートスラブからの高さ)ことで、床を洗面脱衣とフラットにして、浴槽の跨ぎ高さを高くするか、浴室床を少し上げて、その代わりに跨ぎ高さを通常の高さにするかの、どちらかを選ばなくてならないことになってしまいました。

東京バススタイルの和久田さんと眞柄さんにおねがいして、浴室の床レベル(厳密にはステンレスサッシ枠の立ち上がり高さ)と浴槽の跨ぎ寸法の説明図を作って貰いました。跨ぎ寸法は50センチを大きく超えると、子どもだけでなく大人でも一苦労になることをお客さまにご説明の上、上の説明図の下、つまり床レベルを30ミリ上げて、跨ぎ高さを507ミリにする方針でご納得いただきました。

リフォーム前後の洋服&靴収納量の調査と比較

港区R邸

港区R邸のリノベーションプロジェクトでは、当初より洋服と靴の収納量は十分に確保して欲しいとのご要望がありました。実は今お住まいのお宅の方が広く、今回新しくご購入なさったお部屋の方が狭く、ただでさえ苦労してきた服と靴の収納でこれ以上苦しみたくないとのお話でした。
そこで、今のお住まいにお邪魔して、洋服と靴の収納方法やキッチン・洗面などの使い勝手について調査させて頂くことになりました。

こちらが港区R邸のお客さまご家族が暮らしていらっしゃる都内の高層マンションのお部屋です。マンション新築時にオプションで床を白タイル張りにして間取りも大きく変更してご購入なさったお部屋だそうです。奥さまがお好きな白と黒に、ご主人さまがお好きな赤をアクセントにした素敵なインテリアでした。

最初に調査させて頂いたのが、クローゼットの洋服です。幾つかの収納に分かれており、ダブルでハンガーパイプが入っているものや、

棚板や引き出しがはいっている収納もありました。リフォームキューの営業&設計担当の坂本さんとうちの前田君と3人で伺って、撮影しながら綿密に実測させて頂きました。

男性クローゼットは忘れがちな、ネクタイやベルトの収納方法も現状を拝見させて頂きました。

時計やカフス等の小物、クリーニング屋から戻ってきたシャツ類などの仕舞い方についても、現状で何が不便で、どうしたら良さそうかをお客さまにヒアリングさせて頂きました。

片付ける場所がないことで、棚板に押し込んでしまっていた沢山のカバン類も全て床に並べて、総量を実測させて頂きました。奥さまのクローゼットについては、調査の際に男性陣だけだったので、実地調査はご遠慮して、ハンガーの長さと棚板の枚数を調べて頂きました。

次に調べたのが玄関横にあった靴収納です。

男性用の大きな靴は横並びに、女性用の細いパンプスやハイヒールは、上下に重ねる器具を使って収納しているとのお話でした。靴収納の内部に置かれている傘たても一緒に実測させて頂きました。

以上の徹底実測調査をもとに後日纏め上げてお見せした、今のご自宅とリノベーション後の新居のクローゼット収納量を比較したプレゼン資料がこちらです(上段中央の2つの展開図が今のご自宅のクローゼットです)。今のご自宅はハンガーバーが交差した箇所がないので、全ての長さが有効なのに対し、リノベーション後のウォーク・イン・クローゼットは2か所交差してしまうので、そのクロスした部分を除いて計算をいたしました。
結果としては、今のご自宅ハンガーバーの長さ3.3mに対し、新しいWICは4.1mとなり約25%増量、ピンクとブルーで色分けしたセーターや下着類の引き出し量も増え、重ねておいていたクリーニング済みのワイシャツも細かく分かれた棚を設けることで、収納しやすくすることができそうです。

こちらは靴収納の比較資料です。上段中央の二つの展開図が既存の靴収納で、下段の4つの展開図がリノベーション後のシューズ・イン・クローゼットです。交差した箇所を除いての計算で、20.5mが27.9mと約35%増える予定となっています。天井が高くなることで、上の方に棚板を作ることで増えている面もありますが、今のご自宅でも奥まってしまっていて使いにくい場所もあるので、収納量は確実に増えることをご説明することができました。

その他、今のキッチンで不満に感じていらっしゃることや、便利だと思っていることを伺い、

洗面所でも同じようなヒアリングをさせて頂き、収納内部も一通り拝見させて頂きました。リノベーション後の新居では、なるべくカウンターの上に物を置かずに引き出し内部に収納しておきたいとのことで、ドライヤーも引き出し収納の中にしまうことにしています。

ご先祖様のご位牌を収納する場所も新居には考えて欲しいとのことで、こちらも一緒に調査させて頂きました。

今は既製品のご仏壇を使っていらっしゃいますが、ご位牌とお線香をあげる場所と、おしきみ(樒)を置く場所を寝室のどこかに作って欲しいとのお話でした。

当初は最低限のスペースをと考えて、廊下からの扉の横にスペースを考えたりしてみましたが、毎日欠かさずお樒は交換して、お参りもなさっているとのことでしたので、それなりの幅と高さがある収納を考え、正面に立ってお祈りできる場所にとのことで、書斎机横の飾り棚内部にご仏壇入れを設ける考えて進めています。

 

解体現場の床にビニールテープで原寸墨出し@港区R邸

港区R邸

解体が無事終了した港区R邸の現場ですが、営業&設計担当の坂本さんと現場監督の織田さんが頑張って、現場の床に壁位置をビニールテープを張って図示してくれました。本来的な意味での墨出しは、細い線でLGSの下地ラインなどを床コンクリートに書いてゆく作業ですが、それだと一般のお客さまには全く理解できないので、今回は特別に坂本さんと織田さんが頑張ってくれました。

もとは一つの寝室だった箇所を二つに分ける部分では、写真左下から右上へと伸びている赤いテープ部分が間仕切壁になります。左下に見える青いテープは主寝室のガラス張りウォークインクローゼット、中央にも息子さんのお部屋のウォークインクローゼットが分かります。

一部の壁を除いて、ほぼスケルトン状態になった個所でも、赤いテープは壁、青いテープは建具やガラス仕上げの壁と、張り分けることで、空間の広さを分かりやすく示してくれました。床コンクリートに段差があったり、配管やダクトが複雑に絡み合っており、何が何だか分からない現場を、何とか分かりやすい形で整理してくれた二人に大感謝です!

こちらの写真では、キッチンの位置に立って、そこからリビングダイニングの広がりを確認してくださっているRさまご夫妻の様子です。

大きなリビングダイニングには間仕切りは無いので、墨出しの確認にはなりませんが、どこに家具を置いて、どのように日常生活を過ごすのかを想像して頂くようにお願い致しました。

現時点で決まっていたり、候補に挙がっている仕上げ材を現場の即席テーブルの上に並べたものを確認して頂きました。手前からキッチンの素材、床の大理石、コンセント&スイッチプレート、金物類、ポルトロ(大理石)、サルバトーリの加工大理石、塗装突板などを並べています。

今回は特にまだ決まっていなかった素材をお客さまとご一緒に決めたかったので、素材を組み合わせたミニ・モックアップ模型を見て頂きました。

玄関ホールは床大理石と入って右側の壁の加工大理石(サルバトーリ)が決まっていましたが、正面の壁素材が決まっていませんでした。

当初はカラーガラスで考えていましたが、玄関入って正面のカラーガラスは映り込みがあって品がないのではとことだったので、先回のブログで書いたアレキサンダーラモントとフロスト加工をしたカラーガラス(AGCのマテラック)をお見せしたところ、フロストのカラーガラスで目地に真鍮を入れたものが良さそうだとのことになりました。

その他の素材についても、現地でどこの床、壁、天井に使うのかをご説明して、以前より作っていたCGと併せて確認して頂きました。

最後の写真は、女性陣の寝室エリアと水回りの墨出し状況です。洗濯機を収納するニッチと特別のドライルームの位置関係、そして洗面と浴室の大きさが良く分かると、お客さまには大変好評でした。