Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

突板塗装仕上げサンプル×50枚以上

港区R邸

仕上げ材について、お客さまが大きなこだわりを持っていらっしゃる港区R邸プロジェクトでは、大量の仕上げ材をサンプルを依頼したり、作って貰ったりしています。特に作り付け家具や扉については、材料や色味だけでなく、違ったツヤのサンプルも見てみたいとのことで、造作家具と建具をリフォームキューの下請けでお願いしているニシザキ工芸さんには沢山の突板塗装サンプルを作って貰いました。

お願いした突板は、オーソドックスなホワイトオークやタモやウォールナット、それに高級突板のシャム柿や黒檀、ゼブラウッドやワンダー黒檀(人造コクタン)などで、生地のままのものだけでなく、指定色で染色してもらったり、ツヤを3分-7分あるいは5部-鏡面と塗り分けて貰っています。また、塗りつぶしの鏡面仕上げサンプルも幾つか作って貰っています。

突板塗装サンプル依頼表

こちらは、第一弾として前田君が作ってくれた突板サンプルの注文票です。お客さまが気に入ってくださっている素材と色合わせをしたり、お子さまの部屋などではダイノックシートに合わせた色味などもお願いしています。このあと追加でお願いしたものを合わせると、実に50枚以上のサンプルを作って貰ったことになります(実際にはお客さま分もあるので、その倍の100枚以上!)。

各種内装素材打ち合わせ@港区R邸リノベーション

突板染色&塗装サンプルが揃ったところで、これまでに決まった素材に、まだ最終決定していない素材と今回のサンプルを合わせて、港区R邸の現場に運んでRさまご夫妻に確認して頂きました。

各種内装素材打ち合わせ@港区R邸リノベーション

あまりに多くの素材が並んでいるのを見て、お客さまも当初は驚いていらっしゃいましたが、それだけ頑張ってリフォームキューと僕らで集めたこと、とても喜んでくださいました。まだ決まっていなかったプライベート廊下部分の壁や建具はワンダー黒檀を黒く染めた鏡面仕上げに、主寝室の建具と壁材は天然黒檀(シャチ柄)を黒く染めた鏡面で進めることに決まりました。

各種内装素材打ち合わせ@港区R邸リノベーション

これまで後手になっていた奥さまとお嬢さまの寝室についても、白の塗装色サンプルが揃ったので、現地で決めて頂くことができました。

奥さまのお好きなインテリア@港区R邸リノベーション

女性陣のお部屋のインテリアは、LDKや主寝室とは趣を変えて、白が基調となっています。お嬢さまと奥さまが一緒に考えた家具の雰囲気を確認し、造作家具で進めるか、既製品を購入して頂き、リフォームキューで同じニュアンスの白で塗り直すかを検討しておりましたが、価格差を出してもらったことで、既製品を採用する方向で決まりました。

奥さまのお好きなファブリック@港区R邸リノベーション

女性部屋はカーテンやレース、さらにベッドのリネンやスプレッド等、選ばなくてはいけないファブリック類が多いので、奥さまとスタッフの間瀬さんでナショナル・インテリアマナ・トレーディングや、FEDEフジエテキスタイルを随時廻って頂き、気に入ったサンプルを取り寄せて貰っています。

LGSスタッドと鉄骨柱が立ったリノベーション工事現場@港区R邸

リノベーション工事現場も順調に進んでいるので、お打合せの後に一緒に見させて頂きました。

LGSスタッドと鉄骨柱が立ったリノベーション工事現場@港区R邸

リビングのテレビボードには、片持ち(脚がなく、壁から持ち出して支える形式)の石のカウンターが来るので、その重さを支えるために、壁下地の中に鉄の角パイプを仕込んでくれています。大工さんの後ろに見える壁下地で、赤い柱がその角パイプです。

LGSスタッドと鉄骨柱が立ったリノベーション工事現場@港区R邸

この壁の背面にある息子さんの部屋から見ると、角パイプが仕込まれていることが良く分かります。この時点では、まだ床スラブや天井スラブにきちんと緊結されていませんでしたが…、

スラブ材に緊結された鉄角パイプの下地柱@港区R邸リノベーション

この数日後に現場を訪れた際には、このように鉄のアングル(L字型に曲がった材)金物でしっかり天井や床のコンクリートスラブに固定されていることを確認しました。

大理石と木製ルーバー壁の間接照明確認

お客さまとの打合せが終わった後、TVボードの背面壁に仕込む間接照明の設置方法と隙間寸法が決まっていなかったので、リフォームキューの坂本さんと実験をしたうえで決定いたしました。

 

ソファの張地&色決めに5回のショールーム訪問が必要?

港区R邸

港区R邸リノベーション計画では、ソファは当初はミノッティとB&Bを比較しながら検討してきましたが、サイズのバリエーションや、色々な要素を組み合わせることができるメリットを考えて、ミノッティに決定しておりました。

ミノッティのソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

インテリアの中でも重要となるソファの張地の素材と色味を決めるための打ち合わせを、順を追って説明していきます。

ミノッティソファの素材&色決め@港区R邸リノベーション

他社ではなく、このミノッティで進めようとのことになるまで、まず2度お客さまと一緒にショールーム来ています(1回目と2回目)。そのうえで、素材を具体的に検討するために、まず弊社担当の前田君と僕の二人で、担当の早坂さんに立ち会って貰いながら候補の素材を幾つか選んでゆきます(3回目)。

ミノッティソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

張地サンプルの手前に黒字に白と黄色の線が入った丸いものが見えますが、これは2つのソファの間に挟むテーブルの素材です。サハラ・ノアール(Sahara Noir)という個性的で、かつ超高価な天然大理石です。チェニジア産のこの大理石の色味を一つのヒントとして、シックな黒や濃い灰色の中に、黄色かオレンジ色を混ぜてはどうかという素材提案を考えてみました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

ダイニングテーブルはB&Bで決まっていますが、ダイニングチェは、アームチェアで回転するものがご希望とのことで、やはりミノッティから幾つかの候補を絞り、その張地についても候補を挙げておきました。

ミノッティのソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

それだけ事前に用意しておいた上で、また別日にお客さまご夫妻とショールームで実物を見ながら張地と色味を相談させて頂きました(4回目)。ご主人さまはこちらが考えた色と素材の組み合わせが良いと言ってくださいましたが、奥さまは色味が多くなり過ぎることがずっと懸念だったので、もう少しシックな色味の組み合わせでも考えてくれないかとのリクエストがありました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

ミノッティのショールームにあるダイニングテーブルの高さは、ちょうどB&Bでオーダーするテーブルと同じ高さということで、違うショールームに展示してあったダイニングチェアをこちらまで運んでおいて貰い、実際にお二人に座って貰って、テーブルとの高さの関係や座り心地、回転の具合などを確認して頂きました。最終的に選んだ椅子は脚の色は一つしかなく、座面と背もたれについては、テーブルと合わせて黒いシックなものにしたいとのことで、比較的スムーズに決めることができました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

この日は、ソファについては、また後日提案するところまでで家具の打ち合わせを切り上げ、ミノッティショールームのテーブルを借りて、収納や照明器具についての打ち合わせをさせて頂きました。

ミノッティソファの素材&色決め@港区R邸リノベーション

そして運命の5回目のショールーム訪問では、ご主人さまがお忙しかったので、奥さまと僕らだけで新たに挙げた張地から候補を絞ってゆきました。

張地と色味を張り付けた合成パース

リノベーション工事のお引渡しのタイミングまでにソファを搬入するとなると、何とかこの数日内に色味と素材を決定して発注する必要があるので、こちらもこれで決めるという意気込みで、前田君が合成パースを自力で作って貰いました。プレゼンシートの右下のソファ写真は早坂さんに貰ったもので、これをプロに作って貰ったCGパースに貼り合わせて、それぞれの部品の色味を変えるというフォトショップ使いならではの細かい作業でした。

ミノッティのソファの張地&色決め

これまでの黄色やオレンジは色味が強かったので、濃い茶色をアクセントに混ぜた展開として、頑張った合成パースもお見せしたのですが、やはりこれでも賑やか過ぎるのではとのご感想でした…。ここで一度暗雲が垂れ込んできましたが、諦めずにもう一つの候補庵として考えていた黒と濃灰を基調に、明るめのベージュをアクセントとする案をお伝えしたところ、それが一番しっくり来るとのことでした!

ミノッティの張地&色味確認を屋外の自然光で

ただ、そこで最終決定しては、後々問題になる可能性があったので、素材サンプル帳をもって、地上階に出て色味を確認して頂きました。こちらのショールームは地階にあって暗めの照明となっているので、自然光がサンサンと降り注ぐR邸の環境では全く違って見えてくる可能性があるからです。夕方になって暗くなり始めていましたが、自然光でもご納得の上で、すべての内容を確認して発注へと進めることができることになりました!
最初はある程度時間には余裕をもってショールーム巡りを始めたツモリでしたが、最終的には本当にギリギリのタイミングでした…。ブログを纏めていて、本当に5回の訪問が必要だったのかとの気持ちもありましたが、振り返ってみるとそれぞれの打ち合わせで、ブランド決定、サイズと形決定、部品決定、そして全体決定と、それぞれの打ち合わせでの積み重ねが重要だったことが改めて理解できました。
ここまで辛抱強くお付き合いくださったRさまご夫妻、どうもありがとうございました。

 

アートのインテリアコーディネーション@平河町T邸

平河町T邸

引っ越しも終わり、無事ご家族で暮らし始めた平河町T邸に、お手持ちのアート&写真の配置レイアウトのことでアドバイスをして貰いたいとのご依頼があって伺って参りました。

マンションインテリア_アートの相談

伺った際には、すでにお手持ちのアートや写真類をソファや壁際のコンソールの手前に立て掛けて用意をしておいて下さいました。

早速、どこの壁にどのくらいのサイズのアートを飾ると良さそうかの見当をザっと付けたうえで、お手持ちのアートや写真の由来をヒアリングさせて頂きました。いつ買ったのか(例えば新婚の時や、お子さまが生まれたときに買った等)、誰に貰った(あるいは買った)ものか(ご両親から貰ったのか、親しい友人からプレゼントされた等)、旅行の際に購入したものであればその場所や、絵についての思い出などを伺わせて頂きました。

マンションインテリア_アートの位置と高さ調整

ご主人が思い入れのあるオペラ座の客席の白黒写真をダイニングのコンソール上に想定してみましたが、壁のサイズに対してアートが小さく、これだと同じサイズの白黒写真を3枚程度並べないとバランスが取れないだろうとのことになりました。

 

リビングダイニングのアート選定&位置相談

この同じ写真をリビングのテレビキャビネット横の特等席に掛けてみたところ、白黒の画像がテレビの黒い面の強さを抑えてくれると同時に、空間に華やかさを添えてくれるので、良さそうだとのことになりました。

ダイニングのコンソール上の鏡位置マーキング@平河町T邸インテリア

ダイニング壁には幾つかのお手持ちアートを置いてみましたが、どうしてもしっくりこなかったので、横長の鏡を掛けることにいたしました。ツルンとしたミラーでは華やかさがないので、フレームが凝ったデザインのものか、鏡自体がアンティーク加工されているものアなどで、写真で壁に青いテープでマーキングしたサイズに合わせたものを候補として幾つか挙げることになりました。

マンションインテリア_廊下アートの相談

ご主人さまが外国留学していた時に購入したジャスパー・ジョーンズのリトグラフは、木製フレームをそのまま使うのであれば、玄関ホールからキッチンへと続く前室にどうかとのことになりました。

マンションインテリア_寝室家具の相談

主寝室にはベッドやラグやラウンジチェア、そして棚の本や飾り物も入ったので、拝見させて頂きました。仮にご購入した天井付けのシーリング照明が似合っていないのでどうにかしたいとのお話でした。

アルフレックスのハイスツールが揃ったマンションインテリア

キッチンにはアルフレックスで購入したハイスツールが三脚入っていました。クレドというスツールで、当初は床と色を揃えるためにウォールナット色をと考えておりましたが、発注直前でルミナベッラのペンダント照明Aplombに合わせたグレーに変更してもらいましたが、この色の組み合わせもしっくりきていました。

マンションインテリア_巾木色変更の相談

玄関ホールについては、竣工お引渡し時と先ほどの写真でイメージが変っていたことに気が付かれた方もいるかと思いますが、実はお客さまのご依頼で壁のクロスをトイレで使ったものと同じクロスに張り替えております。こうなってみると、巾木部分の色が少し大人しく感じられるとのことで、建具枠とほぼ同じ濃灰に変更することも、当日の打ち合わせで決まりました。

見切りを塗装して完成した来客用トイレインテリア

来客用トイレは、腰壁上の装飾レーリングの色が白だったのをクロスに合わせて灰色に塗装して貰いましたが、きれいに仕上がっていました。
これらの他にも、本棚やコンソール上に飾る小物や調度品、またソファの買い替えも検討しているとのことだったので、その後五反田デザインセンター内のベイカー@東京に行って参りました。

ベイカー@東京ショールーム訪問

相変わらず面白く、アメリカ的な家具や調度品が沢山展示されており、個別に見ているだけでワクワクしてくるショールームです。

ベイカーのソファをショールームで確認

Tさまは、ショールームには小物を探しに伺ったそうですが、このベイカー社のソファをご夫妻お二人ともがとても気にって、今のものとの交換を考えているとのことでした。MAX SOFA TAFTEDという名前のソファで、実際に座ってみるとシートハイト(座面の高さ)も日本人の使い勝手が良さそうで、極度に大きいこともなく、アメリカのコロニアルな雰囲気がお好きだというTさまご夫妻が気に入ったものも良く理解できました。

ベイカーのソファの張り生地確認_ベイカー@東京

こちらの生地を張地として使いたいとのことだったので、それも実際に椅子に被せて確認させて頂きました。

ベイカー@東京の小物チェック

小物をが置かれた棚には、ちょっと棚に飾ったらスタイリッシュに見えるであろう彫刻的な置物が沢山並んでいました。Tさまが検討していらっしゃるものも幾つかあったので、実物を確認したうえで、空間にマッチしそうかどうかを後ほどご報告することになっています。