Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンションリフォームの壁下地&天井下地

千代田区一番町Y邸

千代田区一番町のホーマットシリーズマンションのリフォームプロジェクトでは、工事が順調に進んでいます。

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解体が終わったところで、まずはこのブログの読者の方であればお馴染み(?)の墨出しです。むき出しにになった床のコンクリートに、図面の指示に従った位置に墨(実際はマーカーや鉛筆)で壁や扉などの位置を原寸大で書き込む作業で、これの確認を行いました。

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事前に工事会社の方から報告を受けており、問題がない箇所については壁下地のLGS(軽量鉄骨)を立ち上げ始めて貰っています。

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一部問題があったのが、この床面から立ち上がって言う排水管とガス管のデザイン的な処理方法でした。以前、同じマンションの違う階でリフォームのお手伝いをしていたので、ある程度予想はしておりましたが、今回はガス管の立ち上がり位置がその時と違っており、キッチンの壁位置を変更することで対処することになりました。

今回はスピードで仕上げることが重要なプロジェクトでしたので、既製品のハーフユニットバス(浴槽などの腰から下がFRPで作られているセミオーダースタイルのユニットバス)を採用しています。ただし、腰から上の壁やタイルで仕上げ、扉や開口部分は特注でステンレス枠を作ってグレード感を出すように工夫しています。

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めったに見ることのない、ハーフユニットバスの裏面です。表面と打って変わって、FRP樹脂で何度も塗り重ねられることで防水処理していることが判ります。

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ここからは、先ほどまでの工事の10日ほど後の現場の様子です。
床には遮音下地材ベニヤ板が張られ、天井のLGS下地も完成し、左上の照明ボックスが埋め込まれ、中央部分にはリビングダイニングを空間的に仕切るための天井パネルの下地が作られていました。

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こちらが、その天井パネル板の下地です。大きなリビングとダイニングを仕切り線としての役割と、キッチンのレンジフードが唐突に見えることを防ぐように、パネルサイズと合せてデザインしていること、さらにはその背面に来る冷蔵庫置き場を纏めるためのデザイン的要素として考えている物です。

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こちらは僕らが良く使っている天井埋め込み型の照明ボックスの詳細です。今回は天井の仕上げ材がクロスなので、そのクロスを見切るためのスリットを入れています。

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南面したサイズの違う窓二つを纏め上げる新規の木製枠も取り付けられていました。小さい窓の縦サイズに合わせて、大きな窓側まで枠を伸ばしていますが、この枠の間にはフローリング材を貼って木製パネルとして見せるデザインを予定しています。

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こちらはキッチンの裏動線側にあるユーティリティーとパントリー、さらには家族の寝室を繋ぐ廊下へと続く箇所です。ダクト類が天井裏を通っているので、その分天井の高さを低くして処理しています。

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玄関回りの下地工事も進んでいます。左手が玄関からリビングへ続く開口で、右側のLGSの裏側が洗面所になります。

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玄関ホールとリビングの間仕切りは、大きな塗装扉とその横に光を通すガラス袖壁を予定しています。こちらは壁と天井に埋め込まれたガラス保持用の下地です。

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洗面所はトイレの移設があるので、一段(約15センチ)床レベルを上げています。右手にダブルボウルのシンクが来て、正面奥に見えているのが先ほどのハーフユニットバス、その左側に新しいトイレがレイアウトされることになっています。

 

 

 

LGS下地状態でのリフォーム現場確認事項

渋谷区タワーマンションS邸

リフォームアドバイザーとしてお手伝いしている渋谷区の高層マンションの現場も壁下地のLGS(壁や天井の下地となる軽量鉄骨材)が建ち始めて、空間の骨格が見え始めてきました。

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マンション全体で約180平米の面積があり、写真に写っているオープンキッチンを含めたリビングダイニングだけでも75平米(約46畳)ある空間は骨組み状態でも壮観です。

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同じマンション内の違う部屋にお住いのお施主さまと、リフォームを依頼しているN社の方たちとの現地確認打合せ中です。元々理系でエンジニアのお施主さまは、細かいことにまで気が付く方で、残っている壁のLGSと新規壁のLGSが違っている理由や、キッチンのレンジフードのダクト経路が、当初打合せで想定しているルートと変わっていることの説明を聞いていらっしゃいました。
床下地が張られ、LGSにボード類が張られてしまうと、壁の中身や天井裏・床下は、一気にブラックボックスになってしまうので、設計側はこの時点で最終確認しておくことが沢山あるのです。

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玄関では、既存の靴収納の箱は活かして、扉を付け替えることになっています。扉と箱の細かい収まりまでコントロールしないと、出来上がりがきれいにならないので、現場監督さんにフィラー(箱の周囲の穴埋め部材)がどこまで取り外せるかを確認して貰いました。

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先ほどの約2週間後の現場の様子です。床には遮音仕様の置床が敷かれ、石膏ボードも張られ始めていました。

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キッチン部分の配管立ち上がりです。濃茶い色管が排水管で、シンクと食洗機分の2本が来ています。黄緑色の管が給水管です。

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LDから廊下ホール越しに子供部屋を見ているアングルの写真です。インターフォンや照明、床暖房等の配線が壁際に集まっている様子が判ります。この段階でお施主さまとスイッチ、コンセント位置の最終確認をさせて頂きました。

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天井の見上げた様子ですが、水色のテープで細長い長方形が二つ描かれています。実はこちらは、天井埋め込みの照明ボックスの位置を、現場でマークしてくれたものです。ダイニングテーブルと、コンソールのレイアウトを現地で想定しながら、最終的には窓際のダイニング直上のボックスは長めに作ってもらうことになりました。

 

 

引き込み扉の枠廻りディテールの作り方

お台場K邸

港区台場の高層マンションリフォームの現場の様子です。

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床のフローリングは完全に養生されており、壁・天井共に石膏ボードやベニヤ板の下地が組み上がりつつあります。

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天井は2段に分かれており、その段差部分にはLEDの間接照明が仕込まれます。下段の天井にはオークの羽目板が張られてゆく予定です。

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引き込み扉を多用しているので、壁下地も面倒な作りになっています。壁でポケットを作って、その内部に引き戸が引き込まれるので、壁の厚みや作り方も複雑なのですが、とても良い精度で作られていました。

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こちらが引き込み扉のポケットの下地の様子です。すでに扉の吊レールの半分が固定されています。奥に見える水色の線は、コンピューター用のLAN配線です。

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リビングに面した個室の扉は、壁はタイルで仕上がり、扉の表にはカラーガラスが張られるという特殊な作りなので、建具枠も複雑な形をしています。

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コンパクトな個室には、コンセントやスイッチを入れる壁が少ないので、現場のSOUの中川さんに工夫して貰って、壁の端部にコンセントボックスを埋め込んでもらいました。幅木も壁とフラットに収まる仕様なので、枠やボードとの取り合いも細かくコントロールして貰っています。

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玄関から続く廊下側からリビングダイニングを見返した写真です。暗い共用廊下から、シックな玄関を通って、天井の高いLDKにアプローチする空間のシークエンスの出来上がりが楽しみです。

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廊下からリビング入ってすぐ横に、照明のスイッチやインターフォン、床暖房のコントローラーなどが集中するスイッチボックスを作っています。表から見るとスッキリしていますが、背面はこのように配線が絡み合っています。

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こちらはその1週間後に訪問した際の様子です。天井にはオーク羽目板が張られ、クッチーナにお願いしたキッチンがほぼ組み上がっています。

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フルオーダーでお願いしたキッチンで、2段カウンターで構成されており、LD側に面した箇所は、最終的に建築工事で仕上げて貰うことになっています。施主支給工事でお願いしたキッチンですが、SOUの中川さんも壁面ときちんと揃っているかをチェックしてくれていました。

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L字型の内部の様子です。こちらはシンプルな直線型キッチンとなっています。ガスレンジ直上のレンジフードは、普段はデザイン性や清掃性からアリアフィーナを使いますが、高層マンションの風圧を計算して貰った結果、今回は暖冷工業のレンジフードを使うことになりました。

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天井羽目板と引き込み扉と特注のスチールサッシが取りつく箇所のディテールも、きれいに作られていました。