Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

千代田区番町のヴィンテージマンションリフォームH邸がスタート

番町H邸

高級マンションが集まっている千代田区番町エリアで、ホーマットシリーズの大型ヴィンテージマンションリフォームプロジェクトがスタートします。

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当初は、まだマンションの購入が決まる前のご相談で、「どこまでリフォームをすればどのような住宅にすることができるのか?」、「そもそも、リフォームをする価値のあるマンションなのか?」、「目に見えない部分で不安な要素はどんな箇所で、どのような可能性があるのか?」という質問・疑問に対して、有料での現地調査をさせて頂きました。

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まずは、Hさまから不動産仲介業者さん経由で管理組合にコンタクトを取って貰い、管理事務所に保管してある竣工時の青焼き図面を一通りチェックさせて頂きました。この図面は給排水配管図ですが、排水管を始めすべての設備配管が床スラブ下(下の階の天井裏)を通っていることが判りました。

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こちらの住戸の天井裏を覗いた状況です。上階住戸の給水・給湯・排水の設備管が通っていることが確認できたので、先ほどの図面の記載情報がほぼ正しいことが判りました。赤字コメントは、後日お施主さまに提出したレポート用に写真に書き込んだものです。

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こちらはトイレ横の掃除口から覗きこんだ床下のトラップの様子です。この写真ではトラップが鋳鉄製で錆が進行している様子が伺えましたが、トラップ以降の排水管がVP管でその状況は問題がなさそうなことも判りました。

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ガス給湯器の下の状況です。ガス管は白ガス管で、給水と給湯管のスラブ上配管はPV管である事が判りました。

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建設当時には100平米毎の防火区画が要求されていた住宅ですが、その後防火区画は200平米に緩和されているので、区画壁を撤去できるかが大きな問題の一つでしたが、天井裏を覗いたところ、写真のように区画壁を貫通する配線孔から壁が乾式の耐火二重壁で作られており、撤去することが可能なことも判りました。因みに、区画の撤去については、事前に管理組合に問い合わせをして、他の住居でも撤去していることは判っていました。
以上を纏めたレポートを提出して、価格についてもコメントさせて貰ったところ、その1週間後にご購入を決めたとの連絡を頂いたので、正式にリフォーム計画がスタートすることになりました。

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改めて現地を拝見した際の既存の様子です。こちらはキッチンですが、小さなお子さまが3人いらっしゃるので、この閉じたキッチンからではリビングダイニングの様子が見えないので、上手くオープンキッチンにしたいとのご要望がありました。

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メインの浴室ですが、洋風スタイルで洗い場もなく、トイレも隣接しているので、それぞれを別々に使えるように再レイアウトして欲しいとのご依頼も頂きました。

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広すぎる玄関ホールには、もっと収納を作って、沓脱ラインをきちんと設定して欲しいとのリクエストも頂きました。

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こちらは後日、排水管の位置や排気ダクトの位置まで考えた上で、キッチンをオープンにするプランを作って、そのイメージをスケッチしたものです。このスケッチをご覧になったHさまご夫妻は、是非これを基本とした内容でリフォーム計画を進めてほしいと仰ってくださいました。

 

 

光沢素材と艶消し素材を組み合わせたインテリア

南平台N邸

一番の難工事が予想されたダイニングの天井と壁のカラーガラス張りが終わった南平台N邸の現場です。

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特注のスティールサッシにもガラスが入り、突板張りと白大理石張りの壁と相まって、スタイリッシュな空間に仕上がりつつあります。

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こちらが同じ空間をリビング側から見た写真です。イタリア・リーバ社の長さ3mのテーブルと2.8mのベンチも運びこまれ、スケール感も掴めるようになりました。ダイニングの照明も取りき、光沢のある材料と艶消しの材料のコントラストも出て、大人っぽい空間のイメージが伝わるのではないでしょうか?

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リビングの壁の造作家具もきれいに組み立てられました。既存の柱を取り込むようにデザインしていますが、家具屋さんたちの確かな腕で、柱の存在を忘れてしまうようにきれいに出来上がっていました。

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カラーガラスを奥の壁に張った来客用トイレもほぼ仕上がっています。既存の床大理石に色味を合せたカラーガラスと塗装壁、そこにチーク突板とマロンブラウンの大理石を合せた造作家具という難しい組み合わせです。

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玄関ホールには、途中でデザイン変更して、追加でお願いした姿見の鏡も無事取りつきました。お施主様からは、どこかの家具の扉の背面でも良いと言われましたが、扉の開き勝手が皆逆だったので、廊下壁のボードを一枚剥がしてもらい、このように壁とフラットに姿見を埋め込んでもらいました。

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かたや寝室側ではモルテーニのウォークインクローゼット家具の組み立てが始まっていました。

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これだけ大量の棚や引き出しが、わずか4畳ほどのウォークイン・クローゼット内に組み込まれるのですから、その密度も想像できるのではないでしょうか…。

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両側にクローゼット家具を組み込んでも中央部分にそれなりのスペースが生じるので、この写真のような両側から使える引き出し家具を特注で作ってもらいました。モルテーニの場合は、すべての材料がイタリアから輸入となってしまうので、代理店でもあるアルフレックスにお願いして、上面がガラス仕上げで、両側から引き出せる、腕時計やサングラスなどの小物をしまえる引き出しを作ってもらいました。

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竣工・お引き渡しに向けて大忙しの現場ですが、リビングの84インチのテレビ(BRAVIA/SONY)が運び込まれました。こちらはお施主さまに電気屋さんで別途発注して頂いたものですが、i-PadでテレビやDVDだけでなく、照明や窓際のブラインドまで一括でコントロールするシステムを組み込むので、その準備のために早めに搬入取り付けをしてもらうことになりました。

 

 

カラーガラスを使ったインテリア

南平台N邸

南平台N邸のダイニング天井のカラーガラス張り工事の様子です。

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こちらのお宅の空間的見せ場になる予定の箇所、天井のカラーガラス張り工事が始まっています。

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このように手前のダイニング部分から、スチールサッシの向こうの廊下まで、天井一面がガラス張りとなってゆきます。

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高級ホテルのラウンジのように、シックで大人っぽくて、それでいてリッチに感じる空間をと考えて、このカラーガラス張りの天井のアイデアが生まれてきました。ただ、施工面での難しさがあったので、ディテールや取り付け方法についても施工側と何度も打ち合わせをして決めて行きました。

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一般にカラーガラスは鏡などと同じように、強力な両面テープと接着剤を使って張ります。両面テープは短期的な接着に、接着剤は長期的な接着に役に立つ仕組みとなっています。ただ、天井にガラスを張る場合は、少しの歪みも反射で目立ってくるので、写真のような押さえ金物を使って、両面テープは緩衝材としてののみ使い、この金物と接着剤でフラットになるように取り付けてもらいました。

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こちらがガラスの間を通っている照明ボックス内にカメラを突っ込んで撮影した写真です。職人さんがガラス押さえの金物をビス止めしています。

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天井に絡む形で、廊下の突き当たりとダイニングの一部の壁にも、違った色のカラーガラスが張られます。こちらは基本に忠実な形で、両面テープと接着剤の併用です。

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天井のカラーガラスが張り終わった様子です。まだ照明が入っていない段階で、このアングルでは迫力が伝わりにくいでしょうが、通常の住宅空間で見ることのできない、特殊な空間に仕上がりつつあります。

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同時進行で、リビングの飾り棚も取り付けが進んでいます。柱型を避けるように左右に箱を入れて、柱型部分にも左右を繋げるダミーの扉を取り付ける予定です。

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反対側の壁には、テレビ用のニッチが出来上がりつつあります。下部の収納棚にもカラーガラスを張った扉が付くことになっています。