Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

コーディネートした家具&アートの搬入・据付け@神戸M邸

神戸M邸

昨年末にお引渡しを終えていた神戸M邸に、 家具等搬入と据え付け、アートや置物などのスタイリングに伺って参りました。

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それぞれ、沢山の家具や備品の候補から吟味してバランスを調整して、特注でお願 いしたものや、外国からの輸入品もあるので、1日での搬入調整ができず、二日間に渡っての作業となってしまいました。始めの頃は、余裕で箱をアンパックしながら、組み立てていましたが…。

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徐々に荷物が増えてくると同時に、箱や発泡スチロールのゴミも増えてきて、バタバタとし出しました。

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最初に届いた大物家具はAIDEC社のソファーCORでした。写真では判り難いのですが、ベースとなる部分とクッション部分の色をツートーンにお願いしていたので、出来上がりを楽しみにしていたものの一つでした。

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こちらは、食卓に置くダイニングチェアーです。アルフレックス社のJKというイスの木部を特注色で床フローリングに合わせて作って貰ったものです。

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次の大物は主寝室のベッドでした。あまり大きくない寝室で、ベッド下を掃除するのが困難なので、自動掃除ロボのルンバが通れる高さを確保するために、ベッド脚下寸法が9センチ以上あるものを探して、日本ベッドの製品となりました。木部の色は、ヘッドボードに使っているウォールナットと合せるために特注色でお願いしています。

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ベッドマットは、寝心地を重視して、シモンズの高級マットをお願いしました。

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ベッドサイドのテーブルと照明が入った後で、アートを掛ける位置をスタイリング致しました。二日間とも越智工務店の金平さんにフルに手伝って頂き、仕事をスムーズに進めることができました。ありがとうございます。

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アートは洗面とダイニングにもお願いしていたので、こちらも位置を指定して金平さんに撮り付けて貰いました。

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洗面とダイニングは同じ作家の白をベースとしたシリーズ作品です。Mさまの奥さまとお嬢様が気に入って下さったアート作品です。

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二日目には、リビングのラグが届きました。もっとも日数が掛かったのがこの敷物でした。マナ・トレーディングにお願いして特別なサイズでアンティーク風に織ってもらったものです。ザックリした風合いに見えますが、脚心地も良く、とても素晴らしい出来でした。

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ラグの下に滑り止めシートを敷く前に、ソファー横の照明が届きました。FUGAS社にフランスから取り寄せて貰ったもので、わざわざ社長の川合征一郎さんが、東京から車で持ってきて、搬入と設置をしてくれました。

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ある程度ゴミを捨てて、現場をきれいにした後で、リネン類をセットしてゆきました。ベッドリネン、羽毛掛け布団、ピローなどは信頼するインテリア事務所でもあるスイートインスタイルの橘田さんとサルメラさんにチョイスして貰ったものです。

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書斎の飾り棚にも、幾つかのアート小物を選ばせて頂きました。ここはこれからMさまご夫妻が旅行する度に、なにか思い出に残るようなものを探して、飾っていってくれることを願っています。130408koubeM_kaguhannnyu-12

徐々に空間にお施主様の ライフスタイルが反映されてゆくようで、僕らにとってもとても楽しく充実した2日間になりました。貴重な機会を作って下さったこと、感謝しております!

空間の分節化とディテール@代官山T邸リフォーム

代官山T邸

いよいよ工事着工まで秒読みの代官山T邸では、施工をお願いすることになったリフォームキューの 現場監督・岩波さんと家具屋さんとで、建具や造作家具、壁の取り合いなどのディテールの打ち合わせを行いました。

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造作家具屋さんは初めてお願いすることになる業者さんなので、これまでに僕らが設計してきた高級マンションリフォームの事例のポートフォリオを見せて、デザインの方向性をまずは理解して貰いました。

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リビングのコーナーに作るワンちゃんのケージの取り合いや、寝室に設置する壁からの片持ち書斎机の補強の仕方等の難しい部分は、こちらの考えをスケッチで表現しながら、実際の取付け方法や寸法などを一緒に考えて貰いました。

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図面だけのやり取りだと、どうしても設計の意図も伝わらず、何を重視しているのかが判って貰いにくいので、このように現場で関係者が集まって、顔を見ながら打合せをすることを重視しています。

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既存はまっ白い壁が玄関からリビング、廊 下から寝室へとダラダラと続いていましたが、今回のリフォームでは、空間を分節化して、明暗や壁色、家具などで区切って行く予定なので、どのように空間の 見切りを作るかを現場で詰めてきました。このスケッチが玄関から廊下へと曲がるコーナーの巾木の納まりです。

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玄関ホールからリビングへの扉は、枠のないフロアヒンジとしています。向かって右側には透明ガラスが入り、左側にはほぼ対称な形で鏡を張ることとしていますが、その取り合いを打合せさせて貰いました。

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打ち合わせの後は、お施主様に以前から指摘されていた、床石の傷のチェックを全員で行いました。ヒビやカケがどのような状態で入っているか、補修するのか交換するのかの範囲を皆で検討致しました。

 

オーダーキッチン屋さんの活用の仕方

品川区Y邸

比較的ゆっくりなスピードで進んできた品川区Y邸のリフォームですが、重要な要素であるキッチンの中身を詰めるために、Y様と一緒にオーダーキッチンのリブコンテツと幾度かの打ち合わせを行って参りました。

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初回の訪問では、ショールーム内にあるキッチンサンプルを全て全て見学させて貰い、それぞれの特徴を説明して貰いました。こちらにいらっしゃるお客様が、どのキッチンに興味を持っているかや、事例が掲載された雑誌なども見せて貰い、どのようなことが得意で苦手な部分はどんな所なのかを、じっくり説明して貰いました。

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実際には、もう1社ショールームを見学し、展示キッチンの内容や担当者との相性で、後日こちらのリブコンテンツが良いだろうと仮決定させて貰いました。一般的には、とにかく数社を訪問して、見積りを比較して一番安いところで決定という流れが多いようですが、ショールームに展示しているキッチンが、そのオーダーキッチン屋さんのフィロソフィー(考え方)を一番現しているのですから、どんな特徴があるのかをじっくり見極める必要があり、さらにどのような担当者がついて、どこまで一緒に考えてくれるかも大きなポイントだと考えています。

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また、今回のように設計者が既に決まっているなかでオーダーキッチンをお願いする場合は、お施主さまと設計者がその段階までに詰めてきたリフォーム内容をどこまで理解してくれるかを見極めることも重要です。キッチンだけ単独での使い勝手だけでなく、洗濯時の動線がどうなるか、またリビングから見えるキッチンのデザイン、他の造作家具とのバランスなども説明したうえで、キッチンの提案をして貰います。

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2回目の打ち合わせはリフォームする現地で、現在のキッチンを見て貰いながらでした。まず今のキッチンをどのように使っているのか、便利で気に入っている点や不満に思っている点などをYさまにザックバランに説明して頂きました。現地を見ての打ち合わせは、それに合わせてお施主様が過度にキッチンをきれいに見せようと、きれいにお掃除し過ぎてしまうことも多いのですが、そうなると既存キッチンの問題点が見えにくくなってしまうので、嫌がっていたYさまを説得して、なるべく普段使いのキッチンの様子を拝見させて頂きました。設備関係では、排水管の配管ルートやダクトの排気ルート、電源の通し方なども一通り見て貰いました。
この段階で担当者とお施主様がどこまでフランクに調理や片付けの問題を話ができるかも、オーダーキッチン屋さんを選ぶ際の大きなポイントになります。因みに、この時は男性の設計者がいると本音が聞けなくなる可能性もあったので僕は不参加とし、リブコンテンツの田原さんと大江さん、うちのスタッフの竹田さんで女性だけの打ち合わせと致しました。

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3回目の打合せは、2週間後で再びショールームに戻りました。ここまでの調査・ヒアリングで作って貰ったキッチンプランを見せて貰いながら、キッチン提案側が気が付いた使い勝手の問題点や、新しいキッチンの魅力を語って貰いました。同時に、概算での見 積りを作って貰い、どの部分に費用が掛かりそうかも説明して貰いました。ここで、どこまで細かく考えてくれたのかも重要なポイントなります。

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シンク横に置く水切りラック、シンク内の洗い桶、洗剤やスポンジの置き方、更にまな板の収納場所については、特に時間を掛けて話し合いました。上記のスケッチは実際にどのように調理道具が並ぶかを、スタッフの竹田さんが判りやすく説明したもので。内部の収納システムなどは、写真やイラスト入りでとても分かりやすく表現されていたので、Yさまも良く理解できたと喜んでいらっしゃいました。

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キッチンカウンターの高さや、通路の巾は何度も確認して貰います。ここでは、打合せテーブルを移動させて貰い、キッチンの通路幅をショールーム内に再現して、振り返っての使い勝手や引き出しや扉を開けた際の巾の感覚を確かめて頂きました。カウンター高さは90センチ(因みに実際の使い勝手からではなく、計算で算出する方法もあります。身長÷2+5センチという計算式です)で、通路幅は85センチ(こちらは使い勝手だけでなく、設計側で考えているリフォーム内容との絡みもあります)と決まりました。

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4度目の打合せは材料の決定です。見積り内容も各打合せの度の増減で大分詰まってきたので、目標費用を見ながら、仕上げに見えてくるカウンター材や面材の素材と色味を決めてゆきます。この時点でフローリングはリフォーム計画から決まっているので、これをベースとして、リビング側に面した2段カウンターの上は、タモ集成材で白拭き取りにウレタン仕上げとなりました。二の字カウンターなので、シンク側は軽やかに見えるようベージュトーン、ガスレンジ側は黒い機器とマッチするように濃灰トーンの人工大理石となりました。一番議論が盛んになったのが扉の面材でしたが、費用面から天然の突板は諦めて、メラミンの中から白と軽やかに見える木目を選ぶこととなりました。次回の打ち合わせはTOTOやリンナイなどの設備系ショールームで、水栓やガスレンジ、レンジフードなどの使い勝手を確認して頂くこととなっています。

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