Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作家具の工場見学

関西I邸

関西I邸の工事をお願いしているK工務店から、来週以降組立てを開始する造作家具が自社工場に揃ってきたとの報告を受けて、検査を兼ねて工場見学に行って参りました。

関西I邸_造作家具の工場見学

元々が専業の造作家具工場だったというだけあって、大きな敷地に鉄骨の建物と倉庫が並ぶ中、関西I邸の箱もの家具が並べられていました。

関西I邸_造作家具の工場見学

色々な素材や色味の造作家具とオーダーの建具を組み立てて空間を作るのがカガミ建築計画の得意な手法なので、造作家具の量はかなり多くなります。

関西I邸_造作家具の工場見学

同じ家具の中でも、部位によって色味やツヤの指定が違うので、初めてのお付き合いの造作家具屋さんだと間違えてしまうことが多いのですが、今回は工務店自体が造作家具屋さんでもあるので、ザッとチェックしたところ間違いはなさそうでした。

造作家具の図面打合せ@関西I邸

工場で箱もの家具を作り始める前の段階から、このような施工図とそのチェックを3度ほど繰り返して、更に特に間違えやすそうな部分には赤丸を付けて打ち合わせをしてきたことで、ミスを最小限にしているのですが。

関西I邸_造作家具の工場見学

箱ものには、棚板もつきもので、メラミンでも色違いや、オープン棚では塗装仕上げの棚板もあるので、相当な量になります。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

さらに今回は特注の建具(扉)もK工務店酸にお願いしています。先日のブログ記事で一旦現場に収まっている建具をお見せしましたが、一度現場の枠に仮付けしてサイズ等で問題が無いことを確認してから、工場に持ち帰って塗装をしてくれているのです。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

引き戸の特注金物は2枚共通していますが、右側の扉はフラット仕様なのに対して、左側の扉は装飾用に溝を掘っています。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

こちらは装飾扉で鎌錠付きの建具です。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

玄関ホールからLDへの扉は、人工レザー張りとなっているので、色味も変わってきます。

冷蔵庫横のあの変則的な2連取っ手の建具もきちんと塗装されていました。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

因みに塗装も自社工場で塗っているとのことで、塗装工場部分も見学させて貰いました。鏡面塗装までの精度は出せないそうですが、7分ツヤあり位までは自社工場で塗ることができるとのことでした。

関西I邸_造作家具の工場見学

さらに、テレビ下のAV収納のカラーガラス扉の細工や…、

関西I邸_造作家具の工場見学

元々お客さまが漏っていらしたウォールナットのテーブルをアレンジしてサイズアップした大テーブルを作る作業もお願いしているので…、

関西I邸_造作家具の工場見学

ウォールナット材と組み合わせる御影石の部品も確認させて貰いました。

ジュリアン・チチェスターの装飾鏡

代々木上原I邸

代々木上原I邸の装飾鏡にトラブルが発生しました。最終的には関係者のご尽力で解決しておりますが、まずはその顛末をブログに書いておきます。

マントルピースと装飾鏡とパネリングウォール

チェズニー(Chesney)のマントルピース上の装飾鏡はインテリアのセレクトショップのオーセンテリア経由でお願いした、イギリスのジュリアン・チチェスターのものです。因みにチェズニーのマントルピースもオーセンテリアさんにお世話になりました。

julian Ch

カタログ掲載の正規品のサイズは1070×1070ですが、それだと上図の右下サイズで明らかに大きすぎるので、オーセンテリアけーゆで900×900にビスポーク(特注)でお願いしました。

こちらは900角に拡大コピーしたものを台紙に張ったモックアップを現地に持って行った際の写真です。このようにして慎重にオーダーして届いた装飾鏡は当然無傷でとてもきれいで、Iさまも喜んで下さっていたのですが…。

納品後半年ほど経ったところでIさまからご連絡があり、鏡に割れがあるとのことでした。

装飾鏡の割れ

鏡部分に何カ所かの割れがあるとのことでした。すぐに弊社担当スタッフの神崎さんがIさまのお宅に伺ったところ、大小4つほどの割れのラインが入っているとのことでした。オーセンテリアの石黒社長にも現地に来て見て貰い、イギリス本国にも確認をしてみたところ、木背フレームと鏡の間に余裕がすくなく、湿度が高い日本の気候で木製フレームが伸び縮みしたことで鏡に負荷が掛かってヒビが入ったのではとのこと、交換して貰うことになりました。

ただ、単純に交換すると言っても、同じ作り方では同じようなトラブルが発生してしまうので、作り直して貰うに際して、オーセンテリア石黒さんと弊社の神崎さんで打ち合わせをした内容メモがこちらです(お客さまのIさまにもご説明するためのメモでもあります)。

Julian Chichesterの装飾ミラー

大変ながらくIさまには待って頂きましたが、ようやくイギリスから代替品が届きました。

ジュリアン・チチェスターのミラーの交換

右に置かれているものが割れた鏡で、左側が新しく届いた装飾鏡です。当たり前ながらそっくりですね!

本国との調整で、全ての目地部分をカットするとラインがガタガタになってグレード感が乏しくなってしまうとのこと、一番膨張リスクのある個所の鏡に最低限のカットを入れることで収めることとなりました。ここまでご迷惑をお掛けしましたが、このようにきれいで、エレガントな鏡が戻ってきたことで、Iさまも喜んで下さっています。石黒さまも粘り強く対応して下さったこと、本当に感謝しております。

星型リベット付きの装飾鏡

乃木坂U邸

乃木坂U邸のリビングダイニングのマントルピース上に、星型のリベットを取り付けた装飾鏡を取り付けました。

装飾鏡のスタッズ

洋書のインテリア本や雑誌では、このような鏡に取り付ける装飾は珍しくありませんが、日本では鏡の専門会社に聞いても、探しても見つけることができず、仕方がなくオーダーで作ることになりました。

装飾鏡のスタッズ

こちらが洋書から見つけた鏡の装飾イメージです。鏡自体も少し錆びていて、独特の雰囲気がありますね。

装飾鏡のスタッズ

鏡の専門会社へのヒアリングやインターネットで色々と調べた結果、このための特別な建築部材は無いようで、ジーンズや洋服に取り付ける、リベットやスタッズで良いものを探せば良さそうなことが分かってきました。因みに、この写真の部材は共に星型ですが、左側が8ポイントスター(8点星)、右側が12ポイントスター(12点星)と呼ばれる形だそうです。

装飾鏡用リベット

こちらがネットで実際に購入してみたリベットたちです。お客さまのUさまに見てい頂いて、指さしている小柄で可愛い8点星を使ってみることになりました。

装飾鏡の下地

フレームは鏡に取り付けるのではなく、みはしのモールディング部材を四角い枠状に組み白く塗装し、その中に割り付けた鏡を取り付けて貰いました。

装飾鏡のスタッズ

洋書のイメージ写真のように、鏡同士の間を1ミリ隙間を開けて、その奥を黒く塗装しておいて貰い…、

装飾鏡のスタッズ

事前にリベットに取付け用の棒をハンダ付けして貰ったものを接着剤を付けて交点に差し込んで貰いました。

装飾鏡のスタッズ

本大理石製のマントルピースの存在感と比べると、星が小さすぎたのかも知れませんが、お客さまのUさまご夫妻はとても気に入ってくださいました。

装飾鏡のリベット

ちょっとした工夫と努力で、素敵な装飾鏡ができたこと、僕ら設計側もちょっと嬉しくなりました。