Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

オーダーユニットバス大解剖

渋谷R邸

ユニットバスではありながら、在来工法浴室のように浴槽もシャワーも水栓も自由に選べて、ステンレス枠に強化ガラスのシャープでホテルライクなデザイン、そして壁仕上げ材もほぼ自由に選べるオーダーユニットバスの作りを徹底解剖します。

オーダーユニットバス大解剖

渋谷R邸の現場にヴェルデにお願いした大型オーダーユニットバスが入ってきました。手前に見えているのは壁下地のLGSで、その奥に少し床から浮いて置かれているものがオーダーユニットバス(壁の裏側)です。因みにヴェルデでは、カスタムメイドシステムバスという名称で販売しています。

オーダーユニットバス大解剖

オーダーユニットバスは、床を構成するFRP製の床防水パンと、壁パネルと天井パネル、そして出入り口のサッシ部分から成り立っています。アップで見ているこちらの写真は、床防水パンの接合部の裏側です。

オーダーユニットバス大解剖

通常サイズのユニットバスであれば、床防水パンは一枚で作ってくるのですが、今回のように大型の場合は、浴槽が載る部分と洗い場のパンに2分割されています。防水パンの下を覗き込むと、排水管が接続されているのが分かります。

オーダーユニットバス大解剖

ベージュ色の筒状の物が排水トラップで、そこから灰色の管が繋がっているのがVP管の排水管となります。手前で床設置面に接着されているものがパンの脚です。

オーダーユニットバス大解剖

浴室内側から見た防水パンの全容です。

オーダーユニットバス大解剖

浴槽を設置する側のパンがこちらです。小さい穴が幾つか空いている個所は、パン下の脚の高さを上から調節するねじ穴となっています。大きなキャプ付きの丸い穴は浴槽の排水への接続口で、四角い穴は配管接続及び位置確認・点検口を兼ねた窓穴となっています。

オーダーユニットバス大解剖

手前の防水パンが洗い場となる個所です。養生されており今は見えませんが、防水パンの洗い場には既に指定した床タイルが指定した勾配で張られた状態で現場に届きます。

オーダーユニットバス大解剖

2枚の防水パンの接合部分はこのようになっています。お互いが嚙み合う形で接続され、最終的には上からアルミのキャップをかぶせて念入りにシールで固定されています。朱色のダンベルのようなものは、タイル仕上げの壁パネルを取り扱う際に使う吸盤付き取っ手です。

オーダーユニットバス大解剖

防水パンの接合部の反対側の様子です。パンの壁側上端を良く見ると、アルミのランナーが付いていて、壁パネルと噛み合うように設計されています。

オーダーユニットバス大解剖

今回は洗面側からの入り口と隣り合って、サウナ室の出入り口があるので、ステンレス枠と強化ガラスの入り口サッシが2セット付く作りとなっています。サウナ使用時には浴槽に冷たい水を満々に入れて、ザブンと飛び込む際に水が大量にあふれ出るので、出入り口側にはグリル付きの排水口を切っています。パンの立上り部分には既に壁と同じタイルが張りつけられています。

洗面側から見た防水パンと壁パネルの取り合いです。

オーダーユニットバス大解剖

こちらが現場に運び込まれている壁パネルです。今回は60センチ角のタイルを使っているので、壁パネルは幅60センチの縦長のパネルとなっていますが、最大で90センチのパネルまで作ることができるそうです。横長のパネルになると接合部からの水漏れの可能性があるので、タイル目地も縦に通る形となるのがオーダーユニットバスのあまり知られていない特徴の一つなのです(ただ、特殊な作り方で(当然費用も高くなります…)横長のタイルや横型のパネルを作ることも可能ではあります)。

オーダーユニットバス大解剖

レーザーで垂直を合わせながら、壁パネルを立てていきます。壁後ろにはスペーサーを挟んで倒れないように工夫されていますね。在来工法浴室では、壁タイルは防水下地を作った躯体やコンクリートブロック壁に直接張ります。裏までしっかり重量がある質感が魅力ですが、寒さ対策で考えると、壁パネル裏に空気層があるオーダーユニットバスの方が温かいというメリットもあるのです。

オーダーユニットバス大解剖

あれよあれよという間に、三枚の壁パネルが張られました。因みに一番最初の写真を見返して貰うと、この壁の反対側の壁の裏側が見えています。アルミのフレームに耐久性・対候性のあるフレキシブルボード(通称フレキ)を張り、そこにタイルを圧着して壁パネルを作っています。浴室内側から金物類(シャンプーホルダ―や手摺り)を取り付ける箇所にはビス固定用のベニヤ板が張られています。

オーダーユニットバス大解剖

直線部分では壁パネル同士はこのように接合され…、

オーダーユニットバス大解剖

コーナーでのパネル、そして防水パントの納まりはこのようになっています(少しピンボケですが)。

オーダーユニットバス大解剖

浴室の隣室に立て掛けられているこちらの部材もオーダーユニットバスの部品です。手前で横になっているのが洗面から浴室への出入り口のステンレスサッシ枠で、奥の四角や丸穴が空いているものが天井パネル(裏面)です。

オーダーユニットバス大解剖

ステンレスサッシ枠は、鏡面仕上げの枠に傷が入らないように白いテープで養生されています。

オーダーユニットバス大解剖

断面も複雑な形状に見えますが、一番重要なのは防水パンとの接合部の欠き込み部となります。ここが防水パンのランナーとガチっと噛み合って、水を漏らさないのです。

オーダーユニットバス大解剖

二つのステンレス枠が取り付けられた様子です。浴室内側からの写真で、左側が洗面で、右側がサウナとなります。

オーダーユニットバス大解剖

こちらは浴槽の上にかぶせるタイル仕上げの平板部(通称:デッキ)を裏側から覗いた様子です。上部に人の体重が掛かるので、溶接された鉄角パイプで頑丈に作られています。

オーダーユニットバス大解剖

デッキ材の端部にもアルミのチャンネルが付いており、壁パネルとがっちり組み上がって、水を内部に入れない構造となっているのです。

オーダーユニットバス大解剖

先ほどの天井パネルを裏返したのがこちらの写真です。青い養生シートが張られていますが、仕上げはツルツルの白い面となっています。四角い大きな穴は、浴室暖房乾燥機とそのメンテナンスのための点検口で、大きな丸い穴は音楽を聴くスピーカー、小さい丸い穴はダウンライト用の開口となっています。

オーダーユニットバス大解剖

一通り組み上がったオーダーユニット浴室を洗面側から覗いた写真です。高層マンションのビューを楽しむために、PSから一番遠い窓際に浴室を設置したので、当初の設計通り、洗面床から浴室床が約10センチほど上がっています。

オーダーユニットバス大解剖

2連のステンレス枠が合体したサッシ枠の見上げです。左側が洗面で、右側のベニヤ板下地の部分がサウナになります。

オーダーユニットバス大解剖

洗面側の天井は、天井裏のエアコンのことで浴室より天井が落ちています。サウナも天井が高いと、熱気が上に逃げてしまうので、わざと天井を落としています。まだ仕上がっていないので殺風景ですが、施工をお願いしているプレステージプランニングの松永さんと弊社担当の前田君が立っているのがサウナ室です。

オーダーユニットバス大解剖

こちらはサウナ側から浴室のサッシ枠と天井を見上げた写真です。

オーダーユニットバス大解剖

水栓やシャワー、シャンプーラックが付いた浴室壁です。こちら側は梁と干渉するので、天井に一部梁型が作られています。

オーダーユニットバス大解剖

組み上がった天井です。当初の天井パネル割だと、浴室暖房乾燥機の直上にダクトがあり干渉してしまうことが分かったので、急遽パネルを作り変えて貰いました。

オーダーユニットバス大解剖

既存の窓とデッキの取り合い部です。タイル一枚分だけ枠を取り付けて、オーバーフローした水がそのまま窓サッシに流れ込むことを少しでも防ぐようにすることができました。これからサウナ部分を大工造作で作ってゆくので、完成はもうしばらくお待ちください。
因みに今回のオーダーユニットバスは色々な理由が重なってヴェルデの立花さんにお願いしましたが、弊社では東京バススタイルや、バンクチュール(ニッコウ)などにお願いすることがあります。それぞれ得意とする範疇が少しずつ違いますが、皆素晴らしい会社です。オーダーユニットバスは価格が高いことが玉にキズですが、在来工法よりも防水性能が高く、通常のユニットバスでは不可能なデザイン性を実現することができる、素晴らしい工法です。

クロス張り@湘南T邸

湘南T邸

リゾートマンションリフォームの湘南T邸の現場は、ほぼ最終工程のクロス張りに入っております。

リビングの緑色の装飾壁

グリーンの装飾壁が印象的なリビングは、下がり天井と壁3面がクロス張りとなります。

リビングの緑色の装飾壁

下がり天井の白いクロスは張られていますが、まだ3面の壁のクロスはこれからです。グレーとライトグリーンの壁紙で張り分けることになっています。

クロス屋さん

糊付けしたクロスをロールにしたものを運び込んで、クロス張りが始まります。

ビニールクロス張り

それぞれのロールには、数字が書かれていますが、それは壁の長さを示しています。

書斎の室内窓

リビング隣の書斎のグレーのクロスを張ってゆきます。この状態が…、

書斎のクロス張り

30分ほどで室内クロスが張り上がってゆきます。

書斎造作本棚

書斎の窓と反対側の壁にはビッタリ造作の本棚が入り、廊下からリビングへの特注の扉が仮置きされていました。

ご主人の寝室の黄色いクロス張り

ガラリと雰囲気が変わったご主人さまの寝室では、黄色いクロスを張って貰っています。木部の塗装も他の部屋とは変わって濃い目に染色されています。

玄関ホール正面のタイル張り壁

玄関の天井は白いクロスです。クロス職人さんが4人入って、どんどん壁や天井が仕上がっていきます。

ダイニングのベンチ

一番奥のダイニングも白いクロスはおわり、ベンチ上のアクセントクロス張りを待つのみとなっています。

ダイニング天井

ダイニングの折り上げ天井は白く染色された木板ばりで仕上がっています。

リビングの緑色の装飾壁と廊下

リビングから玄関へと繋がる廊下も左側の白いクロスは施工済み、右側は造作の腰壁までは出来ていますが、グレーのクロス張り待ちです。

廊下の腰壁

木目を少し残した塗装の腰壁です。

クラシカルデザインなキッチン

キッチンは吊戸棚もついて、タイルも張られて、ほぼ完成形です。

キッチン詳細

タイルは一部にライン状のアクセントタイルを入れています。タイル割も前田君と小形さんでピタったり納めてくれています。

洗面脱衣室

大きな洗面脱衣は、白クロス張りのみで、まだアクセントタイルは張られていません…。奥で小形さんと前田君が話しているのが…、

洗面脱衣室横の小上がり

小上がりになるスペースです。全体に洋風なデザインのT邸ですが、浴室とこの小上がりだけは和風テイストで、水に濡れても大丈夫なボロンを畳に見立てて、周囲は無塗装のヒノキ材で仕上げる予定です。小上がりの下は、大きな引き出し収納となります。

ダイニングのペンダント照明

このタイミングでお客さまのTさまが、直接発注でご自宅に届いた米国ヴィジュアルコンフォート社のペンダント照明を持って来てくれたので、その場で開梱して…、

ダイングのペンダント照明高さ決め

ペンダント照明の位置と、高さをTさまに見て決めて頂きました。通常はダイニングテーブル上から、ペンダントう照明下まで70~80センチにすることが多いのですが、ベンチと反対側の壁にテレビを設置する予定で、テレビに照明が掛からない高さにということで、少し高めの100センチにすることとなりました。

リビングの緑色の装飾壁

ここまで仕上がってきたリビングを見て、Tさまもとても喜んで下さいました!

関西でのイタリアハイブランドのソファ探し

関西I邸

関西I邸のお客さま、東京で僕らがお手伝いしている空間の雰囲気がお好きでご依頼があった方ですので、打ち合わせの回数は距離のことがあって少な目ではありますが、打ち合わせのスタイルは東京での打ち合わせとほぼ同じスタイルで進めています。つまり、A.間取りの打合せと、B.家具ショールーム巡り、C.キッチン浴室等の設備打合せを順番に回してゆくスタイルです。

ということで、関西エリアでの家具ショールーム巡りをさせて頂きました。まず伺ったのは、大阪アクタスの2階にあるポリフォームのショールームです。

東京でポリフォルムを見ようとすると、新宿アクタスに行くことになり、イタリアハイブランド家具が集まっている青山から遠く感じますが、大阪では、心斎橋エリアにアクタスとアルフレックスがあるので、一度の打ち合わせでポリフォルムとモルテーニを見ることができました。

ポリフォルムでは、モンドリアンのソファを中心に見て、ダイニングチェアも集めて見せて貰いました。

ソファは座り心地よりもサイズ感や張地のことが気になるようでしたが、ダイニングチェアはやはり座り心地で、それぞれの椅子にご夫妻座って頂きました。

一通りの家具を体感した後は、アクタス大阪の弊社担当の村山さんが、そもそもポリフォルムはどういった位置づけにあるイタリア家具ブランドから説明をして下さいました。

ソファーのレザーの張地や…、

家具の塗装のサンプルを見せて貰いました。

次に伺ったのはアルフレックスの入ったビルの上階にあるモルテーニのショールームです。こちらはワンルーム全てモルテーニの世界観で纏めているので、お客さまのテンションも上がったようです。

渋谷区Q邸でも採用して頂いたラウンジチェアのケンジントンは、Iさまご夫妻にも好評でした!

ショールームの一番奥にあるコーナーが、ちょうど関西I邸のリビングエリアとほぼ似たサイズで、置きたいソファのレイアウトやテレビの位置関係も参考になるので、こちらでソファを体感しながら打ち合わせもさせて頂きました。

50分の1の図面上に、スケールを合わせた部品シートを置いてレイアウトを確かめることできるセットをショールーム側で用意してくれているので…、

早速それをお借りしてレイアウト検討もさせて貰いました。

モルテーニの後には、折角なのでアルフレックスのショールームも拝見させて頂きましたが…、

残念ながらIさまご夫妻の琴線に触れるような家具は見つかりませんでした。

この日は少し時間に余裕があったので、フローリングブランドのIOCの大阪ショールームも事前予約して、拝見させて貰いました。

IOCのオークを中心としたフローリングを並べて貰いましたが、色味としては白ふき取りで、節があまりなく、かつペットのワンちゃんが滑りにくいものを選んで欲しいとのことで、こちらにある程度選択を撒かせて頂くこととなりました。