Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

モダンリビング&ホテルAzabuTen&アレキサンダー・ラモント

港区R邸

現在発売中のインテリア雑誌「モダンリビング」(ハースト婦人画報社)の262号「素材と色」特集号に、弊社紹介のブティックホテルとインテリア素材が掲載されております。

モダンリビング_素材図鑑

素材感と色彩豊かな住宅事例が沢山並んだ後の最終コーナー直前に「素材図鑑」というコーナーがあり、その中の「その他の素材」で私、各務が登場しています。

モダンリビング_素材図鑑

木質系と塗装系をラブアーキテクチャーの浅利さんが、石材をIKGの池貝さんが、タイル系素材を芦沢啓治建築設計事務所の芦沢さんと華々しい建築家の方々の中に入れて貰えました。

モダンリビング_素材図鑑

元々はモダンリビングの編集部から、上記の木質、塗装、石材、タイル、その他の項目それぞれに対して、注目している素材をリストして、更にそれらを実際に一般の方でも見学に行ける場所があれば教えて欲しいとの取材依頼がありました。木質ではリストネジョルダーノ(ADワールド)のフローリング材、石材ではアントリーニ(関ヶ原石材)の希少大理石とサルバトーリの加工大理石、タイルではフィアンドレ(アークテック)の大判大理石柄タイル、その他素材でアレクサンダー・ラモントエルクリエーション)を紹介したところ、全て採用となりましたが、紹介文としてはラモントを紹介することになりました。

アレキサンダーラモントの壁素材

ラモントは、こちらの港区R邸のダイニング壁でストローマルケタリー(らい麦の茎の寄木細工)を使ったことがあり、他にも魅力的な素材が沢山あるので、このような特集であれば是非紹介して貰いたいというコメントをつけて編集部に送ったところ、採用となった経緯があります。

これは小さなサンプル板ですが、毎年新しい素材が増えていますが、現時点でも100種類以上の素材を研究開発しているという凄い会社なのです。
ただ、今回のモダン特集は、こういった小さなサンプルを見ることができるショールームではなく、実際にラモントの素材を使っていて、一般の方でも見学に行ける店舗などを紹介して欲しいとのことでした。そういったお店を知らなかったので、編集部の高橋さんと左近さんがエルクリエーションに問い合わせをしたところ、まさにうってつけの場所を紹介してくれました。それが麻布十番にあるホテルAzabuTen(アザブテン)でした。

ホテルAzabu Tenのアレクサンダーラモント

編集部からの紹介で伺ったところ、玄関ホールに入って正面の壁がラモントの金色のストローマルケタリーでした。ご本人が建築家であるホテルのオーナーがインテリアに拘った隠れ家ブティックホテルとのことで、本当に凝ったインテリアで見どころばかりのホテルなのです。

ホテルAzabu Tenのアレクサンダーラモント

ホールのカウンターに使われているこの素材もラモントの物です。魚のうろこのような表情の素材ですが、ジェッソ(石膏ベースの下地材)を布に塗った後、乾燥後続けて全面に漆を塗り、手で縦横の細かい割れ目を入れて割れ目部分を研ぎ出し、研いだ部分には糊代わりの漆を塗って金箔をはるという、実に手の込んだ素材となっております(現在はあまりに手が掛かり過ぎて金額も驚くほど高くなってしまうので、廃番寸前だそうですが、特別な依頼があれば、まずはお見積もりはして貰えるそうです)。

ホテルAzabu Ten

オーナーの建築家と家具ブランドのカッシーナが共同で設計したとのことで、カッシーナの最高級家具のチェコッティのラウンジチェアがさりげなく置かれています。入り口の自動扉の仕上げも金属の編み込みとなっていました。

ホテルAzabu Tenのインテリア

ホテルのお部屋一つ一つが違ったデザインモチーフとなっており、素材や色味も違っており、ホテルの部屋を毎晩変えるだけで、沢山のデザインを体験できるというとてもユニークなホテルなのです。(写真提供:ホテルアザブテン)

ホテルAzabu Tenの吉田さま

ご案内くださったホテルのエグゼクティブ・アドバイザーの吉田さま、どうもありがとうございました!

モダンリビング_素材図鑑

話が大分長くなりましたが、雑誌モダンリビングの素材と色特集はこちらとなります。本屋で見かけましたら、是非手に取ってご覧ください。

乃木坂U邸_リフォーム案のバリエーション

乃木坂U邸

先回、青焼きのマンション竣工時の図面のことから書き始めた乃木坂U邸ですが、初回のお打合せ時にこちらでザッと考えたリフォーム案をお見せして、とても気に入って頂けたところから、具体的に費用が発生してしまう竣工時図面調査へと進んだ経緯があります。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

お客さまの熱心さやご提供された既存図の状態、こちらの時間的な余裕等で、ケースバイケースではありますが、初回のお打合せ前までに、ザッとしたリフォーム案を作っておくことがあります。今回はお手伝いしたことが無いマンションではありましたが、同じシリーズのマンションは良く知っており、メール添付で送って頂いた既存図が分かりやすい状態の物でしたので、お客さまのご要望も伺っていない中ではありますが、勝手な妄想リフォーム案を作ってみました。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

それがこちらです。玄関からリビングダイニングを通らずにプライベートゾーンの個室や浴室に行けるのが当初の間取りですが、そのことで廊下の面積が大きくなって、リビングダイニングが小さくなってしまっていたので、玄関から直接大きなリビングダイニングに入って、そこからプライベートエリアに進む動線にし、またクローズドだったキッチンをセミオープンにすることで、LDKの空間サイズが体感ベースではありますが、50%ほど広く感じるであろうプランを練ってみました。

乃木坂U邸_インテリアイメージ

初回お打ち合わせでお目に掛ったUさまご夫妻は、以前より弊社のホームページやブログを見て下さっており、いつか機会があればお願いしたいと考えて下さっていたとのことでした。弊社の事例では、広尾N邸や、代々木上原I邸がお好みで、これらの写真のようなクラシカルなパネリング壁にヘリンボーンの床フローリングで、品の良いお住いになさりたいとのお話しでした。
こちらがご提案したリフォーム案に、この壁はパネル仕様にして、こちら壁にはコンソールとアートを飾ってとお話しをしていったところ、とても盛り上がって、是非弊社をパートナーにしてリフォームを進めたいとのことが決まった次第です。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

調査した竣工時図面で、床下スラブの段差位置や、水回りの排水管経路などが相当な精度で分かったので、担当することになった弊社副所長の竹田さんがすぐに既存図をCAD化して、こちらで作ったリフォーム案をベースにリフォーム案を4つに増やして、2回目のお打合せ時にご提示させて頂きました。こちらのリフォームA案は、コストパーフォーマンスも考えて既存浴室を残した形で、初回打合せに伺ったご要望をなるべく取り込んだ案です。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

洗面所は広くして、できればダブルシンクのカウンターが欲しいとのご要望でしたので、ダブルシンクは実現できませんでしたが、浴室をダウンサイズして洗面を広げた案がこちらのB案です。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

以前お手伝いした世田谷N邸で実現した、廊下に洗面所を持って来て、浴室の横は脱衣と洗濯機置き場にするという大胆な提案がこちらのC案です。Uさまは、拙著「世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション」を読み込んでくださっていたので、「このプランは見たことがあります!」と喜んで下さいました。

乃木坂U邸_リフォームプラン案

最後のD案は、浴室位置は変えず、元々が広かった主寝室のウォークインクローゼット側にダブルシンクの洗面を持ってゆくという、もっと大胆なプランでした。ただ、大手術の割には、そこまで実用性がなく、お客さまはとても喜んで下さいましたが、予算のことやデメリットをお伝えしたところ、ここまでやる必要はなさそうだとご理解下さいました。

キッチンについては、フルオープンからセミオープンまで色々な種類を書き込んでみています。Uさまご夫妻は、A案かB案か、思い切ったC案かと悩まれてたいので、次回以降の打合せ時、それぞれの良い点をミックスしたE案にチャレンジしてみますから、今決めないで良いですよとお伝えしましたが、お二人でご相談の上、C案で進めたいとのご判断を頂きました!

リゾートマンション湘南T邸_竣工お引渡し

湘南T邸

リゾートマンションリフォームの湘南T邸がようやく完成し、お引渡しとなりました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

まずは恒例(?)の記念写真です。中央にTさまご夫妻、左側が弊社担当で副所長の前田君、右側に施工をお願いした大人気工務店コナラハウスの小形社長と各務です。

湘南T邸_竣工お引渡し

1週間ほどさかのぼりますが、こちらが施主検査時の様子です。所々に赤や青の付箋が張られていますが、弊社カガミ建築計画とお客さまでクロスが剥がれている個所や、傷がついていたカ所を記して、お引き渡しまでの1週間で補修してもらうようコナラさんにお願いしておきました。

湘南T邸_竣工お引渡し

1週間の是正期間の間に、コナラさんが本当に頑張って下さり、とてもきれいに仕上がってのお引渡しとなりました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

お引渡し当日は、お引渡しの儀式(笑)と各種設備等の取扱い説明があり、トリセツ(取り扱い説明のこと)はガス会社、浴室会社、コナラさんのメンテナンスの話など、色々な人が出入りするので、お引渡しに先立ってトリセツをさせて頂きました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

キッチンでは、先日決めていた吊戸棚下の間接照明の取り付け位置の最終確認と、吊戸棚の耐震ラッチの説明を小形さんにして貰いました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

浴室は、アステック社の和ぶろのオーダーユニットバスなので、弊社担当者の久保田さんに説明して貰いました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

ミーレのビルトイン洗濯乾燥機は小形さんと前田君が、事前にマニュアルを読み込んで説明してくれました。

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

書斎の床暖房と、

湘南T邸_お引渡し&取り扱い説明

寝室の床暖房は全てガス式床暖房で、こちらについては地元のガス会社の方からの説明です。

湘南T邸_竣工お引渡し

一通りの取説とお引渡しの儀式が終わった後は、お客さまにお願いして竣工写真を撮影させて頂きました。先回のブログで書いた、違うプロジェクトのお客さまからのプレゼントとなったトチの無垢板テーブルのあるダイニングは本当に誂えたかのようにぴったりの色味、寸法です。

湘南T邸_竣工お引渡し

キッチン側からみると、アクリル板の脚が透明で、大きな無垢板が浮かんでいるかのように見えます。窓の先には湘南の海が広がり、とても気持ちが良いダイニング空間に仕上がりました。

湘南T邸_竣工お引渡し

リビングには、奥さまのテーマからの薄いグリーンがアクセントになった雰囲気のある空間です。ガラス奥はご主人さまの書斎で…、

湘南T邸_竣工お引渡し

大容量の本棚が設置されています。この本棚は、当初は予算削減の対象でメラミンで作る予定でしたが、ご主人さまの鶴の一声で突板に変わったシロモノですが、ご夫妻とも突板に戻して本当に良かったと喜んで下さいました。

湘南T邸_竣工お引渡し

お風呂もマンションで引いている天然温泉をユニットバスに取り入れています。木製の吐水口は浴槽の縁の桧がとても良い香りの浴室です。

湘南T邸_竣工お引渡し

浴室には小窓が設けられており、洗面室越しに外が見える工夫をしています。

湘南T邸_竣工お引渡し

洗面脱衣もとても大きな空間です。全長4メートルのロングカウンターにダブルシンクと洗濯乾燥機コーナーが詰まっています。

湘南T邸_竣工お引渡し

洗濯機上には物干し用のバーも吊っています。奥の窓際に見えるのが…、

湘南T邸_竣工お引渡し_浴室横のリラックスコーナー

一段上がったリラックスコーナーです。耐水性のあるビニール編み込み素材のボロンを畳風に敷き込み、周囲壁は無塗装の桧で仕上げて貰いました。温泉浴の後に、ここに横たわって吹き抜ける壁を愉しむ特別なコーナーです。下部には大容量の引き出し式ストック収納を設けています。キャスター式の引き出しなので、震災用予備のペットボトルなどを入れておきたいとのお話しでした。

湘南T邸_竣工お引渡し

玄関にはニッチにベンチを設け靴の脱ぎ履きがしやすいように工夫しています。ベンチ奥には、今後飼う予定のワンちゃんグッズを入れる棚を設けています。

湘南T邸_竣工お引渡し

玄関見返りの正面壁には大理石調タイルを張り、お二人が選んだ洋風なペンダント照明がシックな雰囲気を醸し出しています。

湘南T邸_竣工お引渡し

こちらは廊下側から玄関を見た夜景です。奥の扉先は大容量の納戸収納です。廊下側の壁にはケーシングと腰壁を廻して洋風なクラシカルな雰囲気に仕上げています。

湘南T邸_竣工お引渡し

南北の部屋を繋ぐ長い廊下も、コナラハウスさんと一緒に色々とデザイン検討をした苦労の作です。向かって右側は白い塗装の腰壁にグレー色のクロス張りとし、左側はシンプルな白クロス仕上げとしています。

湘南T邸_竣工お引渡し

トイレにはコナラハウスデザイン満載の造作手洗い家具が入っています。足元のデザインをこのようにするだけで、雰囲気が本当にガラッと変わるのは驚きでした!

湘南T邸_竣工お引渡し

最後の一枚は、奥さまが大好きな亀をモチーフに特別に作家さんに作って貰ったステンド硝子入りの建具です。廊下からリビングに入る個所の引き込み扉に入れたものですが、暗い廊下の先にステンドグラスからのきれいな色の光が躍る様子はとても素敵でした。
改めて、Tさま素敵なリゾートマンションリフォームの完成お引渡し、おめでとうございます!