Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ポロ(Porro)のウォークインクローゼット組立て

渋谷区Q邸

イタリアのハイブランド家具メーカーのPorro(ポロ)のウォークインクローゼットシステムの組立てが渋谷区Q邸の現場で始まりました。

今回のウォークイン・クローゼットシステムは、B&Bイタリアやモルテーニ、ポリフォーム等の他のイタリア・ハイブランド家具屋のシステムと比較して、インテリアーズ社が扱っているポロ社の製品のコストパーフォーマンスが最も良いだろうとのことで決まりました。

Qさまご夫妻のお手持ちの洋服をいかに効率的に、使いやすく、そして見やすい状態に収納(展示?)するかを、お二人が真剣に考えて下ったので、お客さま→弊社→インテリアーズ→弊社→お客さまのやり取りの回数が10回ほどになりました。

インテリアーズは、さらにそこからイタリアのポロ社に図面を送って、このようなシステム図を作って貰っているので、さらに大変なやり取りとなりましたが、ちょうどコロナ禍で工事契約が伸びた期間を上手く使って、このやりとりを進めることができました。

図面や見積りのやり取りは相当に大変でしたが、組立てはあれよあれよの間にあっという間に出来上がってしまいました。それがこのポロのシステムの優秀な所なのです!基本的には逆L字型のフレームを壁に立てて、そこに棚板、ハンガーレール、引き出し収納などを吊ってゆくシステムで、3時間ほどの組立てでほぼすべてを完成することができました。

組み上がったシステムをチェックさせて貰いました。箱が無く、フレームだけで組むことがコストパフォーマンスの良さとスピードの秘訣なのですが、その分どうしても揺れに弱いのが弱点ではあるのですが、どうしても揺れが気になる場合は、棚板等を背面壁に固定する金物もあるそうです。ただ、その金物を使うと、フレキシブルに棚板の高さを動かせるメリットを失ってしまうことになってしまうとのことでした。

洋服が入っていない状態で見ると、随分さっぱりしているように見えますが、ウォークインクローゼットの本質は、洋服が掛かって、使い始めてから見えてくるハズですので、ここからどのように変化してゆくかがとても楽しみです。今回はコストパフォーマンスのことが選定理由の一つでしたが、イタリアでのポロのWICシステム評価は、ピエロ・リッソーニ氏のデザインのハイエンドのシステムとのことなので、もっと使ってゆきたいと考えています。

ここまで沢山のやり取りを粘り強く頑張ってくれたインテリアーズの担当の佐々木さんとの記念写真です。実は佐々木さんは、以前僕、各務が教えていた建築の専門学校の教え子さんでした。このような形で一緒に仕事ができたこと、とても楽しかったです!佐々木さん、ここまでのご尽力、どうもありがとうございました。また、別のプロジェクトでも一緒に取り組みましょう。

コンクリート打ち放し風左官仕上げ

千代田区M邸

千代田区M邸の玄関入って正面に見える壁は、当初からMさまの奥さまが、建築家・安藤忠雄氏の作品のようなコンクリート打ち放し仕上げの壁にしたいとのご要望がありました。

コンクリート打ち放し風壁仕上げ

玄関入った正面にコンソールを置いて、お手持ちの骨董や手工芸品、あるいは季節の生け花などを飾るバックグラウンドの壁としてコンクリート打ち放しの壁になさりたいとのご希望でした。

お客さまも当初は、本当にコンクリートの打ち放し壁をマンション内で打設できるのであれば、本物のコンクリートの質感が加わるので、是非検討して欲しいとのご依頼でした。マンション管理組合への申請のこと、構造的にそれだけの重量を加えても大丈夫か、さらにはマンション内でどのようにコンクリートを打設できるかの3つの問題点をクリアすべく、検討を致しました。
上記のスケッチは、施工会社の青と現場打設する場合に、どのように型枠を組んで、どんな手順で打設すべきかを打ち合わせをするために担当スタッフで副所長の前田君が書いてくれたスケッチです。

同時に、旧知の構造事務所のビーファームの中野先生に、マンションの状況を説明して、RC壁の耐荷重にマンション全体の構造が耐えうるかを計算して貰いました。僕らがお手伝いする前にお客さまが行った事前解体工事の段階で、相当量のブロック壁下地やシンダーコンクリートの撤去を行っていたので、それらの重量を考えると、耐荷重的には問題ないとの計算結果も出てきました。
青には見積りも作って貰い、金額的にもお客さまからOKを貰っていたので、あとは施工方法の詳細検討とマンション管理組合への申請をクリアできれば、実行できそうなところまで行ったのですが、躯体のスラブに鉄筋を緊結する方法がネックになって、それをクリアするのが難しいことが分かりました。マンション全体の耐震補強のような大きな目的があれば、住民の皆さまが理解して頂くことができるのでしょうが、単にコンクリート打ち放し壁をデザイン的に欲しいという理由で、それを説明することが難しそうであることをお客さまにお伝えしたところ、現実的な判断として、打ち放し風の左官壁でも良いだろうとのお話しになりました。

原田左官のショールーム見学_コンクリート打ち放し風壁仕上げ

千代田区M邸の壁と天井の本漆喰をお願いしている原田左官の打ち放し風仕上げの技術は、業界随一とも呼ばれているので、気持ちを切り替えて左官仕上げで作って貰う流れに変更いたしました。

まずはコンクリート色に調色したモルタルを壁一面に塗ります。ただ、良く見ると、コンパネの位置を意識して、継ぎ目っぽいラインも作られています。

コンクリート打ち放し風仕上げ

ピーコン(またはセパ孔)と呼ばれる、コンクリートを流し込むため型枠を鉄筋に固定するための金物の跡を再現するために、丸く切った厚紙(!)を壁に張っていきます。

コンクリート打ち放し風仕上げ

壁全体に張るとこのような感じになります。これだけでもちょっと打ち放し風に見えてくるのが不思議ですね。

コンクリート打ち放し風仕上げ

今度はその上から、また調色された仕上げのモルタルを左官していきます。

コンクリート打ち放し風仕上げ

職人さんが持っている木の角材で、コンパネの継ぎ目のゴワゴワを表現するのです。一発作業なので、結構緊張する作業だとのことでした。

コンクリート打ち放し風壁のコンパネ跡

まだ出来立てホヤホヤのコンパネ目地ですが、それらしく出来ています!

そして、これが最終的に仕上がったコンクリート打ち放し風の壁です。間近によってピーコン孔の深さを見たり、直接手で触ると、コンクリートではないことが分かってしまいますが、パッと見は、重量感のある本物のコンクリート打ち放しに見えます!

リビングのコーナーの造作書斎家具組立て

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸のリビングのコーナーにて、造作書斎家具の組立てが始まりました。

リビングコーナーの書斎造作家具組立て

元々はこの柱型の奥のスペースは壁で閉じられており、全く無駄にされていた空間でしたが、隣室の洋室との間仕切り壁をうまく調整することで、コンパクトな書斎コーナーを作ることができたのです。

造作書斎コーナーの部品

棚板を組み立てている横に立て掛けられていたこちらが、ユーカリをアンモニア処理してウォールナットのような濃い木目にした扉材やカウンター材です。

リビングコーナーの書斎造作家具組立て

吊戸棚もこの写真では分かりにくいのですが、結構入り組んだ造りになっており、造作家具をお願いしている現代製作所の担当の吉岡さんもどうやって組み立てればよいかを必死に考えてくれました。

リビングコーナーの書斎コーナー造作

実際にはコンパクトな書斎コーナーなのですが、少しでも大きく見えるように、手前の柱型の部分にまでカウンターが伸びているように見せるために、ちょっとした工夫をしています。

リビングコーナーの書斎造作家具組立て

隣室との間には壁を立てず、家具同士の背面で間仕切るように考えています。向かって左側のコーナーには、お掃除ロボのルンバの最新型が入る寸法を確保しています。

こちらは壁裏の洋室側から見た書斎コーナーの様子です。この段階では書斎家具が洋室側に出っ張っているように見えますが、こちら側にも収納家具や本棚を作るので、最終的にはきれいに見えるようになるのです。

吊戸棚家具の棚板の背面にLEDの間接照明を入れてテストしてみた様子です。背面は塗装で3分ツヤに仕上げて貰っていますが、LEDの光の粒が見えないギリギリの仕上げとなっています。

こちらは数日後に書斎コーナーが完成した様子です。カラーガラスや固定棚も取り付けられて、カチッとシャープに仕上がりました!

飾り棚の間接照明実験


こちらは施工会社の現場監督の岡田さんと、電気設備会社のムラデンの井上さんがキッチン側の飾り棚の間接照明の点灯実験をしてくれている様子です。

大理石カウンターと造作家具の取り合い

こちらの飾り棚も、まだ扉や棚板が付いていませんが、キッチンから伸びてきたエンペラドール(大理石)のカウンターがうまく造作家具に組み込まれています。

バイオエタノール暖炉の設置カウンター

バイオエタノール暖炉のエコスマートファイアーの設置周りのセラミックタイルのデクトン張りも完成間近です。

サイド面にフローリングを張ったキッチン吊戸棚

キッチンのシンク側カウンターの吊戸棚は、オーダーキッチンのリネアタラーラが作った箱に、サイドパネルを造作家具の現代製作所が作って合体させたシロモノです。

キッチン奥のユーティリティー

キッチン奥のユーティリティーコーナーの鏡面塗装のルーバー引き戸が仕上がってきました。

キッチン奥のユーティリティー

ピタッと納まったさまは気持ちが良いです。

リネアタラーラのオーダーキッチン

キッチンは、レンジフードの取付けが終われば、ほぼ完了状態です。写真左上に写っているのは…、

折り上げ天井の木板張り

ダイニング上の折り上げ天井の突板張りです。このブログの時にニッシンイクスで選んで頂いたリアルパネルが張られました。

折り上げ天井の木板張り

きれいな突板面に、ダウンライトの孔が開けられていきます。

シューズクインクローゼットの棚板

玄関のベンチ上に並べられた大量の板は…、

シューズクインクローゼット棚板の取付け

大型シューズインクローゼット(SIC)の靴用の棚板です。ロイヤルの背面金物に沿って、現代製作所の職人さんたちによって、どんどん取り付けられてゆきます。

シューズクインクローゼット

SICの入り口の右側だけでこれだけの棚板がありますが、左側にはこれ以上の棚板が取り付くのです。


特注の引き戸用引手

こちらは僕らが良く作って貰っている引き込み扉用の特注金物です。

特注引手の取付け

今回は、青の岡田さんと一緒に練ったアイデアで、ちょっと変態的な(笑)扉の仕様を考えています。

特注引手の取付け

建具に対して、取っ手部分が随分手前にありますが、完成してのお楽しみです…。

エアコンユニットの防火扉の化粧

建具と言えば、廊下に面した設備機器類を納める鉄扉の装飾も出来てきております。廊下突き当りの既存鉄扉がとても目立っていたので、既存扉上から写真のようなあみだくじのようなパネルを張って、目立たなくしております。

鉄扉のお化粧

あみだくじ部分の詳細です。テクスチャーのある織物クロスを目地に差し込んで張って貰っています。

廊下

廊下左側に鉄扉がありますが、随分目立たなくなってきました。また、正面の独特なデザインのスチールのFIX窓も良い感じです。

主寝室の壁特殊塗装仕上げ

最後のこちらは、主寝室の特殊塗装仕上げの壁です。Qさまご夫妻のテーマカラー(?)のブルーを左官風に仕上げて貰いました。