Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

内装リフォーム_渋谷M邸のお引渡し

渋谷M邸

新築高層マンション、パークコート渋谷ザタワーの内装リフォーム(間取り変更なし、キッチン&洗面&浴室の変更なしで表層の仕上げだけのリフォーム)プロジェクトの渋谷M邸の工事、内装FFE(「Furniture(家具)「Fixture(什器)」「Equipment(備品)」の略称)にアートのセッティングが終わり、無事お引渡しをすることができました。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

最後に撮影させて頂いた、関係者全員での記念撮影です。右から、リフォームキューの現場監督の滝川さん、弊社の設計担当の岸本さん、中央がMさまで、その左がリフォームキューの営業担当の森井さんと僕、各務です。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

お引渡し前に、アートギャラリークローゼットで選んだ絵画を壁に掛けて貰いました。因みにこの壁は、大理石調のタイル張りなので、現場監督の滝川さんにタイル目地に釘を打ってもらい、アートの背面のヒモの長さを調整して貰い、お客さまと決めた位置に吊って貰いました。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

廊下からアート越しにリビングダイニングへの扉を見ると、このようになります。本当に内装素材の色味とアートの色がマッチしているのです!因みにこちらのアート作品は稲垣洋介さんの作品です。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

アートがすでに飾られている玄関ホールでは、お客さまと滝川さんと森井さんと岸本さんが床を指さしています。これは、フラットで上がり框がない床仕上げなので、どこで靴を脱ぐかを示すラグのサイズを決めている様子です。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

こちらは後日談ですが、玄関に届いたオーダー物のサイザル麻のラグです。

寝室のアートも正確な位置が決まっていなかったので、Mさまに見て貰いながら、高さと横位置を決定して、吊って貰いました。Mさまがご自身でマナトレーディングで選んでくださったベッドリネン類も揃い、写真では半分カットされてしまっていますが、天井のヴィストジ社のミニジョガリの照明も付きました。

お引渡し前に、Mさまの私物の小物や備品も入れたいとのことでしたので、リビングのライティングビューローの中もきれいに揃えて下さっていました。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

ダイニングコーナーの裏側には、お掃除ロボのルンバの最新機種S9+がうまく収まり、棚上には、B&O社のブルートゥーススピーカーのベオサウンド1とフロス社の充電式テーブルライトのボン・ジュール・アンプラグドが置かれました。

渋谷M邸リフォーム_竣工お引渡し

先回の施主検査でチェックした項目の補修状況を確認し終わった所で、リフォームキューのお引渡し証や請求書類をお渡しし、こちらでもお預かりしていたご自宅のカギをお返しして、お引渡しとさせて頂きました。
設計デザインの質と密度、工事の精度共に、とても良い出来で大満足ですと言って頂けて、設計者&施工者冥利に尽きるお仕事となりました。Mさま、ここまでどうもありがとうございました!どうぞ今後とも宜しくお願い致します。

ルーフバルコニーのウッドデッキの技術的問題と解決策

千代田区M邸

千代田区M邸のマンションのルーフバルコニーにウッドデッキを敷くことになりました。ルーフバルコニー(通称ルーバル?)にウッドデッキと言えば、定番のように感じられる方が多いのではないかと思いますが、実は技術的には色々な難しさがあるのです。

マンションルーフバルコニーのウッドデッキ

60平米程あるルーフバルコニーのうち、リビングダイニングに面した25平米程度の広さにこのようなウッドデッキを敷く計画でした。

ウッドデッキの材料

こちらは最初に現場に搬入されたウッドデッキの材料です。ウッドデッキ材は南洋材のセランガンバツで、下地材は、腐らないように熱処理をしたエステックウッドを使っています。下地材に同材のセランガンバツを使うことも可能ですが、重量が重たく、硬くて現場でのカットや、ビス留めが大変なことなどから、施工会社青が推薦してくれた熱処理木材を使うことになりました。

ウッドデッキ材の染色サンプル

こちらは随分前にお客さまに確認させて頂いたウッドデッキの塗装サンプル材です。セランガンバツは対候性に優れた材料ですが、それでも無塗装では長持ちしないので、植物油ベースの自然塗料のオスモを塗布する提案をしております。オスモの色味が濃い方がより長持ちするのですが、赤味があったり、黒っぽいものはお嫌だとのことで、一番奥の色味で進めることになっていました。塗料を現場塗にすると、背面や小口に濡れなくなるので、現場に持ってくる前に全ての材を適切なサイズにカットして、全周オスモを塗布して貰っています。
因みに、今回はお客さまの指向でウッドデッキも下地も天然木材(一部加工品)を使いましたが、通常は人工木或いは樹脂木と言われる工業製品を使うことの方が多いです。樹脂木は天然木と比較して、対腐食性(メンテナンス)、ささくれ、色の変色、シロアリ対策などで優れておりますが、天然物ならではの風合いや経年変化、日射に対しての高温化に対しては、天然木の方が優れているとされています。

ルーフバルコニーでのウッドデッキ組み作業が始まりました。最初に技術的な難しさのことを書きましたが、何が難しいかと言えば、ルーフバルコニーにはこのウッドデッキの下地を留めるものが無いことが難しいのです。庭であれば、地面に束石を半分埋め込んで下地を組めますが、バルコニー床に重たい束石を乗せても、埋まっていなければずれてしまう可能性があります。バルコニー床にビスで留めると、防水性能を傷めてしまうので、それも不可能です。しっかりとした固定方法がないのに、地面にある庭よりも上層階ではるかに風通しが良いので、突風で屋外家具だけでなく、ウッドデッキそのものも飛ばされてしまう可能性があるのです…。

そこで施工会社の青の樋口さんや片岡さんと相談したのが、ツッパリを効かせる方法です。2本の堅木(こちらは突っ張り材なので、軽くて粘りがないエステックウッドではなく、セランガンバツ材を使っています)に、少しずらした位置にホゾ孔を切っておき、そこに三角のクサビを打ち込むことで、2本が互い違いの方向にズレて突っ張り度を調整できるという仕組みなのです。

ホゾ孔とクサビ

スケッチで描くと、このような単純に仕組みとなります。クサビの打ち込み具合で、ツッパリ度合いを決めて、最後は、2本の木下地を固定します。突っ張る片側はマンションの外壁で頑丈ですが、反対側は手すりのベース部分で、そこまでしっかりとしたものではないので、あまり強い力は掛けられないのです。

ある程度下地を組んだ所から、追い締めができるのが、この作りの良い部分でもありました。因みにこの堅木はセランガンバツですが、常にバルコニーの底面に接していると水分が染み込んで腐ってしまうので、ビニール製の長尺塩ビシートの破片を下に挟んでいます

.突っ張り材は、手すりのベースの位置に合わせて、4カ所で設定しています。

エステックウッドの大引き材は突っ張り材とアングル金物で緊結し、横風でウッドデッキが下地ごと飛ばされないように考えています。大引き材と上部のウッドデッキの荷重(重たさ)は、高さの微調整ができるマルチポストに担って貰っています。マルチポストの底面に接着剤をつけて、バルコニー床に接着できると、ある程度の強度が確保できるのですが、そうなると、将来マンション管理組合のメンテナンスでルーフバルコニーの防水をやり替えることになった場合、撤去も大工事になってしまうので、できないののです。マルチポストの下にも、バルコニー床が傷つかないように長尺塩ビシートをカットしたものを指し込んで貰っています。
既存のルーフバルコニーは雨水の処理のために水勾配が取られている(傾斜)のですが、このマルチポストで高さ調節することで、フラットなウッドデッキが張れるのです。

大引き材の上に、セランガンバツのウッドデッキ材を張っていきます。ガラス製の手すりとは2センチほどの隙間と設けて、風で煽られても、手すりを傷つけないように空かして貰っています。

マンションルーバルのウッドデッキ

こちらがデッキ材が張り上がった様子です。手前のバルコニー側には、前の所有者の残置物だった連結式のタイルを敷いています。横からウッドデッキの下に風が入り込まないようにデッキ材をサイド面にも張って貰っています。

ルーバルのウッドデッキ

反対側から見た様子です。こちらも風が吹き込まない処理は、同じです。

マンションルーフバルコニーのウッドデッキ

最後のこちらは、長手方向の端部は、風が吹き込まないようにするのが難しいため、このように大引きのから横材を張り出して、既存の手摺りの下に差し込んで、煽り止めにしています。

追加リフォームのご相談@松濤D邸

松濤D邸

ちょうど1年半ほど前にリノベーション済みマンションのリフォーム(ちょっと分かりにくい説明ですが、リノベーション済みマンションとして販売されていたお部屋をご購入なさって、デザイン面を見直しリフォームしたのです)工事のお引渡しをしている松濤D邸のお客さまから、昨年の主寝室のプチリフォームに引き続き、今回はお子さまの部屋をリフォームなさりたいとのご相談を頂きました。

松濤D邸の追加リフォーム依頼

森に囲まれたような静かでシックなお宅ですが、相変わらずきれいに使ってくださっています。

松濤D邸の追加リフォーム依頼

お子さまの部屋にも造作家具を作って、効率的な収納計画ができるようになさりたいとのことで、工事をお願いしているリフォームキューも森井さんが作ってくれたCADのベース図面に、設計担当スタッフで当社副所長の前田君が赤ペンで造作家具のデザインをスケッチしてくれています。

松濤D邸の追加リフォーム依頼

床フローリングも張り替えたいとのことですが、お子さまの部屋にイメージしていた壁紙や造作家具の仕上げ材量候補を並べて、Nさまと一緒に考えさせて頂きました。

松濤D邸の追加リフォーム依頼

一通りの打ち合わせが終わった後、リビングダイニングでも少しずつ困ったことがあるので、相談に乗って欲しいとのお話しがありました。間接照明(最初のリノベーション時の物です)を点灯すると明るくなり過ぎるので、使わないことを前提に考えると、今度はリビングの中央が暗いとのことで、間接照明用に付加したアゴの部分に薄型のダウンライトを入れることができないか、前田君と森井さんに実測して貰い、図面を起こしたうえで検証してもらうことになりました。

松濤D邸の追加リフォーム依頼

窓際部分も暗いので、ウッドブラインドを撤去して明るいシェードに交換なさりたいとのお話しもありましたが、うまく梁型に調光式の間接照明を埋め込むことができれば、良い雰囲気になりそうでした。間接照明用の電源をどこから引っ張ってきて、トランスをどこに置くかの相談もさせて頂きました。