Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

麹町K邸の一年点検

麹町K邸

昨年のコロナ禍が大きくなる前に工事竣工しお引渡しをしていた麹町K邸リフォームの一年点検に伺ってまいりました。

実際には、3か月ほど前でお引渡しからちょうど一年だったのですが、そのタイミングでお声掛けした際、ご家族が病気で入院なさっているとのことで、それが落ち着いてから点検をお願いしますとのことで、この日になりました。
新しく赤ちゃんワンちゃんも加わって、賑やかになったそうですが、相変わらずとてもきれいに暮らしていらっしゃいました。
事前に伺っていたのは、毛布をミーレのドラム式洗濯乾燥機に掛けていたら、5センチほど前に出てきてしまったが、重たく押し戻せないというポイントだけでした。こちらについては、キッチンと洗面カウンターをお願いしていたリブコンテンツが組立てをお願いしていた赤間さんの兄弟が来て、すぐに直してくれました。横ドラム洗濯機は、中のものが偏ると前後に動いてしまうことがあるとのことで、次回以降は毛布だけでなく、他の物も幾つか一緒に入れて乾燥してもらうようにお願いしておきました。

お宅に伺って最初にご指摘くださったのが、このルンバ基地部分の傷でした。ルンバi7を隠す収納ですが、中にその他の掃除道具も纏めて入れているとのことで、物の出し入れが多く、扉や枠が傷が付いてしまうとのことでした。

実際に一年使っての傷なので、本来であれば無償ではなく有償での補修になるのですが、施工をお願いした現代製作所は家具に特化した工務店なので、扉については外して持って帰って塗装し直してくれることになりました。
しかし、ルンバ基地を改めて拝見すると、フロアワイパーや塵取り、コロコロ等の掃除道具の数々がとても効率的に収納されていることに驚きました!

同じように洗面所のランドリーバスケットを隠す扉とキャビネットが、バスケットの出し入れで傷が付いていたり、塗装が剥げている個所がありました。こちらについては、キャビネット端部には、アルミのアングルを、扉裏の傷部分もアルミの板を接着して、傷を防ぐことになりました。

今回の点検で一番大きなことは、この天井のビニールクロスの浮きでした。ちょうど間接照明のアゴを取り付けた部分で、石膏ボードと木製のアゴのジョイント部分で動き(地震などで建物が動いた際に、下地の作りが違うことで発生するズレ)があったことが原因だと思われます。
これについては、クロスを剥がして、ジョイント部分に強度があるボンデ鋼板を張って、パテで均して、乾燥するのを待ってからクロスを張り直すことにしたいとの現代製作所の上林さんからのご提案でした。

トイレの床目地が水分か何かで湿っているように感じるとの指摘が奥さまからありました。こちらについては、このトイレの床は、僕らの工事ではいじっていない部分でしたので、調査することになれば、床石を剥がすそれなりに大きな工事になってしまうので、まずはどのくらいの費用と期間が掛かるのかを、現代製作所に出して貰うことにしました。

隣室のご主人さまの書庫は、以前よりもまた整理が進んで、とても快適で使いやすいとのお褒めの言葉を頂きました。

書庫の最大化を図るために、通路幅を60センチにしましたが、やはり本棚の下の方は本が少し取りにくいとのご意見も頂きました。

以前伺った際は、まだ隙間があったCD収納や文庫、新書棚もほぼいっぱいになってきて、今後増えるものをどうしようか悩んでいらっしゃるとのことを伺っております。ただ、僕らとしてはこれ以上に収納量を増やすには、もっとスペースが必要になるので、日常使いの空間のどこかを犠牲にするしかないのではとのお話をしておきました。
点検後はリビングに戻って、お茶を頂きながら、一昨年からのリフォームの設計プロセスが楽しかったことや、その後の暮らしが如何に過ごしやすくなったか等のお話しを伺わせて頂きました。当時は予想していなかったコロナのことも、この新居に暮らすことで随分ストレスなしに生活できていると、嬉しいお褒めの言葉を頂きました!
補修工事については、具体的な日取りも決めて、補修工事の準備を進めて貰うことになりました。

フローリング張りの壁&建具

渋谷区Q邸

大型オーダーキッチン組立て中の渋谷区Q邸では、キッチン対面カウンターからパントリー裏、そしてそこから回り込んで廊下側の壁と引き戸まで、すべてを同じフローリング材で仕上げる計画で進んでいます。

エンペラドールダークのカウンター材が、キッチンカウンターから、造作棚、そしてオープン棚へと入り込んだ所から、フローリング張りの壁が始まっています。

大理石の厚みと合わせたフローリングを中央から張り出しています。

ベニヤ板張りの裏はキッチンのパントリーとなっていますが、その壁からコーナーを回って、同一素材を張った壁が続きます。

イタリア製フローリング、リストネジョルダーノ社のアトリエ・ヘリテージシリーズのFilo de Lama(フィロ・デ・ラマ)という独特のノコ目が特徴の材料で、コーナーはトメ加工でシャープに納めています。

2日程の作業で、ここまで張り上がってきました。

このトメ(それぞれの材を45度でカットして、直角部分をシャープに見せる納まり)の加工も見事ですが…、

造作棚との取り合い部分のこの、極小のトメ加工は、もっと素晴らしいですね!ほぼ見えない部分にまで、ここまで細工するのは、現代製作所のサスガな技です。

キッチンも大分組み上がってきており、そこから連続する造作家具家具も組み上がってきています。写真正面で、トール収納がある個所から右がキッチン工事で、左側が造作家具工事となっています。当初は全体をリネアタラーラのキッチン工事で納める予定だったのですが、ワインセラーコーナーまでキッチン工事で作ると、予算がオーバー気味になってしまったので、造作家具に切り替えているのです…。

キッチンと造作家具の継ぎ目部分が、連続して見えるように、カウンター材の小口のおさまりや、どの面に揃えるかなどを現代製作所の吉岡さんと弊社副所長でQ邸担当の竹田さんが綿密に打ち合わせをしてくれました。

玄関ホールの造作家具も大分組み上がってきました。

全長約6メートルと長くて大きい造作家具で…、

収納からベンチを挟んでまた収納、そして途中に建築の窓が入ってくるという面倒な造作家具です。

基本はメラミンの箱に木突板の扉とカウンターとフレームですが、一部加工大理石張りとなっています。

サルバトーリ(イタリア)のクレマ・ドルチェのリートヴェルデ柄の物が張られています。

こちらも出隅があり、窓枠まで折り曲げて加工大理石を張って貰っています。

この日は、主寝室の壁埋め込みのテレビボードとコーナー収納や、

洗面カウンターのビアンコブロイエの大理石張り、

浴室前のサブ洗面所のカウンター設置もありました。

高級インテリア素材が入ってくると共に、電気や設備との取り合い工事も増えてきて、現場も以前以上にピリピリして参りました。

オーダーキッチンの三方枠取付け設置

千代田区M邸

リネアタラーラでお願いしている壁面型のオーダーキッチンの取付けが始まりました。

キッチンの取付けと言っても、今回はまずキッチンの三方(左右と上)に左官の見切り材も兼ねたステンレスフレームの取付けから始まります。まず窓側に家電収納のボックスが据え付けられた後、最初の横フレームが注意深く建てられました。水色のシートが張られているのがステンレスパネルのフレーム材です。取付け途中で歪まないように、壁から三角形の木材で押さえつけられています。

その横フレームにすり合わせるように上のステンレスパネルが取り付けられます。

2人のキッチン組立て職人さんだけではマンパワーが足りず、現場監督の石坂さんも背伸びしながら応援してくれていますね。

壁に取り付けたガイドで片側を固定し、高さを微調整できる伸縮式の突っ張り棒とクランプを使って、レベル(水平性)を出していきます。

上フレームに空いている四角い孔は、レンジフードのダクト貫通箇所となります。こちらも梁型(ピンク色の断熱材を吹き付けられた部分)が被っているので、右側の梁型の中にチャンバーボックスを仕込んで、そこからダクトで外部まで排気を引っ張ってゆく考えで設計をしています。

こちらがフレームの端部のディテールです。10ミリのステンレス無垢板では重量が大変なことになるので、このようにベニヤ板にステンレスを巻き込んで作って貰っています。

まだ、コーナー部分が先割れしているように見えますが、ここから微調整をしてピタリと合わせて行ってくれるそうです!

ビニールで養生している状態であれば、ステンレス板は手で触れますが、一旦養生を剥がしてしまうと、手の油がついて取れなくなってしまうので、この電気式の吸盤装置を使って、細かく調整をしてゆくとのことのでした。