Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンションリノベ_素材の最終色確認

千代田区M邸

素材とその色味に特別にこだわって、全ての仕上げ材のサンプルを一般的なケースの200%増しで作るお約束をしてここまで進んできた千代田区M邸ですが、最後のサンプルがオーダーキッチンのリネアタラーラからでてきて、すべてが揃いました。

手前右のラフなオーク突板とそれをグレーに塗装したものが、最後に出揃った仕上げサンプル材です。その他は、これまでのお打合せで決まってきた素材サンプル類です。

以前、こちらのリネアタラーラのショールームにあったモデルキッチンの扉材と同じものを使いたいとのことで、残念ながらその扉に使ったフローリング材が無くなってしまったので、幾度かそれに似たものを探してサンプルを作って貰っていたのですが、担当の牧野さんからようやく似たものができたとのことで見せて貰ったのがこちらで、Mさまも奥さまのイメージとぴったり合うと喜んで頂けました。

こちらの四枚は、キッチンの吊戸棚に使う、金属風の塗装サンプルです。一緒にマラッティ社のコンクリート調タイルが見えてくるカ所なので、比較しながら右から2枚目のサンプルで進めることに決まりました。

こちらは、キッチンとは離れて、建築の扉と枠に使う素材のサンプルです。大きな四角い突板は、オーク無着色のクリア塗装です。それに対して、僕各務が手に持っているのは、建具屋さんが時代仕上げと呼んでいる仕上げを施したものです。浮造り加工をして、白の砥の粉を少し塗すような加工をしたイメージの物です。この時代仕上げも奥さまに気に入って頂けました。

こちらの写真は、仕上げ材ではなく、簡単な折り紙模型を使って、アイランドカウンターの仕上げ材が正面とサイドでどのように変わってくるかを前田君が説明してくれています。

一応、全ての項目が決定するたびに、間違えないように前田君が図面に仕上げと仕様を書き込んでいってくれます。

このようにして、約1時間の打ち合わせで、全ての項目の最終仕上げを確認してゆくことができました。これで発注を掛けて進めてゆきますが、念のため、工事中の現場に決まった仕上げ材を持ってゆき、最終の最終確認をすることになりました。

こちらが現地の窓際に決まった仕上げ材サンプルをすべて並べた様子です。

工事をお願いしている施工会社のの現場監督の石坂さんと樋口さん、片岡社長もいる前で、本当の最終の仕上げ材の確認して頂きました。

今回は、仕上げ材のサンプルをご満足が頂けるまで、ご提示しながら仕上げ材を決定してゆくスタイルで、工事費の見積りの中に、サンプル作成費用として、別途項目として30万円を入れて貰いましたが、それをすべて使い果たすほどの枚数のサンプル板を作って貰いました!

最後のこちらは、壁の漆喰と合わせて、玄関扉に張るダイノックシートで選んで頂いたものを並べて見比べた様子です。
これで建具や窓の枠材や扉材、キッチンや造作家具の面材が決定となったので、一気に造作工事が進んでゆくことになります。

新規プロジェクト_仙石山T邸リフォームが始まりました

仙石山T邸

新規マンションリフォームプロジェクトです。これまでも幾つかのお手持ちのマンションをリフォームして賃貸に回すお手伝いをしてきたTさまからのご依頼のプロジェクトです。

森ビルのアークヒルズ仙石山レジデンスの120平米のお宅をご購入なさったので、まずは部屋を見て、どのようなリフォームが考えられるか提案して欲しいとのご依頼がありました。

・120平米の広さがありながら、2LDKの間取りで、玄関や廊下の広さの割には、リビングダイニングがそれほど広く感じられないこと、
・マンション共用部に比べて、専有部室内が白っぽくて高級感が感じられないこと、
・前のオーナーがちょっと癖のある壁紙などを張っており、個性が強すぎるので、それらはやり直すべきこと、
等をザッと拝見しながら指摘させて頂きました。

因みに、こちらは個性的な壁紙の一つで、廊下とリビングの壁一面がこの幾何学的な壁紙となっていました。

こちら主寝室の壁紙も、光沢質の何とも言えないシロモノでした…。

玄関入ってすぐの玄関ホール兼廊下は、メリハリに乏しい空間で、正面性が感じられないので、素材感と照明計画も含めて、何とかすべき点だと感じました。

水回りも浴室や洗面も、決して安っぽい訳ではありませんが、築年数が8年経っているので、すこし時代を感じる部分があるので、それらはなるべく費用や手間が掛からない方法でお化粧直しするようにアドバイスさせて頂きました。


これまでに10回以上、リフォーム&リノベーションのお手伝いをしたことがあるので、まずはこれまでお好きだった素材のうち、コストパフォーマンスが良いものを選んで持ってゆきました。

ご自宅ではなく、あくまでも投資的な目的でのリフォームなので、どのような賃借人をターゲットとして考えて、どこまで費用を掛けてカッコよくするのか、居心地を良くするのか等、色々な観点からお話をさせて頂きました。

投資用とは言え、ご本人もリフォームやインテリアが大好きな方なので、最初からこれまでもチームを組ませて貰ってきたリフォームキューの岩波さんとスタッフのテテウーさん、そして弊社からは副所長の前田君と神崎さんにも参加して貰い、どのようなリフォームが可能なのかを三案ほど提案させて頂くことになりました。

→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。

FGボードを使った曲面(カーブ)壁の作り方

赤坂N邸

高層マンションリフォームの赤坂N邸では、部屋の中央にカーブした壁が出てきます。ちょうどこのカーブ壁を作っているタイミングで工事現場を見ることができたので、簡単に解説いたします。

広々としたリビングの全容の写真の右手中央に曲がった壁があります。赤坂岬の突端(笑)のような形状のカーブ壁です。

少し角度を変えて近寄ってみると、このような形になっています。ちょうど右側の大工さんが貼っているのが、FGボードと呼ばれる壁ボード材です。石膏系の不燃ボードながら、濡らすと曲げることができて、乾いた時には濡らした際の形状を保持するという優れものの材料なのです。

上の写真で張っていたのが、この小さなFGボードでした。バケツに入れた水にスポンジを浸して、たっぷりの水分をFGボードに吸わせてから、カーブ壁に沿って押し付けてゆきます。

カーブ壁の内側から見ると、まだLGS(軽量鉄骨下地)の下地が見えているので、どのようにカーブを設定しているかが分かりますね。

僕ら設計側が、何を基準にどのようなカーブを作りたいかを図面化したものがこちらの寸法入り平面詳細図です。

図面の指示に沿って、床に墨を出して、LGSのランナーを曲げて配し、そこに壁下地を立ててからFGボードを張ってゆく算段となっています。

FGボード一枚張りでは、継ぎ目の部分が出っ張ってしまうので、継ぎ目部分を違えながら二重張りをして行きます。こちらのボードは大分大きなボードですね。


三枚の連続写真です。左から、まずは端部をビス固定し、そこからゆっくり力を掛けてカーブに沿ってボードを固定してゆきます。まだ寒い室内空間でしたが、職人さんたちは汗まみれで頑張ってくれていました。

ボードの下側端部は、L字型の金属巾木を入れていたので、そこに差し込みながらカーブを固定してあります。

中央に横継ぎ目が見えますが、下部は2枚目のボードを張ったことで、カーブが滑らかに仕上がっています。まだFGボード一枚張りの上部は、ボードの継ぎ目が出っ張っていて、スムーズなつなぎ目になっていませんね。

ようやくカーブ壁の全容が固まってきました。背部では、共同設計者の3D空間創考舎の石川利治さんが、施工をお願いしているリフォーム会社のタキズミの現場監督の池谷さんとこの後に続く工事の打ち合わせをしてくれています。

実はカーブ部分は、壁だけでなく、天井の折り上げ部分にもあります。扇型の大きなLDの天井に、窓の形に沿ってこのような折り上げ天井ラインが作られています。

その最先端に埋まっている天井カセット式エアコンの先には、さらにスクリーンが埋め込まれる予定なので、その墨出しも行われていました。

カーブ壁から玄関・廊下側を見返したアングルの写真です。カーブ壁からこの廊下壁に沿って、先日決定した左官材の が塗られてゆくことになります。

玄関側からみると、このようになっています。床に小さな穴が開いていて、電気の線が出ているのは、超コンパクトな床付けアップライト照明の配線となっています。

この日は、お客さまのNさまも現場に来てくださったので、仕上げ材の最終確認もさせて頂きました。

ステレオ音響、テレビなどのAV機器にもこだわりのあるお客様なので、壁裏や天井裏には大量のCD管(写真の赤いチューブで内部に後から配線を通すことができる)が仕込まれています。

お客さまも、ほぼ形が決まって見えてきたカーブ壁の出来をとても喜んでくださっています。