Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

床の幅広ヘリンボーンフローリング張り

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸のご夫妻二人が最初からこだわっていた、床フローリングの幅広ヘリンボーン柄張りが始まりました。

と言っても、すぐに釘を使ってフローリングを張ってゆく訳ではありません。まずは専門のフローリング屋(一般の大工さんではなく、フローリングを張る専門家です)がフローリングの精度を確かめながら、仮並べをしてゆきます。

接着剤をつけず、合板の直角な角を利用しながら、実(サネ・フローリング同士を平面的につなぐオス(凸)とメス(凹)型のデコボコ)の働き幅を確認してゆきます。

こちらがアップで見たフローリングのサネです。へリングボーン張りの場合は、このサネを切る位置が、通常のフローリングと変わっており、その精度が重要になるのです。

精度は相当に良いことが確認できた所で、実際にノリ(接着剤)とタッカーを使ってフローリングを張ってゆきます。

左上の部分に接着剤が塗られていますが、このようにヘリンボーンの山の登頂部分に墨を打って、そこに合わせながら張ってゆきます。

まずは横一列にジグザグに張ったうえで、一カ所だけ垂直方向に延びていっていますが…、

実はそこに床付けのコンセントが仕組まれているので、その正確な位置出しをしていたのです。この写真で職人さんが床の下地ベニヤをカットしているのが、床付けコンセントの場所となります。

これは床下地を張る前、数日前の様子なのですが、向こう側から手前でビニールまかれた線が丸まっている個所まで電線が繋がっています。一旦大よその位置を出したうえで、電線は巻き取っておきます。

電線の上に敷かれたベニヤ板に、へリングボーン張りの墨を打ち、そこをジグゾーカッターで孔をあけてゆきます。

コンセント埋め込み孔だけでなく、電線を埋め込む溝も掘ってゆきます。この時点で、右側からヘリンボーンのフローリング張りが迫ってきている状態です…。

巻き取っておいた電線を溝に埋め込んで、四角い孔部分に巻いておいておきます。

プロのフローリング屋さんの腕は確かで、複数人(今回は4人)が有機的にお互いを補助しあいながら作業が進んでゆくのが凄い所です。

現場に並べられたこれだけのフローリング材の山が見る間に無くなってゆきっます。因みに、今回採用したこの幅広のヘリンボーン張りのフローリングは望造さんに特注でお願いしたものです。

張り始めから2時間ほどでここまで進んできました。

気がつけば、先ほどの床付けコンセント部分まで張り上がっていました!
今回はへリングボーン張りはリビングダイニングだけですが、廊下や寝室やウォークインクローゼットもフローリング張りなので、あと2日程の日程で全てのフローリング工事が終わりそうです。

クレーン(ラフター)を使っての建材荷揚げ

千代田区M邸

千代田区M邸は、ヴィンテージマンション4階のお部屋ですが、大きなテラスがあり、道路に面しているので、クレーン(ミニラフター)を使って建材を揚重しています。

これだけ広いテラスがあると、上階での荷受けも必要最小限の人手で済むので相当に楽だそうです。今回揚重しているのは、フローリング下地用の遮音マットです。

テラスから顔を出して下を覗いた様子です。十分に立派なクレーンに見えますが、正式名称としてはミニラフターとなるそうです。今回は道路と建物の間には電信柱や電線がなく、植栽のみなので、これも作業が楽になる要因だそうです。
因みに、クレーン車はトラックの荷台にクレーンがあり、トラックの運転席とクレーンの操縦室は別となりますが、ラフターの場合は、運転席と操作席が一緒のものを指すそうです。

室内に積み込まれた遮音マットと床下地材です。これだけの量がラフターを使うと2時間ほどで荷揚げすることが可能だそうです。これを地階の駐車場からエレベーターを使って搬入すると、養生手間や他の住人の方との兼ね合い等もあるので、丸一日は掛かるとのことでした。
費用としては、5万円(ラフターの賃料)+4万円(道路の警備員2名分)+3千円(道路使用許可料)の計10万円弱となるそうです。費用は掛かりますが、スピードとマンション住民の方々との調整、養生手間などを含めると、全然楽だとのことで、今後も荷揚げでラフターを2~3度使うことになりそうだとのことでした。

こちらは施工会社の現場監督の石坂さん、そのボスの樋口さん、そして社長の片岡さんと弊社副所長の前田君での現場定例打合せの様子です。

左官で仕上げる壁と建具枠の納まりのことが一番の話題となっております。今回は八掛(ハッカケ)枠という木製枠の縁が薄く見える特殊な枠で考えており、その検討を何度も行ってきました。

現場のコンクリートの床スラブです。下階の梁で囲まれた中央部分のスラブがクリープ現象で下がっており、レベル(水平度)が取れていなかったので、そのくぼんだ部分を薄塗のモルタルで補修して貰いました。

部屋全体のスラブレベルを調整する際には、セルフレベラーという液体を流し込む方法もあるのですが、スラブ段差や配管用の溝などがあるので、手作業の薄塗モルタル補修となりました。

床付けコンセントを設置する予定の場所は、少しでも厚みを確保したいので、このように薄塗モルタルを塗らないでくれています。このような細かい部分が青ならではの配慮で、ありがたく思っております。

在来工法浴室の配管と防水

渋谷区Q邸

現在工事進行中の渋谷区Q邸の浴室とシャワーユニット、お客さまと施工会社の青と設計の僕らで、色々と相談した結果、在来工法で進めることになりました。

Q邸には大きな浴室が一つ、さらに主寝室の奥にはシャワーブースがあり、それぞれを在来工法で作るべきか、オーダーユニットのシステムで作るかのメリットデメリットを何度も相談させて頂きました。
因みに、僕らはマンションリフォームでは在来工法の浴室は普段はお受けしていませんが、①低層マンションであること、②新耐震以降のマンションであること、③整形なプランのマンションであること、④地盤が良い場所に立っているマンションであること、⑤在来工法浴室の防水の保証についてのリスクを十分に理解して下さるお客さまであることの条件がすべて合致した場合は、検討させて頂いております。

こちらは在来工法の排水菅の接続口となる、バス兼トラップです。写真の黒い縁(ツバ部分)の部分がモルタルとフラットに埋め込まれていますが、ツバの部分まで防水塗膜を作ることで、床下に水が回らないようにするための排水金物となっています。

トラップの先には塩ビ製の排水管が接続されており、この写真のように床下の段差部分を通ってマンション共用部でもある竪管へと接続されています。

こちらは先ほどの浴室に比べて、すこし遅いペースで作り始められているシャワーブースの木製下地です。裏側にしたプラスチックバケツの上にレーザー測量機が置かれていますが、ちょうどこの四角く囲まれた部分がシャワーブースとなります。

反対側から見返すと、シャワーブースの立上り部分が木で作られているのが分かります。

1週間ほど進んだ現場写真で見ると、もう少しシャワーブースらしく組み上がってきているのが分かりますね。シャワー手前、写真の左側にはトイレが来るので、トイレの排水管が設置されています。因みにトイレの排水管から分岐されて、壁の内部で上へと繋がっている管は通気管で、この先にドルゴ通気弁を設けることで、トイレの排水がスムーズになり、かつトイレを流した際に他の葉汚水口からゴボゴボする音が出ないようにする機能があります。

シャワーブースからの排水管とトイレの排水管が交差する床下の高さはないので、トイレからの排水はシャワーを迂回するルートで配管して貰っています。

シャワーブースの内部は、奥の壁に埋め込みの水栓を設置し、その左横にシャンプー等を置けるニッチ棚を設けるデザインとなっています。

こちらはシャワーブース用のコーナー排水継手です。やはりこの黒いツバの部分まで勾配を持たせたモルタルでフラットに仕上げ、その上から防水層を張り付けてゆく形の排水金物です。

そのコーナー継手の上、仕上がった状態で設置する排水目皿とトラップのセットを…、

の片岡社長がお客さまご夫妻に説明してくれました。排水部分の清掃を気にしていらっしゃる奥さまも喜んで下さいました。

シャワーからの排水管は、以前コア抜きしながら、シンダーコンクリートに埋設されていた排水管を見つけた部分に接続します。

身長差のあるご主人と奥さまのシャワーの設置高さの最適寸法を測るため、同じマンション内の仮住まいにお邪魔して、シャワー高さを確認させて頂きました。

この日は、排水金物のチェックだけではなく、コンセントと照明等のスイッチ類の位置確認のためのお打合せもお客さまご夫妻と一緒に進めさせて頂きました。

ここはキッチン部分ですが、左側のコンクリートの壁や、右側の木製下地の所々に四角い白いカードが貼られているのが見えるでしょうか?

事前に竹田さんがスイッチやコンセントの位置をお客さまが確認しやすいように、スイッチやコンセントの形に切った紙を現場に貼り付けてくれたものなのです!

現場をご夫妻と回りながら、スイッチやコンセントの位置、高さなどを手直ししながら確認させて頂きました。

こちらはキッチン奥にある、集中コントロールパネル部分です。インターフォンや床暖房、スイッチ類やセコムのパネルも一緒に纏めたものです。

ダイニング上の折り上げ天井の下地も見て頂きました。ダクトのルートを変えることで、ダイニングの天井が約20センチほど上がったこと、お客さまもとても喜んでくださいました。

お客さまとの確認が終わった後も、現場は打合せ続きです。施工会社青の岡田さん、片岡さんたちに、現代製作所の吉岡さん、オーダーキッチンのリネアタラーラの現場担当の原口さんと電気のムラデンの井上さんを交えての打合せです。

キッチンはこれまで2度ほど現場に来てもらい、図面を修正して貰っていましたが、キッチンと造作家具の取り合いや、キッチン内の照明器具やスイッチの取り合いを確認させて貰いました。

原口さんが測った寸法と、青の現場監督の岡田さんが測った寸法がずれていた部分については、再度皆で実測して、正しい寸法を確認しました。

電気工事で使う照明器具のデモ機を持ってきてくれたので、点灯して明るさや色味を確認させて貰いました。キッチンと造作家具で使う照明器具が違ってしまうと、使い勝手でも色味で問題が発生してしまうので、共通して使える照明器具類を確認することができました。