Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

仙石山T邸のリフォーム完了検査

仙石山T邸

アークヒルズ仙石山レジデンスのマンションリフォームプロジェクトT邸の工事が一通り終わったので、お客さまと一緒の検査に参加させて頂きました。

クローズド(閉じた)型キッチンの壁を撤去して、フルオープンのキッチンに変え、廊下部分に本棚を設け、床フローリングを張り替えて、折り上げ天井の一部に突板を張ったリフォームで、ガラリと雰囲気が変わりました。

ガスコンロやレンジフード、食洗器などは再利用したキッチンですが、オープンカウンターにしたことで、LDK空間が大きく開放的になったと、Tさまも喜んでくださいました。

以前のシンクはカウンターに接着されており使うことができませんでしたが、水栓もまだまだきれいだったので再利用しています。柱型部分には、白くマットなカラーガラスをステンレスのコーナー見切り介して2面に張っています。

違う角度からみた柱型部分です。青いテープが所々に張られていますが、これは設計者の僕らが施工状態が良くない個所、手直しして貰いたい部分に印をつけたものです。

この日は、弊社の設計担当の神崎さんと副所長の前田君、そして僕、各務の3人で設計側の検査を行いました。

キッチン横の単なる廊下だった部分は、廊下の幅が広いことを利用した飾り棚兼本棚を作って、LDKの一部として利用できるようにしています。棚のサイドのウォールナットパネルをそのまま壁面に伸ばして、その奥にも部屋があるかのような錯覚が起きるように仕組んでいます。

こちらは玄関入ってすぐのエントランスホールです。まるで小さなマンションの共用玄関のような材料と質感で、グレードが2段以上上がったとお客さまに褒めて頂きました。前田君の奥にいるのは、工事を担当してくれたリフォームキューの営業&設計の岩波さん&テテウさん、そして現場監督の鈴木さんです。

エントランスホールの突き当りです。左側は既存収納にダイノックシートを張り、同じ柄のビニールクロスをアミダクジ状に壁に張って、一体のデザインとして見せています。

突き当り右側には、ガラス扉越しに飾り棚が見えています。

ガラス扉の袖壁を兼ねて、太くした枠を3方に回した本棚です。

大理石のオデッサベージュも本棚の正面壁に回り込みますが、キッチン手前でステンレス鏡面磨きの枠にぶつかって、見切られています。

エントランスホールから、反対のプライベートゾーン側を望んだシーンです。正面来客用トイレの扉が開いています。

来客用トイレのサイド壁は、床からの大理石調タイルをそのまま壁に張り上げています。手洗いカウンターの上には、ウォールナットの枠を廻した鏡となっています。

細かい部分では、色々と是正事項が見つかりましたが、お客さまも大満足して下さっての完了検査でした。お客さまが帰った後に、反省会をしている副所長の前田君と担当スタッフの神崎さんです。

→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。

漆喰壁の巾木の考え方

千代田区M邸

千代田区M邸は、ほぼ全ての壁と天井が漆喰仕上げになります。漆喰と建具枠の取り合いは、先日のブログで書いた八掛(ハッカケ)としていますが、巾木は白く焼き付け塗装したアングル金物を逆付けにして、すこしだけ床から浮いた仕上げにしたいと考えています。

こちらが現場に入ってきた白焼き付け塗装のアングル金物です。

出隅(壁の出っ張ったコーナー)の巾木は、このようにL字に組み合わせます。普通のアングルだと、コーナーがシャープになってしまい、足先を怪我してしまう可能性があるので、このように角を丸く切っているのです。

サンプルを作って貰った頃は、出隅の巾木の納まりは、45度のものを合わせたコーナーと考えていましたが、これだと、時間が経った時に先端が割れる可能性がありそうだとのことで、青の現場の樋口さんのアイデアで上記のようなものに変更した経緯があります。

壁のボード張りに先行して取り付け始められている巾木の様子です。

八掛枠との取り合いは、このようになっています。因みに、石膏ボードは二重張りなので、12.5ミリを張った上に9.5ミリを張り、本漆喰(下塗りと仕上げ塗りで2~3ミリ)で仕上げると、ほぼ巾木とボード面がフラットになってきます。

こちらは後日、下張りの1枚目の石膏ボードが張られた様子です。

寝そべってアップで見ると、このような取り合いです。。八掛の枠を巾木分削って差し込むという複雑な納まりとなっています。

こちらが後日、石膏ボードが2枚張られた後の様子です。もうこの時点で、巾木とボードがほぼフラットに見えていますね。八掛枠も3ミリのチリを残して、ほとんど存在感を消してしまっています。

オーダーキッチンと造作家具の合番(アイバン)工事

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸では、キッチンの組立てにオーバーラップする形で、造作家具も組立ても始まっています。オーダーキッチンのリネアタラーラが入るタイミングに合わせて、造作家具をお願いしている下請けの現代製作所さんにも、キッチンに合わせて組み立てて貰う家具があるのです。建築工事では、こういった違う種類の業種が同じタイミングで入ることを合番(アイバン(相番とも書きます))工事というのです。

こちらはリネアタラーラにお願いしてるキッチンの組立てです。まだ、手前のペニンシュラ(半島型)カウンターがまだ組み上がっていないので、単調な壁面型に見えますが、こちら側だけでもカウンターの長さ約6メートルの超大型キッチンなのです。因みに、キッチン手前側に立てかけてある大理石柄のタイルがペニンシュラカウンターの甲板です。

ちょっと視線をずらすと、このように大量の箱が並んでいますが、まだこれらの箱がキッチンとして組み上がってゆくのです…。

壁面キッチンの一番奥は、カウンター下部にはビルトイン型の洗濯機と乾燥機(共にミーレ)が入りますが、カウンター上には調理機器が並べられるようになっています。一部には上下階を繋ぐ配管(写真左側の黒いパイプ)が通っているので、その部分は箱にして避けています。

カウンターの一番奥には、柱型の手前に照明やセキュリティーシステム、床暖房などのスイッチ類をすべて取り纏めたコントロールボックスが来ます。こういった細かい細工と設備や電気との調整が、本当に大変な作業なのです。

また、キッチン屋のリネアタラーラさんに作って貰った箱に、造作家具屋の現代製作所が作った扉を取り付けるという変則的な合番工事になっています。

キッチンとは全く違う場所の主寝室奥の洗面所では、造作家具でお願いしている洗面カウンターの取付けが始まっていました。

リビングでは、先日施工が終わったハイテグラのマントルピース横に、加工大理石のサルバトーリ(イタリア)を張る作業も始まっています。

壁掛けテレビの背面壁としてピエトラ・ダァルバという石種のインフィニートという加工を使っています。凹んだ壁一面だけであれば、こちらの作業も比較的楽なのですが、今回は出っ張った角(専門用語では出隅(デスミ)といいます)を曲がっているので、端部(小口)を磨いたり、ラインを合わせたりの作業が大変なのです。

現場で切る作業はなるべく少なくするために、事前にきっちり測量して図面を書き、事前にカットしたり磨いた材を持って来て張るのが一番スムーズなのですが、リフォームだと歪んだ窓枠に合わせたりといった現場対応も必要になってしまいます。

このように徐々に組み上がって仕上がっていくのです。

正面から見ると、このようになってきます。中央左側は壁掛けテレビの引っ掛け金物が来る部分のなので、黒く塗装された木製の板が張られています。また、配線を通すための穴も事前に開けられています。

職人さんの手の跡が残ったハイテグラと、カチッと幾何学的なサルバトーリの組み合わせは、仕上がりが楽しみです。

ハイテグラのマントルピースの下には、バイオエタノール暖炉のエコスマートファイヤーを入れるカウンターと箱も組み込まれています。

パッと見ると、簡単な凹みに見えるのですが、実はエコスマートファイヤーが独自に作っている安全基準に則っていないと、暖炉を販売してくれないというルールを自主基準を作っているので、かなり面倒な(笑)しかし安全側になるように作られているのです。下地はすべてLGS等の不燃材で、バイオエタノール暖炉と近接する部分もケイカル板や耐熱ガラス等を使うという厳しいルールがあるのです。

このような図面を設計側で作って、エコスマートファイヤーの販売会社であるメルクマール社と何度もやり取りをする作業が必要になるのです。

在来工法浴室とシャワーブースの壁のタイル張りも行われていました。

色々な工事が同時進行で起こっているので、ほぼ丸一日現場にいましたが、夕方にはQさまご夫妻が現場に立ち寄って下さいました。ピザ・デーのお礼をお伝えさせて頂きました。進んできた工事を嬉しそうに眺めて喜んで下さっているお客さまの様子を横で見て、当日の疲れが全て吹き飛びました(笑)。