Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

石膏ボードとフラット巾木とピクチャーレールの関係

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸の現場は、石膏ボード張りの作業が始まっています。

180平米超えの大きなお宅の全面リノベーションなので、石膏ボード張りと言っても部分的には木製下地を作っていたりと、色々な工手と職人が重なっています。

こちらは廊下の角に設ける来客用トイレの入り口廻りのボード張りの様子です。石膏ボードを張る作業自体は単純な作業で、それほど難易度が高いものではありませんが…、

難しいのは、足元と天井廻りとなります。こちらは足元の巾木との取り合い部分です。石膏ボードも塗装仕上げの為、二重張り(9.5ミリ+12.5ミリ)となり、仕上げの12.5ミリを張った時に、下の巾木がフラットになり、かつ木製の巾木と塗装する石膏ボードの間に目地を切る(5ミリほどの隙間をあける)為に、フクビのプラスチック見切りを入れて貰っています。

それが出隅のコーナーとなると、このような面倒な納まりになってきます。

もう一つの面倒な造作が、天井との見切り部分に入れるピクチャーレールとなります。まだ石膏ボード一枚張りの段階ですが、二枚目の石膏ボードの厚み分だけ隙間を開けてピクチャーレールを先行して取り付けてくれています。こちらのピクチャーレールは、タキヤのコレーダーラインという製品を使っています。

寝室の隣の水回り等で、壁自体に遮音が必要なケースでは、ボードを張る前に、木製壁下地の間に、このように断熱材を充填して、隙間を無くして壁が太鼓状態になることを防ぐ処理もして貰います。

また、壁に埋め込む造作家具がある場合は、このように2枚目の石膏ボードを大きめに切り書いておいて、凹んだ部分に造作家具を入れ込んでから、造作家具屋に石膏ボードを張って段差分を埋めて貰うような手配もして貰っています。

木製枠を設けない引き込み扉の戸当たり部分では、扉の吊レールを設置する際に、石膏ボード2枚分を開けてレールをストップして貰っています。このような作業は、すべて現場監督の岡田さんが石膏ボード張りとタイミングを合わせて細かく指示をしてくれてるのを、僕らがチェックしています。

こちらは先日のブログでLGS下地が組まれていた、バイオエタノール暖炉を設置する直上の造作の下地で、不燃材のケイカル板を張って貰っています。湿式の仕上げ材を上から張る予定なことと、不燃材としても石膏ボードよりも不燃性が高い材としてケイカル板を使って貰っています。


こちらは、既存の折り上げ天井に設ける間接照明用のアゴ部分の設置工事です。断面を見ると分かりますが、エッジはシャープですが、三角形に折り上がり、小型のLEDライン照明をうまく隠せるように工夫した形状のアゴとなっています。

こちらはフローリングの端部、玄関の段差部分の納まりです。厚手の単板を張ったフローリングなので、その厚みを活かして、トメ加工で框(カマち)を加工して貰いました。

高級マンションのリフォーム提案資料

仙石山T邸

先日、現地調査をさせて頂いた仙石山T邸のお客さま向けのリフォーム提案資料を作りました。

130平米とそれなりに広い面積なのに、玄関ホールや廊下にスペースが取られて、リビングダイニングが広く感じられないのが現状の間取りなので、クローズドのキッチンをオープンにして、対面カウンターのキッチンを設ける案をまず最初に作りました。

ただ、それだけだと、やはり廊下の長さが気になるので、廊下部分に飾り棚を作るマイナーチェンジの案も作ってみました。

こちらの案は、キッチン位置を大きく動かして、エントランスの雰囲気から人の導線をガラリと変える案です。玄関周りの収納が乏しくなってしまうので、来客用トイレへは収納を抜けてアプローチする案としています。

これまで都合、10件ほどの高級マンションプロジェクトをご一緒したことがあるお客さまなので、すぐにオープンキッチンで飾り棚がある案が良いだろうとのご判断をして下さいました。ここからは、なるべく早くに概算見積りをお願いして、リフォームに掛ける予算をどこに設定するかを決めることになります。

こちらは、先のキッチンプランをお客さまにお見せする前に、原状復帰も含めて、全体で手を入れる部分とその概要を図示したものです。これを、施工会社のリフォームキューに見て貰い、キッチン以外でどのくらいの費用が掛かるかの概算見積りをお願いしています。

こちらのお客さまと僕ら、そしてリフォームキューの3者が一緒に組むのももう7件目くらいなので、平面だけである程度の精度の見積りを出して貰うことができますが、やはりこちらがデザイン的に拘りたい部分や、素材を見せたい部分は、展開図上のデザインを見て貰った方が良いので、このような手書きの簡易スケッチ展開図を出して、概算見積りの精度を上げて貰います。
概算見積りが出れば、すぐにお客さまもご判断をして下さるので、こちらのプロジェクトもここから急展開で進んでゆくことになります!

→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。

解体から造作へとスピーディーに展開する渋谷M邸現場

渋谷M邸

新築高層マンションリフォームの渋谷M邸は、間取りの変更がほとんどないお化粧リフォームなので、工事スケジュールも凄い勢いで進んでいます。

右手ダイニングの壁は、石膏ボードが剝がされた後に、石張りの為のベニヤ板下地となっています。キッチンは、レンジフード横の吊戸棚が撤去され、下がり天井もボードが幅されています。
床も既存フローリングが剥がされて、床暖房パネルが設置されその上の下地ベニヤ板のところまで仕上がっていました。

キッチンも本体は手を付けないので、しっかり養生されておりますが、ベースと吊り戸棚の間の壁には、大判タイルが貼られるので、やはりベニヤ板下地へと変えられています。吊戸棚を撤去した関係で、レンジフードのカバーも取り外されています。

リビング側の壁も造作TVボードや大理石調大判タイルが貼られるので、ベニヤ下地に代っています。スイッチやコントローラー類が移設されるので、弱電の移設工事も始まっていました。左側の窓際には養生のプラダンが貼られた上から、僕らが作った図面類が分かりやすく張られていました。

リビングダイニングの天井を見上げると、既存の折り上げ部分を活かしながら、間接照明用のアゴが取り付けられています。ダイニングの直上には、10キロを超える大きなペンダント照明が吊られるので、下地補強がされていました。

廊下からLDKへの入り口の床には、フロアヒンジが埋め込まれています。

こちらも細かい工夫ですが、窓際の床下地には、床暖房エリアを外れた部分に穴をあけ、フロアコンセントを設置予定です。高層マンションは、大きなパノラマウィンドウからの景色が何よりのご馳走ですが、窓際にコンセントが設置されていないケースが多く、家具やスタンド照明のレイアウトに困るので、このような部分は特に気を付けて設計しています。

LDKを出て、廊下側に戻ると、LDKの入り口付近に変形の飾り棚が設置されていました。

曲げた鉄板を三角形にして、二枚を互い違いになるようにレイアウトしたスチール製の違い棚です。

玄関ホールにも小さなベンチを作る予定なので、ベンチ板を固定するためのベニヤ下地が組み込まれていました。

お子さまのお部屋も緑の養生テープに沿って造作家具固定用のベニヤ板下地が貼られ、間接照明の電源の位置に電気配線が通されています。

こちらのお部屋はテレビも壁掛けで入るので、弱電の位置もずらして貰っています。

一番奥の主寝室のベッドの頭側は、ほぼ全面お化粧される予定なので、大きくベニヤ板張りとなっています。既存建具にダイノックシートを張る職人さんも入ってくれていました。
事前に段取りをして、一気に工事を進めるスタイルの工事は僕らには珍しいので、工事の展開の速さに負けないように頑張って現場に通う予定です。