Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アレキサンダーラモントのパネル張り&造作家具組立

港区R邸

造作家具の組み立て設置が続いている港区R邸の現場状況を引き続き案内いたします。

リビング柱型裏のワインセラーコーナーの造作

先回のブログで、オニキスを張った柱型の側面にワインセラーコーナーが着々と組み立てられています。

パネルを張る前のリビング柱型

ワインセラーの背面側はタイにオーダーした特殊パネル待ちの段階まで仕上がっていました。

アレキサンダーラモントのストローマルケタリーパネル

ちょうどよいタイミング(そのタイミング調整も現場監督の大事な役目ですが)でお願いしていた、その特殊パネル、アレキサンダーラモントのストローマルケタリーパネルが現場に届きました。

アレキサンダーラモントのストローマルケタリーパネルの原材料のライ麦

ストローマルケタリー(Straw Marquetry(麦ワラの寄木細工))とは左のライ麦の茎を一本一本手で割いて、アイロンで伸ばしたものを天然由来の染色剤で染めて、それを一枚づつ手で加工して、放射状に張り付けるという気の遠くなるような作業を経て完成するパネルです。

港区R邸柱型の四周展開図

この柱型については、当初こちら側でこのような展開スケッチ図を描きました。これをベースにアレキサンダーラモントの日本側代理店のエルクリエーションに見積をお願いして、お客さまのご承認を貰ったうえで、施工図を描き起こして貰いました。

 

アレキサンダーラモントのストローマルケタリーパネル承認図

タイのアレキサンダーラモント側で描き起こしてくれた承認図です。これを設計デザインの僕らと、施工のリフォームキューで幾度かチェック確認、寸法変更などをしたうえで、最終承認して発注したものが、先のパネルです。

アレキサンダーラモントのストローマルケタリーパネル

パネルの取付は、思いのほか早く、他の作業を見ている間に、あっという間に張り終わっておりました…。

オニキスが2枚張られた港区R邸のリビングダイニング

オニキスとアレキサンダラモントの2大高級素材で張り分けられた柱型の様子です。それぞれの枠を黒色で統一したので、それぞれの素材が別々に主張せずに、とても良い感じに仕上がってきました。

TV壁横の柱型を抱き込んだAV機器収納の造作

その他の家具の組み立ても順調に進んでいます。テレビ壁の横のAV機器収納棚は、真鍮目地棒が入って、あとは扉とスティッチ入りのレザーパネルを張り付けるだけのところまで組み上がってきました。

組み立て途中の造作家具の真鍮見切り

部分的にオープン棚が入ったり、扉付きの収納が入るので、真鍮の目地棒の組み立て順が大変だったとのことです。

レザーパネルを取り付けてゆくと…、

レザーパネルが入ったAV造作収納棚

このように仕上がりました!
パネル割を工夫して、後ろに柱型があることをカモフラージュしています。

スティッチ入りレザーパネルと真鍮目地のディテール

スティッチ入りのレザーパネルと真鍮の目地棒のディテールもとてもきれいに仕上がりました。

このブログの最初で紹介したワインコーナーもここまで仕上がってきました。クオーツストーン製のカウンター上はカラーガラスで仕上げていますが、最後のコーキングと扉付けが終われば、このコーナーは完成です。

御影石のカウンターを組み込んだキッチンのペニンシュラ型カウンター

キッチンのオープンカウンター下の艶消しのカラーガラス(マテラック)と間接照明も入りました。

スチール製の棚を取り付けた寝室書斎コーナー家具

主寝室の書斎コーナーの造作家具もそれぞれの扉が取り付けられて完成です。

ベッドを置くニッチ部分も石製の腰壁上のレザーパネルが入り、完成です。ベッドの両袖の再度テーブルはオリジナルで作りましたが、それも大理石の甲板がつけば完成となります。

 

壁掛けテレビと両サイドの金属パネル

ベッドのちょうど反対側の壁にテレビを埋め込んだ様子です。

ベッドが入った際の枕元の位置から、テレビ埋込の壁を見たアングルです。テレビ下に見えている配線類は、ちょうど床に置かれているカバーで隠す算段となっています。

ミラーとカラーガラスと大理石の腰壁とテレビを組み込んだ主寝室の壁デザイン

撮影した時期が前後してしまっていますが、主寝室の入り口側からテレビ壁を見返した様子です。姿見の鏡とカラーガラス、その奥に金属パネルや大理石の腰壁が続くことで、不思議な奥行感が出てきました。

 

 

解体工事完了@白金台E邸

白金台E邸

ヴィンテージマンションリフォームの白金台E邸の解体工事が無事終わったとのことで、現場に伺って参りました。

築38年のヴィンテージマンションの解体状況確認

床仕上げを剥がしたところ、予期していなかったところからシンダーコンクリートが表れて、ハツリ範囲が増えましたが、施工会社の頑張りで騒音が発生すると近隣の方々に告知させて頂いたスケジュールの中で斫り(ハツり)も含めて終えることができました。

ヴィンテージマンションの解体_床シンダーコンの斫り作業

こちらが来客トイレの床の嵩上げモルタル(シンダーコンクリート)を斫り機ではつっている様子です。

築38年のヴィンテージマンションの解体状況確認

施工をお願いしているスタイル・イズ・スティル・リビング(以下SISL)さんは、同じマンションのほぼ同じ間取りの部屋の工事をしたことがあるので、とても頼りになります。

ビンテージマンションの解体

廊下からキッチンへの勝手口部分には、当初から天井の下がりがありましたが、天井ボードをめくってみたところ、集中エアコンのダクトが表れて、経路変更も難しいことが判ったので、キッチン側に伝えて、この箇所のデザインを変更することに致しました。

ヴィンテージマンションの解体

かつてキッチンがあった背面壁の解体の様子です。これも違うフロアの同じ間取りでの解体状況の写真を事前にSISLから見せて貰っていたので、想定通りという設備の配管経路を考えてゆくことができそうです。

ヴィンテージマンションの浴室の扉撤去

こちらは家族用浴室の扉サッシを撤去した様子です。床からの立ち上がりは残しているので、実測の上、そこに新しくステンレスの枠と強化ガラスのサッシを入れてゆきます。

ビンテージマンションの床シンダーコンクリ―ト斫り後のモルタル均し

こちらは解体確認の数日後ですが、シンダーコンクリートを斫った部分は左官屋さんによるモルタル均しの施工も終わっていました。

ビンテージマンションの床シンダーコンクリ―ト斫り後のモルタル均し

キッチンの箱が入る部分は遮音は関係しませんが、通路となる部分には遮音下地を入れたうえでフローリングで仕上げてゆくので、この均し作業が必要になるのです。その他、リビングの床スラブ中央部分に多少のたわみがあったので、床フローリングの施工精度のことを考えて、セルフレベラーを打って、フラットに仕上げて貰っております。

 

テーブルのメンテナンスとソファの張り替え相談

南平台N邸

2014年の春にリノベーション工事のお引渡しをした南平台N邸のお客さまから、リーヴァ1920のダイニングテーブルに輪染みが付いてしまったことと、ミノッティのソファの張地が汚れてきたことによる張り替えのことでご相談を頂きました。
2015年の春にお引渡し後1年点検で伺って以来、3年ぶりに弊社の担当スタッフだった竹田さんと一緒にご自宅にお邪魔して参りました。

南平台N邸にメンテナンス訪問

新しいアートや置物などが置かれて、以前にも増してNさまらしさで満たされた空間でしたが、本当にきれいに暮らしてくださっていることとても嬉しく感じました。

コップの補修後に輪染みが付いてしまった無垢材ダイニングテーブル

ご相談の一つが、この写真に写っているテーブルの輪染みのことでした。いつもコースターを敷いて飲み物を置いていたそうですが、一度間違えて氷水のコップを置きっ放しにしてしまったところ、このようなシミができてしまったそうです。3年前の一年点検の際に、このリーヴァのヴェンゲ無垢材のテーブルを入れて貰ったアルフレックス社の当時の担当の中山さんにメンテナンスをして貰った際の道具を使って、ご自身でも手入れをしてみたそうですが、却って目立つようになってしまったとのことでした。

リーヴァ・ダイニングテーブルのメンテナンス@南平台N邸

今回は事前に上記の写真を送って貰って中山さんに相談したところ、1.5万円程度の費用がかかってしまうが、十分補修可能だと思うとの返答を貰っていたので、Nさまにもご同意を頂いた上で中山さんにも同行してもらいました。職人さんを連れてきて作業すると思っていましたが、状況を見た中山さんがおもむろにテーブルを磨きだしたのには、驚きました!なんでも以前はメンテナンス部隊で働いたこともあるとのことで、補修の腕にも自信があるとのことでした。

リーヴァのテーブルの補修用木質由来の天然色素

まず金属繊維を織り込んだ特殊な布で、テーブル面全面を丁寧に削ってゆきます。削る際は木目に沿って削ることが重要だそうです。その後、リーヴァ社が出しているこの着色剤を、シミができて色素が落ちてしまった周辺に薄く塗ってゆきます。この着色剤は、木材由来の染料を抽出した天然由来のものだそうです。

リーヴァ1920のダイニングテーブルのメンテナンス@南平台N邸

そこからはオイルを布に染み込ませて丁寧に塗布してゆきます。Nさまも見てくださっている中で、シミがきれいに消えてゆきました。

リーヴァ・ダイニングテーブルのメンテナンス用オイル

このオイルもやはりリーヴァ社独自のものだそうです。

南平台N邸にメンテナンス訪問

オイルを塗っている間に、ミノッティのソファの張地の候補を準備してゆきました。

補修後に輪染みが消えた無垢材ダイニングテーブル

オイル塗布後に乾拭き(カラブキ)をした後の様子です。当初の輪染みがあった個所もすっかり分からなかくなっており、Nさまもとても満足してくださいました。

染みとその清掃跡が残ってしまったミノッティのソファ

ソファもいつも座っている場所にシミが付いてしまったそうで、ご自身でネットなどを見てシミ取りを試みてくださったそうですが、却って染みの周りが目立ってしまうようになってしまったとのことでした。こちらも事前にこの写真をミノッティの担当の早坂さんに見せましたが、汚れの原因とその後のNさまの対処方法を伝えたところ、ここまで来てしまうと、残念ながら汚れを落とす方法はないとの返事でした。

ミノッティのソファ張地候補

当時と同じファブリックの張地があれば、汚れた部分の張地だけを交換するという考えもあったのですが、当時の布地が無くなってしまっているとのことで、似たような素材感のファブリック帳を事前にミノッティから幾冊か借りて持って伺いました。

ミノッティのソファ張地候補打ち合わせ中

ある程度良さそうな生地の選定はすぐに出来ました。僕らが改めてチェックをしても、他の箇所はそれほど汚れていなかったことから、シェーズロング部分(背もたれに対して座面が長く、脚や体全体も休ませることができる部分)だけを張地を変えてツートンカラーにするか、あるいは思い切って全面的に張り替えるかを、事前にミノッティから取り寄せていた見積りと見比べながらNさまと相談させて頂いた結果、少し今の張地に飽きてきていたこともあって、もう少し暗めのトーンのファブリックで全面張り替えることに決まりました。

南平台N邸の寝室のテレビ高さ

その他、幾つかの細かい補修項目がありました。こちらは主寝室ですが、当初はベッドに寝そべっていても、手前のラウンジチェアに座っていても、どちらでも見やすい高さに壁掛けテレビを設置しましたが、ベッドからしかテレビを見ないとのことで、もう少し高さを上げて欲しいとのご依頼がありました。

大きな浴室のコーナーに設けたドライサウナ

こちらは元からあった大きな浴室の奥に作ったドライサウナコーナーです。こちらも愛用して下さっているとのことでしたが、下部に設けたグリルから錆汁が出始めたとのことでした。

サウナ下の鉄ルーバー状カバーの錆

屈んでグリル部分を見たところ、焼付塗装で作ってたグリルに錆が発生していることが確認できたので、こちらも工事をお願いしたリフォームキューに取り外して塗装し直してもらう見積りを取ることに致しました。