Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

システム収納家具のギャラリー収納ショールーム見学

白金台E邸

ヴィンテージマンションリフォームの白金台E邸では、パブリックゾーンのLDKや玄関回りは、ディテールまでこだわった造作家具で作る予定ですが、デザイン性よりも使い勝手やコストパーフォーマンス重視のプライベートゾーンの寝室の収納や子ども部屋の机などはいわゆるシステム収納家具を使って、コストダウンとスピードアップを図る考えで計画を進めています。

そこで、お客さまのEさまご夫妻と東銀座にあるギャラリー収納のショールームを訪問して参りました。こちらは数あるシステム収納家具屋さんの中でも、一番ショールームが充実しており、扉の面材などの候補も数多くあるので、以前から使ってみたいと思っておりました。

Eさまのご主人はお仕事の合間に抜けてショールームに来て頂いたので、時間があまりないとのことで、まずはご主人さまのクローゼット収納の展示を拝見いたしました。この写真のように、扉を開けた中の引き出しシステムやカゴ状になった引き出し等が充実しています。

この写真の左側のように、扉と同面に収まる引き出し収納もデザイン的なアクセントになりそうです。

これまでは主寝室の中だけでご夫妻の洋服収納を全て納めていましたが、今回は寝室の横に奥さま専用のウォークインクローゼットを作る予定なので、主寝室内にはご主人さまの洋服を中心に収納する予定です。ベッド正面壁にはテレビを置くカウンターも設けたいので、その参考になりそうな収納も拝見させて貰いました。

ご主人さまが仕事に戻ってしまう前に、取り急ぎここまで考えてきた各部屋の仕上げ素材の候補を、ショールームの打ち合わせテーブルの上に広げさせて貰い、仕上がりのイメージを確認して頂きました。まだ細かくは決定できませんが、色使いや素材は概ね問題ないだろうとのことでしたので、このイメージの延長で、クローゼット家具などの色味をこちらでご提案してゆくことになりました。

こちらが、GALLERY収納の扉面材のサンプル棚です。この中から、仕上がりイメージと費用を考えながら幾つかのミニサンプルを貰って、デザイン検討してゆくことになります。

ご主人さまが戻られた後は、奥さまと一緒にその他の収納展示を拝見させて貰いました。こちらはパントリー/ユーティリティーをイメージした扉無しのオープン収納です。

その手前のオープン棚は、クローゼットのカバンや小物などの収納に良いかもしれないとの話になりました。

お子さまたちの部屋にも効率的な収納を設けたいとのことで、勉強机と本棚とクローゼットを組み合わせた収納セットをご提案することになりました。

こちらに広げた面材が、主寝室のクローゼット収納や書斎家具の候補になりそうな候補たちです。

 

ショールーム訪問2週間後に、第一弾の提案図面と見積りが提出されたので、細かい部分をチェックしてやり取りしながら内容と費用を固めてゆくことになります。

 

 

吹き抜け上部の壁石材はく離の問題と対処について

西麻布N邸

昨年末にリノベーションを済ませお引渡しをした西麻布N邸のお客さまから、玄関上部にある吹き抜けの壁に貼ってあった石材が剥がれて落ちてきたとの緊急連絡を頂きました。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸

生まれたばかりの赤ちゃんと小さなお子さまがいらっしゃるNさまご一家ですが、幸いにだれもいないときに剥落したようで、ケガや物が壊れたことはなかったようです。ただ、奥さまからは、タイミングが悪ければお子さまに深刻なケガあった可能性もあるので、まずは急ぎでの対応策をしたうえで、きちんとした原因究明と対処策を施して欲しいとのご要望を頂きました。
こちらは判りにくい写真ですが、玄関ホールから吹き抜け上部を見上げた写真です。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸

こちらがはく離して落ちてきた石材のピースです。5ミリ厚のシルバフォックスという大理石の背部から強化エポキシ1ミリで補強した材料を特注で作って貰ったものです。写真を見ただけでも反っているが分かりました。

西麻布N邸の玄関吹き抜け

こちらは工事途中の玄関ホールの様子ですが、右上の箇所の石材が剥がれ落ちてきた部分です。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸

ご連絡を頂いた当日のうちに施工会社に西麻布N邸に行って、状況確認をすると同時に他の石材がはく離しないようテープにて救急措置をして貰いました。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸

こちらの写真はテープを張る前に、まずは外れた石材ピースを、外れた箇所にはめ込んで仮にテープで止めて貰った様子ですが、やはり相当反っており、この反りが原因で背面の接着剤がはく離したであろうことが判りました。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸

改めて翌日に施工会社が職人さんと一緒に現地に伺って、打診をして少しでも危険度があると感じた石材は剥がして貰いました。昨日は曇りの状態でしたが、この日は快晴でしたが、上部が嵌め殺しのガラスで熱が逃げる場所がないこの吹き抜け上部は相当に温度が上がっている状態だったとの報告も受けております。

まずは当座の問題はある程度解消できたので、改めてNさまとの日程を調整して、まずは危険な状態を引き起こしてしまったことに対しての謝罪をするとともに、問題が発生した原因と対処方法について、こちらと施工会社で話をした見解をご説明させて頂きました。

・素材について
当初この壁は他の壁や床部分でも使ったハニカムで裏打ちされたもので検討しておりましたが、ちょうど現場監督の石山さんの背面に見えるキッチンへの勝手口の金物の収まりのディテールとの絡みで、薄く仕上げることが可能な強化エポキシでの裏打ち材に変更となりました。と同時に強化エポキシで裏打ちしたものでは大判サイズができないので、200×800程度の小型の割に変更していました。裏打ち材の強度はハニカムの方が強く、強化エポキシの方が弱いことが判っていました。

・接着方法について
施工をお願いした下請けの石材会社からは接着方法としてはベタに接着剤を塗って張る方法では不陸(フリク(壁の凹凸))を拾ってしまい、平滑に張ることができなので、今回は接着剤の点付け工法を採用したとのことでした。第三者の意見も聞きたかったので、付き合いのある他の石屋に確認したところ、接着剤の点付け工法が、強度的に弱いことはないが、写真をみると石を張る下地がパテ処理をした状態になっており、それは弱点の一つになっていたかも知れないとの意見を貰いました。

・吹き抜けの温度上昇について
これが今回、僕ら設計側がきちんと検討していなかったことでした。空気の逃げがない嵌め殺し窓付きの吹き抜けで、窓を閉めた車の中と同じように夏の温度はおそらく50度を超える状態になるようでした。夜になると他の室温と同程度の25度程度まで下がるので、これだけ温度の上下動があると裏打ち材と表面材の温度の違いで、特に強度が弱い強化エポキシだけで裏打ちした石材が反ってしまい、そのことによって接着部分が剥がれて石材がはく離落下したのだろうと考えられました。

・責任について
設計としては、材料選定の際に支給してもらった石材屋からは大きなアパレルなどの吹き抜け上部でも張った実績があることを確認していましたが、温度の急激な上下のことは十分に理解していませんでした。また、残念ながらこの石材屋の担当者(一人社長の会社でした)が、今回の工事中に病気で亡くなられてしまい、最終的な素材選定の問題点を確認することができませんでした。ただ、素材を当初のハニカム裏打ちからエポキシ裏打ちに変更する際の打ち合わせ時にも施工会社は同席しており、パテ処理下地の上にこの材料を張っていたことも問題点だったことについては同意してくれているので、石材を撤去して何らかの別の素材で仕上げることの費用についいては、設計事務所と施工会社で折半にすることになりました。

以上をNさまご夫妻にご説明したところ、謝罪を受け入れてくださった上で、原因と責任についてもご理解頂きました。

吹き抜け上部の石材はく離に対してのデザイン的対処案

吹き抜け上部まで石張りの壁が伸びていたこれまでの玄関内装デザインを、ご主人さまが特に気に入ってくださっていたので、何とか別の材料や方法を使って、以前と同じデザインに仕上げることができないかとのお話を頂きました。ただ、強度の高いより厚みのある石材を使うと、収納や勝手口の扉とフラットに仕上げることができないこと、また現れてしまう小口の処理もうまくできないこと、そしてやはり温度の上下が激しい箇所に石材を使う危険性があることをお話して、塗装仕上げにして貰うことでご了承頂きました。
上のCG図は、設計当初に作って貰っていたものですが、吹き抜け上部も右側の壁上部だけ塗装に変更したイメージ図です。現場でご説明した際には右側の建具と同じベージュブラウン色が良いのではとお伝えしておりましたが、このイメージ図を作ってみたところ、白の方が違和感がないので、こちらをお勧めいたしました。

吹き抜け上部の石材はく離@西麻布N邸に対しての緊急処置

そして後日吹き抜け上部の石材を全て剥がして、白い塗装で仕上げ直してもらった最終形の状態がこちらです。お二人からは、当初の石張りの方が高級感はあったが、これもほとんど違和感がないので大丈夫だとのご連絡を頂きました。お客さまと施工会社の全面的な協力もあって、迅速にご対応できたこと、ありがたく思っております。

西麻布N邸は、僕らにとっては初めてのメゾネットマンション住宅で、玄関のトップライト付き吹き抜けも初めての設計でした。初めてのことに対しては、なるべく慎重にというスタンスで設計デザインをしてきたツモリでしたが、今回のこの問題については検討が足りていなかったこと大いに反省しております。

オーダーキッチンと家具の打ち合わせ@白金台E邸

白金台E邸

更新が遅れてしまっていたヴィンテージマンションリフォームの白金台E邸ですが、打ち合わせと工事準備は順調に進んでおります。

オーダーキッチンのモービリティーポ

キッチンについては、ここまであるオーダーキッチン屋さんでほぼ内容決定のところまで進んでいたのですが、どうしても最終的な金額の調整が付かず、お客さまがお知り合いのツテを使って探してくださった新しくできたばかりのオーダーキッチン屋さんに仕切り直しで打ち合わせとお見積りをお願いすることになりました。

オーダーキッチンのモービリティーポ

青山の古いヴィンテージマンションの一室に入ると、外観やロビー・廊下とは全く違うスタイリッシュなショールーム空間が現れました。コンパクトながらセンス抜群のショールームで、ヴィンテージマンションを使っているところもお客さまは気に入って下さり、トントン拍子で打ち合わせが進みました。

オーダーキッチンのモービリティーポでの面材打ち合わせ

フィアンドレの大理石柄大判タイルのサンプルと、ちょうどこちらのショールームで使っていたナラ染色の面材の相性が良く、あとはグレーかベージュ―調の塗装サンプルを幾つか作って、それらを比較しながら仕様を最終決定するところまでお話を進めることができました。

ミノッティのソファ打ち合わせ

打合せ後はすぐ近くにあるミノッティのショールームに移動して、まだ最終的なご判断を頂いていなかったソファの張地選びを致しました。

ミノッティのソファ打ち合わせ

既に決まっていた床材、オーダーキッチン屋さんから借りたオーク染色のパネルと合わせると、スムーズに奥さまの好みのファブリックを選ぶことができました。

サァラ麻布のコンソール

最後に、リビングに置くコンソールを見ようとテレビ朝日通りにある高級輸入家具屋のサァラ麻布に伺ったところ、以前見たときにも面白いと思っていたコンソールが階段の踊り場に追いやられていましたが、ここまで決めてきた色味や素材感とピッタリ合うことが判り、こちらも在庫確保をして貰ったうえで、最終的なお見積りをご主人さまに見て貰ったうえで決定することになりました。