Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ペンダント照明ヴァーパンの取付け@横浜O邸

横浜市O邸

昨年リノベーション工事が完了してお引渡しをしていた横浜O邸のお客さまから、お子さまが少し大きくなってきて、インテリアを考える余裕が出てきたので、そろそろダイニングとリビングのペンダント照明を相談したいとのご連絡がありました。

シンボリックで印象に残る形のペンダントライトで、ミッドセンチュリー風でも良いとのことで、幾つかの候補をこちらで選ばせて頂きましたが、最終的に決まったのが、このVERPAN(ヴァーパン)という照明器具でした。デンマークのプロダクトデザイナーのバーナー・パントンがデザインした、当時のフューチャーデザインを具現化したユニークな照明です。

当初こちらがご提案したリストの中にはなかったもので、お客さまが候補に挙げてくださった器具です。外皮がアクリルで安っぽく見えないか、サイズが大きすぎないか等、不安点もあったので、ちょうど別件の調査で青山のヤマギワのショールームに行く予定があったので、担当の前田君とヴァーパンのそれぞれの器具を実際に見てきた際の写真で。サイズは多少大きく感じましたが、安っぽさは全く感じなかったので、この照明で進めさせて頂きました。

こちらは、事前にお送りした、ダイニングテーブルとペンダント照明の下部の高さを検討するための資料です。まだ赤ちゃんが小さいので、お二人がキッチンで料理の準備をしている際にリビング側に視線を通すことを優先すべきか、或いはダイニングで食事をする際に、座った姿勢から視線に入る高さにすべきかを比較した図面です。

取付けが普通の引掛けシーリングではダメで、直結しなければならないので、取付け工事をリフォーム工事もお願いしていたリフォームキューの坂本さんに、電気屋の望月さんと一緒に来てもらいました。組立てもなかなか大変で、英語のマニュアルを見ながら、何とか組み上げて貰いました。

設置高さについては、幾度か実験した後で、ダイニングテーブル上から照明の下端を80センチで決めて吊って貰いました。

吊り込みがひと段落したところで、お客さまもOさまと弊社スタッフの前田君がダイニングで照明のもとで歓談している様子です。このアングルだと、外が明るいので、印象が薄く見えますが、実際には結構な存在感で、グッとダイニングスペースよりに空間の重心が寄ってきた気がいたします。

実は、当日はまだ決まっていなかったリビングのペンダント照明も検討したいとのことでしたので、最終候補として残っていたネモのクラウンシリーズの2つのタイプの実物大模型(?)を持って、吊った時にどのように見えるかを検討して頂きました。
この上下二つの写真で比較している時は、大きなサイズのクラウン・メジャーが良いのではとおもっておりましたが…

先のヴァーパンが取りついた後にリビングにクラウン・メジャーを吊ってみると、二つのペンダント照明が争っているように見えてしまうので、小型サイズのクラウン・マイナーで進めることに決まりました。

最後の写真はオマケです。ダークセルベ(大理石)を一面に張った玄関ホールに素敵なアートが吊るされていたので、その様子を撮影させて頂きました。正面は草間弥生さんのリトグラフで、左面はどなたの作品かを聞き忘れてしまいました。アートを飾ることで、より素敵でかつOさまたちらしい空間になってきていること、とても嬉しかったです。

 

 

 

高級大理石のポルトロ張りの柱型

渋谷区タワーマンションS邸

ここまでリフォームデザインやインテリア提案のアドバイスをしてきた渋谷区タワーマンションにお住まいのSさまのリビングダイニングの柱型に希少で超高級な大理石のポルトロを張る工事のお手伝いを致しました。

マンションのリフォーム工事自体は、一昨年の10月に完成しておりましが、その後もミノッティのソファーやラグ、フレックスフォルムのラウンジチェア、モルテーニのテレビボード等のインテリア提案のお手伝いもしておりました。

その後のご相談で、テレビボードの背面のクロスの色が濃いので、もう少し薄めの色のクロスに張り替えたり、照明やダイニングテーブルのご相談も承っていた中で、リビングの二つの大きなピクチャーウィンドウの中央にある柱型に大理石を張りたいとのご相談がありました。

こちらの事務所にあった希少で高価な大理石のサンプルを幾つかお見せした中で、超希少で超高価なイタリア産大理石のポルトロを気にってくださり、是非良い柄のポルトロを探して張りたいとのことになりました。ここまでリフォーム工事をお願いしてきた大手リフォーム会社のN社の担当者に相談したところ、相談してから1年ほど経ってから、素晴らしい柄のポルトロのスラブが関ヶ原石材に入ってきたとの情報を貰いました。

そこでお客さまご夫妻とN社の担当者、そして私で岐阜県の関ヶ原石材の倉庫に現物確認に伺ってきました。変形のスラブ材が8枚が並べられた様子を拝見してきました。

ポルトロは柄(模様)の色と入り方が特徴で、金色(黄色)に見える柄が入っているのが、もっと高級とされています。また、黒い部分が漆黒で濁りがないのも重要な条件なのですが、今回のスラブ材はほとんど文句が付けられないほど美しい素材でした。柄の流れは少し斜めになっている個所がありましたが、それもほとんど気にならない素晴らしいスラブ材で、お客さまもとても気に入ってくださいました。N社に施工方法と見積りを作って貰う間に、この大理石が無くなってしまうことは避けたかったので、取り置きをお願いした上で見積りをお願いいたしました。

そこからまた見積りや施工方法の検討、柄合わせのデザインなどをチェックしたうえで、約半年後Sさまご一家が旅行でいなくなるタイミングを見計らって工事に取り掛かることになりました。

こちらが現地に届いたポルトロの大理石です。

超希少な大理石ですので、運搬や取付け中に割れてしまうのを防ぐために、背面にはメッシュネットを張り、更に四方にはスリットを入れて細い鉄筋を埋め込んでもらっています。

また、大理石を壁下地に張りつけてゆくうえで、地震などの揺れで石が落ちてこないように、石の上部にワイヤーを入れて、それを壁下地のベニヤ板に効かせたビスに結び付けるようにして貰っています。

因みに、こちらの写真が関ヶ原大理石に展示してあった、石引アンカーの詳細模型です。

一枚一枚をこのように丁寧に積み上げてゆく作業となります。

こちらが最終的にポルトロが張り上がって、手前にお手持ちのアンティークの棚と装飾品を置いた様子です。

ご帰国後のお客さまに検査を兼て、工務店と一緒に見学に伺った時の様子です。昼は勿論大理石の柄が見えてきれいだけど、夜になると今度は窓外の夜景の波とポルトロの波模様が繋がって、素晴らしいとのお褒めの言葉を頂きました。
一年半掛けてこの大理石張りを検討、施工してくれたN社の皆さまどうもお疲れさまでした。そして一年半も掛かって、ようやく柱の大理石張りが完了したSさまご夫妻、どうもお待たせいたしました!

 

 

 

 

ホームステージングされた白金台H邸の空間

白金台H邸

リノベーション工事が完成して、販売が始まっていた白金台H邸にリースの家具が入りました(当初からこちらのプロジェクトはリノベーションで間取り変更とインテリアのグレードアップ、設備更新を全体をグレードアップしてから販売する予定でした)。

中古マンションの販売時に、どのように暮らすのか、どんな家具レイアウトをしたらよいのか、生活のイメージが湧くようにリースの家具だけでなく小物まで配置することを、ホームステージングと言います。今回は不動産販売をお願いしている大成有楽不動産販売の担当の野村さんが紹介してくださった2社の会社に、現地を見て貰った上で提案書を作って貰いました。

2社とも、こちらの空間をとても気に入ってくださって、ホームステージングの実例を作っていくうえでも是非お手伝いしたいと言ってくれました。ただ、空間が結構大きく、結果的にお断りすることになった1社は、大きな家具をリースで揃えることが難しかったらしく、細かい家具を組合せたインテリア構成提案となってしまっていたので、最終的には、僕らも以前から知っていた虎ノ門にあるインテリア会社のメイズさんにお願いすることになりました。

こちらがそのメイズが作ってくれた提案書です。スタンド照明やグリーンなどの細かいアイテムも揃えてご提案してくれました。

こちらの事務所にも細かい置物や本、ポスターなどの用意があるので、センターテーブル上のオブジェと本、正面壁のテレビコーナーのポスターは事務所から持ってきたものです。

キッチンで軽食が楽しめるイートインコーナーも、ハイスツールが入ると子どもたちがご飯を食べている様子が浮かんできますね。正面右側のオープンな場所はビルトインタイプの食洗機置き場で、もしワインに嗜好がないお客さまがご購入した場合は、開き扉か引出を設置できるように考えています。

イートインコーナー越しにキッチンを眺めつつ、廊下から玄関ホールを見返した様子です。天井に見切り線を設けて、クロスを張り替えていることが判るでしょうか…。

こちらは玄関ホールです。姿見の前が少し凹んでいるので、そこには私物でアーティストの前川秀樹氏の彫刻を置いてみました。ちょうど良いニッチに存在感のある彫刻がはまって、良い雰囲気になったと思っています。

主寝室脇のウォークイン・クローゼット内のお化粧コーナーも、イスト植栽は入ったことで、こじんまりとした空間の気持ち良さが演出できているのではないでしょうか?

全体に広々として散漫に感じていた空間が、ホームステージングのリース家具を入れたことで、スケール感が生まれて、生活の様子も垣間見えるようになりました。これから販売が始まってゆくスケジュールですが、見に来てくださった方からどのような反応があるか、今から楽しみです。