Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

金物工場にて鋼製建具製作の見学

横浜A邸

埼玉県草加市にある金物加工工場に、横浜A邸でお願いしてる特注鋼製建具の制作現場を見学に行ってきました。

大きな工場に、見たこともない大型機械が幾つも並んでいて、それら見ているだけで、ワクワクして参ります。毎回、僕らがデザインしてる特注取っ手や特殊なスチールサッシを作る際にはこちらのS工業さんにお願いしており、現場で打合せの度に工場見学をさせて欲し いとお願いしておりました。ちょうど横浜A邸の鋼製建具を作り始めているとのことで、このタイミングで念願の見学となりました。

まずは工場にある大型機械がどのようなもので、どう使うかをザッと説明して貰いました。
こちらがベンダー加工機です。V型の金型の上に金属板を乗せて、上から220トンもの強力な圧力で金型を押して、任意の角度に曲げ加工できるというスグレモノです。

押し付ける側の金型は多様な種類があり、それらを上手く組み合わせて順に金属板を曲げてゆくことで、複雑な形のものを作ることができるそうです。

試しに、一般的なボンデ鋼板を直角に曲げて貰いました。微妙な圧力の調整で、このようにきれいに角度を作り上げることができます。他にも上下の刃のせん断作用で金属板を切断できるシャーリング加工機や、鋼板にV字型の溝を掘るプレーナー加工機なども実演して貰いました。

あまり他の作業を見せて貰っていると、それだけで半日ほど掛かってしまいそうだったので、早々に作りかけの鋼製建具の組立てを見学させて貰いました。

赤い骨組みの上に置かれているのが組立て途中のスチール製建具です。

事前にカットした部品を、このように溶接で一つずつを組合せてゆきます。

溶接にも幾種類かの方法がありますが、ここではアルゴン溶接のTIG(チグ)溶接を使っていました。不活性化ガスのアルゴンガスを使って、高温で母材を溶かして溶接してゆくので、溶接カスが出ないので、きれいに仕上がるそうです。

フラットバーの片側から溶接を掛けると、その熱で直線だったフラットバーがかなり歪み(ひずみ)ます。溶接とは常に歪みとの戦いで、どんなに機械で自動加工かされても、ひずみの矯正は職人の勘でしか対応できないそうです。
その歪みの矯正とは、溶接した箇所のちょうど反対側から、同じ長さで溶接をして熱を加えて、反対側に曲げることで、結果的に直線状に戻るという原理を使っているそうです。

溶接痕が残っていては、焼き付け塗装が上手く乗らないので、このようにサンダーできれいに均してゆきます。一か所溶接しては、反対側から溶接をして歪みを直すという地道な作業をしながらゆっくり組立てが進んでゆくという算段です。

これは僕らがよく作った貰っている箱型の特注取っ手です。

焼き付け塗装を施して、突板の建具と組み合わせると、このようなデザインに仕上がるものです。

窓際に置かれている細いフレームも全て、今回お願いしているスチール建具のための部品です。

今回は突板とガラスを組合せたデザインとしていますが、ガラスを入れる部分の押し縁(オシブチ)がこれらの部品の正体です。これらも溶接すると歪むので、その反対側から熱入れをして歪みを補正するという気の遠い作業を繰り返して作られた部品です。

他にも、フロアヒンジのピボット部品を埋め込む箇所の凹み加工をしたフレームだったり、

突板パネルの中央に金属の目地棒を通すデザインとしていますが、その目地棒部品です。

こちらはS工業さんが描いてくれたスチールサッシ制作図ですが、このようなディテールで、

このようなデザインの建具+ガラス製袖壁が近日中に出来上がる予定です。

新規プロジェクト:西麻布N邸がスタートします

西麻布N邸

西麻布で築15年、メゾネットで230平米のお宅をご購入なさったNさまとのプロジェクトがスタートすることになりました。

このように広いリビングダイニングに上階への階段がついた開放的なお宅です。メゾネットといっても、元々が最上階住戸で、上階は屋上テラス付きの小部屋があるだけでなので、ワンフロアで220平米近くの広さがあるお宅です。

都心のマンションではほとんど見ることがない実際に使える暖炉がリビングのコーナーにあります。

このような作りの暖炉ですが、実際に冬には使ってみたいとお客さまのNさまご夫妻も楽しみにしていらっしゃいます。

今のキッチンです。魚眼レンズ付きカメラで撮影したような不思議な写真ですが、キッチンから直行する形でパントリーが続いた大型キッチンです。ガゲナウのガスオーブンはまだきれいだったので、取り外して使うことになっていますが、キッチン全体は作り直すことになりそうです。

明るく開放的な玄関ホールです。最上階住戸ならではの特典で、大きなトップライト(天窓)から光が降り注いでいます。

このようなダブルシンクの洗面カウンターが二つ、お風呂も二つあります。主寝室付きの洗面は、ウォークインクローゼットに変更して、浴室もつぶしてコンパクトなシャワーブースとトイレを設ける予定です。

お客さまと不動産会社の方と一緒に、こちらのお部屋を内覧させて貰った時の様子です。実は、こちらのお客さまは、これまで住んでいた渋谷区のお宅をリフォームする予定で、すでに4か月ほどお打ち合わせをして参りました。

こちらが、その時までに用意していたリノベーション用の幻のプランです。リビングダイニングを広くしようとすると、どうしても出っ張ってきてしまうPS(パイプスペース)を利用して、三角形のガラス張りのワインセラーを作るという野心的な案でした…。
このお部屋が160平米ほどの広さがありましたが、ここまでリノベーションすると相当な費用になることをご夫妻が真剣に検討して、それくらいの費用を掛けるのなら、もっと広い部屋で思いっきりデザインした方が良いのではとのご判断で、急遽西麻布のこちらのお部屋をご購入してリノベーションすることになったという経緯があります。
こちらも、急転直下なお話で驚きましたが、それ以上にポテンシャルを感じる素敵なお部屋でしたので、また俄然やる気が出てきました。Nさまご夫妻、どうぞ今後とも宜しくお願いいたします!

 

雑誌「Bon Chic(ボン・シック)」の取材撮影@広尾N邸

広尾N邸

雑誌「Bon Chic(ボン・シック)」(主婦の友社)が、4月22日に発売予定号の巻頭特集として掲載する事例を取材撮影したいとのことで、広尾N邸にに来てくれました。

シックかつエレガントスタイルのこちら広尾N邸は、僕らがリノベーションをお手伝いした部分より、お客さまのNさまご夫妻が、ずっと温めてきたインテリアのアイデアや、長い海外生活で集めてきた家具や調度品などを飾っている面の方がはるかに大きいので、通常の建築・インテリア雑誌では取り上げて貰えないだろうと思っておりました。

雑誌「ボン・シック」はホームページでの説明文にある通り、「ヨーロッパを起源とするような、エレガント&クラシカルテイストのインテリア」を追求しているとのことで、まさにこちらのお宅とコンセプトが一致していることに今更ながら気が付きました。
4月22日に発売になる春夏シーズンの今号では、「明るく軽や かなエレガントスタイルのインテリアを大紹介」とのことで、その巻頭事例として8ページに渡って紹介されることになりました。

編集部の杉山さんは写真で見て頂いた段階からとても素晴らしいと惚れ込んでくださり、Nさまへの取材ではインテリアを超えて生き方やライフスタイルそのものにまで及ぶお話で盛り上がっていました。

いつも本当にきれいにしていらっしゃるNさまのお宅ですので、後片付けや整理することもなく、伺ってすぐに写真撮影に入ることができました。

ひとつひとつの絵の由来や、家具&調度品をどのように選ばれたかまで、詳しく説明してくださるので、8ページの掲載でも情報量が足りなさそうで、心配になっております…。

撮影が終わったところで、Nさまと一緒に記念撮影させて頂きました。とても和やかで、幸せな時間が流れるような素敵な取材撮影でしたので、きっと素敵な誌面でご紹介できるのではと大いに期待しております。