Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

家具と小物を入れてステージングした千代田区Y邸

千代田区一番町Y邸

LDKと玄関、水回りの大規模リフォーム工事が終わった千代田区一番町のY邸に、お施主さまからのご依頼で家具や小物、カーテン類までコーディネートしたステージングのお手伝いをいたしました。

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お施主さまのYさまからリフォームのご依頼があった際には、賃貸に出すか販売するかを迷われていた段階でしたが、インテリアの出来を見たうえで、賃貸よりも販売の方が適しているだろうとのことで、興味を持ってくれる富裕層のイメージしてステージングをして欲しいとのご依頼でした。

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「ステージング」とはあまり聞き馴れない言葉ですが、中古住宅販売では数歩先を進んでいるアメリカでは一般的なサービスです。家具や小物類、ラグやカーテン、照明器具などのインテリアをコーディネートして、新築マンションのモデルルームのように見せることで付加価値を付けるサービスです。家具コーディネートいう意味では「スタイリング」とほぼ同義語ですが、ターゲットをより強くイメージして販売するという点が大きな違いでしょうか…。

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通常は家具のレンタルやリースを使ってステージングをするのが一般的ですが、このクラス、規模の空間にマッチするレンタル家具はまだほとんど日本には揃っていないので、予算を事前に提示したうえで僕らの方で購入することとなりました。ソファーとコーヒーテーブルはアルフレックスのSONA、ダイニングテーブルはマクサルトのALCEO、ダイニングチェアはレ・スタンツェのDチェア、ラグはインテリアズが扱っていた特殊加工したアンティークラグを選ばせて頂きました。

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この日は、カーテンやブラインド、ペンダント照明まで一通り揃ったので、お施主さまのYさまとお友達のMさま、不動産販売のNさんに、高級マンションの目利きである坂根康裕さんにも加わって頂き、レビュー(講評)をお願いいたしました。
ハイ・エンドの高級家具だけでなく、アンティークラグや国産のダイニングチェアを混ぜたこと、またアイキャッチになっているペンダント照明(FLOSのCANCAN)がスターウォーズのダースベイダー(笑)のようで印象に残ることを褒めて頂きました。

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こちらは後日のお話ですが、坂根さんが元編集長をつとめられていたリクルート社の雑誌「都心に住む」が取材撮影に来てくた際の様子です。「名作マンションのもてなしリビング(仮)」というタイトルで、ヴィンテージマンションのリビングダイニングを撮影したいとのことでした。

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お客さまを呼んでのアフタヌーンティーをイメージしたティーセットや小物も持ってきてくれての撮影でした。

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花器や生花、お菓子やティーセットまで揃ってくると、本当にそのまま暮らせるようなセッティングになってきました。

 

 

 

 

 

窓から緑しか見えない都心のオアシス・白金台P邸プロジェクトスタート!

白金台P邸

新しいプロジェクトがスタートしましたが、まずはこちらの写真をご覧ください。

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大きなリビングダイニングの南面窓からの景色です。港区白金台の住所ですが広いテラス越しには緑しか見えません。

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テラスに出たところの景色です。こちらも自分の建物の外観以外は鬱蒼とした自然しか見えません…。

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築30年で180平米超えのこちらのマンションをご購入なさったお客さまからのPさまからご相談があって、ほぼスケルトンにしての全面リフォームのお手伝いをすることになりました。

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一度大きなリフォームを経験済みのお部屋のようでしたが、空調や給排水設備関係はほぼ全て撤去して交換する必要がありそうでした。お施主さま立ち会いのもと、壁裏のエアコンを調査している様子です。

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こちらは玄関ホールです。壁面いっぱいにクラッシックな造作家具と収納が据え付けられています。これらをどのようにデザインして再調理(?)してゆくかをお施主さまと工事をお願いすることになるリフォームキューの岩波さんと相談させて頂きました。

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同じ玄関ホールを玄関扉側から見返した写真です。現時点では、既存造作収納や建具を活かして再塗装で色を変えて、よりシックでヴィンテージ感を感じられるようなデザインにリフォームしたいと考えています。正面には小さな和室が見えていますが、こちらもお施主さまとのご相談で、書斎に変えようと画策しています。

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既存のキッチンは完全にクローズ型のとても広い空間です。本来はオープンキッチンに変えたかったのですが、壁式工法で作られているマンションなので、壁を抜くことは難しそうです…。

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こちらは前のオーナーさまが水色タイルをベースにリフォームした水回りです。リフォームの費用を考えると、何とかこれを活かしてきれいに使いたいのですが、浴室洗い場と洗面の境はカーテンで、防水性能などに不安があるので、どこまでリフォームするかは要検討です…。

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主寝室の奥に作られていた桐の突板で作られた既存ウォークインクローゼットは、とても素晴らしい出来なので、このまま再利用することが決まりました。

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前回リフォームされた時のきちんとした記録がなく、マンション管理組合に保管されている図面と見比べてみても、どこがコンクリート躯体で、どこをどのように変えたのかがはっきりとしない状況です。まずはお施主さまと現調時にお話をした内容を簡単に纏めてみたものがこちらの図面です。

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お施主さまのPさまからは、とにかく都心に稀有な緑しか見えないこのお部屋の特徴を最大限に生かしたリフォームにして欲しいとお願いされております。これからどのような方針でリフォームデザインを進めてゆくか、担当スタッフの前田君と一緒に考えてゆきます。

検査直前の大事件とその後の完了検査&お引越し

青山I邸

リフォームアドバイザーとしてお手伝いしてきた青山の高級マンションリフォームI邸の工事が完了して、お施主さまの検査に立ち会って参りました。実はこの検査の3週間ほど前に、施主検査を予定していたのですが、検査前夜の清掃時に担当者が腰に付けていたボトルから有機溶剤を床フローリング上に垂らしてシミを作ってしまうという大事件が起こってしまいました。

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シミの個所はクリーニングでは汚れを落とすことができず、ヤスリで削って汚れを落とす試みもして貰いましたが、横から見るとそこだけが凹んでしまうことが判りました。一か所だけであれば、その個所だけフローリングを張り替えることもできそうだったのですが、シミが部屋中に散らばってしまっていたので、急遽検査とお引き渡しを先延ばしにしてLDKのフローリングを全面張り替えることになりました。
その時点で、全てお引越しの手続きを終わっており賃貸中だったマンションを引き払ってしまったお施主さまご夫妻に対しては、リフォーム工事を請け負っていたM社の方で、家具付き賃貸マンションを手配して、荷物に対しても一時預かり先を用意してくれたので大パニックを何とか避けることができました…。

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こちらが汚れてしまったフローリングをいったん全て撤去して、新しく床下地を作り直した際の様子です。すでに組み立てていたリビングのカウンター家具も一旦バラし、幅木類も取り外した状態にしてから、フローリングを張り直してもらう手筈になりました。

床材が特注のスカンジナビアンフローリングだったことも影響して、その後2.5週間で何とかLDK全面を張り直して、仕切り直しの検査に臨むことができました。

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ここまでの経緯で、仮住まいをせざるを得ない状況になってしまったお施主さまご夫妻には、色々な気持ちが錯綜していたかと思いますが、検査は検査で重要ですので、気を取り直しての検査のお手伝いをいたしました。
こちらはトップライトがある、玄関ホールです。天井も高く、収納量の多い靴収納には満足してくださったようです。

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LDの壁際に作られた御影石カウンタートップのステレオ・TV機器類を収納する造作カウンターです。フローリングも張り直したことを全く感じさせない、きれいな出来でした。

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開閉式の扉で、リビングとの視線をコントロールできるキッチンです。ドイツ製高級キッチンメーカーのジーマティック社のオーダーキッチンです。

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奥さまが特に気に入ってくださったのが、こちらの浴室です。特注の割れ肌石調のタイルがシックで、とても落ち着く空間になったと喜んでくださいました。

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浴室と洗面所は、ステンレス鏡面仕上げの枠とテンパーガラスの扉で繋がっています。

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長ーいカウンターがある洗面代です。背面には洗濯機が見えていますが、引き戸で隠すことができる仕掛けを作ってもらいました。また、お施主さまご夫妻が高齢になった際には、簡単なリフォームで寝室との壁を一部撤去して、この洗面とトイレに直結できる扉が作れるように工夫した作りとなっています。

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こちらは、ご主人様が気に入ってくださった玄関ホールからリビングへの特注建具です。黒檀の突板を鏡面塗装に仕上げて貰い、南部鉄赤サビ仕上げの取っ手を合わせた扉です。両袖は透明ガラスを入れて貰いました。

検査で見つかった是正項目を補修した後にお引越しとなりました。そして引っ越し後2週間で訪問させて頂いた時の様子が以下の写真です。

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家具なしではただただ広すぎるように感じられたLDですが、家具やピアノ、調度品やアート、さらにはカーテンや照明器具が入って落ち着いた来たとのことでした。当初はお手持ちのラグで十分と考えていらっしゃったようですが、さすがにこの広さだとラグが小さく感じられたので、特注オーダーで大型のラグを発注することになりました。

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天窓付きのダイニング空間と横に繋がるキッチンです。壁際にはチークの家具が三つ並んでいますが、実はそのうちの一番右のものは、まだ駆け出しの建築家だった僕が、隣の家具に合わせてデザインさせて頂いた思い出の特注家具なのです…。その時から考えると十数年のお付き合いになるIさまご一家のリフォームをこのような形でお手伝いさせて頂くことができたこと、とても嬉しく思っております。改めてのリフォーム完成とお引越し、おめでとうございました!