Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

造作家具の据え付け工事@品川区Y邸

品川区Y邸

大井町Y邸の一番の山場である造作家具の取付けが始まりました。

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一昨日から3日連続で 家具職人が5人張りついての作業でした。最初は共用廊下に山と積まれた家具類が、時間を経つごとに徐々に壁に設置されてゆく様子は、動画で記録したいような景色でした。

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羽目板張りの天井と、造り付け家具の取り合いも一つの見どころとなる予定です。写真左側がクローゼット収納なのですが、その扉が天井と同じウォールナット材で、折れ曲がったように見せるデザインとなっています。

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一番難しいのが、この場所です。玄関ホールからリビングへの入り口なのですが、斜めの壁と斜めの天井の取り合いで、削り合わせながらの作業になります。

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斜めの要素だけでなく、足元からは電気配線が上ってきて、インターホンや警報などの弱電と絡み、更には背部には着込み扉が隠されることになるので、その取り合いの調整も大変そうでした。

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その分出来上がりのカッコ良さも格別でした。三次元的に吸い込まれるような入り口で、組み立ててくれた職人さんたちも、誇らしそうでした!

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出来上がると本当に簡単そうなのですが…。作る作業は削り合わせの連続でした。

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羽目板とクローゼット収納の取り合いのディテールです。こちらは建具が付かないとそのデザインは判らないのですが、後日紹介いたしましたので、それを楽しみにしていてください。

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同じクローゼット家具の下部の引出部分の詳細です。こちらも何故か端部が尖ったディテールとなっています…

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こちらにはベニヤ下地の壁からステンレスの角柱が5本飛び出しています。

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壁に立てかけられている板の端部に開いた5本の孔と先ほどの柱が組み合わさって、片持ちの棚板になる予定なのです。壁をクロスで仕上げるので、後日クロス屋さんの作業が終わってから、こちらを差し込むことになるそうです。現代製作所の藤田さんと綿密な打ち合わせをしてきたことが、現場に活かされています。

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こちらにも不思議なものが転がっていました。木の板を部分的にくり抜いたお盆か鉛筆置きのように見えますね…。これは玄関脇について、鍵や判子などを置いておく、小物置き場になる予定の部品です。

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コンパクトなトイレでも家具屋さんの作業が進んでいました。石のカウンターを設置する下に、収納を兼ねたボックスを取付け中です。排水管の取り合いもあるので、細かい作業が大変そうでした。

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その後作業も進んで、3日目の様子です。先ほど作業していたトイレの収納ボックスも無事取り付いて、後は石のカウンターを待つばかりとなっています。

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玄関脇の靴入れ収納も箱が取り付きました。梁型部分を削った形となっていますが、奥の両開き部分には分電盤を設置し、手前には照明を入れた行燈ボックスを取り付ける予定です。

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リビングの一角には、子どもたちの勉強机とその上部に本棚が取り付きました。ちょうど羽目板が張られた部分の下がリビングエリアとなるのですが、こちらには造り付けの家具が壁中に作られることになります。3日間掛けても、まだ完成していませんが、まずは大よその姿が見えてきました。暑い中頑張ってくれた現代製作所の皆さん、どうもお疲れ様でした!

グラスルーチェの取付け設置@代官山T邸

代官山T邸

色々と高級な機器類を採用している代官山T邸でも、もっとも設計側で気になっていたのが、グラスルーチェのシステムとその取付け方法でした。

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グラスルーチェとはハナムラ・トレーディング社が開発した、ミラーガラスでテレビを隠すシステムです。ハナムラのホームページには、グラスルーチェの説明として「TVはインテリア空間のデザインを壊す存在です。そんなTVの存在を消すをテーマに、TVを“美しいしつらえに変える” 壁面システムを考えました。TVを壁面の中に特殊システムを使 い躯体と一体化し全面にガラスを引っ掛け壁面の一部にするビルトインシステム」と書かれています。この写真は、新宿オゾンにあるグラスルーチェのショールームを訪問した際のものです。

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代官山T邸のお施主さまは、ご相談当初から、このグラスルーチェのシステムを寝室に採用したいとのことでした。写真は、解体工事前に、その寝室にテレビとテレビをカバーするミラーガラス、その横の棚を、設置予定の壁にテープでマーキングしてみた時の様子です。

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これが壁を指定の寸法で解体した際の様子です。工事は既に進んでおり、グラスルーチェのシステムを固定するたけに、壁下地のLGS(軽量鉄骨)が切り欠かれており、木製フレームが周り、また配線関係のCD管も通されている段階ですね。天井にはスピーカー用の丸穴があけられ、CD管が回されています。

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ハナムラ・トレーディングの担当者が書いてくれたディテールと、こちらで用意した寸法図を元に打合せを何度もしています。テレビだけでなく、アンプを入れて、ブルーレイと繋げ、天井に埋め込み式のスピーカーを入れる計画なので、その配線図も書いて貰いました。

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更に工事が進んで、横のウォールナット突板の棚が入り、グラスルーチェを固定するための柱材や、背面の合板も張られています。

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グラスルーチェのシステムとは直接関係はありませんが、横の壁にこのようなニッチを作り、ここにアンプやブルーレイを設置します。ちょうどこの壁の背面がウォークイン・クローゼットだったので、箱の背部を出っ張らすことができました。因みにアンプ類は使用時に相当な熱を発するので、空気抜けの孔も設けています。

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ウォークインクローゼットの天井に設けた点検孔にこれだけのCD管が届いています。後日CD管内部に通線して、先ほどの機器用ニッチに接続してゆきます。配線は、最後に壁を作って隠してしまう予定です。

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いよいよ待ちに待った(?)グラスルーチェ取付けの当日です。ハナムラからは担当の大西さんと職人さんが二人、それにリフォームキューの現場監督の岩波さんに電気屋さんが揃いました。

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こちらが、テレビを固定するためのフレームです。その後ろにはハナムラ側が用意してくれた薄型テレビも届いています。

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まずはテレビに配線を繋げ、動作を確認してから、フレームに固定します。

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テレビと共にフレームを固定した際の様子です。アルミのフレームと設計図通りに設置された木軸の下地がピッタリと重なり、そこにビスで固定されました。フレームはガッチリ固定されていますが、テレビはまだこれから微調整があるので、完全にはフレームに固定されていません。

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あとはガラスをはめ込むだけなのですが、その前にアンプとテレビの接続、スピーカーからの音の確認、インターネットの接続ができているか、外付けのハードディスクとの相性などをチェックする必要があります。まだ、ご入居前でインターネット接続にだけ問題がある事が判りましたが、その他の問題はクリアできたので、ガラスを取り付ける作業に入ります。

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写真がブレて見にくくなってしまいましたが、二人掛りでGLAS LUCEマジックミラーを引っ掛けます。ミラーは素手ではもてないので、ガラス用の大型吸盤を使っています。実際の引っ掛け作業は、2分ほどで終わりますが、テレビとミラーガラスの位置が全くズレないように、何度も付ミラーを外してはテレビ位置を微調整して、また付け直すという作業を繰り返してゆきます。右手奥では、設置したアンプを調整をしていますね。

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これで長かったグラスルーチェの取付けが完了しました。テレビの電源をオフにしていると、このミラーガラスの奥にテレビが隠されていることが全く判りません。横にデザインした木製の棚ともピッタリ寸法が合っており、実にカッコ良くレイアウトすることができました。大西さん始め、職人の皆さん、どうもお疲れ様でした!

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最後に、テレビがオフな状態とオンの時を同じアングルで比較した写真です。外が明るい時点での撮影だったので、反射してちょっと判りにくいですが、何度見ても黒いミラーの後ろから画像が飛び出てくるような感じで、とても不思議な体験でした。

天井羽目板張り@品川区Y邸

品川区Y邸

リビングエリアとダイニング・キッチンエリアを天井と壁の収納扉のデザインで区分けする計画の品川区Y邸リフォームプロジェクトで、ダイニング天井部分の羽目板(はめいた)張りが始まりました。

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写真手前がダイニング部分で、奥の窓際に向かってちょうど半分位のところで天井に段差があり、そこまで羽目板を張ることになっています。

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薄手でサネがないウォールナットの羽目板なので、両面テープと速乾ボンドとの併用で取り付けて貰っています。長く垂れ下がっているのが両面テープです。

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このように、奥から手前に向かって、両面テープを一枚分ずつ剥がしながら接着してゆきます。

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段差部分のディテールです。小口はウォールナット材が張られていないので、後日塗装やさんに似た色を小口に塗って貰うことになっています。

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他の部屋でも大工さんたちの最後の工事が進んでいます。こちら主寝室の天井には、物干し用の木製造作竿が設置されました。風通しの良い室内の場所に洗濯物を干したいとのご要望だったので、寝室の頭の上に二本の物干しバーを取り付けました。

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主寝室の反対側には、左に布団を収納する押入れ、右には通り抜け可能なウォークイン・クローゼットを計画しています。

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ダイニング横の窓上には、キッチンや洗濯機置き場の奥行きに合わせたフレームを作って、その上部に既存エアコンを取り付けるためのニッチを作って貰いました。

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このタイミングで、拭き取り塗装仕上げの巾木の色味を決める必要があったので、急遽ペンキ屋さんに現地に来て貰い、路上で塗り見本を作って貰いました。

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ナラ材の巾木に、AEPの白いペンキを塗って貰い、時間を少し置いてから拭き取って貰ったサンプルです。置いた時間を長くすると、白の定着量が多くなります。写真の右側がより白いサンプルで、こちらでお願いすることにしました。
後はLDKの家具とキッチンの取付けを待つばかりとなりました。