Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

床大理石の補修工事@代官山T邸

代官山T邸

代官山T邸の白い大理石張りの床は、お引渡し時からのものなのですが、前の持ち主の方の使い方の問題なのか、傷がついていたり、端がチップしている個所が、当初より多数ありました。工事が始まる前に、現場監督の岩波さんと、僕ら設計側で床を這いつくばってチェックして、石を交換しなければ治らない傷と、補修可能な傷に分けてマークしておきました。

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当初の検査で、張替部分は決まっていたので、大きな工事がほぼ終わったこの段階で、大理石の張替工事に入って貰いました。

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築浅の高級マンションでは、機械を使って床石を斫るのは、騒音クレームに繋がりやすいので、職人さんたちに頑張って貰い、手壊しでの作業をお願いいたしました。

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きれいに床下地のベニヤ板が見えるところまで斫って貰った後は、薄い灰色の二液性エポキシ系接着剤と、濃い灰色の速乾性セメントを点付けして、更に大理石が過度に沈み込まないためのアルミ箔を丸めたものを配置して、その上から大理石を張ってゆきます。
ベッタリ接着剤を塗ってから石を張る方法もあり、本来はその方法の方が床暖房がある場合の効きが良いのですが、周りに石が張られている今回のようなケースでは、レベルを調整しやすい点付け方式で張った方が良いという判断です。

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二液性ボンドは乾いて強度が出るまでほぼ丸一日掛かりますが、速乾性セメントは2~3分で乾いてしまうので、素早い作業になります。

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大理石を張り直して、10分ほどして速乾セメントが完全に乾いたことを確認してから、コテで目地詰めして貰います。因みに、既存大理石の目地はそれなりに汚れていたので、後程サンドペーパーで磨いて貰う予定です。

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こちらは石を張り替えずに、補修をしている様子です。写真左側のネットリした素材が樹脂で、ハンダゴテで溶かしながら色調整をして、パテヘラやカッターの刃を使って傷に刷り込んでゆきます。柄合わせで、線を書いたりして、周囲と馴染ませたうえで、磨きをかけて大理石の艶に合わせてゆきます。石張りは職人技という感じですが、こちらはよりアーティストに近いイメージです。

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石屋さんが入るのは今回は最後なので、他の部分で石に絡む部分も全て仕上げていってもらいます。こちらは玄関ホールとリビングを繋げる建具のフロアヒンジ部分です。機構をカバーする石の蓋を取り付けて貰いました。

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リビングの石張り壁に取り付けるB&OのCDプレイヤーのバックボードも、石屋さんに取り付けて貰いました。

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シャワー水栓や天井にぶら下がるレインシャーの配管の為に開けたユニットバスの壁にも、色調のあった大理石を張り直して貰いました。

 

 

「辰巳琢郎の家物語 リモデル☆きらり」の収録@田園調布F邸

ニュース

昨年3月にお引渡しをした、戸建住宅スケルトンリフォームの田園調布F邸が、BS朝日のテレビ番組「辰巳琢郎の家物語 リモデル☆きらり」に取り上げて貰うことになり、その撮影が行われました。

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撮影は午前中からプロダクション会社のジェネシスの撮影クルーが入り、共同設計者のイン・ハウス建築計画の中西ヒロツグさんと僕は、お昼前位に現場に伺わせて頂きました。着いた際には、既にテレビカメラが幾台か設置されており、F家の子供たちも興味深そうにのぞかせて貰っていました。子供たちの後ろに立っているのが、今回の撮影の実質的主導者の藤井ディレクターです。

事前の下見での内容に沿って、ある程度撮影のシナリオが作られています。ただ、実際には、辰巳さんは現場での実際に体験しての感想や、お施主さまとのやり取りの中で生まれるアドリブの方を重視するそうで、このシナリオに沿った展開になることはほとんどないそうです…。
そうこうしているうちに、玄関のベルが鳴って、辰巳さんが来てしまいました。事前にお宅に来て挨拶をするのではなく、カメラが回り始めてから、F邸の玄関先に来て玄関ベルを押したところから、ぶっつけ本番で始まるのです。僕らは後半にしか登場しないので、あわてて二階の撮影に使われない部屋で待機中することになりました。

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1階部分ほぼ全てを撮影したところで、休憩に入りました。ようやく、僕ら設計陣は辰巳さんとご挨拶をすることができました。それまでは、どのようなことをFさまと辰巳さんが話しているのか判っていませんが、設計時に作った模型があるので、それでリフォームの内容を改めて中西さんが説明しているところです。中西さんは、この番組の前身であるテレビ番組に2度出演したことがあるので、辰巳さんとも顔見知りだそうで、こちらも心強い限りです。辰巳さんは、ご自身もリフォーム(この番組では、リモデルで共通させていてるそうです)にとても強い興味があるそうで、撮影には関係のない細かい事まで質問され、こちらもタジタジでした。テーブルで辰巳さんの右側に座っている女性が、番組にご紹介下さったアシスタント・プロデシューサーの永井さんです。

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撮影にはヘアメイクとスタイリストの方も同席してくれているので、休憩時間に子供たちはすっかり仲良くなって、ちゃっかり(?)ヘアメイクをして貰っていました!

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2階の撮影をしている間は、今度は僕らは1階で待機でした。2階の最後には、写真のような吹抜けを見下ろすシーンの撮影があり、僕も一緒に撮影させて貰いました。

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撮影の最後には、僕ら設計がお施主さまご家族と一緒に立ち会って、お話をするシーンがあります。その準備中の様子です。カメラを構えたアシスタントの近藤さんが映したシーンを、足元のモニターで見て喜んでいるUちゃんとHちゃんとS君です。左に立っているのが、プロデューサーの田中さんです。

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最後のシーンを取り終わった後の記念撮影です。興奮しすぎて、朝の5時から起きていた子供たちは、最後はちょっとお疲れモードでしたが、何とか無事撮影を終えることができたようです。
辰巳琢郎さんは、テレビのイメージ通りのとても穏やかで知的な方で、最初にご挨拶した時から、子どもたちも含めて名前を憶えてくださり、とても楽しくお話をすることができました。

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撮影後には、甘える子供たちの相手もしてくださり、皆それぞれが抱っこして貰ったり、遊んで貰ったりしていました。子供たちにも記憶に残る楽しい一日になったのではないでしょうか?

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全ての収録が終わって、辰巳さんが着替えた後に玄関先でF家の皆さんとの記念撮影です。撮影中、ずっと機知に富んだ会話で盛り上げて下った辰巳さん、どうもありがとうございます。ジェネシスの撮影クルーの皆さん、どうもお疲れ様でした。何より、前日からのお片付け、そしてお子様たちの相手をしながらの撮影をこなしてくださったFさま、M子さま、本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました!
なお、放映はBS朝日で8月10日(土)の予定です。予定では5時から5時半の放映となっていますが、他のプログラムとの関係で、時間がずれることもあるそうですので、「辰巳琢郎の家物語 リモデル☆きらり」のホームページでご確認ください。どうぞお楽しみに!

バルコニーの植栽リフォーム@代官山T邸

代官山T邸

室内工事がほぼ終わった代官山T邸のバルコニーに植栽が入りました。

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元々、低層高級マンションのこちらのお部屋からは、窓外に都心とは思えないほど豊かな緑が見えるのですが、室内のクルーナイメージと、屋外の豊かな自然が少し離れて見えるので、お施主さまからカッコ良い植栽デザインを考えてくれと依頼されていました。

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スタッフの竹田さんが付き合いのあった、代々木にある庭園・ガーデンデザインと施工の庭衆の須田健さんにお願いして、こちらのイメージを伝え、とバルコニーの図面を渡したうえで、植栽の提案をして貰いました。

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こちらがそのプレゼンテーション図面です。外の欅と繋がるイメージの雑木を中心としたデザインと、オリーブやレモンなどの洋もの(?)のデザインの2通りを考えて貰い、デザインだけでなく費用や今後のメンテナンスもお施主様にご説明したうえで、後者のデザインで進めることとなりました。

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室内からはそれほど見えませんが、屋外からはガラス手すり越しに、プランターのデザインが見えるので、写真のようなちょっとラスティックでハードなイメージのものを選んでもらいました。

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メインとなるのは、オリーブとレモン、そこに形が印象的なリューゼツランを配し、更に下草としてヘリクリサムやタイムなどを植え込んだ混栽となっています。

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バルコニーの避難経路の問題があって、ちょうど窓の中央部分には植栽を配置することができないので、写真のように窓台部分に特注のプランターを作って貰いました。こちらは室内からよく見えてしまうので、長さ2メートルで、高さ25センチのバイブレーション仕上げのステンレス製プランターです!窓台が少し傾いているので、下部に付けたアジャスターでレベルを保てるように工夫して貰いました。

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この特注プランターにはそれほど土が入らないので、下草だけを植えて貰っています。爽やかな緑は、なんとアスパラガスだそうです。因みにこのアスパラガスを根気よく育てても、食用のアスパラガスは採れないそうです。

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こちらが完成した際の様子です。なんということがない植栽のデザインに見えますが、これらのプランターに入れられた土や腐葉土の量は、生半可なものではありませんでした。

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感性したところで、早速の水やりです。特に最初の2週間程度は、丁寧な水やりが必要なので、これからお引渡しまでの間にも、幾度か現場によって水やりをしてあげる必要があります。

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プランターの内部の世界のディテールを撮影して見ました。まだ植えたばかりですが、これまでここになかった新しい植栽の世界が生まれていることが判ります。

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特注のステンレス・バイブレーション仕上げのプランターに植えられた観葉アスパラガスのアップ写真です。こちらもとても繊細でいながら、濃い緑の植栽が、生き生きと育ち始めているようです。素敵な植栽とプランターが入ったことで、室内のクールなデザインと、屋外の豊かな緑が、バルコニーを介して繋がりました。須田さん、そして庭衆の皆さん、暑い中の作業どうもお疲れ様でした!