Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

二種類の対照的なフローリング

新築住宅

三世帯住宅の大田区N邸の現場には、二種類の対照的なフローリングが使われています。二階に住む息子さん夫婦は、無垢・無塗装の杉板フローリングを選びました。

杉板フローリング

子供が三人いらっしゃるので、転んでも柔らかくて怪我がないことや、床暖房がなくても良いくらい暖かいこと(厚みが3センチ!)、そして何より、優しい無垢杉板の触感が気に入られたことが選択の理由です。柔らかいことは、傷つきやすいことにつながり、湿気の影響を受けて、伸び縮みも激しいことなど、デメリットもありますが、それ以上に以前から無垢、無塗装のフローリングにあこがれていらっしゃったことが、一番の決め手だったようです。

ナラフローリング

それに対して、一階に住まわれる親世帯は、同じ無垢でも、ナラの塗装フローリングを選ばれました。フローリングの定番ともいえるナラ材の安心感と、湿気で伸び縮みしにくい寸法の安定性、それに掃除も楽なしっかりとしたウレタン塗装が気に入られたようです。こちらは、あまりにきちんとした塗装なので、
無垢材の柔らかさが、足裏に感じられないことや、金額的にもそれなりの価格がしてしまうなど、難しい面もありましたが、トールペインティングの教室を計画しているので、ペンキが床にこぼれた時の拭きやすさや、しっかりとした仕上がり感が良かったようです。
同じ無垢材でも、とても対照的にフローリング、やはり仲の良い家族でも、自分たちの住まい方を真剣に考えると、これだけの違いが出てくるのですね。因みにフローリング張りの工事をしているのも、一階が大工の親方で、二階が親方の息子さんで、こちらも親子で苦労してくれているようです。

英語雑誌「Metropolis」に掲載されています

ニュース

日本における英語雑誌のナンバーワンである(と広告されている)「METROPOLIS(メトロポリス)」の今週(10月3日)号に、私、Kenji KAGAMI(各務謙司)が見開き一面で紹介されています。記事は経歴の紹介、インタビュー形式の記事といくつかの写真から構成されています。帰国子女(中学生でカナダ)で、米国の大学院(ハーバード大学)への留学、そしてニューヨークの高級住宅専門の設計事務所Cicognanai Kalla Architectsでの勤務経験まで、丁寧に取り上げて貰っています。

インタービューの内容は

  • 建築のどんなところに興味があるのか?
  • 最近のリノベーション事例について
  • どのようなスケジュールでリフォーム設計をしているのか
  • その際の設計料について

など等、色々と細かい部分にまで英語で答えています。

このように大きく取り上げて貰った理由は、日本には英語が喋れる建築家の数が、少ないからだろうと思っています。実際には、英語圏に留学した学生や、海外で仕事をした経験のある建築家は、それなりにいると思うのですが、皆大きな事務所やゼネコンに勤務している人が多いのではないでしょうか。僕らの事務所カガミ・デザインリフォームのような形でマンションリフォーム・リノベーションや住宅、別荘リフォームに特化し、かつ英語がある程度話せる設計事務所・建築家があまり見当たらないことから、このような形で取り上げて貰ったことに繋がっていると思っています。

最近の仕事では、英語で作業を進めるタイプの仕事も増えており、おそらく四分の一程度は、そのようなスタイルになってきています。取り上げられている建築の写真は、「箱根C別荘」と「麻布MT邸」です。

半地下の二重壁

新築住宅

大田区久が原の三世帯住宅の現場も随分と進み、半地下部分の二重壁の下地も出来上がりつつあります。半地下部分にある居室は、三世帯住宅のうち叔母様のリビングと寝室、そしてウォークイン・クローゼット(WIC)に当たります。これらの部分の部屋の外壁側(コンクリートが地面と直接接している側)は全て二重壁となっています。

地下二重壁

つまりコンクリートの構造体の内側に、10センチほどの隙間を持って、もう一枚木造の壁が立っているシステムとしています。これは、半地下の部分からの地下水の漏水を考えてのことです。現在のコンクリートの打設技術は相当なレベルまで上がっているので、地下水が滲み出してくる可能性はあまりないのですが、それでも、もし地下水が染み出してきたら、そんなイザという時のために、この二重壁を作っているのです。

イザ染み出してきた水は、まず木造の壁の手前の隙間に流れこみます。この隙間部分は、きちんと防水されているので、溝を伝わって、二重床のピットに水が流れ出し、居室部分には水も、湿気も回らないような仕組みとなっています。上の写真は、リビングから、左手奥に寝室、右手奥にWICを見ている状態です。コンクリート壁に淡い緑色に見えているものは、断熱材のウレタンフォームの吹付けです。既に天井には天井カセット式(天カセ式)の空調機が取り付けられ、コンセントやスイッチの配線や、水周りの配管も設置されています。

地下二重壁詳細

こちらの写真は、狭い二重壁の隙間にカメラを突っ込んで撮影したものです。右側にが外壁側のコンクリートに断熱材を吹き付けたもので、右側に見えるのが木製の壁の下地です。間の隙間の下部が濃い灰色に見えますが、これが防水した溝の空間です。ちょっと見にくいですが、中央辺りに黒く見えるのが、地下ピットに通じる排水の穴です。