Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

テレビ・ステレオ棚の詳細(ディテール)

六本木T邸

竣工お引渡しまで二週間ほどとなり、六本木T邸の工事が山場に掛かりつつあります。本日は、現場監督のTさんを含め、7人の職人さんたちが作業中で、いよいよ緊迫感が増してきました。

六本木ヒルズレジデンス リノベーション工事現場

造作家具取付けとボード張りは先週からの続きで、本日よりベランダのウッドデッキ工事、塗装下地のパテ処理が始まっています。

ウッドデッキ張り

セランガンバツ材のウッドデッキの取付け中です。ベランダはマンションの専有使用権のある共用部なので、後日防水工事をやり直す際には取り外す必要があるので、幾つかに分解できるように設計しています。

塗装下地パテ処理

ボード張りが完了した天井から、塗装下地用のパテ処理も始まっています。中央部細長い四角部分は、埋め込みの配線ダクト照明を入れるボックスです。大きな面積のフラット天井なので、ボード二重張りの上からのパテ処理となっています。

テレビ・オーディオ収納棚

先日紹介したテレビ・オーディオ収納も大分形が見えてきました。 左下の白い箱にステレオ機器類とDVDデッキを置き、その上の四角い凹みがi-pod置き場、右側のフラットな部分に壁掛けスタイルでテレビが取り付く予定です。

ステレオ棚詳細

テレビ・ステレオ棚はシャープに見えるように細かいディテールにもいろいろと工夫をしています。可動の棚板は薄く見えるように端部に向かってテーパーを取って小口寸法を10ミリとしています。棚板自体も薄いので、中にスチールを仕込んで強度を出しています。ダボのピッチも20ミリと細かくし、多様なステレオ機器の高さに対応しています。

テレビが壁に埋め込まれているように見せるために、壁の一部をテレビの厚み分だけ凹ませています。凹んだ見込み部分をステンレス板で作っていますが、端部が薄く見えるように本来4ミリ厚のステンレス板を小口部分だけ1ミリまで削って石膏(プラスター)ボードとツラで納めています。
造作家具屋さんも、これまで施工した中で一番難しかったと言っていましたが、その分仕上がりが楽しみです。

田園調布の戸建住宅リフォームの現地調査

田園調布F邸

先日、戸建住宅リフォームのご相談を頂いた、田園調布のFさまのお宅に現場調査で伺って参りました。

田園調布F邸 リフォーム前のリビング

小高い丘の上に建つ築36年のシックな、延床面積150平米ほどの住宅です。旗竿状の敷地なので、奥まった場所にひっそりと建っている印象の建物でした。

実は訪問するのは二度目で、今回は共同でリフォーム設計をすることになったイン・ハウス建築計画の中西ヒロツグさんと一緒でした。Fさまの奥さまと一時間半ほどお話しした後、また一時間半ほど掛けて住宅を調査してきました。

こちらはリビングルーム隣にある和室の広縁です。

大屋根に覆われた住宅で、二階の一部の部屋は屋根裏部屋のような形状で、F家の小さなお子様達が喜ぶ寝室にリフォームすることができそうです。

屋根裏の構造

屋根裏の構造が覗けました。断熱材は施工されており、構造材も十分に乾燥して悪い状態ではありませんでしたが、筋違は外壁周りにしか見受けられませんでした。Fさまご夫妻とお子様三人が明るく風通しが良い環境で、楽しく快適に暮らせるようなリフォームプランをこれから練ってゆくことになりました。

高輪S邸茶室 聚月庵の移設

お茶室リフォーム

5年前にリフォームが完成し、これまで荒井宗羅先生のお茶教室として活躍してきた聚月庵=高輪S邸お茶室が、故あって移設することになったとのご連絡を頂き、扁額の取り外しに立ち会わせて頂きました。

聚月庵の扁額移設

まずは久しぶりの訪問でしたので、幾枚かお茶室の写真撮影をさせて頂きました。

お茶室の床と床脇

真正面から床と床脇を撮影したアングルです。

こちらは雪見障子の外側からお茶室を覗いたアングルです。

扁額の取り外し

いよいよ扁額取り外しの際は、ちょっとセンチメンタルな雰囲気になってしまいましたが、宗羅先生とリフォーム工事を担当した大工の伊藤さんと三人が集まったことで、当時を懐かしみながら銘木選びの楽しさや、色々の難しかった工事を懐かしむ為に、近所の鉄板焼き屋さんで同窓会(?)をすることになり、結局夜遅くまで楽しく話し込んでしまいました。

以下おまけです。ホームページでも公表しておりませんでしたが、実はこの高輪S邸ではキッチンと浴室のリフォームもお手伝いしていました。当初のデザインは別の建築家でしたが、こちらも故あって各務が監理をすることになった事が宗羅先生との出会いでした。

高輪茶室のキッチン

大使館と見紛う大きな洋館の中に、このようなヴィヴィドなオレンジとステンレスを使ったキッチンが入っているのです。

高輪茶室のキッチン

ハイカロリーバーナーの設置や、窓周りのステンレス板の納まり、扉内に収まっている洗濯機の排水など、このキッチンリフォームでも苦労したことを思い出します。

高輪の茶室の浴室

こちらは、三階の浴室です。屋上に置いた給湯器からの距離の問題で、お湯が温まりにくかったことや、米国ジャグージー社の大型浴槽だったので、お風呂にお湯を張るのに時間が掛かることが問題になった事など、やはり色々な苦労を思い出します。考えてみれば、高級住宅のリフォームで問題になりそうなことを、この工事で大分勉強させてもらったようです。宗羅先生、どうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします!