Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

薄塗り金属調左官材のモデナ

赤坂N邸

赤坂N邸の印象的なカーブ壁を仕上げる材料として候補に挙がっていた、薄塗り金属調左官材のモデナの施工事例を見るために、お客さまのNさまと共同設計者3*Dの石川利治さんと三人で、新宿区大久保の日本化成の本社に伺ってまいりました。

歌舞伎町と大久保の間にある自社ビル内にショールームがありました。質感浴衣で、カラフルなサンプル類が出迎えてくれます。

テーブルの上に置いてあるサンプルが、今回検討している金属調の左官材のモダナのサンプルです。

モデナは、金色と銀色と銅の赤褐色の三種類のベース材を混ぜ合わせるシステムとなっており、

その三色の調合具合とコーティング材との組み合わせで、多様な色味が作れるとのことでした。こちらの写真の一番下の一列は、銅を混ぜた色味でコーティング剤を塗らないと、銅の錆びの緑青(ロクショウ)が発生し、しばらく放置していると青緑色になってゆくそうです。

またモダナ自体は薄塗の仕上げ材ですので、下地の作り方によって更に色々な表情が作れるとのことで、こちらは流れのある下地に金1+銀1+銅1でミックスした左官材を塗って磨いたサンプルです。

3*Dの石川さんが床タイルとスチールサッシとカーブ壁のCGを用意してくれていたので、それと見比べながら、どの色でどのような下地にするかをNさまとご相談させて頂きました。最終的には、上記のサンプルと同じ調合で、左官下地については現場で決めてゆくことになりました。
因みにCGパースの右隅に、ペンギンのような物体が写り込んでいますが、これはNさまがお手持ちの超高性能スピーカーのGIYA-G1-SPIRIT(Vivid Audio社)です。


ショールームには、モダナの他、ひび割れがしにくい左官材として有名になったモールテックスの代替品ともいえるデコリエのサンプルもあり、左官材のこと色々と勉強になりました。
商品説明を丁寧にしてくださった日本化成の宮島さん、藤村さん、そして左官屋として打ち合わせに同席して下さった望月工業の望月社長、どうもありがとうございました。

自家製CGパースを使っての打合せ

千代田区M邸

コロナ期間中の事務所の収穫の一つとして、副所長の前田君がCGパースの技術を習得してくれました。埼玉県さいたま市の気鋭の設計事務所タグケンにコンピューター持参で修業に行って貰い、田口さん、三重野さん、上田さんの三人に教えて受けて貰った成果がこちらです。

こちらはまだ白黒ですが、千代田区M邸リビングダイニングの昼と夜のCGパースです。

お客さまのMさまには、CGを作っていることはお伝えしていませんでしたので、こちらをお見せしたところ、驚くと共にとても喜んでくださいました。

リネアタラーラが作ってくれたキッチンの面材のサンプルも、CGと比較しながらだと想像しやすいと、特に奥さまが喜んで下さいました。

先日、関ヶ原石材のアントリーニギャラリーで購入が決まった2つの石種、アイリッシュグリーンオイスターホワイトは、小型サンプルが届いたので、改めて確認して頂きました。
奥さまがお手持ちのハンカチを取り出して、「自分の好きな色が詰まったハンカチだけど、二つの石種に含まれている色が、すべてこのハンカチと同じです!」と喜んで下さいました。
因みに、2種類のサンプルはそれぞれの石種の購入が決まったことで、関ヶ原石材が送ってくれたものです。石の購入が決まらないと、サンプルも貰えない仕組みとなっているのです。

この日は、その他スイッチプレートやコンセントプレートの色味も確認して頂きました。
まだまだCG作成に時間が掛かるので、普通のプレゼン資料としては使えませんが、これから徐々に体制を整えていきたいと考えています。頑張って作ったCGを喜んでもらえて、担当スタッフの前田君もとても充実した顔をしていました。

渋谷区Q邸 天井裏設備の刷新工事

渋谷区Q邸

建築の解体工事が無事終わった渋谷区Q邸の現場は、マンション指定の設備会社が入っての天井裏の空調、吸排気等の設備工事の刷新工事に取り掛かっています。

こちらのマンションは全てのお部屋が大型住戸となっており、空調システムもエアハンドリングユニット(AHU)とファンコイルユニット(FCU)の二つの方式がミックスされており、さらに加湿機能がAHUからFCUへと渡っており、複雑なシステムとなっています。

こちらは建物竣工時の図面を撮影したものから色分けして作った既存の天井裏設備図です。

こちらは、リノベーション後の平面計画図に書き込んだ、設備図です。当初は、全ての設備を交換する見積りもお願いしたのですが、設備関係だけで5000万円を超える見積りが提示され、お客さまも僕らもビックリで(マンション指定業者での交換となるので、こちらでは価格のコントロールが難しいのです…)、なるべく既存設備を再利用する計画で見直しました。リビングダイニングと玄関廊下は、既存のエアハンドリングユニットを再利用しますが、吹き出し口のブリーズラインの位置は、インテリアデザインや照明計画と合わせて位置変更をしています。

こちらは室内にある機械室内のエアハンドリングユニット本体です。毎年指定設備会社がメンテナンスをしていますが、今回交換できる部品は交換して、取り外しできる部分はすべて取り外してクリーニングして貰いました。こちらの機械は最悪壊れた場合でも、この機械室内の工事だけで新しいものに交換できることを確認しております。

AHUからのダクトと吹き出し口も、変更するカ所については一度落として、付け替えます。

吹き出し口のブリーズラインは、すべて取り外して、再利用するものは工場で焼き付け再塗装して戻すことになります。

上記以外の各居室の天井裏にあったファンコイルユニットは、すべて一度取り外してメンテナンス致します。

既存FCUはキッチン以外はすべて再利用なので、機械が傷まないように慎重に作業してもらっています。因みに、FCUも将来的に機械が壊れた場合や部品対応ができなくなった場合の交換方法も検討しており、新しく設ける天井点検口を使って機器を分解解体して撤去&取り換え工事ができるように考えて貰っています。

ダクト内部をチェックして、汚れや傷み具合を確認しました。

全てのダクトを一度に確認することはできないので、夕方暗くなってから外した機器のダクトは、照明器具を内部に差し込んで確認してゆきました。

FCUではもう一点気になることがありました。黒く見える鉄板部分なのですが、冷房使用時の発生するドレイン排水を纏めるパンがホコリで大分汚れているので、この部分の清掃もしっかり行うようにお願いしておきました。

機器取り外しと同時進行で、配管類も取り外してゆきます。

天井吊りのファンコイルユニットとその周りの設備配管を粗方撤去した様子です。

実は今回の設備工事で一番費用が掛かっているのが、冷媒管の交換作業なのです。こちらは取り外された古い冷媒管です。マンション共有部の設備から暖房用の温水と冷房用の冷水が冷媒管を通じて、各住戸に提供されているのですが、調べたところこれらの冷媒管に使われいてる鋼管は耐用年数が20年とのことでした。年数的にはもういつ漏ってもおかしくない状況とのことで、今回天井を解体するタイミングで全てを交換するのが良いだろうとの判断になりました。

こちらが、玄関天井裏にあった、冷水と温水の各冷媒管の専有部分への飛び込み口です。奥の2本が温水で、手前の2本が冷水で、それぞれ行き来があるので、計4本となっています。

玄関部分は、先日のお客さまとの打合せで、折り上げ天井を作って、天井高さを上げたいとのご要望があったので、それぞれの冷媒管を玄関入ってすぐの所で織り上げて接続して貰っています。

部屋の片隅には、冷媒管接続の為の部品類がきれいに並べて置かれていました。ピンク色のドーナッツ状のものは、冷水管を天井から保持する際の断熱材付きバンドです。これが無いと冷えた冷媒管の結露で、天井裏の金物が錆びてしまうのです。

こちらは各接続部に設けるバルブ類です。

設備機器の移設に伴って、天井の点検口や自火報の移設、電気関係の盤の移設なども絡んでくるので、それらを弊社担当スタッフの竹田さんと施工会社の青の面々が打ち合わせを進めてくれています。

こちらは玄関ホールの幅と天井高さがどこまで広がるかを計算している様子です。

全ての状況と数字を整理しながら、設備関係のレイアウト位置を現場定例打合せで統合してゆきます。