カガミ建築計画のマンションリフォーム&リノベーションで大理石を使うようになったのは、調べてみた所、2013年頃からのことでした。それまでは、ライムストーンなどの砂岩系の石は使ったことがありましたが、ちょうど8年ほど前の赤坂M邸の頃から、お客さまのご要望で大理石を採用し始めたことを思い出しました。当初大理石に対して、柄が強く、本磨きを使うとツヤも激しく、如何にもお金持ちの豪邸のようにハデハデになってしまうことを恐れていた記憶があります(笑)。ただ、大理石の特徴が分かって、磨き方を工夫したり、目地の使い方を覚え、実際に岐阜県や三重県の大きな石材屋を訪問するようになってから、大理石の魅力に開眼し、恐怖心も克服することができてきました。
さて、現在工事進行中の仙石山T邸では、玄関入った正面壁にオデッサベージュという大理石を全面的に張る計画となっています。オデッサベージュは、大理石としては石灰岩がマグマの熱で再結晶化されたものとのことで、柄もツヤもそれほど強くない、つまり癖の少ない使いやすい大理石として重宝させて貰っています。
600角の定尺ものをベースとして使い、それを等分割したものと、定尺ものを混ぜて、さらに水磨きと本磨きを混ぜ、目地もアミダくじ状にずらしながら張って貰っています。
現場でのカット作業を最小限にするために、すべてが部品化された状態で現場に入ってきています。
大きなものと細長く割られたものが混乱しないように、きれいに整理されて現場に並べられています。
立て掛けられた大理石の板の小口を見ると、このように数字が割り振られています。
石職人さんは、このような設計図を見ながら、その指示通りに石を張っているのです。
アップで見ると、このような指示図となっており、水磨きと本磨きの違いや、小口の磨きの指定まで細かく指定されているのです。
壁の端部では、石の厚みがそのまま見せられるようになっていたり、
出隅コーナーを回り込む部分については、このように互い違いになる様にサイズが調整されていたり、小口磨きの指定がされているのです。
因みに目地の幅は3ミリで共通していますが、その幅は、このアップ写真でみた小口に置かれた3ミリ厚のアクリルチップの上に載せてゆくことで調整されているのです。
同じお宅内のリビングの突き当り壁には、グリジオビリエミという濃い灰色系の大理石を張って貰っています。
こちらは大きな一枚の石の壁のように見せたいので、すべて本磨きで、かつ目地も入れない眠り目地で張って貰っています。
大理石も石種やサイズによって、厚みが色々と変わってくるのですが、大きく厚いものになってくると、一人の職人さんで張ることができず、職人さんの数が増えて、増額する要素になってしまうので、一人で張ることができるサイズ考えながら設計をしております。ちょうどコンセントを入れ込む箇所を見ると石の厚みが分かりますね。
因みに、こちらはトイレの壁ですが、同じような大理石に見えますが、実は大理石調のタイルなのです。大きな空間でフォーカルポイントになる壁に本物の大理石を張り、サイズが小さい壁やトイレ洗面のように水でぬれる可能性がある空間には大理石調タイルを張ると、空間イメージが統一しながらもコスト調整が可能で、使い勝手も良くなるという考え方です。
また、浴室内では、超薄型(3.5ミリ)のタイルも使っています。既存の浴室壁がタイル張りになっており、全面白の仕上げとなっていますが、平坦で立体感も出ないので、既存タイルの上から張ることができる、この超薄型のブクシースリムを張って貰っています。
この薄さを見て貰えると、先ほどの石の厚みとの違いが良く分かりますね!
現場には、石とクロス張りの壁を見切るための金属製の見切り材や…、
壁の仕上げ材の色に合わせて、事前に塗装された巾木も入っていました。
廊下突き当りのこの壁、もっとも重量感がないビニールクロス張りの壁となっていますが、それでも6ミリのベニヤ板をアミアくじ状に張り、目地底までクロスを張り込むことでクロス巻きのパネルを張り込んだような硬質感が出るようにデザインしてみました。
→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。