Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

金属調左官材モダナ

赤坂N邸

左官材ながら、金属の粉が配合されており、仕上げ後に磨き上げると金属の光沢がでる不思議な素材、モダナ(日本化成)の左官工事が赤坂N邸で始まりました。

と言いながら、僕らが現場に着いた頃には、ほとんどの左官作業は終わっておりました…。

こちらがモダナの基材となる左官材です。今回は、金と銀と銅の三色を同量で混ぜて、中間色を狙っております。色味のサンプルの写真は、以前のブログ記事に掲載しています。

基材を水で溶いたものは、このように金属のキの字も感じられません!が、基材の90%近くが金属粉となっており、磨いて光沢の度合いを調整したり、錆びを出したりとまだまだ発展性のある素材なのです。

モダナを塗って、乾燥してから、磨いてゆくと、金属光沢が出てくるのですが、本日まだお預け状態です。

先日のブログで書いた、斜め模様や細かいテクスチャーの違いは、うまく表現されているようです。

この曲線で入り組んだ形の左官もきれいに仕上がっています。タイル張りの甲板の下は収納になっています。

心配していた、廊下部分の建具の左官仕上げも、しっかり左官されていました。廊下奥が玄関で、玄関から入って左手には金属左官の壁が続き…、

右手側には、大理石調タイルの壁が流れているというデザインになっています。

先日はまだ組み上げ途中だった特注のスチールサッシも無事取り付けられていました。

LDと寝室を間仕切るこのスチールサッシは、廊下とLDの仕切りともなっています。

リビング天井のスクリーンボックスとスクリーンもきれいに納まりました。カーブ形状の折り上げ天井のラインも何とかうまく調整して貰いました。

まだ色々な職方が出入りして、最後までバタバタの現場になりそうです…。

夜になると、赤坂から青山、外苑前の夜景が一望できるピクチャーウインドウに職人さんたちも思わず手を止めてしまいます。

ファブリック選び@ナショナル&マナ

渋谷区Q邸

工事が大分進んできた渋谷区Q邸のインテリアファブリック選びで、お客さまご夫妻と一緒にナショナルインテリアマナトレーディングのショールームに伺ってまいりました。


まず最初に伺ったのは六本木のナショナルさんです。コロナの中で、ショールームも完全予約制となっています。お二人とも、まずはあまりに多くのファブリックがあることに驚いていらっしゃいました。

今回探したいのは、寝室のカーテンとリビングのソファのクッションの張地です。

寝室の壁は青系の特殊左官仕上げと決まっているので、前日に弊社設計担当スタッフの竹田さんと各務で、ショールームを訪問して、ある程度お二人のイメージに合いそうなものを選んでおいたので、それをベースにして選んで行く形になりました。

フローリング材と青色の特殊左官のサンプル板と寝室に置く椅子の張地を合わせながら、カーテンの候補を選んで行きました。3つほどの候補が決まりましたが、最終的にご決断するほどの絶対的なものではなかったので、本日はそれぞれのサンプルをお願いしたところで、ナショナルさんを後にしました。

その足で向かったのは、中目黒のマナトレーディングのショールームです。こちらでも弊社担当の松ケ下さんと事前に選んでおいた候補を机の上に用意しておいて貰っていたので、それを中心に検討してゆきました。

レースのカーテンも選ぶ必要があったのですが、これらは松ケ下さんに選んでおいて貰ったものです。

カーテン用のファブリックで最終的に選ばないことになったもので、気に入ったものがあれば、クッションカバーにもできますので、なるべく多くの気に入ったものを候補に挙げて頂きました。

カーテンの最終候補となったものが、こちらの物です。再びフローリングと壁左官とその他の壁の白色のサンプルボードを並べてみました。

実はこの生地は緩やかなグラデーションとなっていたので、竹田さんに持ち上げて貰い、濃い部分と薄い部分を部屋のカーテンのどこに使うかを一緒に考えさせて頂きました。

カーテンは、上記のマナの物を見積りをお願いして、価格をご確認の上発注させて頂くことになりました。また、マナさんでもクッションの張地の候補が見つかったので、これらについてはサンプルを持ち帰って頂き、ナショナルの物と合わせて、リノベーションが完成後にゆっくり検討して頂くことになりました。

大理石張りの壁の作り方

仙石山T邸

カガミ建築計画のマンションリフォーム&リノベーションで大理石を使うようになったのは、調べてみた所、2013年頃からのことでした。それまでは、ライムストーンなどの砂岩系の石は使ったことがありましたが、ちょうど8年ほど前の赤坂M邸の頃から、お客さまのご要望で大理石を採用し始めたことを思い出しました。当初大理石に対して、柄が強く、本磨きを使うとツヤも激しく、如何にもお金持ちの豪邸のようにハデハデになってしまうことを恐れていた記憶があります(笑)。ただ、大理石の特徴が分かって、磨き方を工夫したり、目地の使い方を覚え、実際に岐阜県や三重県の大きな石材屋を訪問するようになってから、大理石の魅力に開眼し、恐怖心も克服することができてきました。

さて、現在工事進行中の仙石山T邸では、玄関入った正面壁にオデッサベージュという大理石を全面的に張る計画となっています。オデッサベージュは、大理石としては石灰岩がマグマの熱で再結晶化されたものとのことで、柄もツヤもそれほど強くない、つまり癖の少ない使いやすい大理石として重宝させて貰っています。

600角の定尺ものをベースとして使い、それを等分割したものと、定尺ものを混ぜて、さらに水磨きと本磨きを混ぜ、目地もアミダくじ状にずらしながら張って貰っています。

現場でのカット作業を最小限にするために、すべてが部品化された状態で現場に入ってきています。

大きなものと細長く割られたものが混乱しないように、きれいに整理されて現場に並べられています。

立て掛けられた大理石の板の小口を見ると、このように数字が割り振られています。

石職人さんは、このような設計図を見ながら、その指示通りに石を張っているのです。

アップで見ると、このような指示図となっており、水磨きと本磨きの違いや、小口の磨きの指定まで細かく指定されているのです。

壁の端部では、石の厚みがそのまま見せられるようになっていたり、

出隅コーナーを回り込む部分については、このように互い違いになる様にサイズが調整されていたり、小口磨きの指定がされているのです。

因みに目地の幅は3ミリで共通していますが、その幅は、このアップ写真でみた小口に置かれた3ミリ厚のアクリルチップの上に載せてゆくことで調整されているのです。

同じお宅内のリビングの突き当り壁には、グリジオビリエミという濃い灰色系の大理石を張って貰っています。

こちらは大きな一枚の石の壁のように見せたいので、すべて本磨きで、かつ目地も入れない眠り目地で張って貰っています。

大理石も石種やサイズによって、厚みが色々と変わってくるのですが、大きく厚いものになってくると、一人の職人さんで張ることができず、職人さんの数が増えて、増額する要素になってしまうので、一人で張ることができるサイズ考えながら設計をしております。ちょうどコンセントを入れ込む箇所を見ると石の厚みが分かりますね。

因みに、こちらはトイレの壁ですが、同じような大理石に見えますが、実は大理石調のタイルなのです。大きな空間でフォーカルポイントになる壁に本物の大理石を張り、サイズが小さい壁やトイレ洗面のように水でぬれる可能性がある空間には大理石調タイルを張ると、空間イメージが統一しながらもコスト調整が可能で、使い勝手も良くなるという考え方です。

また、浴室内では、超薄型(3.5ミリ)のタイルも使っています。既存の浴室壁がタイル張りになっており、全面白の仕上げとなっていますが、平坦で立体感も出ないので、既存タイルの上から張ることができる、この超薄型のブクシースリムを張って貰っています。

この薄さを見て貰えると、先ほどの石の厚みとの違いが良く分かりますね!

現場には、石とクロス張りの壁を見切るための金属製の見切り材や…、

壁の仕上げ材の色に合わせて、事前に塗装された巾木も入っていました。

廊下突き当りのこの壁、もっとも重量感がないビニールクロス張りの壁となっていますが、それでも6ミリのベニヤ板をアミアくじ状に張り、目地底までクロスを張り込むことでクロス巻きのパネルを張り込んだような硬質感が出るようにデザインしてみました。

→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。