Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸の解体工事の一つの大きな山場に取り掛かっています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

水回りの床下に打設されていたシンダーコンクリートを撤去するための第一段階として、コア抜きをする作業が始まっています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

コア抜きとは、このような機械を使って、建物のコンクリート部分に穴を開ける作業のことです。青山の某不良施工マンションで有名になったように、配線、配管を増設するためにコンクリート躯体に穴をあける作業や、耐震診断のテストピース採取のために使ったりと、色々な形で利用されています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

こちらでは、床下のシンダーコンクリート層を破壊撤去するための準備作業として、壁際にコアを抜いて、後で使うパッカー工法の圧力を逃がすようにしています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

このようにコア抜きの穴を連続させて抜いていきます。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

因みにこちらが抜き取られたコアです。シンダーコンクリートと言いながら、骨材がふんだんに入った硬いコンクリートが打設されていました。下から嵩上げのシンダーコンクリート、黒い帯がアスファルトの防水層、その上に防水層を守るための嵩上げしんーだこん、白い帯は断熱層で、その上に浴室洗い場の水を流すための勾配を取るための最後の嵩上げシンダーコンとなっています。よく見ると、一番上の層にはオレンジ色の断面が見えていますが、これは浴室洗い場に仕込まれていた電熱線の床暖房です。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

コア抜き作業にも乾式や湿式などの方法があるようですが、今回は湿式穿孔を採用しています。水を使いながら粉塵を抑えながらスピーディーな作業が可能な方法です。ただ、防水層を破っての作業なので、作業時に発生する水が、下の階に行かないように、水を吸い取る掃除機を使いながらの作業となります。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

二つ並んでいるのは水抜き用の掃除機で、左の黒いものが乾湿両用の掃除機本体で、右の赤い容器に白い蓋がかぶさっているのは貯水タンクとなります。コア抜き作業をしながら、時々手を止めて下に溜まった水を吸い取ってゆきます。ちなみに、35センチほどのコアを抜く作業で40分程度(準備時間も含めて)の作業となるそうです。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

抜かれたコアが溜まってきた様子です。防水層や断熱層の部分で分解されてしまうので、細かくして積み上げられています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

パッカー(セリ矢)を使うと、200トンほどもの圧力が加わるので、コア抜きによって縁切りされていないと、コンクリート躯体壁や構造柱にヒビが入ってしまう恐れがあるので、現場監督の岡田さんや弊社の設計担当の竹田さんが、きちんと計画通りにコア抜きされているかを確認してくれています。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

今回のシンダーコンクリートの撤去については、こちらにPS部分に空いている空隙内の様子からも、シンダーコンクリート内に配管が埋まっていることが分かっていました。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

こちらがその様子です。断熱材で巻かれて縦に通っているのがマンション共用の排水竪管で、そこから二本床に対して平行に分岐されているのが当該マンションの排水管となっています。シンダーコンクリート内に埋設された状態では、水回りのレイアウトを変更することが難しいこと、そしてそれ以上に今後の配管材料の経年劣化や地震等で配管が割れたりずれた場合に水漏れを補修することが現状ではできないので、今回の大規模リノベーションの際に交換することをご提案しておりました。

シンダーコンクリートの撤去-1_コア抜き

まずはここまでのコア抜き作業で、マンション内の住人の方々からの工事騒音にたいする注文が無く、下階等からの水漏れの連絡もなかったので、この次のパッカー工事に向けての準備を進めてゆくことになりました。
施工会社のとは、同じような施工手順でヴィンテージマンションのシンダコンクリートの撤去をこれまで数回してきたので、一つのチームとして色々な懸念材料を相談しながら進めることができるので、何より助かります。

オーダーキッチンの素材&ディテール研究

千代田区M邸

先日のリネアタラーラのショールーム訪問で、千代田区のMさまが気に入ったデザインのキッチンですが、売却済みで北海道に持っていかれてしまうとのことだったので、リネアの担当の牧野さんの了承を得たうえで、素材とディテールの研究に再訪させて貰いました。

リネアタラーラのオーダーキッチン

こちらのキッチンですが、まずは特徴としては節ありのオーク材を大胆に使いながら、周囲にステンレスのフレームを廻したり、ガラス扉を極細のフレームで作ったりと、大胆さと繊細さが同居していることでしょうか。

リネアタラーラのオーダーキッチン

サイドと上部を囲っているステンレスは、曲げ物を加工したもので、扉のフレームより細くつられていました。

リネアタラーラのオーダーキッチン

良く見ると、サイドと上部だけでなく、下部にもステンレスヘアラインのフレームが回っていました。ステンレスヘアライン仕上げの金物部分は見付12ミリで、ガラス扉のフレームは見付20ミリでした。下部のステンレスは軽く床から浮かされていますね。

リネアタラーラのオーダーキッチン

極細のガラス扉にはギリギリサイズのスライド丁番が埋め込まれています。木製だとこの作りだと歪んでしまうので、実は扉のフレームはステンレスで作られており、扉と似た柄のオーク材の突板(正面は厚突きで他は薄突き?)を貼り回しているいるとのことでした。

リネアタラーラのオーダーキッチン

ガラス扉の取っ手はこのような形状で、無垢材を取り付けているようです。間近で見ると使われているオークの色味が違っていますが、引いて全体を見ると見事に調和がとれていました。

リネアタラーラのオーダーキッチン

端部が少し凹んでいるのは、扉を開いたときにフレームとぶつからない為の配慮でした。

リネアタラーラのオーダーキッチン

一部のガラス扉はアルミフレーム仕様でしたが、こちらは極小のエアヒンジ(ハーフェレ)が使われていました。

リネアタラーラのオーダーキッチン

アイランドカウンター側のディテールです。引き出しとオープン棚の間に5ミリ厚のステンレスヘアライン仕上げの無垢材の板が挟まれていました。

リネアタラーラのオーダーキッチン

Mさまご夫妻にももう一度来てもらい、最終確認をして頂きました。

素材、色味とディテールは同じもので作りますが、サイズや構成、どこにガラス扉をつけるか等は、僕らが素案で作ってきた図面と調整してゆきます。担当の牧野さんも適切なアドバイスをしてくれます。

リネアタラーラのオーダーキッチン

こちらが当日の打ち合わせの内容から前田君が纏めてくれたキッチンレイアウト案です。

リネアタラーラのオーダーキッチン

お嫁に行く(笑)前の最後のキッチンの雄姿を名残惜しそうに愛でているMさまご夫妻の横で、弊社スタッフの前田君がタンタンと調査測量をしていました。

外苑前C邸の一年点検

外苑前C邸

昨年10月に竣工お引渡しをしていた外苑前C邸が、お引き渡し後一年近く経った良いタイミングでしたので、施工をお願いしたリフォームキューの営業担当の岩波さん、現場監督の高橋さんと一緒に一年点検に伺ってまいりました。

まずはお客さまのCさまに、ヒビや割れ、使い勝手の割る個所がないかをヒアリングして、

それから、お客さまもご一緒に5人で各部屋を回って、不具合がないかをチェックしてゆきます。

リビングでは、間接照明を仕込んだ、折り上げ天井のアゴ部分の塗装のヒビが目立っていました。

各居室、洗面、廊下、トイレと見て回ってゆきました。

しかし、今回目立ったのはこのような床付近の傷でした。実は、このお宅が完成してから新たにワンちゃんを飼い始めたそうなのですが(この日は預けていてお目に掛かれませんでしたが…)、赤ちゃん犬でちょうど歯が生えかかってきた段階で、硬いものを噛んで回ってしまったそうです。お部屋中色々なところに、このような傷がついていました。
普通に使っていて、お客さまが故意に付けて傷でなければ、工事会社側で無料で補修するのですが、悪気はないとはいえワンちゃんがつけた傷については、お客さまに塗装の塗り直し分の費用負担をして貰うことで合意させて頂きました。

一年点検後はダイニングに皆で座って、色々とお話をさせて頂きました。Cさまはいつも美味しいお茶とお菓子を用意して下さるのですが、本日は良く冷えたジューシーな梨と中国茶でした。
Cさま、お忙しい中一年点検にお付き合い下さり、どうもありがとうございました。そして毎回ながらの美味しいお茶とお菓子、どうもご馳走さまでした!