Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

二度目のマンションリフォーム_番町H邸

番町H邸

コロナのことで、ご家族がご自宅にいる時間帯が長くなったことで生じた細かい問題をリフォームで解決なさりたいと、5年前に引き続き、二度目のリフォームご決断なさった番町H邸の工事が始まりました。

ご購入なさった当初は浴室と水回りだった主寝室奥の空間は、壁2面にたっぷりの断熱材を吹きつけた、湿気が上がってきていた床の点検口を完全につぶし、新たな壁を作っています。

元々が浴室だったので、外が見えない摺りガラスの窓は、手前に引き違いのインナーサッシを設けるために、断熱材で付加した壁に袖を作っています。

インナーサッシが入ってこのように仕上がってきました。

部屋の突き当りにはオープンな書棚が、窓前にはお手持ちの机が入り、ご主人さまのお仕事のコンピューターのモニターが複数面入って、もうほぼリモートワークモードに仕上がってきました。

先回のリフォームではまだ、お子さまが小さくて何も手を入れていなかった各洋室は、収納扉を作り直して、カーペットを遮音性が高い仕様に変更し、壁のクロスもお子さまたちに選んで貰ったクロスで張り替える計画です。

こちらはカーペットの継ぎ目を溶接する道具です。アイロンと似た器具を使って、熱とノリで、しっかり継ぎ目を固定してゆきます。

一番上のお子さまは、オーソドックスでシックなブルー、

二番目のお子さまは、結構大人っぽいストライプ、

一番下のお子さまは明るく開放的な水色を選ばれました。

お住いになりながらの工事ですが、元々回遊性のある導線構成でしたので、書斎と3つの洋室は、2室ずつ工事することで、何とか無事工事を進めることができました。

廊下の結節点であるホールには、このような本棚を新設し、写真には写っていませんが、クロスの背部に鉄板を入れてマグネットでお子さまたちの絵や学校のプリントを固定できる掲示板も作りました。

デザイン的に一番変わったのが、こちらの扉です。玄関ホールからリビングへの入り口をガラス入りの人口レザー張りの引き戸に変えております。

しっとりとしたレザーにスティッチがアクセントなり、焼き付けスチールの扉が重厚感を与えています。

扉を開けた際には、このようにスチールとガラス部分だけが引き残しとして残るデザインとしています。以前は床のレールに戸車仕様でしたが、今回天井吊りとしたことで、扉の開け閉めもとてもスムーズになりました。

玄関ホール側から見たビフォーとアフターです。レザーの質感や鏡の表情で随分とイメージが変わりました。

玄関ホールの奥に見えていた納戸の扉廻りも、扉と壁を同じダイノックシート張りで仕上げることで、スッキリとしました。

柱型を鏡張りにしただけでなく、そこから来客用トイレまでの壁を大理石帳のタイル張りにしております。トイレも高級感のあるシックな空間に生まれ変わったと、喜んで頂けました。

渋谷区Q邸の解体工事着工

渋谷区Q邸

約2年前に最初のご相談メールを頂いて、マンション共用設備の問題や、コロナのことなどでゆっくりと、しかし着実に計画が進んできた渋谷区Q邸プロジェクトですが、ついにリノベーション工事が着工となり、解体作業が進みだしました。

年始頃にちょうど見積りも纏まって、工事契約をというタイミングでコロナ禍が大きくなって契約を延期した経緯がありました。もし、コロナのことで材料不足やマンションへの職人の出入り、はたまた在宅勤務の人が増えて工事騒音に対する注文がつくなどのことで工事が途中で止まってしまった場合、お客さまの仮住まいや工事経費についての負担が大きくなってしまうので、契約と着工を延期した経緯がありましたので、感慨ひとしおです。

実際には、一気に最初の写真のところまで壊されるのではなく、この写真のように二日ほど掛けて、電気屋さんとガス屋さんと警報屋さんが機器類の取り外しを行い…、

また、建具と枠は一部再利用となっているので、それらをどう取り外して、保管しておくかを施工をお願いしたの現場監督の岡田さんと片岡社長、建具と造作家具をお願いしている下請けの現代製作所の担当の吉岡さんと上林社長、弊社のプロジェクト担当の竹田副所長が綿密に打ち合わせをしてから、解体に取り掛かっています。

着工して1週間のタイミングで、現場定例打合せで現場を確認し、キッチンのPSなどの状況を確認することができました。元から分電盤以外に床暖房のリレースイッチ盤や集中冷暖房機器AHU(エアハンドリングユニット)のコントール盤等、重厚や設備や盤類が多かったのが、解体が進んだことで移設や簡易化することができることが分かって参りました。

こちらは各個室側の解体状況です。左側に3つ残っているのが、既存再利用をする建具枠で、正面の壁の向こうに見えているのが浴室とトイレと洗面の水回りです。

各居室の天井裏には、既存設備図には記載があって存在は頭では理解していたファンコイルユニット(FCU空調機)が見えています。それらの正確な場所と仕組み、さらにはダクトの経路もしっかりと確認することができました。

さて、水回りの解体状況ですが、大理石張りだった内装壁は金物で引っ掛ける作りだったので、比較的安易に取り外すことができたそうです。壁沿いに太り針金が残っているのが、その名残です。

二つあった浴槽は二つとも壊しました。浴槽の下は予想通りでしたが、下階には水漏れがなかったようなので、この下に隠れている防水層がきちんと水漏れをブロックしてくれていたようです。

こちらは玄関ホールの様子です。左側の壁下地が見えていますが、一部はコンクリートブロック(CB)造でその奥は鉄筋コンクリート(RC)造で、解体できる範囲もほぼ図面通りで皆ホッとしています。

関係者で現場のテーブルで打ち合わせの様子です。まだ解体最中なので、細かい部分よりも大きな進め方の方針等について打ち合わせをしました。

ただ、床付けコンセントについては、フローリングの下地の厚みが取れない為、設置が難しいと現場側から言われていたので、こちらで考えていた作りかをスケッチで説明したところ、これなら作れるのではとのことになりました。

打ち合わせ中に小さな音がしていたので覗いたところ、解体屋さんがクラッシャーという機械を使ってコンクリートブロック壁を壊していました!

このカニのような(笑)機械で、上側のコクワガタの歯のような部分がコンプレッサーの動力で狭まって、コンクリートブロックをかみ砕いてゆくのです。

こちらが現場に置かれているコンプレッサーです。音はコンプレッサーの音と、砕かれたCBが床に落ちる音くらいで、砕かれている音はほとんどしません。

ここまで解体工事とはいえ、大きな音を立てずに施工が出来ていますが、ここから先は大物のシンダーコンクリートの解体となります。この写真、壁の下を走っている木部材がモルタルのようなシンダーコンクリートに埋まっているのが判るでしょうか?水回りも含めて、大量のシンダーコンクリートでかさ上げされている部分を、コア抜きとセリ矢を使ったパッカー工法でここから1週間掛けて撤去してゆく大工事となります…。

オーダーキッチンのリネアタラーラSR打合せ

千代田区M邸

千代田区M邸のお客さまとの打ち合わせで、世田谷区用賀のオーダーキッチンのリネアタラーラに伺ってまいりました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

模様替えで新しくなったキッチンセットがこちらです。大理石のミストグレーにアンティーク加工を施したカウンターが印象的なアイランドキッチンでした。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

対面のアイランドにはコンロで、背面の壁面側にシンクという変形レイアウトで…、

リネアタラーラ_キッチンショールーム

シンク側ではカウンターだけでなく壁面にもミストグレーが使われていました。特に壁に沿って舐めるような光に当たって、アンティーク加工の大理石が艶やかに輝いていました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

シンクカウンター横の収納も工夫いっぱいで見どころ満載でした。キャビネットの床と天井には、小型のファンがついていて、収納内の空気が澱まないように工夫されていました。

大理石がお好きなMさまの奥さまは、やはりこのカウンターにご興味を持たれたようで、傷や汚れ、メンテナンス方法などについて確認してくださいました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

Mさまご夫妻だけでもこちらのショールームにいらしたことがあるので、好きな素材の確認という形での訪問でしたが…、

リネアタラーラ_キッチンショールーム

先回にはご覧になっていなかった最上階ロフトのこちらのキッチンを見た途端、本当に一目惚れなさったようで、今回のキッチンはこれと同じ仕様で作りたいとのお話しになりました!

リネアタラーラ_キッチンショールーム

全体にとても気に入ったそうですが、特に背面のこちらの食器収納の細い木フレームのガラス扉がとてもイメージに合っているとのことでした。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

木製のフレームに見えますが、実際にはアルミフレームに木の突板を張り回してこのように繊細に見せているとのこと、弊社担当の牧野さんから教えて貰いました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

アイランド側も細かくみると、ステンレスのバイブレーション仕上げの板を挟んで、シャープに見せるディテールでした。適度に節のあるオークの仕上げ材も奥さまが気に入った部分ですが、こちらはどこかの工務店が発注ミスで余ってしまったフローリング材を転用したものとのことで、全く同じものを手に入れることは難しそうだとのことでした。
残念ながらこのキッチンは、すでに売却が決まっているとのことで、数日中にバラシて北海道に持って行ってしまうとのことでしたが、もう一度ご確認なさりたいとのことで、この翌日にMさまご夫妻でショールームを訪問して、じっくり拝見なさったとのことでした。