Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

4種類の床仕上げ材@世田谷区Y邸

世田谷区Y邸

高層マンションリフォームの世田谷区Y邸では、4種類の床仕上げ材を使うことになっております。それらが順次張られてきているので、ブログでご紹介いたします。

まず一種類目はフローリング材です。これまで良く使っているスカンジナビアン・リビングやIOCのものと似たフローリングに、パッと見た目は見えるかもしれませんが、お客さまが強い想い入れを持って探してくださった特別なフローリングなのです。

この時点ですでに張り上がっていた書斎の床を見て頂くと判るかと思いますが、オーク材ではありますが、色味の濃淡はありながらもほぼ無節で、拭き取りのような仕上げになっていますが、木材の質感が十分に感じられるフローリング材です。

実は、ある高級マンションのショールームでこれと同じフローリング材を見たお客さまが一目惚れで、僕らも一緒に色々なツテを辿ってどのメーカーに依頼して作って貰ったのか、或いは輸入したものなのかを調べて、ようやく見つかったという曰くつきの材料なのです。こちらはベッドの周囲に床暖マットを敷いた主寝室のフローリング張りの状況です。以前、大工の矢野さんに作って貰った、床埋め込みのコンセントボックスも埋められる準備がされていますね。

このマンション特有のリビングのコーナーが丸くなった床部分は、フローリング屋さんが何度もカタを使って形を作りながら、苦労して張り上げてくれました。

次の床仕上げは、厳密にいうと床ではなく、玄関のタタキの仕上げです。以前、お客さまと一緒に岐阜エリアの大理石屋巡りをした際に、見つけたエンペラドール・オスクーロを継ぎ目なく一枚で仕上げて貰った三和土です。

本当は玄関タタキ部分の石仕上げは、毎日職人さんたちや、重たい荷物が通る場所なので、ほぼ全ての工事を終えてから仕上げたい部分だったのですが、玄関の靴収納が入ってしまった後では、この大判サイズの大理石を敷き込むことが物理的にできないので、まだ早めのこの時期に入れて貰いました。目立った傷が無いかを青の斉藤さんとうちの岩井さんがチェックしてくれている様子です。

玄関の扉の枠の欠き込みや、幅木も継ぎ目なしの一本で仕上げて貰ったので、今回大理石をお願いしている鈴木大理石の職人さんたちも、大緊張の仕上げだったそうです。

3つ目の仕上げ材は、洗面所の大判の白いタイルです。60センチ各の大判で、この写真では判りづらいですが、少し焼きムラのようなテクスチャーがある輸入タイルです。

これは全てエコフルガードで養生されてしまった状態ですが、長い洗面所の床全面をこのタイルで張って貰っています。

最後の床材がキッチンの大判セラミックのデクトンです。最近は大判のセラミックをキッチンカウンターに使うケースが増えてきていますが、このデクトンもキッチンや洗面などのカウンターに使える高密度に焼き上げたウルトラ・セラミックストーンだそうです。

大判ではありますが、今回採用したものは厚みが8ミリのものなので、職人さん二人でも容易に持ち運べる重量なのです。キッチンは白をベースにした上品なデザインとなっていますが、その白さが目立つように、このようなダークな床材を使うことになりました。

こちらがデクトンを張る床の状況です。練り物のような接着剤は、二液式のエポキシ樹脂系接着剤を練ったものです。中央に見える透明なアクリルの板は、スペーサーでこれを各所に置くことで、床をフラットに仕上げることができるそうです。

これがそのアクリルのスペーサーの収納です。色々な厚みのものが多数用意されており、床の多少の不陸(均一でなく凹凸がある状態)に対しても、レーザーとこのスペーサーを使って、フラットに仕上げることができるとのことでした。

キッチンキャビネットが置かれる位置を除いて、ほぼ張り上がったキッチン床です。オレンジ色に見える道具は…

このような器具です。これは丁寧に張っても下地の不陸を拾って、段差がが生じてしまいやすい、タイル同志の貼り合わせた個所の段差をなくすための優れた副資材です。白い部材で目地の幅を均一に保ちつつ、オレンジ色のクサビ上のピースを差し込んで締めることで、段差をなくすことができるそうです。

これで4種類の床仕上げ材の紹介は終わりですが、その他の個所の工事も進んできています。

リビングの梁型部分ですが、一度柱型に合わせて作って貰いましたが、お客さまからも指摘で空間のボリュームが最大限に感じられるように、コーナー部分でつぶれてしまっていた個所も空間に含めたいので、作り直してくれとのご依頼で、梁型のカーブ分を作り直してもらいました。カーブした箇所も塗装で仕上げるのですが、特殊な曲がるタイプの見切り材を使ってくれていました。

イタリアから空輸で、納期に間に合うように持ってきてもらった、特殊な建具リマジデオの枠の取付けが終わっていました。枠の取り付け図面をイタリアから送って貰い調べていたのですが、重要な寸法が欠き込まれていなかったり、取付け方の一番重要な箇所が抜けていたりで、詳細が読めない段階でお願いしたものでしたが、責任施工でお願いしたので、何とか苦労しながら取り付けてくれたようです。パッと見ると簡単についているように見えますが、現場の斉藤さんが見ていた様子ではほぼ一日掛りの作業になっていたとのことでした。
保護のためにピンク色のテープが張られていますが、ダークグレーの細い枠に、同じ素材のスリムな框のガラス扉が取りつく予定です。

こちらは主寝室のウォークインクローゼットの内部の様子です。ダークな色に塗装した仕切り板と、間接照明を仕込んだ棚板が無事設置されていました。手前の入り口上部には、やはりイタリアから輸入することになったオムニデコール社の特殊ガラスの建具を吊るための金物が設置されています。

キッチン床に張ったデクトンについては、実はトイレにも違う柄のデクトンを壁仕上げとして全面に張ることになっていました。しかし、こちらが柄の指定をきちんとしていなかったことで、横目で張るべきところを縦目ではってしまうというミスをしてしまいました。お客さまからの指摘で張り直すことになったのですが、ちょうどその柄の日本での在庫が切れてしまったとのことで、お引渡しのタイミング以降に張り直すことになってしまいました…。Yさま、こちらのミスでご迷惑をお掛けすることになってしまい、大変申し訳ありませんでした。

 

 

 

 

 

ミノティの大型ソファの発注@西麻布N邸

西麻布N邸

昨年と一昨年は沢山ショールームも訪問して、採用した実績が多数あったイタリア製高級家具のミノッティですが、昨年の成城Z邸以降は、しばらくご提案する機会がありませんでした。

230平米の大型マンション・フルリノベーションプロジェクトの西麻布N邸では、大きいLDに大柄でスタイリッシュな家具を採用なさりたいとのお客さまのNさまご夫妻からのリクエストがあったので、幾度かこちら南青山のミノッティショールームにご一緒しておりました。本日は、そろそろ発注しないとリノベーション完成時に間に合わなくなるとのことで、トライアングル店にて最終決定をするためにご家族で来て頂きました。

Nさまからは図面で見ても実感が湧かないので、CGで家具が入った様子も含めて確認したいとのことで、外注のCG事務所にお願いして作って貰ったCGです。

CGと実際のファブリックを比べながら、またリビングダイニングの図面上にレイアウトしたソファとCGを見比べながら、ミノッティの担当の早坂さんにも相談に乗って貰いながら、内容を詰めてゆきました。

まだ小さなお子さまがいらっしゃるので、汚れることを気になさっていらっしゃいましたので、張替えが比較的容易にできるファブリックと、耐久性が高くて、長持ちするレザーを組合せることができるスタイルのソファで選んでゆきました。

3歳になるN君も最初はお父さまとお母さまと一緒に良い子に座って話を聞いてくれていましたが…、

途中からはショールームんコーナーでお母さまがご用意してくださったおもちゃで、良い子に遊んでくれていました。当初はミノッティではソファーを中心とした、リビングセットを選ぶだけの予定でしたが、今お手持ちのフェンディのダイニングテーブルとイスもやはりこの機会に交換なさりたいとのことで、ダイニングテーブルが展示されている、コート店にも伺うことになりました。

7月に新しくオープンするミノッティ青山・旗艦ショールームにはまだ訪問できませんでしたが、こちらコート・ショールームにて、幾つかのダイニングテーブルを拝見させて頂きました。残念ながらダイニングテーブルにはピンとくるものが無かったので、他のブランドのダイニングテーブルで、サイズとデザイン的にマッチしそうな候補を挙げて、お客さまたちだけで見に行って頂くことになりました。候補として、まずはモルテーニ(アルフレックス)かB&Bイタリアかカッシーナフレックスフォルムポリフォルム(アクタス)になりそうです。

セミオープンの大型キッチンの組立て@白金台H邸

白金台H邸

いよいよ白金台H邸のセミオープンキッチンの組立てが始まりました。

この造作キッチンを作ってくれたのは、最近お付き合いが始まった、ショールームを持たないことで経費を削っている(ショールームの場所代とキッチンを説明してくれる担当者分の経費を、一般のオーダーキッチン屋さんに比べて削っている)アルノさんです。

大きな逆J型キッチンとオープンカウンターが付いた構成のキッチンとなっています。既存の窓枠の下端に合せた天板立ち上がりや、写真でも見える正面壁上部の排気ダクトに合わせて吊戸棚を作ったりと、細かい調整が必要なキッチンとなっています。

引き出しや、コーナーを使う金物も多用しており、転売用物件ではありますが、相当本格的に使うことを計画した大型キッチンとなる予定です。

この写真を見る限り、セミオープンではなく、完全なオープキッチンではないかと疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが…、

実はキッチンとリビングダイニングの間に、このようなカラーガラス張りの壁が立っているので、LDから見るとセミオープンになるような構成となっているのです。この壁は、こちらの考えてでは構造的な意味がほとんどないと思われる壁だったので、資料を揃えて管理組合に撤去できないかを申請していた壁ですが、実際に間取りを作ってみると、キッチンを適度にLDから隠してくれる、意味のある壁になりました。「災い転じて福となす」戦法ですね…。
とはいえ、硬い表情でこの位置に壁があると、唐突な感じがすると思っておりましたので、両面を目地付きのカラーガラスで仕上げ、壁の端部は鏡面仕上げのステンレス板で押さえた仕上げとして、存在感を和らげております。

このカラーガラス壁の反対側(LD側)から見ると、このように細い隙間からキッチンが見える形となっております。柱部分ではクロス屋さんが照明スイッチが集まったコントローラー部分のニッチにクロスを貼り込んでくれています。

この柱型の詳細ですが、中間部のパネルには照明スイッチと、調光ダイアルが設置されることとなっています。下の部分が空いておりますが、実は外壁側の給湯器との境壁にコア抜きをする許可が得られていないので、まだ施工ができておりませんが、後日管理組合からの許可が下りれば、給湯器を追い炊き型に変更し、浴室に自動給湯ができるように配管だけは先行して行っております。その配管接続のための点検口付きPSとなっております。

先日のブログではまだ大理石が張られていない状態だったリビングの壁には、グリジオ・ビリエミの大理石が張られており、二方をL字型に取りまとめる塗装仕上げのフレームも施工されていました。先日の建具は取り付けられた代わりに、新しい建具が現場に届いていました。

こちらはまだ吊り込まれていませんが、既存建具のルーバーだけを転用した新しいパッケージエアコン前の建具です。これから枠やルーバーの色も調整して、壁に張られる予定のチーク羽目板と一体に見えるようにして貰う予定です。

その他の空間も徐々に仕上がってきています。玄関には造作家具の扉も付き、廊下を隔てる塗装仕上げの建具も運ばれていました。

洗面所にはダブルシンクのセンメンカウンターとメディスンキャビネットが取りつき、

プライベートの書庫廊下部分の造作家具もほぼ完成していました。

主寝室にはアクセントクロスと、柱型の内側にはカラーガラスが張られ、

主寝室横のウォークインクローゼットの窓際には、自然光でお化粧ができるように、可動鏡を吊ったメイクコーナーができていました。