Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ヴィンテージマンションのスラブ下配管について@一番町Y邸

千代田区一番町Y邸

先月、設計契約をお施主さまと結んだ、千代田区一番町のホーマットシリーズのマンションリノベーションプロジェクト、いよいよ設計も煮詰まって、現地でお施主さまたちに最終のプランと仕上げ材のイメージをご説明いたしました。

DSC_2166_pt

ホーマットらしいヴィンテージな雰囲気とするか、白と黒を基調としたメリハリの効いたデザインとするか、そこにベージュやグレーを混ぜて、ホテルライクな空間とするかについて悩んでいらっしゃいましたが、最後は思い切りよく、ホテルライクな仕上げとすることに決定されました。

Exif_JPEG_PICTURE

それぞれのテイストにあった大量の仕上げ材のサンプルを持って行っていたので、デザイン方針が決まったところで、具体的な素材も見て頂いて決めてゆく作業を行いました。今回工事をお願いすることになった、リフォームキューの岩波さんと坂本さんも同席して貰っての、密度の濃い打ち合わせができました。

DSC_3681_pt

打合せ後に、すぐに内容に沿った見積りを作って契約をして貰いました。通常は契約後ひと月ほどの準備期間を置いてから着工するのですが、今回はリノベーション後に賃貸にするか販売するというビジネス物件でスピードが命なところがあるので、準備期間を待たずに先行して解体を行って貰いました。

DSC_3622_pt

リビングダイニングとキッチンは、ほぼ全ての間取りを変えるので、天井の下地材を除いて、フルスケルトンの解体となっています。

Exif_JPEG_PICTURE

リフォームキューの現場監督の富田さんと設計・営業担当の坂本さんと細かい解体部分の取り合いについて打ち合わせをしている様子です。

DSC_3629_pt

玄関ホールから洗面所と浴室辺りを望んだアングルです。以前一度同じマンションでリフォームのお手伝いをしたことがありますが、給水・給湯・排水・ガス管すべてが、スラブ下配管(コンクリート製の床の下、つまり下の階の天井裏を配管が通っているシステム)なので、水回りを移設する場合には、家具内を配管しなければ床段差が生じる仕組みになっています。脚立で仕事をしている職人さんの左側床面に何かが転がっているように見えますが、それらはかつてその場所にあった洗面の給水給湯排水管の床立ち上がり部分です。

DSC_3637_pt

床を見下ろした写真と天井を見上げた写真を組み合わせています。このマンションでは、上下階がほぼ同じ間取りになっているので、床に転がって見える配管が、下階の天井裏でどのように配管されているかを、見上げた写真でほぼ判断することができるのです。床上では、シンプルに見えても、床下に入ると、それぞれ管の種類や径が違って、それらが網の目のように入り組んで配管されていることが判ります。

DSC_3656_pt

その他、細かい工事の内容もチェックさせて貰いました。こちらは右側のコンクリート壁の下と、左側クロス張りの壁の中央に孔が空いています。これまでスラブ下を走っていた給水・給湯管を専有部分住戸内に移設するために、管理組合の許可を貰って、コンクリート躯体にスリーブを開ける工事を行った箇所です。今回の工事では排水管とガス管は変更することができませんでしたが、給水と給湯管は全体の90%程度を専有部分内で通すことができることになりました。

DSC_3646_pt

こちらは、システム空調の吹き出し口のグリルです。幾つかは場所を変更して、塗装もして貰う予定なので、リフォーム工事を行わない部屋に番号を振って、保管して貰っています。

 

雑誌「I’m home」に高級マンションリフォーム事例掲載

代官山T邸

これまで長い間片思いで、憧れ続けてきたインテリア雑誌「I’m home」(商店建築社)に代官山T邸が掲載されました。

R0052634

実はこれまでも幾つかのプロジェクトの写真を送って、掲載して貰えないかを打診してきましたが、尽く討死(?)してきた経緯があります。今年の3月頃に、I’m homeの角田編集長から直々に電話があって、マンションリノベーション特集に掲載できそうな事例がないかと問い合わせがあった際は、夢かと大喜びいたしました。

R0052635

今年の5月にお施主さまの予定を確認して、ほぼ丸一日(朝9時から夕方4時まで)掛けて、撮影と取材が行われました。ミノッティ、モルテーニ、フロス、ベッキオ・エ・ヌーボなどのハイエンド家具・設備の細かいディテールの表情まできれいに撮影して貰いました。

DSC_2364

この写真は、ナカサ&パートナーズのカメラマンが撮影している合間に、似たようなアングルで撮影させて貰った自分の写真です。いつもは照明をほぼ全開にして撮影していましたが、プロのカメラマンがほとんど照明を付けずに自然光で撮影している様子には驚かされました…。

R0052636

僕が撮った写真と如何に違うかが、如実に判ってしまいますね。室内をこれだけしっかり映しながら、屋外の緑も撮れているのは、露光を変えて2枚撮影して、後で合成しているのかもしれません…。

R0052637

全部で9ページに渡る取り上げ方で、全ての写真が美しく、そして十数年前に幾度か取材をしてもらった建築ライターの井上雅義さんに取材・執筆して貰った文章も読み応えがあり、とても充実した掲載となっています。

R0052638

雑誌「I’m home」のファンだったお施主さまからも、発売当日にご連絡があり、カッコ良い掲載にとても喜んでくださいました。

R0052639

こちらが今月発売になった最新号の表紙です。「既存空間を活かしたリノベーション」の特集とのことで、他には僕らが目標としている建築家の横堀建築設計事務所の横堀さんとコマタトモコさん、インテリア界の巨匠(?)グエナエル・ニコラさん、いつも研究しているUTIDEの斉藤さん、端正なデザインが美しい関デザインスタジオの作品と並べて掲載されています。
まずは今回取り上げてくださった角田編集長、素晴らしい文章を書いてくださった井上さん、ありがとうございます。そして、取材撮影に全面的に協力してくださったNさまご夫妻、本当にありがとうございました!
是非、本屋で見かけた際には手に取ってご覧ください。

床・壁下地作りからフローリング張りへ

お台場K邸

壁と床の下地を作成中の港区お台場K邸の工事現場です。

Exif_JPEG_PICTURE

高層階で天井高さが高い空間なので、壁下地のLGS(軽量鉄骨)も長いものが必要で搬入がほぼ不可能とのことで、変則的ですが解体した際にでた一度使用されたLGSの良い状態のものは使いまわすことなりました。

Exif_JPEG_PICTURE

こちらは床下地の製作中です。LL45相当の遮音等級を確保した置床システムを使って貰っています。その下に見えているコンクリートスラブに段差がありますが、その段差を箇所に接する給排水管は全てカバーを施して、コンクリートの角で傷がつかないように養生して貰っています。

Exif_JPEG_PICTURE

置床のパーティクルボードの上に、コンパネを一枚敷いて、その上に床暖房パネルを設置してゆきます。床からピョコンと顔を出しているのが、ガス床暖房との接続口です。

Exif_JPEG_PICTURE

床下に配管類が通っている個所は、置床の脚と配管が絡まないように、細かく調整しながら床下地を作ってもらいます。

Exif_JPEG_PICTURE

天井組のLGS下地では、仕上げ材の不燃羽目板のリアルパネルを仕上げた際にどのような取り合いになるのかを、施工をお願いしているSOUの中川さんに実際にその場で羽目板を当てはめて確認させて貰いました。

DSC_3498_pt

ここからの写真は、その翌週の工事の様子です。床に何枚もの石膏ボードが置かれ、壁と天井に張られ始めています。今回のように天井が高い場合のボード張りは大変で、大工さん一人で写真のトンボという道具(?)を使って仮固定しながらビス止めをしてゆきます。

DSC_3494_pt

天井を張る前に、天井カセット式のエアコンなどは全て事前に設置されています。こちらはリビングに接した書斎の天井ですが、床スラブの段差を利用して、最大限の天井高さを確保しながら、天井埋め込みのエアコンを実現することができました。

DSC_3511_pt

床暖房パネルや、パネルを敷かない場所にはダミーベニヤを張ったうえで、フローリング張り工事も同時進行中です。今回もうちでお馴染みのスカンジナビアン・リビング社のオーク幅広ホワイトオイル拭き取り仕様のフローリングです。

DSC_3485_pt

床下地の精度も高く、フローリングの実(サネ)の精度もぴったりなので、とてもきれいな床が作れそうです。

DSC_3492_pt

床に浴槽がポロンと置かれたシュールな現場ですが、SOUの中川さんとうちの前田君はどんどん打合せを進めて、未確定のディテールや難しい取り合いを解決していってくれました。

DSC_3505_pt

ちょうどユニットバスも組み立て中で、打合せをしているうちに浴槽の設置も見ることができました。

R0052373_pt

現場の問題がある程度解決した後には、前田君が事前に用意しておいてくれた書斎のスチールサッシ枠の詳細についての打合せも行いました。これまでにも幾度か特注で鉄製冊子を作ったことがありますが、今回は開口部がなく、すべては嵌め殺しなので、いかに細くスタイリッシュに見せることができるかが勝負になりそうです。

DSC_4122_pt

因みに、こちらが先ほどのスケッチを元にSOUが描いてくれたスチールサッシの制作図です。