Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

コンセントとスイッチの位置確認 中間検査@代官山T邸

代官山T邸

壁下地のLGSが立上り、ある程度電気関係の配線の目途がついた段階で、お施主さまご夫妻に現場に来ていただき、コンセントとスイッチの位置確認を中心とした中間検査をして貰いました。

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正面壁は石張りになる壁ですが、テレビやステレオなどのAV類が設置されるので、先行して壁裏にオレンジ色のCD管が配管されています。天井近くに設置する壁付けスピーカーにも線が伸びています。

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右に立っているのが施工をお願いしているリフォームキューの石原さんです。

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主寝室では、壁面埋め込みのテレビから、どのような線が横の壁の機器類を設置するニッチまで来ているかをご説明いたしました。

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天上の埋め込みダウンライトの位置についても確認して頂きました。因みに検査では、2箇所コンセントを追加して、3カ所のコンセントの高さを変更することになりました。

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ほとんど間取り変更の無い今回の計画ですが、ほぼ唯一壁位置を変えている、キッチン裏の来客用トイレと収納の壁下地も立ち上がっています。

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不思議な形の小屋(?)のようなものが出来上がっています。

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先ほどの写真の裏面である、リビング側から見るとこのようになっています。実はこれはお施主さまのペットのワンちゃん用のニッチになる箇所です。背面の既存収納の奥行きを利用して、小型犬2匹用のお家を作る予定です。斜めになっている部分が、インテリアのアクセントにもなる予定です。

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こちらは現場に置かれていた不思議なギザギザ部材です。

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何のために使うかというと、写真のように既存の折り上げ天井を狭める際に、曲面の立ち上がり部分にフィットするようにLGS下地を加工した部材なのです。ちょっと削っては、現場に合せ、また調整するという地味な作業ですが、いい加減にやってしまうと、後でヒビが入ったり、隙間が生じてしまうので、大工さんが丁寧に頑張ってくれていることに感謝です。因みに、折り上げ天上はダイニングテーブルを設置する位置の中央まで織り上がっていたので、ダイニング部分は天井をフラットにした方がペンダント照明の納まりも良いので、折り上げ部分を縮小することにしています。

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折角お施主さまに現場に足を運んで頂いたので、先日突板屋さんで探してきた黒檀の塗装サンプルとウォールナット材を見て貰いながら、他の壁の塗装色をご提案し、決断して貰いました。
大きな間取り変更の無いリフォームなので、もっと簡単な工事をお施主様は予想していたようで、ここまで大掛かりになっていることに驚かれていました。ただ、ワンちゃんのお家や、壁裏に隠れてしまう個所も丁寧に施工されていることを確認できて、楽しかったと仰ってくださいました。お忙しい中、どうもありがとうございました!

「デュポン・コーリアン」ショールーム訪問

ニュース

雑誌建築知識のタイアップ広告に絡んで、乃木坂にある「デュポン・コーリアン」のショールームを訪問して参りました。

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ショールームには色々な色調・素材感のカウンターのバリエーションが展示されていました。赤(エンジ色?)やグリーンといった色はサンプル帳では何度も見たことがありますが、カウンターにした場合、どのように見えるのかはとても新鮮でした。

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全部で66色ある素材全てが大きな板で展示されていました。僕らが良く使うプライベートコレクションは、大事そうに下の引出にしまわれていました。

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エントランスホールには、写真のような印象的なコーリアンで作られたアーチが掛かっています。左奥に見える、不思議な形のベンチも白と黒のコーリアンを積層させたものを削りだして作ったものだそうです。

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こちらのオブジェのようなものはコーリアンのキッチンだそうです。らせん状の渦に沿って水が流れ、逆円錐の所で調理するイメージのようです。使い勝手は、ハテナですが、このような形態も作れるということを試すために作ったコンセプトモデルだそうです。

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真っ白な人工大理石で作ったコーナーテーブルと、一体化したオブジェです。住宅ではあまりニーズはなさそうですが、お店の名前のロゴや彫塑的なオブジェを建築と一体化するできることは、店舗などでは応用が効きそうでした。

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タイアップ広告を出稿するのは、コーリアンでも相当久しぶりらしく、建築知識の編集・西山さんと広告・高濱さんが、僕たちの事例を知っていたので、推してくれたようです。事例として取り上げて貰うのは、神戸M邸で作った全長8mの洗面とキッチンを繋げたカウンターということになりました。

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写真手前に設置したダイニングテーブルも、天板にコーリアンのクラムシェルを張っています。

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コーリアン張りの食卓とカウンターの接触する部分のディテールです。現場での溶接作業がとてもきれいにできるのが、コーリアン特徴なので、それを活かした詳細を考えたツモリです。

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こちらが洗面カウンター部分です。アンダーシンクできれいに納めることができました。

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キッチンカウンターは高さ850で洗面カウンターは高さ750だったので、その段差を写真のように解決しました。洗面カウンターのバックガードの立ち上がりがキッチンカウンターの高さにあっているように調整しています。

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改めて、僕らの施工事例を見返してみると、数多くのプロジェクトでコーリアンを使っていることに気が付きました。こちらは白金台S邸のキッチンですが、お得意のクラムシェルとレインクラウドの二種類をキッチンカウンターに使っています。

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同じプロジェクトの来客用トイレの洗面カウンターもクラムシェルでした。クラムシェルの優しい色合いと、木質や陶器と合わせやすいテクスチャーが好きなので、一番良く使っているようです。

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世田谷N邸のキッチンの天板もクラムシェルです。茶色のパネルや緑色の塗装壁、木目調のシートが入った中でも、端正で上品さを保っているのはサスガですね。

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こちらは六本木T邸の洗面カウンターです。色味が上手く撮影できていませんが、こちらはレインクラウドです。クラムシェルと並んで僕らが好きなプライベートシリーズの二大巨頭(?)です。

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ウォールナットを多用した来客用トイレの洗面カウンターは木質との相性で、クラムシェルを使いました。白い塗装壁との相性も良いです。

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高輪I邸の来客用トイレではレインクラウドです。写真のような陶製の手洗いボールとのマッチングもきれいにゆきました。

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ホームページでは公開していない、千代田区H邸では長さ2900ミリの洗面カウンターをレインクラウドで作りました。マンションでは長いスラブ材は搬入が難しいのですが、コーリアンの場合は短く作って、現場溶接が可能なので、このような長いカウンターを作るときは、必需品だと考えています。

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目黒S邸のコンパクトな洗面カウンターはクラムシェルでした。オーク材の壁や扉との色味も素晴らしい出来でした。

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最後は珍しくお得意のクラムシェルやレインクラウドではない種類を使った、逗子U邸の洗面カウンターを紹介して、終わりにいたします。こちらではマグナシリーズのマグナラベルを使って、クラシックでシックな印象の洗面カウンターを作った事例です。
細かく以前設計していた新築住宅や店舗なども含めれば、もっと事例はあるのですが、リフォームに絞っただけでも、これだけの事例があったのは、自分でも驚きでした。ショールームのご案内と長い打合せに付き合ってくださった、デュポン社の品川さま、菅原さま、どうもありがとうございました!タイアップ記事がどのように出来上がるか、とても楽しみです。

 

 

マンションコンクリート躯体の補修工事について

品川区Y邸

先回の現場解体検査で、コンクリート躯体の欠損部分やヒビが見つかった品川区Y邸で、それらの補修工事が行われました。

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こちらが斫られた梁です。ハツられたのは、恐らく16年ほど前のリフォーム工事の際に、給水管を通すためだったと思われます。また、よく見ると、コンクリートがかぶさっている箇所も、コンクリートのかぶり厚が足りていません…(こちらは建物施工の問題です)。

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無残にも斫られてしまったコンクリート梁のを補修している様子です。錆がついていた鉄筋はワイヤーブラシで錆を落とし、錆止めを塗ります(錆止め塗料がシーラーの缶に入れてあるだけで、シーラーを塗っている訳ではありません…)。

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その後、写真のように仮の型枠を両側に組んで、無収縮モルタルを詰めて貰いました。本来は、構造上重要な部材である梁を欠いてしまっているという大問題なので、骨材が入ったコンクリートを打設して梁の強度を確保すべきところだったかもしれません。ただ、今回は梁天端が床スラブより上にあるという変則的な構造形式であり、梁の上端は圧縮しかかからないと考えられることと、そこまでやると専有部工事の範囲を超えた、共有部工事に踏み込んでしまうと思われるので、構造の専門家や先輩の建築家に意見を聞いた上で、このような簡易補修方法としました。

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こちらは梁で囲まれた床スラブ全周に周っていたヒビです。

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まず、Uカット専用の巾10ミリのブレードを入れたサンダーで、ヒビの中心に沿って丁寧に溝切りを行います。溝の深さは10~15m程度です。

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きれいにU字カット溝が入った様子です。カット後に、ワイヤーブラシで溝の中をこすり、掃除機で粉じんを吸引してきれいにします。

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その後、エポキシ樹脂のシール材を充填しています。いわゆる、U字カットシール材充填工法と言われるもので、全周を処理して貰いました。この補修方法では、空気中の湿気がヒビからRCコンクリート内部に入り込んで、鉄筋に錆を発生させることを防ぐことしかできません。こちらは地震などで床スラブが落下する可能性を考えれば、ヒビに沿って炭素繊維を張るなどの対処方法も考えられましたが、やはり相当大掛かりな工事になってしまいます(構造の専門家からも、ダブルで配筋されている床スラブであれば、地震が来てもスラブ自体が崩落する可能性は相当小さいとコメントを貰っているので、この補修方法を採用致しました)。
ここで紹介したコンクリート躯体の欠損やヒビに対する補修方法が、ベストな方法だったかどうかは、正直判っていません。しかし、全体のスケジュールと費用がある程度決まっており、相談をしたマンション管理組合からも「本来はコンクリート躯体は共用部であり、管理組合が関与する問題だと思われるが、大規模修繕工事の直後で修繕積立金も乏しい状態なので、専有者の問題として扱ってくれ」と言われている中で、このような問題に直面した経験のあるライフデザイン社、構造の専門家や先輩建築家の意見も聞き、更にお施主さまにも内容を説明したうえでの判断としては、ある程度バランスが取れた補修内容となったのでははないかと考えています。今回の記事は、あまりに専門的な内容になってしまいましたが、なかなか公開する機会のない内容でしたので、ご容赦ください。