Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

仕上がり確認・変更代替案・追加工事項目のご了承

六本木M邸

先週トラバーチンの壁が張り上がった新築マンションリフォームの六本木M邸では、お施主様にきちんと時間を割いていただき、中間検査を行いました。

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お施主さまのMさまは、建築やインテリアのことに非常に強いご興味を持っていらっしゃるので、これまでもスポットで現場には幾度も来ていただきましたが、なかなか細かい変更などをご説明する機会がありませんでしたので、今回のように中間検査という形で、色々なことをご確認いただくことになりました。こちらの写真は、玄関ホールの収納扉の収まりが設計通りに施工できないことが判ったので、その代替案をライフデザインの営業担当の山碕さんと現場担当の斉藤さんと一緒にご説明しているところです。

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今回は急ぎのプロジェクトであったことや、新築マンションのリフォームとのことで、スタート時点ではどこまでご提案して良いのかわからない部分もあったので、通常の中間検査項目である、仕上げの仕上がり具合の確認と、施工が難しい箇所の代替案のご了承だけでなく、幾つか要素を追加すれば、空間の質が良くなりそうに考えられる追加工事項目のご提案をさせていただきました。

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こちらの長い廊下は、突当りに鏡を張ることになっています。枠の形状や色、どのような鏡を張るかも、再度現場にて確認させて頂きました。

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テレビを収納するマントルピース型ニッチや、特注建具が入る玄関ホールからケーシング枠はとてもきれいに仕上がったのですが、天井だけがどうもモダンでスッキリし過ぎているように思われたので、追加提案として折り上げ部分へのモールディングの追加と、中央の照明にメダリオンンを追加することをお話しいたしました。事前にライフデザイン社と概算費用についても相談していたいので、その費用も勘案したうえで、お施主さまからゴーサインを頂きました。

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こちらは造作家具を取り付ける前のキッチンの下地です。使い勝手を考えた上で、どの位置にコンセントを設置しておくべきか、最終確認をして頂きました。今回はお施主様にもここまでの出来を喜んでいただき、更に増額になってしまう追加提案についても、概ねご了承を得ることができました。どうもありがとうございます!

マンション断熱リフォーム 吹付方式と張り付け方式の比較

品川区Y邸

解体時に色々と問題が判った品川区Y邸ですが、まずはスケジュール通りに外壁に面した 壁部分への断熱材の施工が行われています。

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RCマンションの断熱施工には、発泡ウレタン現場吹付方式と貼り付け方式がありますが、今回は貼り付け面が比較的平らで凹凸が少ないことと、地上7階で道路面に駐 車場もなかったので、施工が容易な貼り付け方式を採用してもらいました。

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旭化成のネオマフォームを大工さんが貼り付け作業中の様子です。カッターで簡単に切断でき、専用の接着剤で隙間なく詰めて行きます。と、書くと簡単に思えますが、実はこの隙間なく貼り付けるのが一苦労なのです。

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施工が簡単な貼り付け方式の一番の問題は、施工不良による隙間の発生なのです。写真のように隙間なく、ピッタリと寄せて張ってもらえると良いのですが、裏面のコンクリート素地がガタガタで、裏面に空気が通る層ができてしまったり、1センチ以上の隙間が生じて、そこに湿気を含んだ空気が入り込めば、その部分に結露が発生してしまうので、如何に隙間をなくすかが一番重要なポイントになります。

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以前ご紹介した杉並区S邸では、このような吹付方式を採用いたしました。加圧コンプレッサーを近所に置く場所があり、そこから当該マンションへの管を通すルートがあり、かつ面積が大きい場合は、この方式で断熱材を施工すると、隙間なく発泡ウレタンを充填することができ、さらに施工のスピードも速くとても便利です。反対に上記の条件が揃っていない場合は、貼り付け方式を採用することになります。
張り付けでもどうしても隙間ができてしまった場合は、一液性の発泡ウレタンを隙間に詰めてもらうことで、マンションの外壁に面した部分すべてが断熱材でくるまれているように注意します。

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リフォーム前は北側の収納などの結露に悩まされていらっしゃったYさまも、これで安心し て温かく温度差の少ない住宅で暮らせることになりそうです。

問題続出(?)の解体検査@品川区Y邸

品川区Y邸

解体検査が続きますが、こちらは築43年の品川区Y邸のリフォーム工事です。

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最近は比較的新しいマンションのリフォーム工事が多かったのですが、さすがに築年数が古いと解体時に色々な問題が判明し、その対応に苦労することになりました。お施主さまのYさまと、施工をお願いしているライフデザイン社の現場監督の斉藤さんと伊藤さん、キッチンをお願いしているリブコンテンツの大江さんにも立ち会って貰っています。

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まず一つ目の問題は、躯体の歪みです。こちらはある程度予想がついていたことですが、天井の高さの問題や、壁の歪み等をどこを基準に、どのように補正してゆくかを早急に決める必要があります。写真はレーザー測量器を使ってレベルを測って貰っている様子です。

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墨出し用にスタッフの竹田さんが用意しておいてくれた図面に、訂正が必要な個所と寸法を書き込んで、どのように問題を解消すべきかを考えてゆきました。

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二つ目の問題は、構造的な問題でした。以前のリフォーム業者が何らかの理由で、構造躯体の梁を斫(ハツ)ってしまっている個所が幾つも見つかりました。今ではあまり使われないスパイラルタイプの異形鉄筋や丸棒鉄筋が無残に見えてしまっています。

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構造の問題の続きです。ただしこちらはリフォーム業者が問題ではなく、恐らく経年変化での影響でしょう。写真の床スラブ面に走っているヒビです。ラーメン構造のマンションですが、床スラブの四周をこのようなヒビガぐるりと周っていました。構造の専門家に確認したところ、この築年数のマンションであれば、このヒビが原因となって、床スラブが落ちる可能性がないとのことでしたが、空気中の水分がヒビからコンクリートないに入って、鉄筋が錆びてゆくのは防ぐべきだとのアドバイスもあったので、マンション管理組合に確認の上、Yさまのご負担で上の梁のハツリ箇所と同時に、補修してゆくこととしました。

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3つ目の問題は防火区画です。トイレの背面の壁を解体した様子をみると、本来はコンクリートブロックで竪穴であるPSと室内を、きちんと防火区画しなければならない箇所ですが、いつの時期かに開けられた点検口で区画がきちんとなされていませんでした。また耐火二層管になっているべき排水管も普通のPV管がそのまま使わられていました。こちらは下の階で火事が発生した場合に、火がPS内を伝って、すぐにこちらの階に登ってきてしまう可能性がある事をお伝えしたうえで、コンクリートブロックを積み直し、区画を貫通する配管類については、熱膨張耐火材で貫通部を処理して貰うこととしました。こちらについても追加の費用が発生することになってしまいますが、Yさまにはご了承頂きました。

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4つ目の問題は既存配管の状況です。玄関横のPSから飛び込んでいる給水管は、内部が錆だらけになっていました。こちらは当初から全面的に交換する予定でしたが、これまでこちらに長く暮らしてきたYさまも、錆の多さに驚かれていました。

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キッチン屋さんはこの時点で配管やダクトの接続位置をある程度確定しておきたいので、斉藤さんたちに簡易的な墨出しをお願いしました。今回は下階への騒音対策の為に置床で二重床にするので、置床を張った時点で再度正式な墨出しをする予定ですが、仮墨を出してもらいました。

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梁下に既存で空いているレンジフードからの排気用の開口位置や、かつてサッシだった部分を壁で塞いでいる部分の作りなども確認して、どのようにリフォームで対処してゆくかを確認いたしました。それぞれの問題はある程度は予想していましたが、オンパレードのように問題が出揃ってしまったので、それぞれのポイントとなる部分をお施主さまにご説明しながら、施工会社の知恵を仰ぎながら早急に対処してゆくこととなりました。久しぶりにアドレナリンが出る解体現場でした!