Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ソファの張地&色決めに5回のショールーム訪問が必要?

港区R邸

港区R邸リノベーション計画では、ソファは当初はミノッティとB&Bを比較しながら検討してきましたが、サイズのバリエーションや、色々な要素を組み合わせることができるメリットを考えて、ミノッティに決定しておりました。

ミノッティのソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

インテリアの中でも重要となるソファの張地の素材と色味を決めるための打ち合わせを、順を追って説明していきます。

ミノッティソファの素材&色決め@港区R邸リノベーション

他社ではなく、このミノッティで進めようとのことになるまで、まず2度お客さまと一緒にショールーム来ています(1回目と2回目)。そのうえで、素材を具体的に検討するために、まず弊社担当の前田君と僕の二人で、担当の早坂さんに立ち会って貰いながら候補の素材を幾つか選んでゆきます(3回目)。

ミノッティソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

張地サンプルの手前に黒字に白と黄色の線が入った丸いものが見えますが、これは2つのソファの間に挟むテーブルの素材です。サハラ・ノアール(Sahara Noir)という個性的で、かつ超高価な天然大理石です。チェニジア産のこの大理石の色味を一つのヒントとして、シックな黒や濃い灰色の中に、黄色かオレンジ色を混ぜてはどうかという素材提案を考えてみました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

ダイニングテーブルはB&Bで決まっていますが、ダイニングチェは、アームチェアで回転するものがご希望とのことで、やはりミノッティから幾つかの候補を絞り、その張地についても候補を挙げておきました。

ミノッティのソファの張地&色決め@港区R邸リノベーション

それだけ事前に用意しておいた上で、また別日にお客さまご夫妻とショールームで実物を見ながら張地と色味を相談させて頂きました(4回目)。ご主人さまはこちらが考えた色と素材の組み合わせが良いと言ってくださいましたが、奥さまは色味が多くなり過ぎることがずっと懸念だったので、もう少しシックな色味の組み合わせでも考えてくれないかとのリクエストがありました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

ミノッティのショールームにあるダイニングテーブルの高さは、ちょうどB&Bでオーダーするテーブルと同じ高さということで、違うショールームに展示してあったダイニングチェアをこちらまで運んでおいて貰い、実際にお二人に座って貰って、テーブルとの高さの関係や座り心地、回転の具合などを確認して頂きました。最終的に選んだ椅子は脚の色は一つしかなく、座面と背もたれについては、テーブルと合わせて黒いシックなものにしたいとのことで、比較的スムーズに決めることができました。

ミノッティのダイニングチェアの素材&色決め@港区R邸リノベーション

この日は、ソファについては、また後日提案するところまでで家具の打ち合わせを切り上げ、ミノッティショールームのテーブルを借りて、収納や照明器具についての打ち合わせをさせて頂きました。

ミノッティソファの素材&色決め@港区R邸リノベーション

そして運命の5回目のショールーム訪問では、ご主人さまがお忙しかったので、奥さまと僕らだけで新たに挙げた張地から候補を絞ってゆきました。

張地と色味を張り付けた合成パース

リノベーション工事のお引渡しのタイミングまでにソファを搬入するとなると、何とかこの数日内に色味と素材を決定して発注する必要があるので、こちらもこれで決めるという意気込みで、前田君が合成パースを自力で作って貰いました。プレゼンシートの右下のソファ写真は早坂さんに貰ったもので、これをプロに作って貰ったCGパースに貼り合わせて、それぞれの部品の色味を変えるというフォトショップ使いならではの細かい作業でした。

ミノッティのソファの張地&色決め

これまでの黄色やオレンジは色味が強かったので、濃い茶色をアクセントに混ぜた展開として、頑張った合成パースもお見せしたのですが、やはりこれでも賑やか過ぎるのではとのご感想でした…。ここで一度暗雲が垂れ込んできましたが、諦めずにもう一つの候補庵として考えていた黒と濃灰を基調に、明るめのベージュをアクセントとする案をお伝えしたところ、それが一番しっくり来るとのことでした!

ミノッティの張地&色味確認を屋外の自然光で

ただ、そこで最終決定しては、後々問題になる可能性があったので、素材サンプル帳をもって、地上階に出て色味を確認して頂きました。こちらのショールームは地階にあって暗めの照明となっているので、自然光がサンサンと降り注ぐR邸の環境では全く違って見えてくる可能性があるからです。夕方になって暗くなり始めていましたが、自然光でもご納得の上で、すべての内容を確認して発注へと進めることができることになりました!
最初はある程度時間には余裕をもってショールーム巡りを始めたツモリでしたが、最終的には本当にギリギリのタイミングでした…。ブログを纏めていて、本当に5回の訪問が必要だったのかとの気持ちもありましたが、振り返ってみるとそれぞれの打ち合わせで、ブランド決定、サイズと形決定、部品決定、そして全体決定と、それぞれの打ち合わせでの積み重ねが重要だったことが改めて理解できました。
ここまで辛抱強くお付き合いくださったRさまご夫妻、どうもありがとうございました。

 

アートのインテリアコーディネーション@平河町T邸

平河町T邸

引っ越しも終わり、無事ご家族で暮らし始めた平河町T邸に、お手持ちのアート&写真の配置レイアウトのことでアドバイスをして貰いたいとのご依頼があって伺って参りました。

マンションインテリア_アートの相談

伺った際には、すでにお手持ちのアートや写真類をソファや壁際のコンソールの手前に立て掛けて用意をしておいて下さいました。

早速、どこの壁にどのくらいのサイズのアートを飾ると良さそうかの見当をザっと付けたうえで、お手持ちのアートや写真の由来をヒアリングさせて頂きました。いつ買ったのか(例えば新婚の時や、お子さまが生まれたときに買った等)、誰に貰った(あるいは買った)ものか(ご両親から貰ったのか、親しい友人からプレゼントされた等)、旅行の際に購入したものであればその場所や、絵についての思い出などを伺わせて頂きました。

マンションインテリア_アートの位置と高さ調整

ご主人が思い入れのあるオペラ座の客席の白黒写真をダイニングのコンソール上に想定してみましたが、壁のサイズに対してアートが小さく、これだと同じサイズの白黒写真を3枚程度並べないとバランスが取れないだろうとのことになりました。

 

リビングダイニングのアート選定&位置相談

この同じ写真をリビングのテレビキャビネット横の特等席に掛けてみたところ、白黒の画像がテレビの黒い面の強さを抑えてくれると同時に、空間に華やかさを添えてくれるので、良さそうだとのことになりました。

ダイニングのコンソール上の鏡位置マーキング@平河町T邸インテリア

ダイニング壁には幾つかのお手持ちアートを置いてみましたが、どうしてもしっくりこなかったので、横長の鏡を掛けることにいたしました。ツルンとしたミラーでは華やかさがないので、フレームが凝ったデザインのものか、鏡自体がアンティーク加工されているものアなどで、写真で壁に青いテープでマーキングしたサイズに合わせたものを候補として幾つか挙げることになりました。

マンションインテリア_廊下アートの相談

ご主人さまが外国留学していた時に購入したジャスパー・ジョーンズのリトグラフは、木製フレームをそのまま使うのであれば、玄関ホールからキッチンへと続く前室にどうかとのことになりました。

マンションインテリア_寝室家具の相談

主寝室にはベッドやラグやラウンジチェア、そして棚の本や飾り物も入ったので、拝見させて頂きました。仮にご購入した天井付けのシーリング照明が似合っていないのでどうにかしたいとのお話でした。

アルフレックスのハイスツールが揃ったマンションインテリア

キッチンにはアルフレックスで購入したハイスツールが三脚入っていました。クレドというスツールで、当初は床と色を揃えるためにウォールナット色をと考えておりましたが、発注直前でルミナベッラのペンダント照明Aplombに合わせたグレーに変更してもらいましたが、この色の組み合わせもしっくりきていました。

マンションインテリア_巾木色変更の相談

玄関ホールについては、竣工お引渡し時と先ほどの写真でイメージが変っていたことに気が付かれた方もいるかと思いますが、実はお客さまのご依頼で壁のクロスをトイレで使ったものと同じクロスに張り替えております。こうなってみると、巾木部分の色が少し大人しく感じられるとのことで、建具枠とほぼ同じ濃灰に変更することも、当日の打ち合わせで決まりました。

見切りを塗装して完成した来客用トイレインテリア

来客用トイレは、腰壁上の装飾レーリングの色が白だったのをクロスに合わせて灰色に塗装して貰いましたが、きれいに仕上がっていました。
これらの他にも、本棚やコンソール上に飾る小物や調度品、またソファの買い替えも検討しているとのことだったので、その後五反田デザインセンター内のベイカー@東京に行って参りました。

ベイカー@東京ショールーム訪問

相変わらず面白く、アメリカ的な家具や調度品が沢山展示されており、個別に見ているだけでワクワクしてくるショールームです。

ベイカーのソファをショールームで確認

Tさまは、ショールームには小物を探しに伺ったそうですが、このベイカー社のソファをご夫妻お二人ともがとても気にって、今のものとの交換を考えているとのことでした。MAX SOFA TAFTEDという名前のソファで、実際に座ってみるとシートハイト(座面の高さ)も日本人の使い勝手が良さそうで、極度に大きいこともなく、アメリカのコロニアルな雰囲気がお好きだというTさまご夫妻が気に入ったものも良く理解できました。

ベイカーのソファの張り生地確認_ベイカー@東京

こちらの生地を張地として使いたいとのことだったので、それも実際に椅子に被せて確認させて頂きました。

ベイカー@東京の小物チェック

小物をが置かれた棚には、ちょっと棚に飾ったらスタイリッシュに見えるであろう彫刻的な置物が沢山並んでいました。Tさまが検討していらっしゃるものも幾つかあったので、実物を確認したうえで、空間にマッチしそうかどうかを後ほどご報告することになっています。

 

 

中国から届いた大理石の検品&石取り@岐阜大垣市

港区R邸

約2ヶ月前に中国福建省のアモイ郊外にての石材マーケットツアーで選んで購入した大理石が日本に届いたとのことで、岐阜県大垣市に検品に行って参りました。

中国福建省から届いた大理石の検品@岐阜県大垣市

倉庫の左右に竪積みされているのが港区R邸の床で使用するゴールデン・ストリングスのスラブ材で、正面には同じ岐阜県の関ケ原石材で購入して、こちらまで運んでもらった希少大理石のポルトロのスラブ材です。

石取りの仮プラン@港区R邸

こちらはこの検品&石取り打合せの前に、スタッフの前田君が用意しておいてくれた資料です。港区R邸のどこにどの程度の大きさの大理石を使うかを一目で分かるように図示してくれたものです。
スラブ材のエッジ部分は欠けていることが多いので、そこから100ミリほど内側に入ったところから石取りをしてゆくのですが、元となるスラブ材のサイズによって、無駄のない石取り寸法が決まってきます。今回のゴールデン・ストリングスの各スラブをチェックしたところ、600ミリモジュール程度で納めると、一番効率的に石取りができそうだとの話になりました。600ミリ角の正方形と600×1200の長方形をベースに、床や壁の石張りのレイアウトを作りなすことになりました

希少大理石ポルトロの石取り

ゴールデンストリングスはある程度余裕を持った資材調達だったので、多少の無駄は許されますが、こちらのポルトロは、スラブ1枚で100万円近くもする、超高級大理石ですので、余分はほとんどありません。きれいな石模様が入っている所を見せ場に持ってゆくだけでなく、ブックマッチ(本を両開きにした時の様に左右の柄が一致するように磨いた)スラブを購入しているので、柄をどこで繋げるかも重要な石取りの判断材料になります。

ラフにテープで石取りをした大理石ポルトロ

港区R邸では、リビングのテレビボード壁と寝室の書斎壁に使う予定ですが、何より大きく見えてくるテレビボード壁をどう見せるかを考えながら幾通りかの石取りを考えてみました。まだ現場の詳細な造作寸法が出ていないことや、お客さまが購入してくださるテレビのサイズも決まっていないので、今回は石取りの大きな方針まで決めたことで、良しとすることになりました。

グリジオカルニコ大理石の検品@関ケ原

実は、この検品の前に近所の関ケ原石材にて、日本で調達する予定だった石種を確認してきました。こちらはトイレに使う予定の大理石グリジオカルニコのスラブ材です。

グリジオカルニコ大理石の検品@関ケ原

これまでの打合せで使ってきたサンプルの石材となるべく似たものを集めたかったので、東京から持参したサンプルを候補の石材と比較しながら選択肢を絞ってゆきました。

エンペラドール・オスクーロの検品@関ケ原

こちらは主寝室の床と腰壁に使う予定のエンペラドール・オスクーロです。以前はこの石種はどこの石材屋でもよく見かけましたが、良い柄と色味のものは急激に少なくなってきているそうです。

ミストグレー大理石の検品@関ケ原

こちらはリビングダイニグのフレームに使う予定のミストグレーです。

ビアンコカラーラ大理石の検品@関ケ原

お嬢さまたちの寝室前の廊下床に張るビアンコカラーラも良い石が見つかりました。

アラベスカート大理石の検品@関ケ原

玄関ホールの壁のアラベスカートは、幾つかの候補があったので、それらをすべて撮影して、お客さまに後日確認することになりました。因みに、このように吊り上げて貰っているのは全容を見たいからと、もう一つ磨きの大理石の場合、窓からの光や天井の照明が写り込んでしまうと、色味も柄も良く分からない写真になってしまうので、吊り上げてもらってから撮影するようにしているのです。

関ケ原大理石で石材の検品

帰り際に関ケ原石材にての記念撮影です。右から、今回の石材のことをほとんど全部お願いしているキダ・マーブルの斉藤副社長、リフォームキューの営業&設計担当の坂本さん、うちの事務所の前田君と各務です。

石材ツアーの纏め風景@アジアングラニット

ほぼ丸一日の作業でしたが、新幹線の駅(岐阜羽島)に送って貰う前に、本日決めたこと、候補に挙がった石材の復習を致しました。福建省にも同行してくださり、本日もずっと案内してくださった大垣市のアジアングラニットの池田さんも一緒に、抜け落ちがないかを一通り確認してから、帰京の途につきました。

石材検品用資料@港区R邸リノベーションプロジェクト

この翌日に、子のようなA3シートで4枚のプレゼン資料を作って、

石材検品の様子をお客さまに説明中

石材サンプルと一緒にお客さまご夫妻にお見せして、承認をお願いいたしました。普通であれば、僕らに一任して貰うことが多いのですが、お客さまからは契約時から問題が起きないように、重要な素材選びについては、すべて現物サンプルを確認の上発注して欲しいとお願いされておりましたので、ここまで細かく選んで頂きました。

最新大理石研磨機@関ケ原石材

最後の2枚はオマケです。中国福建省アモイ郊外の大大理石集積場に比べると、岐阜県大垣から関ケ原に掛けての日本の大理石集積エリアはだいぶ廃れてきている印象がありましたが、関ケ原石材は頑張って最新鋭のドイツ製自動石材研磨機を導入していました。機械をよく見ると、灰色の部分に番号が振ってありますが、1番から22番まで少しずつ細かく番目を変えた磨き石を取り付けておくと、マシンの最後までスラブ材が送られてくる間に本磨き状態になるそうです。

最新大理石研磨機@関ケ原石材

最後はこのスライドする部分が移動して、左の立て掛けてあるスラブ材の所に並べてくれるという大理石研磨オートメ―ション機械だそうです。これまでにも古いけれど同じような機械を使っていたそうですが、倍以上のスピードで磨いてゆくことが出来る機械を設備投資したとのことでした。今も中国で加工したほうが、価格は比較にならないほど安いそうですが、細かい仕上がりのディテールはまだ日本の方が上とのことで、日本側でも頑張ってくれているようです。