リフォームアドバイザーとしてお手伝いしてきた青山の高級マンションリフォームI邸の工事が完了して、お施主さまの検査に立ち会って参りました。実はこの検査の3週間ほど前に、施主検査を予定していたのですが、検査前夜の清掃時に担当者が腰に付けていたボトルから有機溶剤を床フローリング上に垂らしてシミを作ってしまうという大事件が起こってしまいました。
シミの個所はクリーニングでは汚れを落とすことができず、ヤスリで削って汚れを落とす試みもして貰いましたが、横から見るとそこだけが凹んでしまうことが判りました。一か所だけであれば、その個所だけフローリングを張り替えることもできそうだったのですが、シミが部屋中に散らばってしまっていたので、急遽検査とお引き渡しを先延ばしにしてLDKのフローリングを全面張り替えることになりました。
その時点で、全てお引越しの手続きを終わっており賃貸中だったマンションを引き払ってしまったお施主さまご夫妻に対しては、リフォーム工事を請け負っていたM社の方で、家具付き賃貸マンションを手配して、荷物に対しても一時預かり先を用意してくれたので大パニックを何とか避けることができました…。
こちらが汚れてしまったフローリングをいったん全て撤去して、新しく床下地を作り直した際の様子です。すでに組み立てていたリビングのカウンター家具も一旦バラし、幅木類も取り外した状態にしてから、フローリングを張り直してもらう手筈になりました。
床材が特注のスカンジナビアンフローリングだったことも影響して、その後2.5週間で何とかLDK全面を張り直して、仕切り直しの検査に臨むことができました。
ここまでの経緯で、仮住まいをせざるを得ない状況になってしまったお施主さまご夫妻には、色々な気持ちが錯綜していたかと思いますが、検査は検査で重要ですので、気を取り直しての検査のお手伝いをいたしました。
こちらはトップライトがある、玄関ホールです。天井も高く、収納量の多い靴収納には満足してくださったようです。
LDの壁際に作られた御影石カウンタートップのステレオ・TV機器類を収納する造作カウンターです。フローリングも張り直したことを全く感じさせない、きれいな出来でした。
開閉式の扉で、リビングとの視線をコントロールできるキッチンです。ドイツ製高級キッチンメーカーのジーマティック社のオーダーキッチンです。
奥さまが特に気に入ってくださったのが、こちらの浴室です。特注の割れ肌石調のタイルがシックで、とても落ち着く空間になったと喜んでくださいました。
浴室と洗面所は、ステンレス鏡面仕上げの枠とテンパーガラスの扉で繋がっています。
長ーいカウンターがある洗面代です。背面には洗濯機が見えていますが、引き戸で隠すことができる仕掛けを作ってもらいました。また、お施主さまご夫妻が高齢になった際には、簡単なリフォームで寝室との壁を一部撤去して、この洗面とトイレに直結できる扉が作れるように工夫した作りとなっています。
こちらは、ご主人様が気に入ってくださった玄関ホールからリビングへの特注建具です。黒檀の突板を鏡面塗装に仕上げて貰い、南部鉄赤サビ仕上げの取っ手を合わせた扉です。両袖は透明ガラスを入れて貰いました。
検査で見つかった是正項目を補修した後にお引越しとなりました。そして引っ越し後2週間で訪問させて頂いた時の様子が以下の写真です。
家具なしではただただ広すぎるように感じられたLDですが、家具やピアノ、調度品やアート、さらにはカーテンや照明器具が入って落ち着いた来たとのことでした。当初はお手持ちのラグで十分と考えていらっしゃったようですが、さすがにこの広さだとラグが小さく感じられたので、特注オーダーで大型のラグを発注することになりました。
天窓付きのダイニング空間と横に繋がるキッチンです。壁際にはチークの家具が三つ並んでいますが、実はそのうちの一番右のものは、まだ駆け出しの建築家だった僕が、隣の家具に合わせてデザインさせて頂いた思い出の特注家具なのです…。その時から考えると十数年のお付き合いになるIさまご一家のリフォームをこのような形でお手伝いさせて頂くことができたこと、とても嬉しく思っております。改めてのリフォーム完成とお引越し、おめでとうございました!