Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

墨出しと設備関連の打合せ@原宿K邸

原宿K邸

解体後の再見積りと契約が終わった原宿K邸の現場では墨出し作業が進んでいました。

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壁や引き戸が立つエリアは、事前にセルフレベリング材(流し込むことで平滑面が得られる材料)で調整されているので、墨出し作業がスムーズに進んでいるようでした。窓際のコンクリートの色が変わっているのは、ジャンカや漏水の跡が見つかった部分を補修して貰った痕跡です。

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墨出しとは、文字通り、床面に実物大の大きさで、壁の位置や扉の位置を記してゆく作業です。壁位置だけでなく、下地材のLGSやボードの厚み、枠材の大きさまで描きこまれているので、大工作業もスムーズに進みそうです。

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通常では、容易に変えることができない外壁面のサッシ(マンションでは共用部に当たります)ですが、原宿K邸はオーナーマンションのオーナー邸なので、特別な許可も不要で替えることができました。古びていたサッシ枠もきれいになり、断熱性能もアップさせることができました。こちらでもサッシ枠が取りついている開口部周りは防水補修して貰っています。

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墨出し作業と並行して、各種設備業者さんとの打合せを現場で行いました。電気屋さんと設備屋さん、そしてキッチン屋さんです。

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工事をお願いしているの現場監督の田所さんと、うちの担当スタッフの竹田さんを中心に、どの位置に排水管立ち上がりを持ってきて、そこまで床上でどのルートで排水を廻すか等について打ち合わせをして貰いました。

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オーダーキッチンのアムスタイルの山崎さんが、壁上部にレンジフードのための壁貫通孔(スリーブ)を開けるための位置出しをしてくれている風景です。こちらも通常のマンションでは、勝手にスリーブを開けることはできませんが、オーナー建物なので可能な工程となっています(とはいえ、お施主さまにはリスクは十分にご説明し、スリーブを開ける際にもレントゲンで鉄筋を切らない位置で微調整して貰いますが…)。

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それぞれの設備の絡みで生じそうな問題を、関係各社が揃うことである程度解決できました。ここからは一気に工事が進んでゆくことになります。

 

 

アート&調度品と暮らすマンション ーアート作品の飾り方打合せー

成城Z邸

先日、プロジェクトがスタートした成城Z邸のお施主さまは、ご本人も芸術に造詣が深く、ご両親から譲り受けたアート作品が多く、それらをリノベーションしたマンションに飾りたいとのご希望を当初より相談されておりました。
僕らもこれまでにお手伝いしてきた現代アートコレクターのお宅、白金台K邸などでアートの展示方法を勉強させて頂きましたが、今回は平面作品だけでなく、立体や屏風などもあり、調度品もお皿から花瓶まで、デザインもモダンなものからアール・ヌーボーまで揃っているので簡単ではなさそうです。

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見る人が見れば、すぐに作家が判るような著名な作品を数多くお持ちです。それらをどのように飾るかをZさまが懇意になさっている専門家の方々と打ち合わせをすることになりました。

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アートの専門家の方に加え、展示方法のプロが工事前の現地に来てくださり、一つずつのアートの飾り方について相談させて頂きました。屏風については、廊下の長さを活かして片側の壁に金物を設置して、そちらに引っ掛けることになりました。

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ご両親のお宅にあった二枚のステンドグラスは、少し歪んでしまっていたので、上記のような木製枠で固定したうえで、インテリアに取り込んで飾ることになりました。一つは玄関ホール、もう一つはダイニングのガラス窓の手前に飾ることに決定しました。

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屏風やステンドグラス、アールヌーボーのランプなどは、場所を決定して取付方法を決定してゆきました。床置きの彫刻や、壁掛けの二次元作品については、後日入れ替えたりする可能性が高いので、アート展示に適した照明方法やピクチャーレールの考え方などについてお話させて頂きました。お皿や壺などについては、書斎に特設の展示棚を作って飾ることになりそうです。
大物の位置がほぼ決まって、内容の濃い打ち合わせができたことで、お施主さまのZさまもとても喜んでくださいました。

細かい下地・大工造作工事の工夫について@赤坂S邸

赤坂S邸

赤坂S邸の工事は、フローリングが張り終わり(すでに養生済みです)、ボードも大分仕上がってきました。

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今回の工事では、LGS(軽量鉄骨)工事もボード張りも、造作工事もひとりで作業ができる、大工の内原さんが担当してくれています。これまでも幾つかの工事でお世話になっていますが、これまでの経験から色々な細かい工夫をしてくれたそうです。

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新規の窓枠と幅木がフラットに収まった所に、3ミリの目地をあけてまた塗装仕上げの壁がフラットに収まる仕上げを考えてくれました。石膏ボードだけだと角が崩れてしまうので、通常はプラスチック製のコーナー見切り材を入れるのですが、そうすると、その見切り部分がパテ処理で2ミリほど膨らんでしまうので、目地際の3センチ部分を特殊な素材で作ってくれました。

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その特殊建材が、こちらの伊藤忠建材の地球樹Mクロスだそうです。表から見ると普通の合板ですが、裏にライナー紙を張り付けたものだそうです。コーナー部分に合板を使うと、仕上げ塗装をした際にベニヤ板のアクが浮いてきてしまうのですが、ライナー紙を貼ってあることで、合板から染み出るアクやシミを防止してあるそうです。また、石膏ボードと併用できるように、コーナーを面取りしてあるため、塗装下地を作る際のパテ作業も楽になっているスグレ物だそうです。

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こちらかリビングと寝室を間仕切る壁と引き込み扉の吊枠、クロス巻き仕上げの壁下地にピクチャーレールが絡んだコーナーの下地ですが、こちらでも地球樹Mクロスを使ってみたそうです。

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違う箇所の引き込み扉の吊レール埋め込み個所ですが、こちらでも普通のベニヤ板は使っていませんでした。

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こちらも普通の納まりに見えますが、奥の室内側はダクトを隠す分だけ天井が下がっています。縦面と横面でクロスを張り分けるために、出隅にクロス用の巻き込みコーナーを埋め込んでくれています。

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リビングと寝室は引き込み扉で仕切られていますが、床がフローリング(リビング側)とカーペット(寝室側)と分かれているので、ステンレス製の見切りを挟み込んでくれています。壁も塗装(リビング側)とクロス(寝室側)と分かれているので、幅木や枠の納まりもきちんと仕上げられるように作り込んでくれています。

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こちらも同じようなディテールですが、左側が床タイル張り仕上げの洗面で右側がフローリング張りのリビングですが、ステンレス製の見切りがきれいに通っていることが判ります。

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キッチン側から見た寝室と洗面への扉が入る開口部です。それぞれの開口部が少しずつ違った条件になってくるのですが、それを図面からきちんと読み取って、仕上げ工事まで考えた下地を作ってくれている内原さんに感謝あるのみです…。

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玄関ホールの壁と建具の枠下地も出来上がってきていました。

玄関木製フレーム詳細スケッチ

こちらがスタッフの前田君が描いてくれた玄関ホールの二つの建具をフラットに収めるためのディテールスケッチ図です。今回はデザインアドバイスとしてお手伝いしているので、本当はディテールまでは図面化しないお約束でしたが、リフォームキューの現場担当の石原さんと鈴木さん、そして大工の内原さんの頑張りを見て、僕らも頑張らざるを得ない状況になっていました。

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寝室部分の下地も仕上がってきています。正面壁の左寄りにコンクリートの柱が見えますが、これを造作家具で隠して、雰囲気のある寝室に仕上げるデザインを考えていますが、何とかうまく行きそうです。正面壁の右下と左下には、壁裏の免震ダンパーを避けて、追加でお願いした収納が入る孔が空いています。

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リビング側から玄関ホール側を見返した写真です。キッチンを収めるための壁が仕上がり、天井のエアコンの移設も完了していました。

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玄関ホールとリビングの間には、木製建具が入りますが、そのためのフロアヒンジも無事埋め込まれていました。

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そして、数日後には玄関ホールには大理石のグリジオカルニコが張られ始めました。

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同じグリジオカルニコのスラブ(石の板材)で作られた、トイレのカウンター材も搬入されました。右側のベージュ色の物体が、手洗いシンクを裏返してみたところです。接着剤などでしっかりと固定されています。

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洗面所のタイルを張っている作業中です。正面左上の方で、二枚同じ柄のタイルが同じ向きで並んでいる個所があったので、その分だけは職人さんにお願いして、張り直してもらいました。

照明プロット

照明計画も、お施主さまのSさまと最終確認が取れました。キッチン上部だけ少し変更がありますが、照明器具の取りつけの準備も終わりました。

カーペット等仕上げ材

建具の取っ手の色や、建具のツヤなどについても、一度お打ち合わせで決めた後、前田君が混乱しないようにそれぞれの部屋の仕上げ材と並べて写真で記録を作って、お施主さまと施工会社に送って確認してくれています。