Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

神戸M邸 解体と墨出しの確認

神戸M邸

先週からマンションリノベーション工事が始まっていた神戸M邸ですが、全ての解体撤去工事が終わったとの連絡があったので、スタッフの竹田さんと一緒に、解体状況と墨出しの確認で現地に伺って参りました。

神戸M邸 解体状況確認

写真のように、内部の壁・天井・設備・家具、サッシの枠まで解体撤去されて、風通しの良いスッキリした素の空間へと変身していました。右側にはベニヤ板を使った打合せ用のテーブルまで用意してくれています。

マンション解体 窓サッシ周り

こちらはベランダ側の窓サッシ周りです。きちんと発泡性の断熱材が吹かれている状況も確認できました。窓サッシはマンションの共用部なので撤去できませんが、その内側の枠から先の専有部のものはほぼ全て撤去されています。隣の住戸との界壁は、現場打ちのRCではなく、乾式工法の壁であることも判りました。

玄関扉周りの解体状況

開放廊下に面した玄関扉周りには、配線や配管の飛び込み口を確認することができました。正確な位置が分かった事で、それらの配線・配管をどのようなルートを通してゆくのかを考えることができました。また、玄関の三和土(タタキ)部分は、当初予想していた通り、タイルの下にコンクリートが打たれていたので、タイルを剥がす工事(ハツリ工事)をすると、近隣にも騒音の迷惑を掛けるので、タイルの上から新しいタイルを張る方針を再確認いたしました。

レーザー測量器で墨出し

幾つか当初想定して図面との違い・ズレも発生していたので、越智工務店の現場監督・金平さんと大工の是永さんにレーザーで基準線を出してもらいながら、細かい寸法の問題を一つずつ相談させて貰いました。

仮墨と本墨

金平さんが事前に用意しておいてくれた仮墨に対して、ミリ単位で計算をし直して、ずらした位置に本墨を出して貰っています。後で混乱しないように、仮墨にはバツを打ち、本墨にはきちんとその意味を記載して貰っています。因みに、左が現場監督の金平さんで、右が大工の是永さんです。

現場打合せ様子

打ち合わせの最後に、本墨の位置変更と、それによって新たに起こるかも知れない問題点を打合せしている様子です。

墨出し確認図面

現場で決めた寸法の変更は、金平さんが用意しておいてくれた実測図に書き込んだ、後日間違いが起こらないようにメモしてゆきます。きれいになった現場を見て、また既存建物が持っているポテンシャルの高さを再確認することができました。

円形シャフトの作り方

杉並区S邸

今回の工事で最も難しく、施工上も工夫が必要と考えていた、キッチンのアイランドカウンターを貫通する予定の円形シャフトですが、ようやくその素形が出来上がってきました。

円形シャフトの素形

先回のブログの最後でご紹介した、水道工事に使うVU管を使って、最小寸法で円形シャフトを作ることができました。VU管は硬質塩化ビニールの肉薄管で、経済的(安価)で、軽量で扱いやすく、強度も信頼できるので、上下の固定の仕方と、最終的な仕上げをどう接着するかが具体的に検討できれば、使えるのではと思っていた素材です。

VU管を使った円形シャフト

事前に工場で半割にして置いたものを、元々この場所に通っていた排水管にかぶせて固定しています。内部は防音と防振を兼ねた断熱材を入れて、更に所々にビス留め用の丸くくり抜いたランバーコアの芯材を挿入しています。下部は写真のように、台座を組んで固定し、上部は仕上げの石膏ボードを一部くり抜いて、その上でランバー下地に固定しているので、押してもビクともしないくらい、しっかり固まっています。最終的には、周りにアイランドカウンターを組み上げてから、曲げベニアを巻いて、仕上げ材のFGボード巻き付けて、塗装で仕上げる予定です。

スケルトンリノベーション現場

こちらはリビングからキッチン方向を見たアングルの写真です。左奥の窓の右側に灰色のシャフトが立っている様子が判ります。全体にボードはほぼ張り終わり、部分的に塗装の下準備であるパテ塗りの作業が始まってきました。

書庫廊下の施工中

各寝室へと繋がる書庫廊下の部分は、パテ塗りの作業が先行して進んでいます。廊下奥の右側に壁埋め込みの本棚が、左側には読書用のベンチが造り付けられるので、書庫廊下と名付けた空間です。因みに、正面が洗面・脱衣室です。

壁と天井の色決め

本日は、お施主様ご夫妻にも立ち会って頂き、壁や天井の色決めも行いました。通常は、オフホワイトと呼ばれる色味(白に黄色や赤を少し混ぜた柔らかい白色)を選ぶことが多いのですが、今回は床フローリングや壁のコンクリート打放しとのコントラスを演出するために、パッキリと混じりけのない白で塗って貰うことに決まりました(ご主人が指差している、中央が今回選んだ真っ白で、その下がオフホワイトです)。小さなサンプルでは見分けにくいので、現場に大き目の塗装サンプルを事前にお願いして作って置いて貰いました。

子供部屋の色決め

リビングダイニングやキッチン、玄関・廊下等のパブリックの部分は真っ白なのに対し、子供部屋や主寝室、トイレやユーティリティーには思い切った色を使うことになりました。事前にお渡ししていた日塗工の色チャートで選んで頂いた色を確認しているようです。女の子のSちゃんの部屋はピンクで、男の子のU君の部屋は水色との希望で、主寝室には青紫、ユーティリティーはグリーン、トイレはオレンジを使うことになりました。これらは、現場に大きなサンプルを作って、後日確認して頂くことになっています。

モルタルの撥水剤サンプル

こちらはモルタル仕上げの浴室(壁)、トイレ・ユーティリティー(床)を撥水処理する材料サンプルを比較している所です。一番手前が何も塗っていないもの、真ん中は水分はある程度弾くけれど、濡れた部分は多少濡れ色に変色するアクアシール塗布のもの、右上は、濡らしても水滴として残って、ほとんど水分が沁み込まないランデックスを塗布したサンプルです。因みに、ランデックスは撥水剤以上の強さを持っているので、疎水剤と銘打っているようです。今回はランデックスを使用することになりました。

カーテンボックス取付け

杉並区S邸

先週の枠付けに続いて、杉並区S邸ではカーテンボックスの取付けが始まりました。

カーテンボックス造作工事

カーテンボックスには、ブラインドやカーテンを吊り下げるので、それらの重量を支えるために、ランバーコアという材料で、箱を組みながら設置してゆきます。今回は、コンクリートモルタル補修の梁、断熱材を吹いた壁、プラスターボードとの取り合い部分なので、複雑な作りに見えますね。

現場造作打合せ

併せて、造作家具の幾つかは建築工事との絡みで、早めに設置することになるので、その打合せを青の片岡さん、八木君、LGSのリュウさんと詰めまて来ました。写真正面に壁が凹んだ箇所が見えますが、そこに造り付けの家具をスッポリはめ込むことになっています。

壁下地補強

こちらも地味な工事です。納戸と玄関ホールの間仕切り壁を、納戸側から見た様子ですが、LGSの下地の間に、ベニヤ材がはめ込まれています。石膏ボードだけでは、反対側の玄関側に造作家具を吊ることが、強度的にできないので、写真のようにベニヤ板を入れて貰っています。図面上で指示して、事前に家具を設置したり、アート作品を飾ざる可能性がある箇所、あるいは将来的に手すりなどを設置しそうなカ所には、ほぼ全てこのような下地補強材を入れて貰っています。

半分に割られたVU管

最後の写真は、ベランダに置かれた謎のプラスチックの管です。VU管と言われ、通常水道管に使われるVP管よりプラスチックの肉厚が薄いもので、内寸が250ミリもある大型のVU管が何故か半分に割られています。この使い方については、次回にご紹介できる予定です。